shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

浜っ子伝説 / 王様

2009-05-22 | Cover Songs
 先日のブログでユーミンの「OLIVE」に入っている「甘い予感」の歌詞の中の “カーラジオ~ 流れてくるのはぁ~ ビーチボーイズ~♪” のフレーズが大好きと書いたら shoppgirl姐さんがご自身のブログで “その時流れていたBB5の曲は何だったのでしょう?” という問題提起をされ、多分「サーファー・ガール」ではないか、と見事な考察をされていた。単純な私はそれまで何も考えずにこの曲を30年近く聴いてきたのだが、こーやってビーチ・ボーイズについてあれやこれや考えながら聴くと実に楽しい(^o^)丿  shoppgirl姐さん、新たな愉しみ方を教えて下さって感謝感謝です!!!
 ということで今日は王様の「浜っ子伝説」にしよう(笑) 何でそこで王様が出てくんねん!と言われそうだが、そこはそれ、明日なき暴走の暴走たる由縁である。それにこのCD、案外奥が深いのだ。まずあの山下達郎氏がサウンド・アドヴァイザーを務めているというからバカにできない。細部にまで気を配った音作りは見事にあのBB5っぽい音を再現しているし、何よりも王様得意の直訳が炸裂しまくり、そのどれもが面白いようにサウンドにピタリとハマッているのだ。それでは9分にわたって展開される抱腹絶倒の “ビーチボーイズ日本語直訳メドレー” の聴き所をご紹介:

①「波乗り米国」 Surfin’ USA
 最初、普通の直訳カヴァーかなと思っていると “Inside outside USA~♪” のバック・コーラスが “うちがわ そとがわ べいこくぅ~♪” とくる。これで面白いと思わなければ王様は愉しめない。 “A bushy, bushy blonde haired~♪” を“ボサボサの金髪~♪” という風に音感まで似せて訳したところに王様のワザを感じる。
②「たの たの たのしい」 Fun, Fun, Fun
 この曲はヘッドフォンで聴くとその精巧な音作りの凄さが分かる仕掛けになっている。しかもレコーディング・データによるとコーラスはすべて王様一人の声を幾重にも重ねた多重録音。 “Fun, fun, fun 'Til her daddy takes her T-bird away~♪” を “たの たの たのしい パパに車を取られるまで~♪” とやったセンスは凄い。
③「オイラはころがす」 I Get Around
 “Around round get around, I get around~♪” が“コロコロ車をコロがせ~♪” である。この訳詞も絶妙だし、お約束のハンド・クラッピングにも涙ちょちょぎれる(T_T) 裏声を駆使したコーラス・ハーモニーもオリジナルの雰囲気を巧く再現している。
④「波乗り娘」 Surfer Girl
 “小さな波乗り女の子~♪ というフレーズの語呂が何故かコワイくらいメロディーにぴったりハマッててビックリ。 “僕を愛してくれるかい 波乗り娘~♪” のパートも見事にキマッてる!
⑤「いい振動」 Good Vibrations
 “彼女~ 色とりどりの服を着ている~♪” のハスキーな声のかすれ方はまるで甲斐よしひろのようだ。トドメは裏声で “いーっ、いーっ、いーっ、いっいー 振動ぉ~♪” ってもう面白すぎ(^o^)丿 サウンド・プロダクションも含め、まさにギャグがアートに代わる瞬間だ!
⑥「かわいいホンダ」 Little Honda
 “出発!”に始まり、“1速(ホンダホンダ 速く速く~♪)” で由緒正しいBB5ファンはイスから転げ落ちるかも...(^.^) レコーディングを見守る達郎氏の嬉しそうな表情が目に浮かぶような1曲だ。
⑦「カリフォルニアの娘さん」 California Girls
 前曲との繋ぎ方にもうひと工夫欲しかった感もあるが、この曲に始まる⑦⑧⑨の流れるようなメドレー・アレンジは完璧だ。
⑧「神のみぞ知る」 God Only Knows
 “神様お願い 君がいなけりゃ~♪” のリフレイン・パートに折り重なるように被せられたコーラス・ハーモニーに涙ちょちょぎれる。
⑨「素敵だね」 Wouldn't It Be Nice
 後半の⑦⑧⑨バラッド・メドレーは笑いを度外視して徹底的に作り込まれたサウンド・プロダクションが聴きもの。この残響音、たまらんなぁ... 溢れんばかりのリスペクトは本当に “素敵” だ。

どうです?めっちゃ面白そうでしょ?ナンセンス極まりないギャグも含めてこの楽しいカヴァーを王様は達郎氏の指導の下に長時間スタジオに籠って作り上げたらしいが、曲の隅々まで王様のBB5への愛が満ち溢れているのがビンビン伝わってきて思わず頬が緩んでしまう。ジャケットは言わずと知れたデビュー・アルバム「サーフィン・サファリ」のパロディー。これは是非ともブライアン・ウィルソンに聴かせたい笑撃のケッ作だ。

浜っ子伝説 王様