元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

丹波路

2016-06-19 | 実生活

書道教室が休みの休日、妻を助手席に乗せて、園部の生身天満宮へ息子の教員採用試験の合格祈願に行き、足を伸ばして美山町に行きました。

美山町のかやぶき屋根の集落を何かの写真で見たことがあって、行ってみたいと思っていました。

地図で見ると非常に遠いように思えましたが、新しいトンネルがいくつもできていて、思ったより早く、川西から1時間半、家から2時間半ほどで着きました。あの山深さなら、兵庫県内の道なら、これの1.5倍くらいはかかったかもしれません。

かやぶき集落は、由良川沿いを走る府道を曲がると突然姿を現し、まるで映画のセットのようでそこにあるのが不思議な感じがしましたが、それだけ現代の建物と違っているということなのだと思います。

離れて見ると、この田舎の中であっても現代の風景から浮いた存在に見えましたが、集落内を歩くと日本人のDNAに書き込まれている情報からか、懐かしい心の中にある原風景に思えます。

集落内を写真を撮りながら歩きました。
それはのんびりした気分になれる、とても楽しい時間で、写真を撮り歩くことが、自分は本当に好きなのだと思います。上手くはならないけれど、レンズやカメラのおかげできれいに撮れたとか、あのレンズがあればもっと良く撮れるのにと言っていられるレベルに居るのが一番楽しい取り組み方なのだと思います。

私だけ写真を撮るのだと何となく、落ち着いて撮れないけれど、妻も自分なりの写真を撮って楽しんでくれているので、気兼ねなく遊んでいられる。

自分の日常から遠く離れたこういった風景の中を車を走らせていると、いつも心がざわつくような、悲しみに近い感情になります。

こういうところで生計を立てて暮らしている人達がいるということに、ここでの暮らしについて思いを馳せたりして、こういう田舎に住む人の我慢強さ、粘り強さのようなものに胸を打たれます。

たまに廃屋があったり、つぶれてしまったレストランが荒れるに任せて放置されているのを見ると、ここで自分の仕事について夢を見て、それが破れてしまった人の想いについて考えます。

はじめはお客さんが来てくれたかもしれないけれど、客足が遠のいていく店の中で店主はどのような気持ちでいたのだろうか。
小さい店にとって景気は関係ないと思っているけれど、不景気はこういう所から蝕んでいくのだと思います。

私はきっと何を見ても、自分の都合で日常と重ね合わせて想像してしまい、自分の肩に乗っている責任の重さをいつも感じているのだと思います。

でも、日常の見慣れた風景の中にいるよりも、日頃全く目にすることのない景色を見て、こういうことを考える時間が私には必要で、この時間があるから自分の仕事についていろいろ考えることができるし、これが私なりのリフレッシュの仕方なのだと分かっています。

ほとんど下道ですが、気持ち良く走ることができる道がずっと続いていて、久し振りにドライブもすることができました。