shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Lady Madonna / Leika & The Waiters

2009-05-19 | Beatles Tribute
 ビートルズを筆頭にお気に入りアーティスト達の面白いカヴァー・ヴァージョンを探し出してきて楽しむことは私のライフ・ワークの一つになっている。便利な世の中になったもので、今ではアマゾンやHMV、iTunesの曲目検索クリック一発で入手可能な音源がパソコン画面にすべて表示されるので、私のようなカヴァー・ソング・ハンターには大変ありがたいシステムだ。更にそれでも足らんとばかりにヤフオクで “○○ カヴァー” “○○ トリビュート” といった検索ワードを打ち込んで “現在価格” の安い順に並べ替えた(笑)ものをお気に入りに入れておいて毎週チェックしている。当然のことながら既に持っている盤やワケのわからん怪しい盤が殆どなのだが、時々 “これは!” と思わせるような掘り出し物に出会うことがある。レイカ & ザ・ウエイターズの「レディ・マドンナ」もそんな1枚だった。
 私はヤフオク検索時には “タイトルと画像” ではなく “画像” の表示設定にして画面に大量表示させて一気に見ていくのだが、目の覚めるような赤地バックにくわえタバコでギターを抱えたジャパニーズ・ゲイシャ・ガールのイラスト(オリジ盤はワンコのアップ写真)は私の目を引き付けるのに十分だった。 “ブルースをベースにしたアコースティックなサウンド” のビートルズ・カヴァー集というのも面白そうだし、600円という安値だったこともあり、即ビッドしてゲットした。
 レイカ & ザ・ウエイターズについて調べてみると、ロス在住の日系アメリカ人女性ヴォーカルを中心にしたハーモニカ、アコギ、ウッドベースの4人組バンドで、この「レディ・マドンナ」('92年)がデビューアルバムとのこと。まぁ百聞は一聴にしかずということで、とにかく聴いてみよう。
 まずはハーモニカが縦横無尽に響き渡るイントロに度肝を抜かれる①「デイ・トリッパー」、弾けるようなアコギのリズムに乗ってレイカの透明感溢れるヴォーカルが滑り込んでくる。ブルース、フォーク、カントリーといったアメリカン・ルーツ・ミュージックをベースにしたそのサウンドは、注意して聴かないとビートルズの曲だとは気付かないくらい換骨堕胎され、レイカ&ザ・ウエイターズの手法でバンド・アンサンブル化されている。今まで聴いたこのないような解釈だが、これはこれで中々面白い。②「レディ・マドンナ」はコンガのチャカポコ・リズムを隠し味に、ソウルフルなヴォーカルとファンキーなハーモニカがくんずほぐれつ疾走する。もうこの冒頭2曲で完全にレイカ&ザ・ウエイターズ流アコースティック・ブルースの世界だ。
 郷愁を感じさせるハーモニカのイントロがたまらない③「イン・マイ・ライフ」はそれまでの自由奔放な2曲に比べると原曲に近いアレンジながら、ドラムレス・アコースティック・ブルース・バンドならではの味わいが横溢している。④「ドゥー・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」で、バンドが一体となって醸し出すドライヴ感が音楽を前へ前へと推し進めていく様はまさに圧巻といえるもので、私はこの躍動感に満ち溢れた演奏が大好きだ。
 ブルース魂全開の⑤「カム・トゥゲザー」、生音を活かした録音でライヴ感に溢れる⑥「グッドデイ・サンシャイン」、ウッド・ベースの深い響きがたまらない⑦「ジス・ボーイ」と続いて⑧「ホエン・アイム64」は何とアップテンポのブルー・グラスだ!1分2秒と1分52秒でみせるチェンジ・オブ・ペースの妙もお見事(^o^)丿 控え目なバッキングでレイカのヴォーカルを前面に押し出した⑨「イフ・アイ・フェル」に続く⑩「アイ・フィール・ファイン」はまるで年季の入った南部のブルース・バンドのような土の薫りが充満するコテコテのブルースで、1分31秒から炸裂するブルージーなハーモニカ・ソロが強烈だ。⑪「レヴォリューション~アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア~ラヴ・ミー・ドゥ~ユー・キャント・ドゥー・ザット~ドライヴ・マイ・カー」は①②と同じ路線のアメリカン・ルーツ・ミュージックのごった煮風な展開が面白い。⑫「キャント・バイ・ミー・ラヴ」はブルージーな中にモダン・ジャズのエッセンスが散りばめられたキラー・チューンで、イントロのベースといい、ツボを心得たギター・ワークといい、めちゃくちゃカッコイイ!どれか1曲と言われれば私はこの曲を彼らのベストに挙げたい。
 このアルバムには姉妹編として「レット・イット・ビー」(ジャケは青地にゲイシャ・ガールだが、赤ん坊の写真ヴァージョンのCDがオリジらしい)があり、そちらも期待を裏切らない同傾向の音が楽しめるので興味のある方は是非どーぞ。

レイカ&ザ・ウエイターズ