韓国政府「福島第一原発汚染水IAEA検証団に韓国の専門家が参加」
韓国、中国など関連国の専門家11人が参加したと伝わる
政府「国民の安全を守るための最小限の装置」と評価
米国などが支持しているため放出決定そのものは覆せない見通し
韓国政府は、東京電力福島第一原発事故で発生した「放射性汚染水」を希釈して海に排出する過程の安全性を検証する国際原子力機関(IAEA)の検証団に、韓国の専門家が参加することを明らかにした。
政府は9日、報道資料を発表し、その中で「IAEAは8日、福島第一原発汚染水放出を検証するため専門家チームを編成した。韓国の専門家としては、原子力安全技術院のキム・ホンソク責任研究員が参加することになった。キム博士は原子力安全の専門家で、現在は原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の韓国首席代表として活動している、放射性物質の分析および評価分野の権威だ」と述べた。IAEAの専門家チームは、日本政府による福島第一原発の汚染水の海洋放出が国際基準を順守し、安全に行われるかどうかを、事前準備の段階から放出までの全過程にわたりモニタリングする予定だ。IAEAと日本政府も8日(現地時間)、検証団の結成を伝える報道資料を発表したが、検証団に参加する専門家の国籍は公開していない。同検証団には、韓国と中国を含む11カ国の専門家が参加するという。
政府は報道資料で「IAEA国際検証団に韓国の専門家が参加するため、日本が福島第一原発の汚染水放出を強行する場合、直接・間接的な検証を通じて国民の安全を守るための最小限の安全装置が確保された」とし、「汚染水処理の全過程が客観的かつ実質的に検証されるよう最善を尽くす」と述べた。政府は続いて「国民の健康と安全を最優先の原則として、この問題の解決に最善を尽くす。国民の健康に危害を及ぼしうるいかなる措置にも妥協しない」と述べた。
政府は今年4月以降、日本政府に対し、汚染水の処理過程における十分な科学的根拠の提示▽韓国政府との十分な事前協議▽IAEAの検証過程への韓国専門家の参加の保障を求めてきた。チョン・ウィヨン外交部長官も同時期に、国会外交統一委員会での答弁で、この3つの条件が整えられ、汚染水の放出がIAEAの定める国際基準に適合すれば、「あえて反対することはないと考える」との立場を示している。検証団にキム博士が参加することになったことで、ひとまず政府の要求の一つは満たされたかたちだ。ただ、韓国政府が汚染水放出の安全性を判断するために必要となる科学的情報を得るとともに、事前協議を行う窓口として提案した韓日の二国間協議体については、日本側はまだ回答していないという。
しかし、今回結成された検証団も結局は日本の汚染水放出決定に正当性を与える役割を果たすにとどまるだろうという憂慮の声が早くもあがっている。それを端的に示す例は、日本政府が汚染水放出決定を発表した4月13日に、IAEAのラファエル・グロッシー事務局長が「日本の発表を歓迎」し、「日本が選択した水の処理方法は技術的にも実現可能で、国際的慣行に則ったもの」と述べていることだ。米国も、原則的検証が必要だとしつつも、日本政府の決定に信頼を示すなど、汚染水の放出を事実上支持してきた。結局のところ、韓国の専門家が検証団に参加しても、日本の放出決定そのものを覆すことはできない見通しだ。