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まずはベルギー3日目に訪れた今回のベルギー行きのメインであった、タイル博物館、Gilliot & Roelants Tegelmuseum。
Facebookで知り合ったベルギーのアネリーさんご夫妻が、ありがたいことに交通の便の悪い、ヘミクセムのタイル博物館まで車でヘ連れていってくださった。
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こちらの博物館は、ヨーロッパでも最大級のタイル製造会社であったgilliot &
cie 社の工場跡地を改装して建てられた博物館で、当時はここで作られたタイルが、ヨーロッパ各地、アジア各地、や南米のウルグアイまで渡っていたそう。
最盛期には1日25万枚ものタイルが焼かれていたという。
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タイルコレクションの核は、1978年の工場閉鎖時にショールームから救出されもので、作品の大部分は専属デザイナーであったジョセフ・ローランツによって制作されたものだそう。
又、コレクター、ロベルト・ポッツォによる約9000点のコレクションも収蔵されている。その1/3がgilliot&cie社の工場で製造されたものだという。
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こちらでは、世界的にも著名なタイル研究家のマリオバックさんに迎えて頂き、博物館を案内して頂けた。
英語が苦手な私に分かりやすく説明をして頂きながら、日本では、未だ見たことのない貴重なタイルの数々を拝見。
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前身は、1897年から始まり、1918年以降の再建ではヨーロッパ最大のタイル工場に。
こちらは、工場の操業時の写真。
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アール・ヌーヴォーの流れるようなラインが美しいあやめが描かれた組み絵タイル。
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チューブライニングで描かれ、
花の色の濃淡まで細かく表されていて美しい。
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その下には、腰壁に貼られるものだろうか?
グリーンと黄土色の発色が美しいマジョリカタイル。
一組だけでなく、ずらりと並ぶと迫力がある。
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こちらは下絵を素地に写す時の用紙。
絵のラインに沿って、細かい点線の穴が開いている。
これがカーボンの代わりをするようで、穴の上からラインをなぞると写し取れる。手の込んだ手作業でのタイル製造が伺いしれる。
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こちらが完成タイル。
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こちらはチューブライニングで描かれた組み絵タイル。
公園を散策する18世紀の優雅な夫婦と一人の紳士との出会いが、
鮮やかな色彩と細やかな表現力で描かれている。
アントワープの邸宅から保存されたgilliot&cie社のもので、これまで類例のない貴重な作品だそう。1911年
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この腰壁のタイルとセットになっていて、大変豪華なものだった。
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ネオロココ様式の華やかな組み絵タイル。
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gilliot&cie社の腰壁用のタイルの組み合わせのカタログ。
さまざまなデザイン、組み合わせのバリエーションがあったようだ。
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扇形のタイル、帯状のタイルのカタログも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/9c/4abf0643dd3190377b10d6ef8bd977e4.jpg)
一枚もののマジョリカタイルのコーナーは、この深く鮮やかな色合いが
ヨーロッパを思わせる。Gilliot&cie
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唯一、この中央の並びのデザインだけは、シンガポールで見たことがあったが、他のタイルはほぼ見たことのないものばかり。Gilliot&cie
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Ceramique Poulet ,Forges(セラミック プーレ フォルジュ)のマジョリカタイル。
リボンと花輪、中央が市松模様になっているのもおしゃれだなあ。
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Boch Freres Keramis,La Louviere(ボッホ フレール ケラミス ラ ルヴィエール)
ライオンやワシなどのネオルネッサンス様式の文様や新古典主義の文様など、
お皿や装飾品、壁紙などからインスピレーションを得て作られていたそう。
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Gilliot&cie
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Gilliot&cie
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Gilliot&cie
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Faienceries de pavillons(ファイアンスリードゥパビリオンズ)
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Faienceries de Bouffioulx(ファイアンスリードゥブフィウル)
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Faiencerie de Nimy(ファイアンスリー ドゥ ニミ)
銅版転写タイルも。中央に丸くデザインされたものは、元々はプレート用にデザインされたものだったとか。
イタリア、スコットランド、インド、スイス、アイルランド、スペインの想像上の風景が描かれている。
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とても濃密で繊細な図柄が描かれたレリーフタイル
アール・ヌーヴォーデザイン以外にも、古典的な伝統的デザインを好む客層もあった為、新古典主義、ネオルネッサンス、ルイ16世、ネオゴシックからムーア様式、ジャポニズムといった様々なデザインのものが製造されていたという。
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ムーア様式のデザインタイル。
Boch Freres(ボッホ フレール)
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船をモチーフとした組み絵タイル。
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こちらは、裕福な家の内装に使用されたタイルを再現したお部屋。
室内にも、外の自然の風景を取り込むという目的で作られたタイルは、風景や花などが描かれ、壁面全体を覆う。
なんと贅沢なのだろうか・・
タイル貼りのマントルピースは後ほど追加されたもの。
(1919年)
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タイルの美しさが凝縮されたような手描きのタイル。
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こちらは、乾式製法でタイルが作られ始めた時の英国製の機械。
一枚一枚、圧縮し、手作業で作られていたそう。
型は、多くの場合は銅製、限定品は石膏型が用いられていたという。
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こちらは、その後、量産に対応できるようになった機械。
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マット釉で描かれ、タイルの側面まで釉薬が掛かっていたタイルは、鍋敷きとして使われていたものだそう。
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床用のセメントタイルもたくさんあり、モザイク風に地模様が入れられたものも。
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こんなマーブル模様のタイルもあったんだなあ。
ヨーロッパでも大理石の代わりに、このようなタイルで代用することがあったんだろうか・・
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鳥の図案が可愛いタイル。
タイルはこのような洋服掛けなどの家具や暖炉などにも使用されていた。
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僭越ながら、私は、シンガポールやマラッカで撮ったマジョリカタイルのフォトブックや自作のタイルなどをマリオ・バックさんにお渡ししたのだが、そのシンガポールで撮った写真の中の、牛の乳絞りがモチーフのタイルと同じものがここにあるよ、と・・
シンガポールでは、外壁の窓の下の高い位置にあったのを見たのだけど、間近で見ると思ったより大きなサイズ。
gilliot&cie社製だったんだな。
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gilliot&cie社でデザイン責任者を務めていたジョセフ・ローランツのコーナーも設けられている。
ここからは、全てジョセフ・ローランツの作品。
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1935年ブリュッセルで開催された万国博覧会で、gilliot&cieのパビリオンで展示されたものだそう。
黒い柱が効いて、アール・デコデザインがかっこいい。
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金と銀が使われたパネルには、釉薬焼成後に18金塗布し、磨き上げるという高価な手法が用いられている。
空気にさらされ、当初の輝きが失われているそうだが、キラキラしてるより、
これくらい落ち着いた感じの方が渋くていいなあ。黒いタイルの柱とも合っている。
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こちらもやはり1935年にブリュッセルで開催された万国博覧会のgilliot&cieのパビリオンの外に設置されたはるかに大きなパネルの試作品、アテネ市の守り神であり、知恵の神、アテナが描かれている。
(1935年)
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アール・デコばかりかと思いきや、細かく描かれた風景画的なものもある。
下は、ベルギー産業の歴史を描いたもの。
同じ作家のものとは思えない・・
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ギリシャ・ローマ神話の影響を受けたパネルで、こちらもアール・デコ様式。
(1930年)
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シンガポールのチャイニーズシアターの装飾の試用として製作されたものだそう。こちらも作風が全く違うけど、同じアーティストなんだなあ。
オリエンタルダンサー
(1927年)
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1937年のパリ万博博覧会のために、バスルームの装飾として作られたものと思われる。水浴びをする若者を描いたタイル。
まだまだ多くの作品があり、見ごたえもたっぷり、夢のような時間だった。
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最後に、マリオ・バックさんが著された、こちらの収蔵品などについての解説の冊子をいただくことができた。
このブログの記事もいくつかその冊子を参考にさせて頂いた。
マリオ・バックさんにはお忙しい中ご案内をして頂き、大変感謝です。