転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨夜、長野から広島に帰ってきた。
連休一日を残して戻ってきたのは、きょうの、
本山麻優子ちゃんのリサイタルを聴きたいと思ったからだ。

本山麻優子 受賞記念リサイタル(西区民文化センター)

彼女は現在高校1年生だが、既に各種コンクールの受賞歴があり、
単独のリサイタルも広島ではこれが二度目だ。
今回は、2009年フランツ・リスト国際青少年ピアノコンクール第1位の、
受賞記念リサイタルという位置づけで、
チケットは早くから完売となっていた。

前半は、一曲目が現代曲で、徳山美奈子『ムジカ・ナラ』、
つづいてショパンのワルツ第1番、夜想曲第5番、
マズルカ作品6の1番と2番、革命のエチュード、バラード第4番。
後半がリストで、『愛の夢』第3番、『超絶技巧練習曲』第10番、
『波の上を渡るパウロの聖フランシス』『ハンガリー狂詩曲第12番』。

技巧的には冴え渡るような演奏で、ただただ圧巻だった。
技巧曲を次々と弾ききる体力と集中力は超人的であると同時に、
それだけ無理のない、理想的な弾き方・体の使い方が
しっかりと身についているということでもあるのだと思った。
リズム感も卓越したものがあって、反射神経も素晴らしく、
マズルカやハンガリー狂詩曲で、特にそれを強く感じた。
若いだけに、どの音も澄んでいて、はつらつと輝き、
聴いていると心地よさのあまり、自然に説得される気がした。

この若さで、これだけ音楽の深いところに迎え入れられている彼女は
感覚の世界では既に、普通の人が見ることのできないものを
たくさん見ているに違いないと思ったが、だからこそ、
今後、音楽を感覚だけでなく理詰めで捉える面が出てきたときに、
是非、ショパンかベートーヴェンの、ソナタを手がけて、聴かせて欲しい、
ときょうは強く思った。

私は彼女が中1のときから、折に触れて聴かせて頂いているので、
こんな前途洋々たる演奏家を、若い段階から知ることができたなんてと、
自分の、出会いの運の良さに感謝するとともに、
こういう聴き方が可能になったのも、私がトシを取ったからこそだと、
年齢的な巡り合わせも有り難く思った。

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