転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
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起立するのが普通だと教えた上で
学校・教育
/
2009年03月06日 09時50分12秒
国歌斉唱起立せず、中学校長・教諭ら処分…大阪・門真
(読売新聞)
『昨年3月にあった大阪府門真市立第三中学校の卒業式で、国歌斉唱時に起立しなかったとして、同市教委が当時の教諭1人を文書訓告、7人を厳重注意処分にしたことがわかった。』『処分は先月20日付。校長も監督責任を問い、文書訓告とした。国歌斉唱時の不起立での処分は府内で初めて。』『同市教委によると、昨年3月の卒業式では、8教諭のほか、卒業生160人中159人も国歌斉唱の際に起立しなかった。事情聴取に一部応じなかった教諭だけ処分を重くした。教諭同士が申し合わせたり、生徒に着席を促したりした事実は確認されなかった。』
私はよく疑問に思っているのだが、こういう人たちは、
それが日の丸・君が代だから起立しないだけで、
ほかのウタ・ハタに変わりさえすれば喜んで敬意を表するのか、
それとも、仮に日の丸や君が代でなく別のものになったとしても、
「一斉に号令をかけられ起立を強いられるなんて軍隊みたい」
と、やはり抵抗するのだろうか。
日の丸・君が代について議論のあることは私も知っているが、
学校現場で最初に教えるべきなのは、それよりもまず、
『国歌斉唱時に起立しないのは、国際的には大変失礼になる』
ということのほうだ、と私は思っている。
もし他国の国歌斉唱時に日本人が起立しないとしたら
それは見事な自由意志の表明などではなく、
ただただ、非礼で非常識で、相手国の心証を害する行動になる。
なぜ私がこういうことを書くかというと、私は昨年、
「国歌斉唱時に起立することを知らない日本人」の姿を
二度までも立て続けに目の当たりにして、
さすがに恥ずかしくなったからなのだ。
一回目は11月下旬に行った、スロバキアの楽団による音楽会のときだった。
そこで
スロバキア国歌が演奏されたことは、前に書いた
が、
スロバキア国歌が始まると、演奏のない打楽器パートなどの団員さんは、
申し合わせたようにその場で起立した。
客席の、楽団関係者と思しき外国人の方々もほぼ同時に起立し、
日本人客が座っている間で、スロバキア関係の方々だけが、
ぽつんぽつんと起立している、という状態の客席になった。
スロバキア国歌が終わり、ごく普通に全体から拍手が起こり、
次に紹介なしで『君が代』が演奏された。
今度も、さきほどのスロバキア側の人たちは自然に起立した。
それを見て、ようやく客席の空気が変わり、
『君が代』の途中から、ばらばらと客席の日本人も起立し始め、
しばらくしたら客席の大半が起立した状態になった。
一緒に歌う人もあった。
涙を拭う年配の方の姿もあった。
終わったとき、大きな拍手が、しばらく鳴りやまなかった。
二度目は、12月の、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ
(SBYO)の広島公演のときだった。
こちらもアンコールで、最後の曲として『君が代』が演奏された。
最初は、あちこちから好意的な笑いと拍手がぱらぱらと起こったが、
そうしながらも、ほとんど人は普通の曲を鑑賞するように座っていた。
主催者側が客席を小走りでまわって「立って下さい」と注意したので、
演奏の途中から皆がばらばらと起立し始め、最後はほぼ全員が立った。
オリンピックを見てもわかるが、「国旗」「国歌」は、
どんな国にも必ず必要であり、国のシンボルとして大切なものだ。
「国旗掲揚・国歌演奏の際には、起立して礼を尽くす」
というのは、海外では普通のことであり、最低限のマナーではないか。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラは、訪問国への敬意を表し、
国歌演奏を選んでいたようで、この来日の直前の中国公演のときにも、
中華人民共和国国歌を演奏していた(と私はあとで調べて知った)。
日本で、現行の国旗・国歌が、そのままで良いかどうかを国民が議論する、
ということは、決して悪くないと私は思うし、
アメリカでも90年代に、『星条旗よ永遠なれ』が好戦的過ぎる、
という意見が一部で支持され、代案として、
『ビューティフル・アメリカ』等の曲が提案されたことがあった。
結局、変更には至らなかったが。
だから、もし、仮に、「日の丸・君が代は悪だ」というのが
現代の日本国民大多数の合意であるのなら、
私はほかの歌・旗に変えることがあっても良いと思っている。
生まれてこのかたずっと国旗国歌だと思っていたものが突然変わったら、
私自身は、正直なところ、さぞかし違和感に耐え難い思いになるだろうが、
国家的な合意なら、私個人の違和感などは問題にならないと思うのだ。
だが、「国旗・国歌を大切にする」ことそのものは、
学校で子供達に教育すべき事柄のうちでも大変重要なものだ、
と、昨年来、私ははっきり思うようになった。
少なくとも国際化ということが視野に入っているのなら、
これは英語で道案内や買い物ができるかどうか以前の問題だ。
「個人の思想信条の自由は、どのような国際的な礼儀より優先する」
「外国人がどんなにそれで気分を害しても、話せばわかる」
等々とお考えになる方とは、私の主張は相容れないだろうが、
私自身は、仮に個人の価値観がどうであれ、
公式の場では、国旗国歌に対して敬意を表すべきだと思う。
広島の例でいうなら、11月の音楽会では
個人の考えが何であれ、君が代演奏に対して起立すべきだったし、
仮に、日の丸や君が代を心底憎悪し、その思想的な主張のために、
客席で着席を維持する以外になかったと言う観客がいたとしても、
彼らは、スロバキア国歌のときは起立すべきだった。
どちらの国歌演奏のときも、日本人の間でぽつんぽつんと起立していた、
スロバキアの方々に対して、どう説明するというのだろうか。
椅子にふんぞり返ってスロバキア国歌を聴いた挙げ句、
自国の国歌になっても起立しなかった日本人たちを見て、
あのスロバキアのオーケストラは最初、何を感じたことだろうか。
また、『君が代』が始まったとき、
初めから起立したのは聴衆の一部だけだったことについて、
SBYOの若いベネズエラ人のメンバーたちは、
非礼であると誤解しなかっただろうか。
最後の曲として、『君が代』を選んでくれた彼らの心づかいを思うと、
日本人の多くが、国際的なマナーについて無知で無頓着であったことを
私は大変に申し訳なく思った。
起立し、襟を正して聴き入ってこそ、彼らへの返礼ができた筈だった。
このような種類の国際常識を教えもしないで、
ただ日の丸君が代の歴史的問題点だけを生徒に説明したのだとしたら、
記事中の学校の先生方のなさったことは偏向教育であると思う。
そうでなく、指導などせずとも、生徒たちは自分の意志で
起立をしなかっただけだ、というのであれば、
それは重要な国際常識さえ教えなかった、教育の怠慢であったと思う。
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