元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

若い頃の経験

2020-11-26 | 仕事について

会社にいた時、入社2年目から5年間、店頭という場所の担当を任されていました。

店頭というのは、店の外側にワゴンを並べて、季節に合った商品、万年筆、手帳、クリスマスカード、年賀状から新製品のPRイベント、ポケットベル、携帯電話などあらゆるものを扱う場所でした。

他の人はエアコンの効いた店内で快適を仕事しているのに、自分は夏は汗だくで、冬は寒さに凍えながら仕事をしていた。特に冬は毎朝仕事に行くのが憂鬱で、毎日家に帰るのが楽しみでした。

そんな経験が自分の仕事のはじまりの時にあったので、今の快適な店の中で仕事をしていられることがとても幸せに感じます。

店頭には、店内とは別に独立したレジがあって、売上など成果がはっきりと出ます。

自分で企画して、商品を選ぶ自由もかなりあったし、アルバイトさんのシフトも組めた。
今思えば協調性のない自分には最適な場所だった思い、当時の上司の人を見る目の確かさに驚く。

そこで自分は手帳が好きなのだと気付くことができたし、携帯電話の接客は今の万年筆の接客に生きているし、年2回ほどしていた万年筆クリニックでは、自分もいずれこの仕事がしたいという目標ができた。

ペンショーなどの長机に商品を並べて販売する時、いかに高さを出して、売場に変化をつけて見栄えよくするというようなことを店頭で覚えました。

若い時に苦労して身に付けたことは生涯忘れないと思えるのは、この店頭での経験が自分の根底にあり続けているからで、そういうものは何かの拍子に思い出せて役に立ったりします。

前の会社には販売が天職のような、店の仕事の才能のある人たちもいましたが、私はそういうタイプではなかった。
店頭での5年間でやっと、販売の仕事を覚えることができたと振り返って思います。

今は様々なことを店の人間の立場で考えることができるけれど、それには店頭での経験が私には必要だったのかもしれない。

当時は、辛さも感じていたけれど、自分にはなくてはならない期間だったと思えます。