転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



私はコロナのワクチン接種を受けることを希望している。
任意接種なのだから、受けない自由もあることは理解しているが、
接種した場合としなかった場合のリスクを検討し、
私は受けるべきであると判断している。

「新しいワクチンを打って将来なにが起こるかわからないから、怖い」
というコメントをTwitterでよく見かけるし、
その不安は少しもおかしくはないと思っている。
私自身も、自分にワクチン由来の何かが絶対に起こらないと
確信してなどいない。
しかし同じことはCOVID-19に関しても言えるのだ。
この感染症に罹った人が、治癒したように見えたあと、
将来なにが起こるか起こらないか、まだわかっていない。
何しろ新興感染症なのだから、年単位の経過を追ったデータの蓄積など、ない。

「ワクチンを打つと不妊になるのでは」
という心配も時々見かけるが、機序から言って理論的にその可能性はない。
しかしどうしても不安だと言うのであれば、
「コロナに罹った男性の回復者は、精子が減少する」
という研究結果が既に出ているので、そっちの心配を先にしたほうが良い。
精巣はACE2を発現しているため、コロナウイルスの影響を受ける、
という論文は、昨年の何月か記憶が定かでないが流行当初から既にあった。
それが一時的なもので済むのか、長期的に解決しないものなのか、
まだ結論が出ていない。
子供や若い人をこういう危険にさらして良いものかどうか、考える必要がある。

新型コロナは一過性の男性不妊の原因になるのか 回復後に精子が減少するという海外の報告(忽那賢志)
新型コロナ感染で精子なくなる?ウイルスの侵入か高熱か(朝日新聞)

後遺症として嗅覚味覚障害があり得ることは知られているが、
そのほか、肺炎の程度によっては高度な肺の繊維化が残るし、それが、
呼吸機能の低下だけでなく将来の悪性疾患への発展の原因となる可能性も、
まだ、完全に否定することはできない。
コロナに起因する血栓症も、アストラゼネカのワクチンの副反応によるものより、
統計的に発症確率が高い。
「ワクチンを打ったら、今後何があるかわからないから怖い」レベルの不安は、
コロナ本体に罹患してしまったときも、同程度、否、それ以上にあるのだ。

要するに、「まだ何もわかっていない」という次元の話をするなら、
「ワクチンを打ったら、どうなる」
「ワクチンを打たずに感染したら、どうなる」
この二択だと私は理解している。
必ずどちらかを取らねばならない。
「ワクチンを打たずに、安心して暮らす」という選択肢は存在しない。
ワクチンを打たないならば、今後もずっと、COVID-19に罹患しないよう、
マスク着用を継続し、外出を控え、同居家族以外との飲食を決してしない、
それが守れるならば、接種せずに年単位の様子見を続けることも可能ではある。
私のような隠遁生活的ライフスタイルなら、できないこともないだろう。
そのかわり、家族親族に結婚式があろうと葬式があろうと、
私はマスク着用のうえ三密を避けた状態で式典に出席するのがせいぜいで、
あとは宴会があろうと何があろうと、すべて欠席せねばならない。
ただの飲み会ならばどうでも良いが、一生に一度、みたいな場でも、
そこまで腹をくくれるものかどうか?

「ワクチンを打たずコロナにも罹らない」とか
「ワクチンを打たずコロナに罹ったが、無事に治癒する」などの
可能性もゼロではないが、確実に実現させる方法はなく、賭けに過ぎない。
ワクチンを打たず、かつ、自粛もやめるのであれば、
「コロナに罹って死ぬ」または「コロナに罹って重篤な後遺症が残る」
ことに、仮になっても構わないと、覚悟をせねばならないし、
自分が罹ったために周囲のワクチン未接種の人に感染させる可能性も、
今後、生涯、念頭に置かなくてはならない。

一切の危険を冒さず、保証済みの安心安全だけを手に入れたい、
のは誰しも同じだが、残念ながらそんな都合の良い話はないのだ。
その他の、歴史のある各種ワクチンや薬剤でさえ、
いずれも致死的な副反応が完全にゼロとは言えない。
「絶対に大丈夫」と言えるワクチンも薬剤も、これまで存在したことがないのだ。
普通にお店で買える漢方薬の「補中益気湯」や「芍薬甘草湯」だって、
致死的な副作用が絶対にないとはいえない、というか、実際にある。
そのあたりに対しては極めて大ざっぱな安心感を持つことができるのに、
コロナワクチンにだけ超厳密に副反応ゼロを要求するのは、
バランス感覚を欠いた話ではないかと、私は言っているのだ。

幸い、今、日本で使用されているコロナワクチンはmRNAで、
インフルなどの不活化ワクチンとは比較にならないほど効果が高い。
上皇さま・上皇后さまはじめ皇室のかたがたも、
菅総理も、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長も、
海外ではローマ教皇やエリザベス女王も、トランプ元大統領でさえも(!)
皆さん、既にコロナワクチンを接種されている。
当面COVID-19に罹らないほうの安心は、
ワクチン接種により、相当な程度まで得られるのだ。
私はそのほうを、取る。


追記:どうして「コロナワクチンで不妊になる」という話が出てきたのかと、
かねて不思議に思っていたのだが、ファイザーの公式サイトの文章
誰かが誤読して紹介したのが発端ではないだろうか。
ファイザー社はコロナワクチンの副反応の中に「不妊症」は挙げておらず、
その下部の解説文の中でこの件に以下のように触れている。

『7. Does the Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine cause infertility?』『It has been suggested that COVID-19 vaccines will cause infertility because of a shared amino acid sequence in the spike protein of SARS-CoV-2 and a placental protein. Although the SARS-CoV-2 spike protein shares an amino acid sequence with a placental protein, the two proteins are immunologically different and distinct.』『In an animal study in which the Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine was administered prior to and during gestation, no vaccine-related adverse effects on female fertility, fetal development, or postnatal development were reported.』
(拙訳:『7. ファイザー・ビオンテックのコロナワクチンは不妊症を引き起こすのですか?』『コロナウイルスのスパイク蛋白と、胎盤タンパクとの間で、アミノ酸配列に共通する構造があることを理由に、COVID-19ワクチンが不妊を引き起こすのではという示唆がありました。コロナウイルスのスパイク蛋白は、胎盤タンパクと同じアミノ酸配列をひとつ持ってはいますが、このふたつのタンパク質は免疫学的に異なっており、明らかに別のものです。』『動物実験で、妊娠前と妊娠中にコロナワクチンを投与したものにおいて、妊娠、胎児の発育、出生後発育に関して、ワクチン由来の有害な影響は一件も報告されていません。』

つまるところファイザーは、「不妊症になるのでは?という人があるが、
理論的になり得ないし、動物実験の結果でもそういう事例はゼロ」と言っている。
だのに反対の話として伝わっているのは、もしかして誰かが機械翻訳でもやって、
that節の中だけ引用したのが発端ではないだろうか?
このあとの部分でファイザーは『妊娠に関して接種との関連が心配な場合は
どういう選択肢があるかについて、かかりつけ医と話し合ってください』
という意味のことも書いている。
医師に相談して、疑問が解決したならワクチンを打てば良いし、
安全を保証されない限り怖くてワクチンが打てない、
と思うならば、出産までは感染対策を厳重にして、
産後に接種をするという考え方も勿論あるのだ。
シロウトは「絶対に安全なワクチンである」と言って貰いたいものなのだが、
まともな医師であれば、そういう言葉使いはしない。
絶対にとか100%どうこう、などと請け合うのはエセ科学者か詐欺師だけだ。

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