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韓米首脳会談でバイデン大統領が「南北の対話と関与、協力に対する支持」を明らかにしたことを進展させたもので、北朝鮮に向け対話への復帰を説得する“シグナル”だと分析できる。

2021-06-24 | 「北朝鮮問題」の解決のために

[社説]

「韓米作業部会」終了、南北・朝米の好循環の枠組みを作るべき

登録:2021-06-23 05:38 修正:2021-06-23 06:33
 
 
21日、外交部のノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長(右側)と米国のソン・キム北朝鮮政策特別代表が、北朝鮮核問題首席代表協議に先立ち取材陣の前に立っている/聯合ニュース

 対北朝鮮政策を調整する目的で発足したのにもかかわらず南北関係の改善の“障害物”に変質したという批判を受け入れ、「韓米作業部会(ワーキンググループ)」が廃止される。外交部のノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長と米国のソン・キム北朝鮮政策特別代表が21日、「北朝鮮核問題首席代表協議」で韓米作業部会を終了する方向で検討することに合意したのだ。

 韓米作業部会は2018年11月、朝鮮半島の完全な非核化、恒久的平和、対北朝鮮制裁の履行などについて、両国のコミュニケーションと協力を強化するために作られた。対北朝鮮制裁問題を米国の多くの関連省庁と個々に論議する必要なしに、一つの協議体で円滑に扱うという名目だったが、実際には、米国が国連制裁を名目に南北関係を困難に陥らせる副作用が生じた。金剛山(クムガンサン)で開かれた南北のイベントに同行した取材陣のノートパソコンの搬出を拒み、インフルエンザ治療薬のタミフルの北朝鮮への支援事業を取り消させ、開城(ケソン)工業団地の企業家らによる資産点検のための訪朝を妨げたなどが代表的な事例だ。米国が過剰な規則を突きつけ南北関係を統制しているという批判が、韓国国内で広がっただけでなく、北朝鮮の激しい反発も呼んだ。朝鮮労働党のキム・ヨジョン中央委員会副部長は「親米事大の罠」だと非難したりした。

 そのような点から、韓米が作業部会を廃止し新たな対話の枠組みを作ることにしたのは、望ましい決定だ。先月の韓米首脳会談でバイデン大統領が「南北の対話と関与、協力に対する支持」を明らかにしたことを進展させたもので、北朝鮮に向け対話への復帰を説得する“シグナル”だと分析できる。

 現在、北朝鮮と米国は、対話再開をめぐり熾烈な神経戦を繰り広げている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が17日、「対話にも対決にも共に備えなければならない」と主張すると、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「興味深いシグナル」だと述べた。しかし、キム・ヨジョン副部長は22日「夢より夢占い(現実を勝手に解釈するという意味のことわざ)」だとし、「自分の誤解で持った期待は、自分たちをさらに大きな失望に陥れることなるだろう」という談話を出した。朝米が互いに相手に「先に動け」と網引きをしている状態だ。

 このような重要な局面では、韓米が、南北関係と朝米関係が好循環できる新たな枠組みを用意し、北朝鮮を対話に導ける様々なアイデアを出し協力することが必要だ。イ・イニョン統一部長官がこの日、ソン・キム特別代表に会い、離散家族の再会とそのための金剛山訪問を韓米が共同で推進しようと提案したことも、前向きに検討できるはずだ。韓米が非核化と平和に向け、北朝鮮との対話を再開するために独創的な調整をしなければならない時だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

米国務省は報道資料で、キム代表がソウルで外交部のノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長との3者会議に臨むと発表した。

2021-06-19 | 「北朝鮮問題」の解決のために
 

ソン・キム北朝鮮政策特別代表、19日訪韓…

韓米日の北朝鮮核問題首席代表協議

登録:2021-06-19 03:32 修正:2021-06-19 06:32
 
米国の対北朝鮮政策の検討結果についての協議も
 
 
米国務省のソン・キム北朝鮮政策特別代表が5月21日午後(現地時間)、ホワイトハウスの韓米首脳共同記者会見の会場でSKのチェ・テウォン会長と言葉を交わしている/聯合ニュース

 米国務省は17日、ソン・キム北朝鮮政策特別代表が今月19~23日に韓国を訪問することを明らかにした。

 米国務省は報道資料で、キム代表がソウルで外交部のノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長との3者会議に臨むと発表した。3カ国の北朝鮮核問題の首席代表による協議だ。国務省によると、キム代表はまた、韓国のその他の高官や学界・市民団体の関係者と会い、米国の対北朝鮮政策の検討結果について話し合う。国務省北朝鮮政策特別副代表のジョン・パク東アジア太平洋担当副次官補とホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のメンバーがキム代表の訪韓に同行する。

 国務省は「キム代表のソウル訪問は、朝鮮半島の完全な非核化に向けた努力、我々の共同の安保・繁栄の保護、共通の価値の維持、規則基盤の秩序強化のための韓米日3カ国協力の根本的重要性を強調する」と説明した。

 今回はキム代表の就任後初の訪韓で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が韓国時間17日の党全員会議で「対話と対決のいずれに対しても準備ができていなければならない」と述べた後に行われるもの。

 米国は4月末、「朝鮮半島の完全な非核化を目標とする、調整された実用的な外交的アプローチ」という対北朝鮮政策の骨子を公開した。続いて韓米は先月21日の首脳会談後の共同声明で、2018年の板門店宣言やシンガポール共同声明などの既存の約束にもとづいて朝鮮半島の非核化を実現することを発表し、米国のジョー・バイデン大統領は南北の対話、関与、協力に対する支持を表明している。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国では北朝鮮を「反国家団体」とみなす国家保安法存置論の核心的根拠として引用されてきた事情を考えると、韓国社会の国家保安法存廃論争にも重大な影響を及ぼしうる状況変化でもある。

2021-06-01 | 「北朝鮮問題」の解決のために

【独自】北朝鮮、「南朝鮮革命統一論」を削除…

韓国の保安法存廃論争にも新たな局面

登録:2021-06-01 08:57 修正:2021-06-01 10:02

 

憲法と同等の労働党規約で 
「民族解放民主主義革命」の文言を削除し 
「全国的な範囲で自主・民主的発展」に代替 
 
南北格差で体制維持に追い込まれた北 
現実とイデオロギーの乖離を解消する観点から 
統一より「南北共存」の方向へと転換 
韓国社会の国家保安法論争に影響を与えるか
 
 
北朝鮮は今年1月14日夕方、平壌の金日成広場で労働党第8回大会を記念する軍事パレードを行ったと、朝鮮中央通信が同月15日に報じた。軍事パレードに出席した金正恩総書記が黒い帽子をかぶり満足げな笑みを浮かべている/聯合ニュース

 北朝鮮が韓国を「革命対象」と明示した朝鮮労働党規約の「北主導革命統一論」関連の文言を、今年1月の党大会で削除していたことが明らかになった。

 本紙が5月31日に朝鮮労働党の新しい規約の序文を確認したところ、「朝鮮労働党の当面の目的」として提示していた「全国的な範囲で民族解放民主主義革命の課業を遂行」という文言が削除されていた。朝鮮労働党の新しい規約は、今年開かれた「第8回党大会」5日目の1月9日に修正・採択された内容だ。

 これは、金日成主席が1945年12月17日に「民主基地論」(北は南朝鮮革命と朝鮮半島共産化の前進基地という理論)を提唱して以来、80年近く維持してきた「北主導革命統一論」の事実上の廃棄であり、南北関係の認識の枠組みが根本的に変化したことを意味する。また、労働党規約の「北主導革命統一論」の文言が、韓国では北朝鮮を「反国家団体」とみなす国家保安法存置論の核心的根拠として引用されてきた事情を考えると、韓国社会の国家保安法存廃論争にも重大な影響を及ぼしうる状況変化でもある。

 北朝鮮は新しい党規約を採択し、「朝鮮労働党の当面の目的」を「全国的な範囲で民族解放民主主義革命の課業を遂行」から「全国的な範囲で社会の自主的かつ民主的な発展の実現」に変えただけでなく、「北主導革命統一論」を意味する既存の規約の多くを削除・代替・調整した。

 既存の労働党規約の序文の「朝鮮労働党は、社会の民主化と生存の権利のための南朝鮮人民の闘争を積極的に支持・応援」するという文言がなくなり、「民族の共同繁栄を成し遂げる」という内容が新たに盛り込まれた。労働党規約の本文の「党員の義務」(4条)で「祖国統一を早めるために積極的に闘争しなければならない」という文言は、代替表現なしに削除された。

 労働党規約は、韓国の憲法と同様、絶対的な権威を持つ最上位の規範だ。党が国家を作った「党・国家体制」と自らを認識してきた北朝鮮は、憲法第11条で「朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮労働党の指導の下ですべての活動を進める」と規定し、労働党規約には「人民政権(政府機関)は党と人民大衆を結びつける最も包括的な引伝帯(動力を伝えるベルトの意)」とし、「人民政権が党の指導の下で活動する」と明示している。

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記を首班とする朝鮮労働党が「北主導革命統一論」を事実上廃棄した措置の意味は、大きく三つに分けることができる。

 第一に、1990年代初めの「非対称脱冷戦」(韓中・韓ソ国交正常化、朝米・朝日敵視持続)以降、時間が経つにつれて広がる南と北の国力の差により「北主導統一」どころか「体制生存」の模索に集中するしかない状況を念頭に置いた「現実」と「統治イデオロギー」の格差を解消する措置だ。これまでも、北朝鮮は「金正恩後継構図」を初めて公式化した第3次労働党代表者会(2010年9月28日)で、以前の党規約の「南朝鮮で植民地統治清算」という文言を削除し、「民族解放人民民主主義革命」から「人民」を削除し、「南朝鮮革命論」の急進性を緩和するなど、現実とイデオロギーの格差を慎重に狭めてきた。

 特にこのような動きは、金正恩労働党総書記兼国務委員長が2012年の政権獲得後から模索し続けてきた「二つの朝鮮」(Two Korea)志向という朝鮮半島の未来像を、労働党規約という最上位規範に公式に反映し始めたことを意味する。これまで、金正恩総書記は南北間の標準時刻に30分の時差をつける「平壌時間」(2015年8月15日~2018年5月4日)制定による「時空間の分断」の試みや、金日成・金正日の「永遠の両首領」という「民族」言説を「国家」言説に置き換えた「わが国家第一主義時代」の宣言などで、「統一」よりも「国家アイデンティティ」の強化に集中してきた。

 第二に、1991年の南北の国連同時・分離加盟と南北基本合意書の採択、5回の首脳会談などの現実を反映した「共存」への方向転換だ。第一の理由と相接するこのような方向転換は、北朝鮮が今後「統一」よりも「共存」を模索する方向へと対南政策の重心を移す傾向を強化するという展望を生んでいる。

 第三に、北側の労働党規約の「革命統一論」の廃棄が、韓国社会の国家保安法存廃論争に「変化要因」として作用する可能性だ。2000年6月、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は金大中(キム・デジュン)大統領との初の南北首脳会談の際、「国家保安法は一体どうして廃棄しないのですか。我々も南側が提起する昔の党規約と綱領を新しい党大会で改正したいと思います。こうしてお互い一つずつ新しいものに変えていかなければなりません」と述べた。さらに、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金正日国防委員長は2007年10月の首脳会談で「南と北は南北関係を相互尊重と信頼関係によって確固たるものに転換させ… 統一志向的に発展させていくために、それぞれ法律的・制度的装置を整備していくことにした」(「10・4首脳宣言」2条)と約束した。これは相手を認めず敵対視する代表的な法と制度である労働党規約と国家保安法の改善・廃棄を念頭に置いた合意だ。

 一方、北朝鮮は「在韓米軍撤退」の主張に関する労働党規約の文言は今回も削除しなかった。「南朝鮮から米帝の侵略武力を追い出して」という既存の文句を「南朝鮮から米帝の侵略武力を撤去させて」に置き換えた。また、「あらゆる外国勢力の支配と干渉を終わらせ、日本軍国主義の再侵略策動をつぶし」という既存の文言を「南朝鮮に対する米国の政治・軍事的支配を終局的に清算し、あらゆる外国勢力の干渉を徹底的に排撃し」に変えた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓米、韓米日、韓日の外相会談を主軸に、ドイツや欧州連合(EU)、カナダなどの外相との会談でも朝鮮半島情勢を主な議題として取り上げたという。

2021-05-08 | 「北朝鮮問題」の解決のために

G7閣僚会合に出席したチョン韓国外相

「朝鮮半島平和プロセスへの支持・協力を」

登録:2021-05-07 05:24 修正:2021-05-07 07:58
 
英国ロンドンでのG7外相・開発閣僚会合で
 
英国のロンドンで4~5日に開かれた主要7カ国(G7)外相・開発閣僚会合に出席したチョン・ウィヨン外交部長官(左端)と各国外相が記念撮影を行っている=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 チョン・ウィヨン外交長官が主要7カ国(G7)外交・開発閣僚会合で、米国の新たな北朝鮮政策の樹立で分岐点を迎えた朝鮮半島平和プロセスに対する支持と協力を重ねて要請した。

 チョン長官は4~5日(現地時間)に英ロンドンで開かれた今回の会合で「朝鮮半島の非核化に向けた朝鮮半島平和プロセス」が「インド太平洋地域の平和と繁栄の重要な事案」だとし、G7の支持と協力を要請したと外交部が6日、明らかにした。米国のジョー・バイデン政権が北朝鮮政策の見直しを完了し、韓国と日本だけでなく主要7カ国にも検討結果を説明する機会に、韓国政府は立ち止まった朝鮮半島平和プロセスの再稼動の重要性を喚起したわけだ。韓米、韓米日、韓日の外相会談を主軸に、ドイツや欧州連合(EU)、カナダなどの外相との会談でも朝鮮半島情勢を主な議題として取り上げたという。

 G7レベルでも、イランと北朝鮮問題に関し歓迎晩餐会(3日)を開くなど、北朝鮮及び北朝鮮の核問題が再び国際舞台で主要に扱われたが、北朝鮮がそれに応えるかどうかがカギとなる見込みだ。一部では、北朝鮮が主要メディアを通じて今月2日に発表した対韓国・対米談話や、公開された米国の新たな北朝鮮政策に明確な誘引策がないという点などを根拠に、「北朝鮮が応じる可能性は高くない」という見通しを示しているが、韓国政府側はもう少し見守る構えだ。朝鮮半島問題に詳しい政府消息筋は「米国側がシンガポール宣言に基づき調整された実用的アプローチなど外交的関与に重点を置いていると明らかにしており、米国が直接北朝鮮側に新政策を説明する計画だというのだから、北朝鮮側も一応は聞いてみようと思うのではないか」と慎重に予想した。統一部当局者も同日、記者団に対し「北朝鮮の態度は予断せず見守る必要がある」と述べた。

 外交部はまたチョン長官が「インド太平洋地域における海洋環境保護のための協調の必要性を強調した」と伝えた。“日本”及び“福島”を直接取り上げたわけではないが、日本政府の福島原発汚染水の海洋放出決定に関する言及とみられる。

 招待国も出席する5日のG7拡大会議の主要議題が、インド太平洋地域政策の共有・協力▽開かれた社会の間での価値(民主主義)の共有・協力▽新型コロナワクチンに関する国際協力▽気候変動・女児教育・開発途上国支援などだったため、チョン長官も韓国のインド太平洋地域協力政策である「新南方政策プラス」のビジョンと成果を説明し、気候変動および保健などの懸案に対する韓国政府の意志を伝えたという。

 チョン長官はこれと共に、新型コロナに関する韓国政府の防疫経験を共有し、ワクチンへの公平な接近の保障に向けた国際社会の協力が切に求められるかを強調する一方、G7がリーダーシップを発揮することを求めたと、外交部は伝えた。

 G7は1976年に創設された協議体で、米国、英国、ドイツ、フランス、日本、イタリア、カナダ及び欧州連合(EU)が参加している。今回の会議には、韓国、オーストラリア、インド、南アフリカ共和国の4カ国が招待国として、ブルネイがASEAN議長国として出席した。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

 マレーシアと北朝鮮は1973年6月に国交を樹立し、ビザ免除協定を結ぶなど、比較的親密な関係にあったが、クアラルンプール空港で起きた「金正男暗殺事件」以降、両国の大使を互いに追放した。

2021-03-24 | 「北朝鮮問題」の解決のために
 

北朝鮮「我が公民を米国に引き渡した」…

マレーシアとの国交断絶を宣言

登録:2021-03-20 06:28 修正:2021-03-20 07:00
 
2017年2月、金正男襲撃当時のクアラルンプール空港の監視カメラ(CCTV)映像=YouTubeの動画よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が19日、マレーシア当局が北朝鮮住民を米国に引き渡したとして、外交関係の断絶を宣言し、マレーシアもクアラルンプール駐在の北朝鮮大使館職員の退去命令など、国交断絶措置を取った。

 北朝鮮外務省は19日、「朝鮮中央通信」を通じて声明を発表し、「17日、マレーシア当局は罪のない我が公民を“犯罪者”扱いし、米国に強圧的に引き渡す到底容認できない犯罪行為を犯した」とし、「特大型の敵対行為に踏み切ったマレーシアとの外交関係を断絶することを宣言する」と表明した。

 北朝鮮外務省は米国に引き渡された北朝鮮住民が誰なのか明らかにしなかったが、最近マレーシアが米国に引き渡した北朝鮮住民ムン・チョルミョン氏(56)と見られる。米連邦捜査局(FBI)は、ムン氏が高級酒や時計などの嗜好品を北朝鮮に送るなど北朝鮮制裁に違反し、マネーロンダリングを行ったとして、2019年5月にマレーシアに身柄引き渡しを要請した。

 ムン氏は容疑を否認したが、マレーシア裁判所は同年12月に引き渡しを承認しており、マレーシア最高裁も今月初め、ムン氏の上告を棄却した。

 北朝鮮外務省は「問題になっている我が公民は、長年シンガポールで合法的な対外貿易活動に従事してきたものであり、何らかの違法なマネーロンダリングに関与したというのは、全くのでたらめであり、完全な謀略だ」と主張した。さらに「今回の事件は我が共和国を孤立させ、圧殺しようとする米国の極悪非道な敵視策動と、マレーシア当局の親米屈従がもたらした反共和国陰謀結託の直接的産物」だとし、「マレーシア当局は我が国の最大の主敵である米国に勝手に媚びを売るために、罪のない我が公民を被告人席に座らせただけでは足りず、結局米国に引き渡すことで自主権尊重に基づいた両国関係の基礎を完全に壊した」と非難した。

 北朝鮮外務省は「今後、双方の間にもたらされるすべての結果に対する責任はマレーシア当局が全面的に負うことになる」とし、「今回の事件の黒幕であり、主犯である米国も当然の代償を払うことになるだろう」と警告した。

 マレーシア政府は同日午後、声明を発表し、深い遺憾を表明すると共に、クアラルンプール駐在北朝鮮大使館職員らに48時間以内の退去を命じた。さらに、2017年2月に金正恩(キム・ジョンウン)総書記の腹違いの兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が暗殺以来、事実上閉鎖されていた駐平壌マレーシア大使館の撤退も公式発表した。

 マレーシアと北朝鮮は1973年6月に国交を樹立し、ビザ免除協定を結ぶなど、比較的親密な関係にあったが、クアラルンプール空港で起きた「金正男暗殺事件」以降、両国の大使を互いに追放した。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

国会の国家情報委員会の与野党幹事によると、国情院は北朝鮮当局が人民軍兵士の服務期間を男性は従来の8~9年から7年に、女性は6~7年から5年に減らしたことが分かったという。

2021-02-17 | 「北朝鮮問題」の解決のために
国家情報院「北朝鮮、
コロナワクチンと治療薬技術の奪取のためハッキング試みた」

登録:2021-02-17 08:17 修正:2021-02-17 09:51


北朝鮮、人民軍の服務期間を短縮…労働力として経済現場に投入

      

パク・ジウォン国家情報院長が今月16日、国会で開かれた情報委員会全体会議に出席している/聯合ニュース

 国家情報院(国情院)のパク・ジウォン院長は16日、国会情報委員会への報告で、朝鮮人民軍兵士の服務期間が最大2年減っており、「新しい国家経済発展5カ年計画」履行に若い労働力の投入を拡大しようという措置と見られると明らかにした。国会の国家情報委員会の与野党幹事によると、国情院は北朝鮮当局が人民軍兵士の服務期間を男性は従来の8~9年から7年に、女性は6~7年から5年に減らしたことが分かったという。

 北朝鮮の人民軍服務期間の短縮は、先月5~12日に開かれた労働党第8回大会で、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記が明らかにした「軍精鋭化」指針による後続措置で、国情院は「軍を除隊した人材を経済現場に(早期に)投入し、(党第8回大会で採択した)国家経済発展5カ年計画の(円満な)履行を保障するため」と分析したと、情報委与野党幹事のキム・ビョンギ議員と「国民の力」のハ・テギョン議員がメディアブリーフィングで説明した。

 北朝鮮が人民軍兵士の服務期間を最大2年短縮したのは、軍規模の縮小につながる事実上の兵力削減措置だ。「社会主義経済建設への総力集中」戦略路線と「経済を基本戦線とした自力更生式の正面突破戦」と関連した金正恩総書記の政策に対する意志の強さの現れと言える。党大会から1カ月で4日にわたる党中央委全員会議の開催も、「5カ年経済計画の実質的成果に向けた金正恩総書記の意志が反映されたもの」だと、国情院は分析した。

 国情院はまた、金総書記が最近「米国について恣意的な言及をしないよう」繰り返し指示したと報告した。今月8~11日、党中央委全員会議でリ・ソングォン外務相が党中央委政治局委員に任命されたのは、「対外業務に力を与えるための措置」であり、7カ月間にわたり公の場に姿を現していないチェ・ソンヒ外務省第1次官は「地位を維持しながら対米業務を続けている」と報告した。キム・ヨジョン党中央委副部長は党組織における地位の下落にもかかわらず、「実質的地位と役割に全く変化はない」と分析した。金総書記が中国通のキム・ソンナム氏を党国際部長に任命したのに続き、通商次官級人物を派遣してきた駐中国大使に通商専門家のイ・ヨンナム元副首相を内定するなど、「中国中心の行動を続けている」と国情院が報告したと、キム議員が伝えた。

 また国情院は、北朝鮮の昨年の穀物生産量は「440万トンで、今年の需要量550万トンよりも100万トン不足すると予想される。(中国との)国境地域には食糧不足が起きている」という事実も報告した。また、北朝鮮当局が「非社会主義風潮の清算」と関連して昨年「反動思想・文化排撃法」を制定し、「南(韓国)側の映像物流入・流布は死刑、視聴は懲役5年から15年に処罰を強化した」と報告した。北朝鮮はまた、新型コロナワクチンと治療薬の技術を奪取しようとするハッキングを試みた事実を国情院が把握したと、ハ議員は説明した。ハ議員はまた、北朝鮮のサイバー攻撃に関し、「1日平均攻撃が対前年比32%増加しており、地方自治体の行政ネットワークへの侵入を狙ったものや先端技術と金銭奪取目的のハッキングもあった」と伝えた。キム議員もサイバー攻撃の中には「(北朝鮮が)韓国の主要人物約100人にフィッシングメールを送った例もあった」と説明した。
イ・ジェフン、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

米国で朝鮮半島平和キャンペーンを繰り広げている韓国人たちが4日(現地時間)、新たに発足した米連邦議会に対北朝鮮ビラ禁止法(改正南北関係発展法)の支持を求めた。

2021-01-07 | 「北朝鮮問題」の解決のために
在米韓国人平和活動家ら、米議員らに公開書簡で対北朝鮮ビラ禁止法への支持を要請
登録:2021-01-06 06:23 修正:2021-01-06 06:57


4日、連邦議会前で記者会見を開き 
「表現の自由の侵害ではなく 
人権改善の効果もない」 
議員全員に支持要請の書簡を発送

      

ニューヨークウリ教会のチョ・ウォンテ牧師(左端)ら「4・27民+平和に向けて手を携える米州委員会」の活動家たちが4日(現地時間)、ワシントン連邦議会前で記者会見を開き、米議員たちに対北朝鮮ビラ禁止法への支持を訴えた=米州委員会提供//ハンギョレ新聞社

 米国で朝鮮半島平和キャンペーンを繰り広げている韓国人たちが4日(現地時間)、新たに発足した米連邦議会に対北朝鮮ビラ禁止法(改正南北関係発展法)の支持を求めた。

 「4・27民+平和に向けて手を携える米州委員会」は同日、ワシントン連邦議会前で記者会見を開き、こうした内容の書簡を上・下院議員たちに送ると発表した。

 彼らは公開書簡で「米連邦議員たちが韓国の実際の状況に対する(十分な)理解もなく、表現の自由を掲げて対北朝鮮ビラ禁止法の成立を非難する声明を発表し、議会の『トム・ラントス人権委員会』はこれと関連した聴聞会を開催する方針だと発表した」とし、「我々は同法に対する深刻な誤解を正したい」と述べた。

 彼らは「対北朝鮮ビラ禁止法は決して表現の自由を侵害するものではなく、対北朝鮮ビラ散布が北朝鮮の人権を改善するといういかなる証拠もない」と強調した。北朝鮮に向けたビラの散布は、北朝鮮の武力使用を正当化する火種となり、250万人の接境地域住民の命と人権を脅かすと主張した。

 彼らは「国連の『市民的及び政治的権利に関する国際規約』は表現の自由が国家安保や公共秩序などのために必要な場合、制限され得ると規定している」としたうえで、「国境地域住民の生命と安全を害する行動は表現の自由ではなく、規制されるべき行為」だと明らかにした。シェンク対合衆国事件判決(1919年)など、米連邦最高裁判所の判例が現存する危険を引き起こす表現の自由を制限すべきと判断していることも付け加えた。

 彼らはビラ散布による北朝鮮の人権改善効果についても「むしろ北朝鮮当局の社会統制強化により、北朝鮮に残っている脱北者家族を危険にさらし、住民の人権を悪化させる逆効果をもたらすだけ」だとし、「多くの脱北者が、わいせつな表現と侮辱を盛り込んだビラ情報伝達の効果は大きくないため、北朝鮮住民に知る権利を保障するものではないと証言している」と主張した。さらに「我々は南北間の対話交流と国際社会との接触の拡大などが実質的な人権改善により効果的であると確信している」と強調した。

 彼らはまた「対北朝鮮ビラ禁止法は最近偶発的に出たのではなく、南北の緊張を克服するため、韓国国会で2008年から14件の関連法案が発議され、論議されており、ようやく今期国会で成立した」と説明した。

 彼らは米議員たちに「対北朝鮮ビラ禁止法を支持することで朝鮮半島平和プロセスに積極的に参加してほしい」と要請した。南北間の旅行や離散家族の再会、救護活動など、人道主義的平和を支援することや、南北が休戦協定を終わらせ、平和協定を結べるように協力することも訴えた。

 同書簡には現在、約1400人の在米韓国人が賛同した。彼らは書簡を連邦議員全員に郵便と電子メールで送る計画だ。同日記者会見に臨んだチョ・ウォンテ牧師は「特に対北朝鮮ビラ禁止法に関する聴聞会を開くと発表したトム・ラントス人権委員会所属下院議員57人を集中的に説得する」とし、「誤解から始まった聴聞会が開かれないようにすることが重要だ」と話した。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

この日の見学を皮切りに、6日からは一般市民が参加する見学日程が再開される。板門店での見学は、昨年中止される前までは「1日4回、1回80人」規模で行われたが・・・、

2020-11-05 | 「北朝鮮問題」の解決のために
板門店見学が再開…韓国統一部長官
「3つの小さな一歩」を北朝鮮に公式提案

登録:2020-11-05 06:24 修正:2020-11-05 08:36


板門店見学、14カ月ぶりに再開 
6日から一般市民の参加が可能に 
イ長官「3つの小さな一歩」提案 
1.南北連絡窓口の復元 
2.板門店での離散家族再会 
3.板門店内の自由往来

      

イ・イニョン統一部長官が今月4日午前、京畿道坡州市の板門店見学支援センターで開かれた開所式で、記念演説を行っている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社 社

 板門店の見学が再開された。イ・イニョン統一部長官は4日、「愛する北の同胞の皆さん、南と北がもう一度新しい平和の時間を設計していきましょう」と呼び掛けた。

 イ長官は同日午前、板門店見学の再開に合わせて行われた板門店見学支援センター開所式での演説で、「ここ板門店で平和に向けた『3つの小さな一歩』を踏み出そうと提案すると共に、冷え込んだ南北関係の突破口が見出されることを願う」と述べた。イ長官は、南北連絡窓口の復元▽板門店内の南北の自由往来▽板門店での離散家族再会の「3つの小さな一歩」を北側に公式提案した。

 イ長官は板門店が「376回の南北会談が開かれ、9・19軍事合意が守られている合意履行の現場」だとし、「板門店はこの瞬間にも我々にとって“小さな平和”の始まりであり、“大きな平和”を熱望する希望の根拠になっている」と指摘した。

 板門店見学は昨年10月、坡州(パジュ)など境界地域のアフリカ豚コレラ(ASF)の拡散で中止された後、今年初めの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行で再開されなかった。この日の見学を皮切りに、6日からは一般市民が参加する見学日程が再開される。板門店での見学は、昨年中止される前までは「1日4回、1回80人」規模で行われたが、COVID-19のため、当面「1日2回、1回40人」に縮小される。

      

今月4日午前、京畿道坡州市の板門店を訪問した見学団が徒歩橋を見渡している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞

 統一部は1年余りの中止期間に板門店見学の接近性と便宜性を高める改善作業を行った。まず、これまで30~40人の団体のみ可能だった申し込み単位を、個人または家族(最大5人)に広げた。次に、申し込みから実際の見学にかかる期間も以前は最大60日かかったが、14日(2週間)へと大幅に短縮した。三つ目に、見学申し込み窓口を「統一部板門店見学支援センター」(www.panmuntour.go.kr)に一元化し、オンラインでも利用しやすくした。統一部、国防部、国家情報院に分かれていた板門店見学担当部処を統一部に一本化したことによる改善だ。四つ目に、見学可能年齢も以前の「10歳以上」から「8歳以上」に広げた。小学校1年生から見学が可能になったわけだ。

 板門店見学は臨津閣(イムジンガク)板門店見学案内所と板門店共同警備区域(JSA)警備大隊を経て、板門店区域内を観覧する方式で行われる。板門店では文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が向かい合って話を交わした「徒歩橋」や南北米の首脳が史上初めて会った板門店「自由の家」を見学し、写真撮影を行うことができる。
イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

チョ・ソンギル氏の韓国入国が事実として公式に確認されても、南北関係に否定的な影響を及ぼす重要変数としては作用しないだろう」と述べた。

2020-10-08 | 「北朝鮮問題」の解決のために
[ニュース分析]元駐イタリア北朝鮮大使代理の韓国入国、
南北関係への影響は限定的

登録:2020-10-08 06:07 修正:2020-10-08 07:45


北朝鮮のチョ・ソンギル氏、昨年韓国入国 
元駐イタリア北朝鮮大使代理の任務 
テ・ヨンホ元駐英公使より職級が低い「一等書記官」 
2年前に行方不明…昨年7月に入国 
北朝鮮に娘が送還…公開の動きを一切せず

         

チョ・ソンギル駐イタリア北朝鮮大使代理(中央)が2018年3月20日(現地時間)、イタリアのサン・ピエトロ・ディ・フェレットで開かれた文化イベントで「ロベレトの平和の鐘」を持っている=サン・ピエトロ・ディ・フェレット/AP・聯合ニュース

 2018年11月から行方不明だった北朝鮮のチョ・ソンギル元駐イタリア“大使代理”が、昨年7月に韓国に入国した事実が遅れて確認された。国会情報委員会の委員長である共に民主党のチョン・ヘチョル議員は7日、「チョ元大使代理が昨年7月、韓国に自発的に来た」と明らかにした。これに先立ち、国会情報委員会の幹事である野党「国民の力」のハ・テギョン議員も6日夜、「チョ・ソンギル元大使代理は昨年7月に韓国に入国し、当局が保護していることが分かった」と明らかにした。高位外交官の入国の事実が公開されたが、チョ元代理大使の経歴と情勢を考慮する場合、彼の韓国入国が南北関係に波紋を起こすことについては限定的だという見通しが出ている。

 政府はチョ元代理大使の韓国入国について、公式・非公式を問わず何の確認もしないでいる。特定の脱北民の韓国居住の有無を公開・公式には確認しない“原則”の延長線だ。カン・ギョンファ外交部長官はこの日、国会で開かれた外交統一委員会の外交部国政監査で「外交部が果たす役割は十分に務めたが、詳細の内容は返答できない」とし、「外交部が公開して確認する事案ではない」とだけ明らかにした。

 チョ元代理大使は帰任を控えた2018年11月10日、イタリア大使館を抜け出し、夫人と共に姿を消した後、これまで行方が分からなかった。チョ元代理大使の職級は「一等書記官」だが、2017年9月の北朝鮮の6回目の核実験の後、イタリア政府が国連制裁を理由に当時のムン・ジョンナム大使を追放すると、「大使代理」の役割を務めていた。イタリア外務省は昨年2月、チョ元代理大使の娘が北朝鮮に送還されたと明らかにした。

 多くのメディアは「チョ元代理大使の韓国入国」を受け、「ファン・ジャンヨプ氏以後で最高位級の亡命」だとか「南北関係に大きな波紋を起こす大型事件」だと報道したが、事実関係を確かめてみる必要がある。チョ元代理大使は「一等書記官」で、駐英大使館の公使を務め韓国に来た国民の力のテ・ヨンホ議員より職級が低い。「大使代理」は職級ではなく“臨時任務”だ。北朝鮮の外交に詳しい消息筋は「北では大使が空席の場合、その下位の職級者に『臨時代理大使』の任務を臨時に付与する」と伝えた。北朝鮮大使館の職制は原則的に「大使‐公使‐参事‐書記官」などの順で構成されているが「予算不足のために公使と参事が抜け「大使‐書記官」など3~4人の外交官のみで運営される場合が珍しくない」と別の消息筋が伝えた。消息筋は「チョ・ソンギル氏は高位級ではない実務外交官」だとしながら「あえて他の脱北民との違いを探そうとするならば、韓国に来た事例が多くない『北朝鮮外務省所属の正式な外交官』だという事実」だとした。

 チョ元代理大使の入国の事実が南北関係に重大な変数になるだろうという見通しについても、不適切だという指摘が出ている。テ・ヨンホ議員の先例に比べると、当事者と政府の経歴の相違点が明確だからだ。

 テ議員の韓国入国の事実は2016年8月17日、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権の統一部が報道官の公式記者会見を通じて「今まで脱北した北朝鮮外交官の中で最高位級」だとし、メディアに大々的に宣伝した。テ議員も公の場で北朝鮮を批判するなど活発に活動してきた。

 一方、チョ元代理大使は、2019年7月に入国してから15カ月目で、当事者や政府は全員口を固く閉ざしている。 チョ元代理大使は国内の脱北民コミュニティーにも全く姿を見せなかったという。彼の“徹底的な隠居”には、北に送還された幼い娘を含む北朝鮮在住の家族が可能な限り“不利益”をより受けないようにする配慮が作用したようだ。

 「吸収統一の排除」を公言し、2018年に3回の首脳会談など南北関係の改善に努めてきた文在寅(ムン・ジェイン)政権としても、「チョ・ソンギル氏の韓国入国」を国内政治目的に活用する理由がないというのが専門家の全体的な指摘だ。元高官は「当事者と政府が沈黙し、注意深い動きを示しており、チョ・ソンギル氏の韓国入国が事実として公式に確認されても、南北関係に否定的な影響を及ぼす重要変数としては作用しないだろう」と述べた。
イ・ジェフン、キム・ジウン、チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

文大統領は早ければ6日にも国家安保室長と外交安保特別補佐官を任命し、統一部長官と国家情報院長は国会人事聴聞会を経て任命する予定だ。

2020-07-04 | 「北朝鮮問題」の解決のために
文大統領、安保人事に北朝鮮通を総動員して起用…
南北対話復元への強いメッセージ

登録:2020-07-04 06:43 修正:2020-07-04 08:02


国情院長にパク・チウォン前議員を電撃的に抜擢 
安保室長にソ・フン国情院庁、統一部長官にイ・イニョン民主党議員 
3人とも対北朝鮮問題の専門性持つ

          

          大統領府全景//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が3日、国家情報院(国情院)長にパク・チウォン前民生党議員を抜擢した。これまで対北朝鮮ラインを率いたソ・フン国情院長は大統領府国家安保室長を務めることになり、統一部長官にはイ・イニョン共に民主党国会議員が内定した。3人とも、対北朝鮮問題に豊富な経験と専門性を備えた人物であり、悪化した南北関係の突破口を見出すため、大統領府が活用できる人的資源を総動員したものと分析されている。関心を集めたイム・ジョンソク前大統領秘書室長とチョン・ウィヨン国家安保室長は、大統領外交安保特別補佐官に任命された。

 同日の人事で最も関心を集めたのはパク・チウォン国情院長候補者だ。カン・ミンソク大統領府報道官は、「パク候補者は2000年の南北首脳会談の合意を引き出すのに貢献し、現政権でも南北問題の諮問役を務めるなど、北朝鮮問題の専門性が高いという評価を受けている」とし、「国会議員として4期を務めた政治家であり、メッセージが簡潔かつ明快で、情報力と状況判断に長けているだけでなく、第18・19・20代国会情報委員会で活動し、国情院の業務に精通している」と人選の背景を説明した。

 パク候補者は最近まで、メディアのインタビューを通じて「南北米首脳間の会談は可能性が見えなくても常に推進しなければならず、その仲裁者の役割は唯一文大統領だけが果たせる」と述べ、北朝鮮との対話を強調してきた。

          

新任国家情報院長と大統領府国家安保室長、統一部長官にそれぞれ内定したパク・チウォン前民生党国会議員(左から)、ソ・フン国情院長、イ・イニョン民主党議員が今月3日午後、記者団に感想を述べている=カン・チャングァン、キム・ミョンジン記者、大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 与党の共に民主党出身ではない政治家を重用したのはパク候補者が初めてで、文在寅大統領の切迫さと共に北朝鮮に向けた強い対話の意志を示したといえる。

 大統領府国家安保室長はソ・フン国情院長が務め、大統領を補佐して朝鮮半島問題や対外関係のバランスを取ることになる。国情院出身の外交・安保専門家で米国、日本の高官と緊密なネットワークを構築し、南北首脳会談や朝米首脳会談などの懸案を成功裏に企画・調整したという評価を受けているというのが大統領府の説明だ。ソ国情院長は「現在の状況に慎重に対応する一方、時には大胆に動けるよう準備したい」と所感を述べた。

 統一部長官には、共に民主党の南北関係発展および統一委員会委員長を務めたイ・イニョン議員が指名された。彼は内定発表直後、国会で記者団に対し、「再び平和へと進む橋をすべて作り上げることはできなくても、踏み台の一つでも確実に置くという覚悟で臨みたい」と述べた。

 チョン・ウィヨン国家安保室長とイム・ジョンソク前秘書室長も大統領外交安保特別補佐官に任命され、懸案に対する諮問を担当することになる。文大統領は早ければ6日にも国家安保室長と外交安保特別補佐官を任命し、統一部長官と国家情報院長は国会人事聴聞会を経て任命する予定だ。
ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

進むべき道が見えません。もう機を逸したのでしょうか。引き返すにはあまりにも遠くまで来てしまったのでしょうか。

2020-06-20 | 「北朝鮮問題」の解決のために
[記者手帳]“不信”の向かい風の中、
大統領府は平和に向けて進めるだろうか

登録:2020-06-20 06:22 修正:2020-06-20 06:42

        

キム・ユグン大統領府国家安保室第1次長が今月16日、北朝鮮の開城工団南北共同連絡事務所の爆破と関連し、大統領府記者クラブの春秋館で記者会見を行っている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 進むべき道が見えません。もう機を逸したのでしょうか。引き返すにはあまりにも遠くまで来てしまったのでしょうか。それとも、道が見えないところで新たな道が切り開かれるのでしょうか。

 南北関係の話です。開城(ケソン)南北共同連絡事務所が文字通り、吹き飛ばされました。約2年前、4・27板門店南北首脳会談の成果として、南北常時コミュニケーションの場だった建物が、映画のワンシーンのようにコンクリートの山と化しました。南北は激しい舌戦を繰り広げました。3回も会って白頭山(ペクトゥサン)天地まで一緒に登った間柄で交わされる言葉にしては、聞くに堪えないものです。

 どこから間違ったのでしょう。時計を巻き戻してみると、実は南北関係は1年4カ月ほど前から止まっていました。昨年2月、ハノイ朝米首脳会談が物別れに終わったことで、南北は意味ある前進を成し遂げることができませんでした。昨年6月、板門店(パンムンジョム)で電撃的に南北米首脳会合が実現したものの、それはまさに“電撃”にとどまりました。ハノイ以降、北朝鮮は韓国に対する信頼を失ったようです。当時、非核化と朝米国交正常化に関する文大統領の仲裁案は、「ロシアスキャンダル」に追い込まれたドナルド・トランプ大統領と強硬派によって拒否され、北朝鮮はショックのあまり信頼の扉を閉ざしてしまいました。文大統領のショックと戸惑いも大きかったのです。ある政府の責任者は昨年、「事実上、南北間の有意義な連絡は途絶えた」と語りました。今月初め、北朝鮮が南北連絡網の断絶を公式宣言するずいぶん前のことです。

 その後、南北関係の活力は目に見えて弱まりました。南も北もなかなか共に何かを進めようとしませんでした。大統領府は米国に頼りました。ハノイの仲裁失敗の後遺症が大きかったためか、積極的に動こうとはしませんでした。「朝鮮半島の運転者論」(朝鮮半島問題は南北が主導する)の代わりに、「朝米交渉が優先」という発言を耳にする機会が多くなりました。窮余の一策とでもあり、責任回避のようでもありました。南北関係において韓米が歩調を合わせようという名目で、米国が主導した韓米作業部会が、ブレーキをかけたかもしれないが、時間が経つについてそのような状態に慣れていきました。着実に信頼を築くよりは、トランプ大統領率いる米国が“一発逆転”してくれることを期待していました。

 しかし、米国の利益は、北朝鮮の非核化よりも中国の浮上を牽制することにあるだでしょう。貿易紛争や華為規制、新型コロナウイルス感染症の責任をめぐる攻撃などをっ見る限り、米国の目は中国に向いており、このような中国を牽制するのに、北朝鮮は捨てがたいカードです。朝鮮半島、正確には北東アジア、より正確には中国の牽制にため北朝鮮を口実にする方が、米国にとっては望ましいのです。米国と関係を正常化した北朝鮮は、核で問題を起こす北朝鮮より効用が低いです。大統領府と政府が、しばらく米国の国益と韓国の国益を過度に同一視したのではないかと思います。

 大統領府と政府は度量があまり大きくなかったかもしれません。文大統領は易地思之という言葉をよく使います。相手の立場に立って考えてみようということですが、南北関係においてはそれがあまり発揮できなかったのだと思います。初の首脳会談の際、韓国の時刻に合わせて平壌標準時間を30分繰り上げ、3回目の首脳脳会談の際、文大統領に15万人が集まった綾羅島5・1競技場での演説を認めたのは、北朝鮮内部の負担が少なくなかったはずです。これに甘んじて受け入れた北朝鮮の積極性に匹敵するほど、大統領府と政府が切実だったのか、南北関係が氷のように冷めきってしまった今、振り返る必要があります。文大統領も「対応を誤った」と認めた北朝鮮へのビラ散布を早くから強く防げなかったことは、だからこそ悔やまれます。

 今、文大統領は戦争危機へと突き進んでいた2017年暮れよりもさらに悪化した状態で、南北関係の改善を図らねばなりません。少なくとも、南北の信頼度の面ではそうです。当時は北朝鮮に不確実ながらも韓国に対する“期待”がありましたが、今は“不信”という向かい風の中、進まなければなりません。大統領府は「道理をわきまえない無礼な言動」と北朝鮮の“言葉の爆弾”に対抗しましたが、文大統領の言葉通り、「くねくねと流れても最後には海へと向かう川の水のように」南北が進むべき方向は明らかです。文大統領が 6・15南北共同宣言20周年記念演説で、新しい提案を出す代わりに、「8千万同胞」の前で約束したことに触れ、合意精神を強調したことは、再び信頼の基本を固める意志を示めすためと思われます。

 南北関係は、道が途切れ、先が見えないところから道が切り開かれることがよくありました。3年前まではそうだったのです。文大統領の2017年ドイツ・ケルバー財団での演説が、南北関係を平昌(ピョンチャン)→板門店(パンムンジョム)→白頭山(ペクトゥサン)へと導くと予想した人はあまりいませんでした。文大統領の前に置かれた道も、一見単純です。絶えず岩を転がさなければならないシーシュポスと似たような宿命を背負っているかもしれません。
ソン・ヨンチョル政治部記者//ハンギョレ新聞社
(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/950173.html
韓国語原文入力:20-06-2002:30
訳H.J

カン・ギョンファ外交部長官は「そのような批判はよくわかっているが、それは事実と異なる。米国と綿密によく協議し、交渉している」と答えたという。

2020-06-19 | 「北朝鮮問題」の解決のために
国防部「北朝鮮が予告した4つの軍事計画、
実行の可能性が高い」

登録:2020-06-19 06:53 修正:2020-06-19 08:47


共に民主党、関連省庁の長官らと外交安保統一諮問会議 
統一部「今の事態は北朝鮮が緻密に準備したもよう」

        

共に民主党のイ・へチャン代表が18日午後、ソウル汝矣島の国会で行われた民主党外交安保統一諮問会議で発言している。左側からチョン・ギョンドゥ国防部長官、カン・ギョンファ外交部長官、イ・へチャン代表、キム・テニョン院内代表//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、金剛山(クムガンサン)観光地区への連隊級部隊の配備など北朝鮮が発表した4つの軍事計画が早期に現実化するだろうと見通した。

 18日のハンギョレの取材結果を総合すると、同日の国会で開かれた外交安保統一諮問会議で、チョン・ギョンドゥ国防部長官は「現時点では北朝鮮が予告した4つの挑発措置を行うと見られ、それに対して徹底した対応をとる」と報告したという。前日、北朝鮮人民軍総参謀部は、金剛山観光地区・開城(ケソン)工業地区への連隊級部隊・火力区分隊の配備▽非武装地帯の民警警戒所の再進出▽全般的な戦線で戦線警戒勤務級数を1号に格上げ▽対南(対韓国)ビラ散布の保障などの計画を発表した。続いてチョン長官は「民警警戒所で一部動きが見られる」と述べたと、複数の参加者が伝えた。民警警戒所は非武装地帯の中に設置された北朝鮮軍の警戒所で、韓国軍のGP(監視警戒所)に相当する。現在、非武装地帯の警戒所は、韓国軍が約50カ所ほど、北朝鮮軍が約150カ所運用している。

 この日の諮問会議には政府側からチョン長官とカン・ギョンファ外交部長官が参加した。統一部からは前日に辞意を表明したキム・ヨンチョル長官の代わりにソ・ホ次官が出席した。ソ次官は「今の事態は(対北朝鮮ビラのために起きた)偶発的なものではなく、緻密に準備された一連の措置」だと述べたという。

 一部の議員は韓米ワーキンググループの問題点について指摘したことが分かった。一部の議員が「我々は米国に振り回されすぎているのではないか」という趣旨の質疑を行うと、カン・ギョンファ外交部長官は「そのような批判はよくわかっているが、それは事実と異なる。米国と綿密によく協議し、交渉している」と答えたという。

 カン長官は、外交部のイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長が米国を訪問した事実にも言及した。カン長官は「国務省のスティーブン・ビーガン副長官兼北朝鮮対策特別代表に会う予定」だとし、「ビーガン副長官と何回も協議を行っており、近々面会して、韓米間の問題に関して協力してくれるだろう」と述べたと複数の参加者が伝えた。

 一方、イ本部長は同日昼、ワシントン近隣のダレス国際空港を経て入国した。外交部は今回の訪米目的について「イ本部長はスティーブン・ビーガン国務省副長官兼北朝鮮対策特別代表と韓米首席代表協議を行い、現在の朝鮮半島状況を評価し、対応策を論議する予定」だと明らかにした。今回の訪米の中心目標は「状況悪化の防止」だという。北朝鮮がさらなる軍事措置を行動に移して緊張が激化し、朝鮮半島情勢が2017年と同様の南北間、朝米間の強力対応の局面に広がる状況を防ぐため、電撃的に訪米を決めたと見られる。

 一方、米国のドナルド・トランプ大統領は同日、北朝鮮を制裁する既存の行政命令をさらに1年延長した。ジョージ・W・ブッシュ政権時代の2008年に発動された行政命令13466号と、その後に拡大された5件など計6件の対北朝鮮制裁はこのまま維持されなければならないと議会に通知し、連邦官報に掲載したのだ。このような延長は最初の行政命令13466号が発動された2008年6月26日以来、毎年6月下旬に行われてきたため、米国が北朝鮮を狙って制裁をさらに延長したとは見がたい。
ソ・ヨンジ、ノ・ジウォン記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「4・27板門店宣言であれ、9・19共同宣言であれ、米国を意識しすぎたため、こうなるんだったら、結局宣言をしなかった方がましかもしれない状況になった」と語った。

2020-06-18 | 「北朝鮮問題」の解決のために
「最悪の状況」開城工団関連企業関係者ら茫然自失
登録:2020-06-17 06:20 修正:2020-06-17 07:45


チョン・ギソプ協会長「無力な政府も 
攻勢かける北朝鮮も本当に恨めしい」 
17日に記者会見を開いて対応策を発表

        

開城工業団地企業非常対策委員会、金剛山企業協会、内陸投資・交易企業所属の企業関係者らが今月15日午前、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎前で対北朝鮮ビラ散布の中止と6・15南北共同宣言などの国会批准と即時履行を求める記者会見を行っている//ハンギョレ新聞社

 「韓国政府も北朝鮮も本当に恨めしいです」

 16日、北朝鮮が開城(ケソン)工業団地にある南北共同連絡事務所の建物を爆破したことが伝えられた後、チョン・ギソプ開城工業団地企業協会長(衣類会社SNG代表)はハンギョレの電話インタビューで、こう切り出した。チョン会長は「米国の前で何もできない無力な韓国政府も、そのような状況をもう少し理解し、我慢して待ってくれない北朝鮮当局も恨めしい」とし、「最悪の状況」だと述べた。

 チョン会長は「国家利益の面でも、国民のためにも北朝鮮と対立し、緊張が高まるよりは、和解・協力してウィンウィンできることがあれば実践すべきだが、米国に遮られ、何もできないのではないか」と嘆いた。同協会は、北朝鮮が連絡事務所を爆破したのは、文在寅(ムン・ジェイン)政府が非核化の条件が整ったことで開城工業団地と金剛山(クムガンサン)観光を再開するという9・19共同宣言を履行する意志がないと判断したことによるものだと分析した。チョン会長は「三一節(独立運動記念日)にも大統領が直接開城工業団地の再開と金剛山観光に対する意志を明らかにしたが、履行されたものがないから、北朝鮮が我々との対話も必要ないと圧力をかけているのではないか」とし、「4・27板門店宣言であれ、9・19共同宣言であれ、米国を意識しすぎたため、こうなるんだったら、結局宣言をしなかった方がましかもしれない状況になった」と語った。チョン・ギョンス金剛山企業協会長も「共同宣言以後からハノイ会談前までの機会を逃したと思う」とし、「今はどんでん返しがあることを祈るばかり」だと述べた。

 開城工団企業協会は17日午後、記者会見を開き、北朝鮮の連絡事務所の爆破に対する立場と政府に対する要請事項を発表する予定だ。今月15日に開城工団企業協会や金剛山企業協会、内陸投資・交易企業所属の企業関係者が記者会見を開き、国会には対北朝鮮ビラ散布禁止法制定を、政府には南北共同宣言を積極的な履行を求めた内容と大枠では違わないものとみられる。政府が2016年2月10日、北朝鮮の核実験と長距離ミサイル発射を理由に開城工団の閉鎖を決定した後、工団に入居した企業関係者らは4年以上、工団の再開を期待してきた。文在寅(ムン・ジェイン)政府に入って三度の南北首脳会談が行われ、開城工団の稼働再開に対する期待感が高まったが、昨年には団地参加企業関係者らが設備点検するための訪朝を申請したことに対しても、北朝鮮当局はまだ答えておらず、待機が長引いている。協会関係者は「現在、企業が開城工団の工場設備などが大丈夫なのか確認する方法もない」と語った。
ペク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

クォン局長は「北南関係は一貫して我が民族内部の問題であり、誰にも指図する権利はない」とし、

2020-06-13 | 「北朝鮮問題」の解決のために
北朝鮮外務省「米国は北南問題には口を挟むな、
それが大統領選挙にも有益」

登録:2020-06-12 06:25 修正:2020-06-12 07:36


クォン・ジョングン米国担当局長、「朝鮮中央通信」のインタビューで 
南北連絡線の遮断に「失望した」という米国に対し 
「民族内部の問題、北南関係に指図する権利はない」 
 
「労働新聞」1面に掲載された個人論説で 
「最高尊厳は人民の生命・精神的柱」 
「南朝鮮当局への報復が人民の意志」だと主張

        

今月10日、黄海南道の新川博物館前で行われた「朝鮮社会主義女性同盟(女盟)」幹部と女盟員による北朝鮮へのビラまきに抗議する群衆集会=「労働新聞」サイトよりキャプチャー/聯合ニュース

 クォン・ジョングン北朝鮮外務省米国担当局長は11日、「米国はひどい目に会いたくなければ、口を慎み、自分の事を顧みた方が良い」と述べたと、「朝鮮中央通信」報じた。

 クォン・ジョングン局長は「最近、米国がおこがましく北南関係問題に口を挟もうとすることについて、朝鮮中央通信記者が提起した質問」にこのように答え、「それが米国の利益に合致するのはもちろん、目前に迫った大統領選挙を問題なく実施するためにも有益だろう」と述べたと、「朝鮮中央通信」が報じた。

 北朝鮮当局が対北朝鮮ビラを問題視し、南北間の直通連絡線を遮断した措置について、米国務省関係者は「北朝鮮の最近の動きに失望した」とし、「北朝鮮は外交と協力に戻ってほしい」という論評を発表したことを狙った発言だ。北朝鮮特有の荒い表現が多いが、発言主体や発言の内容面で低いレベルの対米けん制といえる。クォン局長は「北南関係は一貫して我が民族内部の問題であり、誰にも指図する権利はない」とし、「米国の政局がいつにも増して騒々しい時に、自分の事は顧みず、朝米の間で計算しなければならないことも少なくないのに、南朝鮮の『祖父』の役割を買って出て、人の災難を肩代わりする必要があるのか」と述べた。

 クォン局長は「米国の言ういわゆる“失望”が、過去2年間裏切りと挑発だけを繰り返してきた米国と南朝鮮当局に対し、我々が感じている極度の幻滅と怒りに比肩できるだろうか」と問い返した。さらに「南北関係が進展する兆しを見せれば、何が何でもそれを防ごうとし、悪化すれば、非常に心配しているかのように口を挟む米国の二重の態度には辟易する」と主張した。

 一方、北朝鮮の「労働新聞」は「最高尊厳はわが人民の生命であり、精神的柱である」と題した個人論説を1面トップで掲載した。「労働新聞」同論説で、「南朝鮮当局の黙認の下、人間のクズたちが戦淵(最前線)一帯で反共和国ビラをまき、我々の最高尊厳にまで触れる妄動を働いたことは、わが人民に対する耐え難い冒涜だ」と主張した。さらに、「南北関係が完全に壊れるとしても、南朝鮮当局者らに相応の報復を加えるべきだというのが、わが人民の揺ぎない意志だ」と主張した。
イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

ハンギョレ‐政党学会 第21代国会議員意識調査 

2020-06-09 | 「北朝鮮問題」の解決のために
第21代国会の理念に変化…
経済政策が中道化した与党、対北朝鮮問題が柔軟化した野党

登録:2020-06-08 09:28 修正:2020-06-08 14:17


ハンギョレ‐政党学会 第21代国会議員意識調査 
政策の差が最も大きい分野で変化 
民主党、総合不動産税をめぐり“右”へ 
統合党、北朝鮮と経済協力で“左”へ

        

第21代国会議員選挙を控えた今年3月の国会の様子//ハンギョレ新聞社

 第21代国会の共に民主党議員らは、第19~20代国会に比べて税金・福祉など経済分野で中道化し、未来統合党は対北朝鮮・外交イシューでやや柔軟になった立場を取っていることが分かった。

          

国会議員の経済、対北朝鮮・対外意識の変化//ハンギョレ新聞社

 ハンギョレと韓国政党学会が5月18日~6月1日に第21代国会議員当選者を対象に政治理念および政策懸案認識調査を進めて分析した結果、経済分野での民主党の回答の平均値は3.18、統合党は6.25だった。理念スペクトルは0から10までの数字で表示され、0に近いほど進歩(革新)、10に近いほど保守に分類される。これに先立ち、政党学会が第19~20代国会開院当時に行った国会議員意識調査で、民主党は第19代(旧民主統合党)の時は2.13、第20代の時は2.18だった。経済分野の質問は、非正規職の正規職化問題▽成長・福祉に対する態度▽ベーシックインカムの導入に対する立場▽総合不動産税の緩和問題▽全国民雇用保険制度の必要性の5つだった。これらの項目のうち、与党が最も保守的な立場を示したのは総合不動産税だった。総合不動産税以上の追加の不動産税制導入を0、総合不動産税の緩和を10と表示する時、民主党は4.44、統合党は7.7だった。

 北朝鮮のイシューと外交政策領域で、未来統合党の回答の平均値は5.79だった。統合党の前身であるセヌリ党の議員は、第19代と第20代でそれぞれ6.11、6.76だった。民主党も同じ流れを見せた。対北朝鮮・外交分野で、第21代民主党は2.09で、第19代(2.20)と第20代(2.89)よりも少し「左(進歩)」に動いた。

 対北朝鮮・外交分野の質問は、対北朝鮮人道支援問題▽国家保安法の改正可否▽対北朝鮮経済協力に対する立場▽外交・安保政策の方向▽韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)更新の5つだった。このうち、統合党議員たちが最も前向きな態度を示したのは北朝鮮との経済協力項目で、これに対する回答の平均値は4.88だった。5つの質問に対する回答の中で唯一、中間値(5)より「左」に置かれた。民主党も5項目のうち、最も0に近い0.65を記録し、与野党いずれも北朝鮮との経済協力を再開することに共感していると表れた。

 イ・ジェムク韓国外大教授(政治外交学)は「巨大両党議員の政策的異質性は主に対北朝鮮・対外イシューと経済イシューで大きく浮上する」とし、「統合党の場合、かつて『対北朝鮮問題』と『安保』イシューで顕著だった保守的色彩が、第21代国会に入って少しずつ弱まった一方、民主党は2018年の大統領選挙以降、政権与党の役割をしてきただけに『経済』政策で現実的かつ中道的な位置に移動したものと解釈できる」と述べた。

 今回の調査には、国会議員300人のうち民主党130人、統合党56人、正義党4人、その他の政党および無所属7人で、計197人が参加した。
ファン・クムビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )