【中央時評】習近平の訪韓と同床異夢計算法
2014年06月30日/中央日報日本語版
7月3日に予定された中国の習近平国家主席の国賓訪問に、世間の関心と期待が集中している。「修交後、韓中関係は最高レベル」という評価とともに、両国関係が「戦略的協力パートナー」から「全面的協力パートナー」に格上げされ、中露関係レベルになるという見方も出ている。
さらに習主席は、新しく就任した中国の指導者が北朝鮮を先に訪問してきた過去の慣例を破り、今回、韓国を優先的に訪問することにした。「重韓軽朝(=韓国を重視し、北朝鮮を軽視する)」が公式化するのではという観測が出ている背景だ。韓中自由貿易協定(FTA)交渉の早期妥結、民間経済協力の強化、日本の突出行動に対する協調など、顕著な成果が期待される。
しかしこうした韓国政府・メディアによるバラ色の展望の裏には、お互い折衝が難しい同床異夢の国家利益計算法があるとみられる。習近平政権の対韓半島政策は「韓半島の非核化、韓半島の平和と安定、対話と交渉を通じた懸案妥結」という原則から一度も抜け出していない。ここで韓中間の政策的間隙が生じているのだ。
まず南北関係に対する両国間の認識の違いが大きいとみられる。朴槿恵(パク・クネ)政権の関連政策のうち、中国が最も友好的な立場を表したのは「韓半島信頼プロセス」だ。南北関係の改善は韓半島の緊張を緩和させ、朝米対話と6カ国協議の再開にもプラスの波及効果をもたらすことができるからだ。
一方、韓国側の計算は違うようだ。この機会に中国をより積極的に韓国側に引き寄せ、対北朝鮮圧力の機制として活用するという意図が見える。これを通じて韓米中3者戦略対話を公式化する機会にするという意志だ。最近、ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が「韓中首脳会談では、対北朝鮮圧力に関し、中国のより積極的な役割を引き出すべきだ」という趣旨で発言したのも軌を一にする。膠着状態の南北関係に失望している中国としては、韓国のこうした思惑を受け入れられないだろう。
北朝鮮の核問題でも両国間の立場の違いは明確に表れている。中国は南北対話-朝米対話ー6カ国協議という従来の3段階解決法を取り上げ、4度目の核実験など北朝鮮の追加挑発がなければ、前提条件なくこうした3つのテーブルを同時に開こうと主張してきた。ハードルを下げ、平壌(ピョンヤン)を刺激する韓米軍事訓練を避けると同時に、6カ国協議の再開を通じて、北朝鮮の核問題を対話で解いていこうという趣旨だ。
しかし米国と韓国は「北の誠意ある措置がある前に、会談のための会談を開くことはできない」という原則を守ってきた。最近、既に提示した2・29合意の履行とケネス・ペ氏の釈放に加え、核並進路線を明記した北朝鮮憲法の改正まで、対話の前提条件として議論されている。さらに難しくなったこうした先決事項は、中国としては同意しにくいカードだ。
また中国は、米中間でバランスが取れた外交を展開し、非伝統安保分野での協力を通じて多者安保協力体制を模索するという朴槿恵政権の均衡外交と北東アジア平和協力構想を積極的に支持してきた。習近平主席も5月に上海で開催されたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)での演説で、「共同、包括、協力、持続可能な安保」をキーワードとする「アジア新安保思想」を提示し、CICAをこの地域の多者安保協力機構にしようと公式提案したことがある。朴大統領の北東アジア構想と同じ布石だ。
しかし北東アジアの力の地形図を考えると、韓国がここに参加するのは容易でない。米国が中国のCICA構想を自国の「アジア太平洋再均衡」政策に対する牽制と判断しているからだ。北京が提案したアジアインフラ投資銀行(AIIB)に韓国が加盟を検討すると、ワシントンがこれにブレーキをかけたことだけでも、これは明確に表れている。中国の青写真に同意するには、同盟が与える負担が少なくない。
面子を重視する中国外交の慣行や韓国政府の歓待意志を考えると、今回の習主席の訪韓は成功的になるしかない。「全面的協力パートナー」「韓半島非核化」「韓半島統一支持」などの表現が入った共同声明は無難に採択されるだろう。しかし南北関係、韓半島非核化、北東アジア安保構想など我々の生存と繁栄を決める、死活がかかる懸案に対して深い討議と合意が難しい首脳会談を、果たして「成功的」と自評して満足するのが正しいのだろうか。表面では限りなく輝く韓中関係の中に隠れた構造的制約に対し、冷徹な省察が必要な理由だ。
文正仁(ムン・ジョンイン)延世大教授・政治外交学