shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

GEM of Carpenters

2009-05-03 | Rock & Pops (70's)
 カーペンターズの「オンリー・イエスタデイ」で味をしめた私は次に「プリーズ・ミスター・ポストマン」のシングル盤も買った。やはりラジオでかかっていたのを聞いて「オンリー・イエスタデイ」とは又違う魅力を感じたからだ。今の耳で聴いてみても、ダイアモンドの原石のようなマーヴェレッツのオリジナル・ヴァージョンやプリミティヴなパワーみなぎるロックンロールでオリジナルを超えたビートルズのカヴァー・ヴァージョンに対し、カーペンターズ版の「ポストマン」は実に洗練された究極のポップスに仕上がっていた。何と気持ちの良いサウンドだろう!躍動感あふれるドラムのイントロから “Stop!” でもう完全に彼らの世界に引き込まれ、比類なき美しさを誇るコーラス・ハーモニーがフェイド・アウトするまでわずか2分50秒。マーヴェレッツやビートルズよりもずっとテンポを上げて一気呵成に駆け抜け、聴き手を連れ去っていくようなエンディングの演出は音楽を知り尽くしたリチャードならではのアレンジだ。もちろん当時はそんな冷静な分析が出来るわけもなく、ただ単に “めちゃくちゃ聴き易くて気持の良い音楽” としてハマッていたのだ。
 2枚のシングル盤を聴いて “とにかくカーペンターズの音楽をもっともっと聴きたい!” と思った私はついにアルバムを買うことにした。それはシングル盤1枚を買うだけであたふたしていた中学生にとっては大きな決断だった(笑) しかし一体何を買えばいいのだ?ネットで何でも瞬時に調べられる今と違い、その当時はディスコグラフィーのような情報は入手しにくかったし、私の音楽知識や経験も皆無に等しかったので、とりあえずレコード屋に行って現物を見て選ぶことにした。貯金をかき集めて行きつけ(ってまだ3回目やけど...)のあこや楽器へ直行した私はこれまでとは違う “アルバム” のコーナーへと足を踏み入れ、カーペンターズの仕切りの前に立った。何か似たようなタイトルのが一杯あるぞ...「ゴールデン・プライズ第○集」ってのが何種類もあって何が何だかサッパリわからん(>_<)  「ゴールデン・ダブル・デラックス」ってのも良さそうやし、困ったなぁ...(*_*) 結局24曲入りの2枚組LP「GEM」を買った。3,700円也。シングル盤が7枚買える金額だ。小遣いが確か月3,000円の頃だったと思うので、私がどれほどカーペンターズにハマッていたかわかろうというものだ。
 全財産をはたいて買ったアルバム「GEM」は文字通り私の宝物になった。来る日も来る日も針がすり減るほど聴きまくり、ライナーノーツや歌詞を熟読した。特に4ページにわたる “アルバム「緑の地平線」完成直前インタビュー” はめちゃくちゃ貴重なもので、今読み返してみるとアメリカ盤とイギリス盤のLPの材質の違いによる音の差であるとか、マスタリング・エンジニアのバーニー・グランドマン(Classic Records から出た「カインド・オブ・ブルー」や「クール・ストラッティン」の超高音質盤を担当したマスタリングの神様!)がカーペンターズをず~っと担当していたとか、マニアックなエピソードが満載だ。
 選曲は彼らの代表曲のオンパレードで文句のつけようのない素晴らしいもので、ビートルズの赤盤がそうだったように、そべての曲がここしかない!という位置に置かれ、2枚組LP通して聴いて1つの大きな “カーペンターズ物語” を聴いているかのようだった。昔の記憶を辿れば、確か「トップ・オブ・ザ・ワールド」のウキウキワクワク感と「ジャンバラヤ」の弾ける様な楽しさが特に気に入ってたように思う。レノン=マッカートニーの「ヘルプ」の大胆なアレンジもインパクト大だった。
 星の数ほどいる洋楽アーティストの中でカーペンターズの日本での人気は王者ビートルズに次ぐほど別格の感があるが、このアルバムを聴けばなぜ彼らが今もなおこのように愛され続けるのかが分かるだろう。その全盛期において、人気者であるが故に支持する力と同程度の反発を受け、「現実離れしたキレイごとを歌っている」とか「単なるイージーリスニングだ」とか言った的外れの批判に晒され続けたカーペンターズだが、多くの人の心をつかみ、末永くその記憶に残る素晴らしい音楽を作り続けた彼らこそ真のアーティストの名に相応しいと思う。

ディズニーランドでミッキーやドナルドと戯れてお仕事になるなんて何て羨ましい(笑)
それにしても曲にあわせて軽快に踊るミッキーが可愛いなぁ...↓

Please Mr Postman- The Carpenters (1975)