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占いという もう一つの眼

白黒映画

2012年02月06日 | 日記・エッセイ・コラム

サッカー、シリア戦に負けて、そのまま「愛染かつら」のラストを観た。
昭和13年の白黒映画だが、田中絹代と上原謙の、伝説とも言える映画を、ラスト部分だけではあったが、初めて観た。いや、観たかも知れない。

戦前の恋愛映画は、むしろアメリカ映画の方が馴染みがあって、日本映画は案外、見る機会が少ない。
本来、ミーハー映画なのだが、当時の日本人の、美しい言葉づかいや立ち居振る舞いの世界に、思わず引き込まれる。

田中絹代という人は、戦後の感覚では「どこが?」と、理解できないのだが、当時は大和撫子の代表として絶大な人気だった。
小学校の頃、友達のお父さんが、うちの母をタイプだと言っていると友達から聞いて、不思議だったが、そう言えば田中絹代系かなと、今ごろ納得した。

「愛染かつら」の映画は観たことはなかったが、母が歌っていた「旅の夜風」は身体に染みこんでいたし、「悲しき子守唄」もよく聞いた。

昭和13年の映画は日中戦争中とは言え、平和で、楽しさ一杯だが、これから、わずか3年後に太平洋戦争に突入したと思うと、時の流れの恐ろしさを感じる。

今この時にも、経済大崩壊、日本デフォルト、はては核戦争などと言うことも、無いとは言えないのだ。

古典を見る目
新撰組や坂本龍馬、白い巨塔など、リメイク版で、最近のドラマを見た人には、オリジナル映画を観ていられない人が少なくない。
今回の「新日本風土記」は、確かに素晴らしい映像だと思うが、昔の「新日本紀行」は、それはそれで素晴らしかった。

時代による、技術や表現方法の違いを超えて、作品を鑑賞する楽しみは、古典を読む面白さと同じだ。
作家の心と共鳴することで、時代空間を越えて、生を共有する喜びがある。

白黒映画を面白く観られる人は、年齢に関係なく、本質を解る人だ。
逆に、リメイク版の良さを理解できない人も、白黒映画を嫌う人と何ら変わりない。


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