今月の建築巡り講座では大阪の今里にあるセルロイド会館へ訪れた。
セルロイド産業の中心地だった大阪に昭和6年に建てられ、その後昭和12年に増築された建物。
大阪府営繕課の西田勇による設計で平成13年に登録有形文化財に指定された。
列柱で構成された昭和6年建築部分。
やわらかなカーブを描くこの列柱部分の内部は階段室に。
この壁面の区切りから向かって右側が昭和6年建築、左は昭和12年増築部分になっているそう。
こちらは昭和12年に増築された部分。
直線的で虫籠窓を思わせる縦長の窓などが並び町屋風の意匠になっている。
建物裏手から見た増築部分。
内部のみどころはやはりこちらの階段室。
縦長の窓から光が差し込み、微妙な壁の曲線が美しい階段室。
反対側の増築された部分の階段室はうって変わって直線的な印象。
最上階には丸窓が三つ並ぶ。
建築当初の鉄製のサッシが残されている丸窓。
建物の各所にはさまざまなオリジナルのタイルが残されている。
正面玄関付近のスクラッチタイル。
正面玄関ドア周りに使われていたタイル。
セルロイドの資料室では建物の図面の他、さまざまなセルロイド製品の展示も見せていただき、
製作工程なども説明していただけた。
セルロイドの原料は硝化綿と樟脳なのだそう。
石鹸箱に筆箱、洗面器などを見るとなつかしい~気分に。
べっ甲や象牙の代用品としても作られていたというセルロイド、一目見ただけでは本物と見分けがつかないくらい。
卓球の球もセルロイドからできているとは知らなかった。
色鮮やかで貝殻のような光沢がつけられたものも。
独特な模様などプラスチックと違って味わい深い。
自然発火しやすいという欠点などからプラスチックにとって替わられ、今ではもうほぼ生産されていない。