元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

仕事が始まった時

2018-07-22 | 実生活


今日の垂水区


就職したばかりの自分の若い頃の話をするのは辛い。

その頃の自分の仕事のことをできれば思い出したくないので、あまり考えないようにしているけれど、自分の仕事の成り立ちについて振り返る機会があった時に思い出したことがありました。

自分のこれまでの人生は、本当に幸運によって成り立っていたと改めて思いました。

 

今から思うと無茶だったと思うけれど、就職して2年ほどで結婚しました。

子供にもすぐ恵まれました。

今の自分が聞いたら激怒するけれど、仕事に就くこと自体が諦めのような気持ちでしたので、毎日面白くない気持ちで会社に行っていました。

家に帰るのが楽しみでした。

本屋さんもないような朝霧という小さな駅で、たまに駅前のコンビニで立ち読みをすることが楽しみのひとつという、ささやかというか、何とも言えない生活をしていました。

もちろん仕事に行けば、与えられた仕事を一生懸命こなしていたけれど、それ以上ではなかった。
自分は何をしなければいけないか見えていない、今だとリストラの対象になるような社員でした。

ある時、同い年の気の合うお客様ができました。

その方は万年筆コレクターで、毎週限定万年筆を買いに来られましたが、来られるたびに担当ではない私が応対していました。

齢は同じでしたが、その人は中古車の輸出に目をつけて会社を興して稼いでいて、私の数歩先どころか、全く違う人生を歩まれている人でした。

私が何の商品知識もないので、万年筆のことをいろいろ教えてくれました。

教えてもらって、そのお客様の影響で万年筆を使い始めました。

そして、万年筆は切り口を変えると仕事として成り立つのではないかと思い始めました。

万年筆を手にした時、そして万年筆の仕事のアイデアが浮かんだ時から私の仕事人生が変わったという、ターニングポイントについてふと思い出しました。