日本の民衆、安倍政権の右傾化に不安
2014年04月08日13:01
朝日新聞が7日発表した最新の世論調査によると、安倍政権の政治姿勢は東アジア地域の平和と安定を損なうと考える日本人が60%(昨年比9%増)、安倍政権の集団的自衛権行使容認に明確に反対する日本人が63%(同7%増)に上った。安倍政権と自民党の支持層でも、集団的自衛権の行使に反対する声が過半数に上った。日本の民衆の間で、安倍政権に対する懸念と不安が高まっていることをはっきりと示すものだ。
■大多数の有権者「安倍政権の政治姿勢は東アジアの安定にマイナス」
朝日新聞の世論調査によると、憲法第9条の改正に反対する回答者は昨年比12%増加の64%にも達し、支持の29%を大きく上回った。武器輸出の拡大に反対する人も77%から82%に増えた。自衛隊を国防軍にすることに反対する人も62%から68%に増えた。
安倍氏は首相に返り咲いて以来、憲法第9条を改正して戦後平和体制から徹底的に脱却することを企ててきた。日本の少なからぬ民衆から強く反対されると、憲法上の制約を回避するため、憲法解釈の変更という方法で集団的自衛権の行使を容認しようと企てた。
今回の世論調査では、集団的自衛権の行使容認について、男性に大きな変化があった。集団的自衛権の行使を容認すれば戦争に巻き込まれる恐れがあると不安を感じる回答者が88%に上った。20代男性では集団的自衛権を行使できない立場を維持すると答えた人が58%から77%に増え、40代男性と70歳以上の男性も47%から6割近くに増えた。女性は昨年の調査で、集団的自衛権を行使できない立場を維持すべきとの回答が大多数を占めたが、今年はさらに高い割合となった。集団的自衛権の行使容認を積極的に推し進めるべきと考える人は6%に過ぎなかった。これと鮮明なコントラストを成すのは、安倍政権は景気・雇用政策を積極的に推し進めるべきとの回答が73%、社会保障を整備すべきとの回答が62%に達したことだ。
今年の世論調査では、全ての年齢層と性別で、憲法第9条の改正に反対する声が支持する声を上回った。朝日新聞は、こうした変化は大多数の有権者が安倍政権の政治姿勢は東アジアの安定にマイナスと考えていることが原因と分析した。
日本の民衆、安倍政権の右傾化に不安 (2)
■強硬的外交政策は国益に無益と多くの日本人が気づき始めた
早稲田大学の水島朝穂教授は「今回の世論調査は、核兵器保有、自衛隊による海外での武力行使を拒絶する民衆の姿勢を示した。集団的自衛権の行使に反対する民衆の割合が増えている。近隣国との関係の緊張が一段と激化する中、安倍氏は隣国との対立ばかり強調しているため、民衆は武力衝突が生じる可能があることに不安を感じ始めた」と指摘した。
河野洋平元衆院議長の政策秘書を務めた梁田貴之氏は人民日報の取材に「朝日新聞の世論調査を読んだ最大の印象は、安倍政権が中国と韓国に対して挑発的姿勢をとり続けていることに、日本国民が不安を感じているということだ。以前は、日本の多くの民衆は安倍氏の経済政策に大きな期待を寄せていたため、外交政策は余り気にせず、青壮年男性の中には対外強硬姿勢を歓迎する人さえ少なくなかった。だが現在、安倍内閣の経済政策が想像したほど良くないために、多くの人が安倍氏の外交政策について考え直し始めている。多くの日本人はこれが国益にとってメリットがなく、日本経済の発展にもマイナスであることに気づき始めた。今はまだ、大部分の日本人が安倍政権への反対意見を公に表明し始めたとは言えないが、国民意識が右傾化からニュートラルへとゆっくり向かっていることは確かだ」と指摘した。
『週間金曜日』のベテラン編集員、成澤宗男氏は人民日報の取材に「世論調査の結果は、安倍氏の憲法改正推進と軍事国家路線を支持する国民が少数に過ぎないことを証明した。安倍氏は日本の首相に返り咲いた後、一貫して大手雑誌、新聞、および右翼雑誌を通じて隣国に対する中傷に全力を挙げ、日本の民衆の隣国に対する敵対感情を煽ってきた。それでも、こうした世論調査の結果が出た」と指摘した。
福井県立大学名誉教授の凌星光氏は人民日報の取材に「日本右翼勢力は中国がやむなく反撃措置を講じたことにかこつけて、『中国の脅威』を公然と誇張するとともに、一連の右傾化政策を推し進めた。こうした欺瞞的宣伝は一時的に日本の民衆を惑わし、平和憲法改正の声が一度は高まった。だがペテンが長い間思い通りにいくことは困難だ。日本の有識者が声を上げ始め、理性的な声が高まり、日本世論も転換し始めた」と指摘した。
日本の民衆、安倍政権の右傾化に不安 (3)
「村山談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長は人民日報の取材に「日本の他の大手紙による最近の世論調査も朝日新聞の調査と同様の傾向を示している。安倍氏は平和憲法の改正と集団的自衛権の行使容認を執拗に進めているが、これが日本国民の望んでいることでは決してないことが世論調査の結果によってはっきりと示された。安倍政権が戦争の道を歩もうとするのは明らかに民意に背いており、直ちに止めるべきだ」と述べた。
■専門家の論評
――廉徳瑰・上海国際問題研究院アジア太平洋研究センター副センター長
安倍氏の右傾政策は多くの民衆の支持を失った。憲法改正、集団的自衛権の行使容認、新たな武器輸出三原則の制定といった主張や措置は、いずれも安倍内閣右傾化の具体的表れだ。だが最新の世論調査は、6割以上の日本の民衆がこうした安倍氏の強硬政策を支持していないことをはっきりと示しており、日本の右傾化が民意に支えられていないことが証明された。
実は安倍氏はこうした民意以外にも抵抗に直面している。自民党の議席は衆議院では480議席中293議席で、3分の2に達しない。参議院でも242議席中114議席で、半数にいたらず、法案を単独で可決することができない。連立政権内では、公明党は安倍氏の右傾政策に基本的に反対だ。自民党内では、安倍氏の所属する町村派はタカ派だが80人余りに過ぎず、多数を占めない。最近は党内でも安倍氏について、党の上に立っており、「政高党低」だと批判する声が上がっている。こうした批判は自民党内の護憲派の憲法改正派に対する不満の表れであり、安倍氏の右傾化に対する牽制となっている。
民意、国会、連立政権、自民党内のいずれから見ても、安倍氏は決して日本の大多数の意見を代表していない。安倍氏の政治的基盤は少数の右翼政治屋と右翼学者であり、安倍氏は平和主義を放棄し、戦後体制から脱却することを主張する代理人となっている。このように民意を無視し、多数の反対を顧みず、歴史の潮流に逆らって動けば、安倍集団には歴史と現実に捨て去られるという末路しかない。安倍氏は瀬戸際で踏みとどまり、民主と平和という正しい道に戻って初めて、平和的発展という大きな潮流の中で孤立を避けることができる。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年4月8日