タフでありたいといつも思っています。
急ごしらえのタフネスなので時々それを忘れそうになって、情けない思考を巡らせそうになるけれど。
私たちのように店を営むものにとってのタフさとは長く続けるための心の強さだと思っています。
逆境であっても、業績が悪くなったとしても、それを跳ね返して自分の道を歩き続けるような強さ。
この一瞬の短距離走で良いタイムを出すことを目指すのではなく、最後まで立っている。
歩き続けた者が私たちの世界では勝者だと思うのです。
ル・ボナーの松本さんはそんなふうに鞄工房兼ショップのル・ボナーを運営されてきた、私が知るタフな人の一人です。
鞄の仕事を始めて40年弱、今の場所に店を構えて19年。
途中何度も危機はあったと思うけれど、それらをかわしてしっかりと地に足をつけて歩き続けている。
ル・ボナーさんが続いてきている理由はたくさんあるけれど、私がいつも感心しているのは製品に常に改良を加えているというところです。
前回の反省点、お客様の声を聞いて、次のロットに反映させる。
時間の経過とともにもっと良いものになっていく。
ル・ボナーさんの鞄たちはそうやって熟成されていったものばかりです。
ル・ボナーさんのロングセラーモデルの中で異色のステーショナリー商品デブペンケースはそれらとは逆に全く変わっていないけれど、最初から完璧な完成度を持っていた証拠だと思います。
デブペンケースは私がル・ボナーの松本さんと出会った時からある、ル・ボナーさんが長年大切に育ててきたものです。
当時からデブペンケースは気になっていて、実はこのペンケースに鞄職人らしさを感じていました。
今もあまり他で見当たらない大きさはペンだけでなくいろんな細々としたステーショナリーをまとめて入れて仕舞えて、それは鞄の考え方そのものです。
それを丁寧な手仕事、上質な革でやってしまうところは独立系鞄職人のこだわりそのものだと思っていました。
ル・ボナーさんのこだわりが込められたデブペンケース、しばらく品切れしていましたが、入荷してきました。(https://www.p-n-m.net/contents/products/category2-9.html)