否定された「北朝鮮犯行」説
朝鮮-マレーシア、両国関係の発展を確認
朝鮮とマレーシアの代表団が2月13日にクアラルンプールで発生した朝鮮公民の死亡によって生じた問題の解決のための会談を行い、共同声明を発表した。
共同声明によると、これまでマレーシア警察が主張してきた「北朝鮮犯行」説は否定され、両国は1973年の国交樹立以来、発展してきた双務関係に基づいて問題を解決していくことにした。
双方が両国公民の出国禁止措置を解除したことにより、マレーシアの警察が「殺人事件」の「容疑者」とした駐マレーシア朝鮮大使館2等書記官と高麗航空の従業員は朝鮮に帰国した。「殺人事件」が起きた時、クアラルンプール空港にいたという4人の「容疑者」への言及もない。両国の共同声明を通じて、今回の事件に朝鮮側が何の関りもなかったことが確認されている。
当初、マレーシア外務省と病院側は、朝鮮の外交旅券所持者が空港で心臓麻痺倒れ病院への移送中、自然史のように亡くなった朝鮮大使館に通報した。ところが、その日の夜、南朝鮮の保守メディアが「政府消息筋」によるものとして「北工作員」による別の名前の人物の「毒殺」について報道した。マレーシアの警察はこれを既成事実化し、ウィーン条約に基づく治外法権の対象である外交旅券所持者の遺体解剖を強行した。
犯罪捜査学の見地から見ても、法律的見地から見ても、マレーシア警察の捜査はすべてが欠陥と矛盾だらけであった。警察が客観性と公正さを失い、誰かの意向に沿って捜査の方向を決めているという疑惑が提起された。朝鮮公民の死因すら明確になっていない時点で、米国と南朝鮮で「猛毒の神経剤VX」 による「毒殺」”説が流れ、後日、マレーシア警察がそれを捜査結果として公式発表したのが典型だ。
朝鮮は、マレーシア側に対して敵対勢力の政治的陰謀に巻き込まれることなく、すみやかに遺体を日引き渡すことを求めてきた。もし朝鮮公民の死亡が自然史ではなく、殺人の場合、マレーシアは自国内で起きた殺人に対して責任を負わなければならない。一方、朝鮮は被害者側として捜査結果を要求する権利を持っている。謀略事件によって守勢に立たされたのは、マレーシア側であった。
「北朝鮮犯行」説の流布によって利益を得る特定勢力が、マレーシアの政府と警察を背後操縦したが、今回の事件に朝鮮が関与したという客観的な証拠は出なかった。
朝鮮は、マレーシア当局が証拠がないまま偏向捜査を進めたことを非難しながら、「今回の事件の被害者は朝鮮とマレーシア」(駐中朝鮮公使の記者会見)との見解も示した。一方、マレーシアの側も、朝鮮と協力して事態を収拾しなければならなくなった。そして二国間の会談が行われることになった。
朝鮮に対する国際的な嫌悪感を醸成しようと、2月から大々的なキャンペーンを展開してきた勢力は、今回の事件が朝鮮とマレーシアの国交断絶に至るだろう騒ぎ立てたが、実際は正反対の結果となった。
朝鮮とマレーシアは、両国の関係を事件以前に原状回復させるだけでなく、それ以上の進展を目指すことにした。共同声明によると、双方はビザなし渡航の再導入について肯定的に討議することにし、双務関係をより高い段階へ発展させるために努力することで合意した。
(金志永)
朝鮮・マレーシア、共同声明発表
問題解決の意思格言、関係発展へ努力
朝鮮中央通信によると、朝鮮とマレーシアの両代表団が3月30日、共同声明を発表した。全文は次のとおり。
1. 最近、朝鮮民主主義人民共和国とマレーシアの両代表団は、2017年2月13日にクアラルンプールで発生した朝鮮民主主義人民共和国公民の死亡によって生じた問題の解決のための会談を行った。
2. 両国は、1973年に樹立されて発展してきた双務関係に基づいて、これらの問題を解決する意志を再確言した。
3. 両国は、外交関係に関するウィーン条約とその諸条項の徹底した履行が持つ重要性について認めた。
4. 朝鮮民主主義人民共和国が死亡者の家族から得た遺体に関連するすべての文書を提出したことから、マレーシアは遺体を朝鮮民主主義人民共和国にいる死亡者の家族に送還することに同意した。
5. 双方は、両国公民に対する出国禁止措置を解除し、自国領内で彼らの安全を保証することで合意した。
これによって、平壌に滞在中の9人のマレーシア人がマレーシアへ帰国できるようになり、クアラルンプールに滞在中の朝鮮民主主義人民共和国の公民らがマレーシアから出国できるようになった。
6. 双方は、双務関係の重要性を再確言した。
これに関連して両国は、ビザなし渡航の再導入について肯定的に討議することにし、双務関係をより高い段階へ発展させるために努力することで合意した。
(朝鮮新報)