転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



今年も、某先生ご指導によるピアノおさらい会を聴きに行った。
私は生徒さんにも先生にも全く縁もゆかりもなかったのに、
これで連続三年、聴かせて頂いたので、
中には一方的にお顔や御名前を覚えてしまった生徒さんもあり、
もしこの先、ピアノに関係のない、市街地などでスレ違ったりしたら、
『今の、凄くよく知ってる子なんだけど、なんで知ってるんだっけ』
と頭を抱えそうな気が、きょうは、した(苦笑)。

一年経つと、身体的には当然のこと、ピアノの技術も、演奏内容も、
明らかに進歩や成長があって、とても面白かった。
年齢とともに難しい時期に差し掛かっているかな、
という印象の生徒さんも少しあったが、それらもまた
長い目で見れば、有益な課題と取り組みつつある、
ということだろうと思われた。

同じピアノで次々と演奏者が変わると、音の違いも興味深かった。
限られたスペースの自室で弾くのと違い、
演奏会の場というのは、小ホール程度であっても広がりがあるので、
音の響かせ方に関する、個人の技量や感性が露わになっていた。
よく鳴り渡る、抜けの良い、爽快な音のする演奏もあれば、
楽器のまわりだけで鳴っているような、くぐもった音の演奏もあり、
ひとりの演奏者の中で、それらが混在していることもあった。
自分が会場で出している音がどのようなものかを知るには、
やはり公開の場で演奏する経験を重ねるしかないから、
このようなレベルの高い発表会は、生徒さん方にとっても、
得るところの多い、実りあるものだろうと思った。

また、楽曲との相性みたいなものも、聴き手としては結構感じられた。
同じ生徒さんが2曲から3曲を連続して弾くので、
ある曲ではあまり冴えた仕上がりと感じられなくても、
別の曲になると天才ではないかという鮮やかな出来映えだったりして、
演奏者が心身ともに未熟であるだけに、
その最も良いところが引きだされるには、
きっと条件が様々あるに違いない、と聴きながら思った。

*********

ところで、下世話というか、どうでもいい話なのだが、
お嬢さん方のドレスが実に華やかで、
どの子も本当に可愛らしいので、私は今年も見とれてしまった。
別に、この教室だけが度外れに派手だと言いたいのではなくて、
最近は、発表会というと、だいたい、みんなお洒落をすると思う。

どうも私の観察では、バブル期以降、
お子様向けのレンタルドレスの幅が広がってきて、
発表会でも、結婚披露宴のカクテルドレス並みの美しい装いを
小さい子供たちがするようになった気がする。
私自身が子供だった、昭和40~50年代頃は、
膝丈くらいの、よそゆきワンピース程度が普通だった。
それが、娘にピアノを習わせるようになったとき、私は、
出演する娘さん達が、ロングのフォーマルドレスであることを
初めて目の当たりにした(知らずに娘には入学式程度の格好をさせていた)。
しかも、ソロと連弾で二度出るような子は、お色直しまであった。

私は、このような趨勢を、正直なところ、いかがなものかと思いつつも、
一方で、某ピアニスト女史みたいに、アッパッパにカーデガン羽織った、
みたいなナリで弾く神経を最初から身につけられても困るだろうから、
幼いとは言え、演奏会のフォーマルな雰囲気を体験させるというのは
それなりの意義があるのだろう、とも、思っている。

Trackback ( 0 )