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「韓国政府は国際原子力機構を通じた検証プロセスとは別に、韓国の立場を伝え、追加情報の提供を受けるための二者協議が必要だという立場」だとし、「そのために二者協議の開催案などを検討中」だと話した。

2021-05-16 | 放射能被害からこどもを助けよう!

韓国政府、「福島原発汚染水に関する韓日二者協議体」の構成を検討中

登録:2021-05-14 20:33 修正:2021-05-15 06:56
 
外交部当局者「IAEAの安全性検証とは別途」
 
4月13日、脱核市民行動など環境団体の会員がソウル市鍾路区の旧日本大使館の入り口で、日本の放射能汚染水海洋放出計画の中止を要求する記者会見とパフォーマンスを行なっている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が日本政府による福島原発から生じた放射能汚染水の海洋放出決定と関連して、韓日二者協議体の構成を検討しているという。14日、外交部当局者が伝えた。

 外交部当局者はこの日、記者団と会い、「韓国政府は国際原子力機構(IAEA)を通じた(安全性)検証プロセスとは別に、韓国の立場を伝え、追加情報の提供を受けるための二者協議が必要だという立場」だとし、「そのために二者協議の開催案などを検討中」だと話した。

 韓国政府は、韓日二者協議体の構成と共に、福島原発の現場を直接訪問し、状況を把握する案も検討していると明らかにした。政府は関係部署タスクフォース(TF)を中心に福島原発汚染水への対応方案を検討してきた。政府は、日本政府も韓国など周辺国が福島原発汚染水と関連した情報提供を要求すれば積極的に応じると明らかにしたため、協議体構成の展望は否定的でないだろうとみているという。

 これに先立って日本政府は4月13日、福島第一原発のタンクに保管してきた放射能汚染水を海に流す計画を盛り込んだ「処理水の処分に関する基本方針」を閣議決定した。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

日本政府には、一方的な海洋放出決定の即時撤回▽透明な情報公開と科学的検証の受け入れを要求し、韓国政府には、水産物安全管理方案を設けること▽水産業保護対策を設けることを要求した。

2021-05-01 | 放射能被害からこどもを助けよう!

韓国の漁業者が同時多発海上デモ…

「日本の原発汚染水が水産業の存立を脅かす」

登録:2021-04-30 20:24 修正:2021-05-01 06:51
 
釜山、束草、馬山、木浦など全国9カ所で 
「水産物の消費急減、漁村観光の忌避を憂慮」
 
30日、釜山の多大浦港で漁業者が日本政府の原発汚染水放出を糾弾している=水産協同組合中央会提供//ハンギョレ新聞社

 釜山、木浦(モッポ)、束草(ソクチョ)などの漁業者が海に船を出し、日本政府による福島原発汚染水海洋放出決定を批判するデモを行った。彼らは、原発汚染水の放出が「韓国の水産業の存立を脅かす」と糾弾した。

 先月30日、韓国水産産業総連合会、韓国水産業経営者中央連合会、韓国女性漁業者連合会などの水産団体は、釜山、束草、馬山、木浦など全国9カ所で「水産産業者全国同時・福島原発汚染水海洋放出糾弾大会」を開いたと明らかにした。釜山の多大浦(タデポ)と木浦北港、華城宮坪(クンピョン)港など7カ所では漁船の海上デモも行われた。

 これらの団体は、日本の原発汚染水の海洋放出決定に対して「水産産業者は水産業の存立を脅かす重大な侵害と認識している」と明らかにした。特に「影響がないという専門家たちの公言にもかかわらず、国民は原発汚染水の国内流入を憂慮して」おり、「日本の海洋放出決定があっただけでもすでに水産物の消費が萎縮している」ということだ。彼らは「日本原発汚染水の国内流入の有無と関係なく、水産物消費の急減、漁村観光の忌避などで水産業界の被害が今後20~30年間は雪だるま式に増えるだろう」と明らかにした。

 
30日、釜山の多大浦港でデモを行う漁船=水産協同組合中央会提供//ハンギョレ新聞社

 さらに「トリチウムは人体に影響がほとんどない比較的危険の少ない放射性物質であり、5年以上の長期にわたり海水で薄められ、韓国に流入する可能性はないと国際研究機関と専門家がいくら公言しても、誰が信じられるだろうか」として、日本政府には、一方的な海洋放出決定の即時撤回▽透明な情報公開と科学的検証の受け入れを要求し、韓国政府には、水産物安全管理方案を設けること▽水産業保護対策を設けることを要求した。

チン・ミョンソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「日本政府が汚染水について科学的に証明された具体的な情報を韓国を含む国際社会に提供せず、汚染水は安全だと口でばかり言っているのは、国際社会の責任ある一員としての姿勢ではない」

2021-04-22 | 放射能被害からこどもを助けよう!

原子力専門家「日本の汚染水資料は信頼できない…

国際的な検証資料を確保すべき」

登録:2021-04-21 03:40 修正:2021-04-21 06:58
 
原子力研究所を訪れた科学技術情報通信部の次官に要請 
「韓国への影響の予測のために国際的検証資料の確保を」
 
科学技術情報通信部のヨン・ホンテク第1次官が20日午前、大田広域市儒城区の韓国原子力研究院で開かれた福島第一原発の汚染水放出に関する専門家との懇談会で挨拶している=科学技術情報通信部提供//ハンギョレ新聞社

 日本による福島第一原発の汚染水の海洋放出に関連し、韓国の研究機関の専門家たちが、日本の汚染水処理に関する資料の信頼性に疑問を提起し、国際的に検証された資料の確保に向けて努力するよう韓国政府に要請した。

 専門家たちは、20日に韓国原子力研究院を訪問した科学技術情報通信部のヨン・ホンテク第1次官との懇談会で「福島第一原発の汚染水の海洋放出がいつ、どれほど韓国に影響を及ぼすかを科学的に予測するためには、原発汚染水についての国際的に検証された資料の迅速な入手がカギとなる」とし、このように要請した。

 ヨン次官はこの日、日本の汚染水海洋放出計画に対応する関連研究の成果および今後の計画を点検するために原子力研究院を訪れ、関連分野の研究者グループの話を聞いた。

 懇談会に出席した研究者は、「日本政府が汚染水について科学的に証明された具体的な情報を韓国を含む国際社会に提供せず、汚染水は安全だと口でばかり言っているのは、国際社会の責任ある一員としての姿勢ではない」と口をそろえた。研究者たちは特に、「日本政府が先日発表した海洋放出計画を撤回し、約126万トンの汚染水が貯蔵されているすべての貯水タンクに対する全数調査をまず実施する必要がある」と主張した。

 懇談会において汚染水放出の韓国への影響を分析するための「シミュレーション開発の現状と今後の高度化の方向性」を報告した同院のソ・ギョンソク環境・災害評価研究部長は「日本は原発汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化したというが、それらの資料は信頼性がない。韓国への影響を予測するためのシミュレーションが実施できるよう、政府レベルでもう少し正確な情報を入手してほしい」と述べた。

 懇談会に出席した専門家は、現在日本の汚染水処理に用いられているALPSの性能問題も提起した。原子力研究院のソン・ジンホ博士は、「福島第一原発の汚染水を浄化するALPSは過去10年あまりの間にまともに作動していなかった時期もあり、一部の貯水タンクからは法的許容値の5倍から100倍にのぼる高濃度の核種が発見されたこともある」と語った。

 東京電力が2018年10月に作成した報告書を実際に見ると、汚染水処理に投入された3基のALPSのうちの2基が、一部の放射性物質の除去性能や性能の持続時間が不足しているとなっている。

 研究者の提案についてヨン次官は「今後、日本が原発汚染水海洋放出の細部計画を樹立すれば、放射能の放出濃度や排出期間などの具体的なデータを直ちに入手するよう努力するとともに、放射性物質の海洋拡散評価モデルを通じて、韓国の環境と国民の健康に影響がないか徹底的に分析し、検証する」と述べた。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

日本政府が十分な科学的根拠を示して情報を共有すること▽韓国政府と事前に十分に協議すること▽IAEAの検証過程で韓国の専門家の参加を保障することだ。

2021-04-21 | 放射能被害からこどもを助けよう!
 

韓国外相「日本の汚染水放出、

3つの条件とIAEAの手続きに従うなら反対せず」

登録:2021-04-20 04:56 修正:2021-04-20 07:10
 
情報共有や事前協議、韓国の参加 
チョン外交部長官、3つの要求事項を提示 
「中国やロシア、台湾などと対応策を協議」
 
チョン・ウィヨン外交部長官が今月19日、ソウル汝矣島の国会本会議で行われた政治・外交・統一・安全保障分野の対政府質問に答えている/聯合ニュース

 チョン・ウィヨン外交部長官が19日、日本の福島第一原発事故による放射性物質汚染水の海洋放出決定について、「(情報提供など)3つの条件が整えられ、(汚染水の放出が)国際原子力機関(IAEA)の基準に合う適合性手続きに従って行われるなら、あえて反対することはない」と述べた。

 チョン長官は同日午後、国会で開かれた対政府質問で、日本の汚染水放出に対する政府の反対の立場に変わりはないかというムン・ジンソク議員(共に民主党)の質問に対し、「反対するというよりは、韓国国民の健康と安全を最優先にし、3つ(の事項)を日本に一貫して求めている」と説明した。チョン長官が明らかにした3つの要求事項は、汚染水の放出に関して、日本政府が十分な科学的根拠を示して情報を共有すること▽韓国政府と事前に十分に協議すること▽IAEAの検証過程で韓国の専門家の参加を保障することだ。今のところ、提供された情報が不十分であり、汚染水の安全性を判断する根拠がないため、韓国が反対していると解釈できる発言だ。

 チョン長官は日本の放出決定に反発している中国やロシア、台湾などと協力して対応する計画はないのかという質問には、「太平洋沿岸国を中心に協議を進めている。すでに島しょ国16カ国は(韓国など)近隣5カ国と同じ立場を発表した」と答えた。さらに「米国も『日本政府の原発汚染水海洋放出問題はIAEAの適合性判定を受けなければならない』という基本原則においては韓国と同じだ。ただし、日本の放出決定発表後に行われた米側の発表内容は韓国政府の判断とは異なる部分が多く、政府も様々なチャンネルを通じて米側に韓国の立場を明確に説明している」と述べた。

 チョン長官はまた、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が言及した国際海洋法裁判所に提訴するなどについては「様々な実効的な対応策を全て検討している。司法的措置の内容も含まれている」と答えた。文大統領は14日の大統領府会議で、「日本の原発汚染水海洋放出決定に関連し、国際海洋法裁判所に暫定措置とともに提訴する案を積極的に検討」するよう指示した。

 一方、相星孝一・駐韓日本大使は同日、福島第一原発汚染水の海洋放出過程を検証するIAEAの調査団に韓国側の専門家が参加する案に対し、肯定的な立場を示した。相星大使は同日、ソウル貞洞(チョンドン)で開かれた韓中日3カ国協力事務局設立10周年写真展の開幕式後、「韓国側の専門家が調査団に参加できるのか」という取材陣の質問に、「我々(日本政府)はそう考えているが、それはIAEAと韓国政府が協議する事項」だと答えた。IAEAはすでに調査団への韓国の専門家の参加に対し、肯定的な立場を明らかにした。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

文大統領が積極的に検討を指示した提訴と暫定措置の要請は、いずれも1982年に採択された国連海洋法条約(以下条約)を根拠にしている。

2021-04-16 | 放射能被害からこどもを助けよう!

[ニュース分析]

文大統領が指示した福島原発汚染水放出に関する

「国際法的措置」とは

登録:2021-04-15 06:18 修正:2021-04-15 08:50
 
大学生気候行動の関係者らが今月14日午前、ソウル鍾路区の日本大使館前で、日本政府の福島原発汚染水の海洋放出決定を糾弾するパフォーマンスを行っている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が14日、日本政府の福島第一原発汚染水の海洋放出決定と関連し、国際海洋法裁判所に「暫定措置」とともに「提訴」を積極的に検討するよう指示した。この暫定措置と提訴はどのように行われるのだろうか。

 文大統領が積極的に検討を指示した提訴と暫定措置の要請は、いずれも1982年に採択された国連海洋法条約(以下条約)を根拠にしている。各国の海洋環境保護・保全義務を規定した条約では、具体的に「自国の管轄権や統制下の活動が他国と自国の環境に対して汚染による損害を与えないように遂行されることを保障」し、「(発生した汚染が)外に拡散しないように保障するのに必要なあらゆる措置を取る」(第194条2項)ことを明示している。韓国政府はこれをもとに、日本の汚染水海洋放出と関連した紛争解決手続きを進める方針だ。 政府が実際に提訴した場合、現在としては「国連海洋法条約付属書7仲裁裁判所」で扱うことになる。仲裁裁判所は提訴が行われた後に構成される。

 文大統領が提訴とともに「暫定措置」に言及したのは、「最終判決が出るまで各紛争当事者の利益を保全または海洋環境に対する重大な損傷を防止」するため「暫定措置を命令することができる」(第290条)という条項のためだ。すなわち、仲裁裁判所が構成される間、国際海洋法裁判所(ITLOS)は、暫定措置をとることができる。ただし、これは裁判所が事案の緊急性を認めた場合に限られる。そのような意味で、暫定措置は、国内法で本案判決が出るまである行為を阻止できる仮処分決定と類似したものといるといえる。

 海洋法紛争手続き専門家のイ・ギボム延世大学法科大学院教授は「(暫定措置の)結論は予想できない」とし、参考に値する事例として、2001年に英国とアイルランドの間で起きた「MOX工場」事件を挙げた。この事件は英西部海岸セラフィールドに建設されたMOX(使用済み核燃料から抽出したプルトニウム・ウランの合成物質)生産工場で放射性物質が海洋汚染を起こす可能性があるとして、アイルランドが仲裁裁判所への提訴とともに暫定措置を要求した件だ。当時、仲裁裁判所は、MOX工場の試運転によってアイルランド海域に発生しうる影響についての追加の情報交換や、アイルランドの海に及ぼす危険や影響のモニタリング、海洋汚染防止のための措置を考案する上で、両国が協力するよう暫定措置を下した。イ教授はこのように「情報提供や協力など暫定措置の内容がかなり簡潔なものになるかもしれない」と見通した。日本政府が汚染水の放流を始めた状態なら、暫定措置として「放出中止」を要請できるが、今の段階ではこうした措置を要請するのは難しいということだ。

 専門家らは、何より汚染水の海洋放出による危険がまだ現実化していない状況で、暫定措置の要件を満たすための準備が必要だという意見を示した。延世大学政治外交学科のキム・ヒョンジョン教授(国際法)は「暫定措置は韓国政府が(汚染水の海洋放出に関連して)急迫した危険があるという“緊急性”の要件を満たすかどうかがカギとなる」としながらも、「原発汚染水の海洋放出の可能性を全く知らなかったわけではないため、政府が法律的な検討はしておいたのではないかと思う」と述べた。イ教授は「暫定措置の要請は本案提訴と同時に行われるべきだ。したがって、徹底した準備が必要だ」と指摘した。国際海洋法裁判所は1982年の国連海洋法条約により、1996年に設立された独立した司法機関で、国連海洋法条約の解釈と適用に関する紛争を扱う。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

新任駐韓日本大使に「これだけはお伝えせざるをえない。最も近く海を共有する韓国の憂慮がきわめて大きい」と伝えた。その直後に日本の決定にブレーキをかけられる「国際法的手段」を探すことを直接指示した。

2021-04-15 | 放射能被害からこどもを助けよう!

日本の「汚染水放出決定」は、韓日関係悪化の決定的“雷管”になるか

登録:2021-04-14 20:32 修正:2021-04-15 07:22
 
韓国政府、透明な情報公開など消極的対応から 
放出決定を阻止する攻勢的対応に転換
 
文在寅大統領が14日午前、大統領府本館で開かれた駐韓国大使への信任状捧呈式で、相星孝一駐韓日本大使(左)と記念写真を撮り退場を待っている/聯合ニュース

 福島第一原発汚染水を希釈して海に流すという日本政府の13日の決定に対し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「国際海洋法裁判所に提訴する方案を積極的に検討する」として強く正面から対抗し、韓日関係の梗塞が避けられなくなった。韓国政府は歴史問題や国民の健康権など譲歩できない問題では原則を守り、協力できる問題では協力するという“ツートラック原則”に従った対応だと説明するとみられるが、最悪の場合には文大統領が任期を終える来年5月まで韓日関係の回復が難しくなりうる。

 日本の汚染水放出決定に対する韓国政府の強硬な立場は12日から確認された。韓国政府はこの日「汚染水の海洋放流に対する外交部報道官論評」を通じて、日本政府の今回の決定に「深刻な憂慮」を表わし、「日本側が(韓国と)十分な協議をせずに海洋放流を決めることになるならば受け入れがたい」という強硬な立場を公開した。ク・ユンチョル国務調整室長は日本政府の決定がなされた13日当日には「政府対応計画」を発表し「日本政府の決定は絶対に容認できない」という異例の表現を繰り返し使い、日本をけん制した。さらに14日には、文大統領が直接出て信任状を捧呈するために礼訪した相星孝一新任駐韓日本大使に「これだけはお伝えせざるをえない。最も近く海を共有する韓国の憂慮がきわめて大きい」と伝えた。その直後に日本の決定にブレーキをかけられる「国際法的手段」を探すことを直接指示した。

 外交部はこれまで汚染水の放出決定自体は日本の「主権事項」としながら、決定自体を阻止するよりは▽透明な情報公開▽事後モニタリングへの参加保証など、韓国の立場を反映できる現実的なアプローチの態度を見せてきた。そのため、茂木敏充外相は13日の記者会見で、韓・中の強力な非難声明に対して「これまで国際原子力機構(IAEA)の情報提供と外交団に対する真剣な説明を通じて、中国・韓国を含む国際社会に対して高い透明性を持って積極的に情報提供してきた。米国は非常に高い評価をしている」と答えるにとどまった。

 文大統領が日本の決定自体を阻むとの「超強硬立場」に旋回したのは、二つの理由のためと解釈される。一つ目は国内政治的要因だ。今月7日、ソウルと釜山の市長選挙で惨敗した状況で、国民の健康に直結する「敏感な懸案」と関連して、日本に甘い態度を見せれば再び支持率が急落し、国政掌握力を失うことを憂慮したとみられる。

 二つ目は国際的要因だ。韓国政府は昨年9月に菅義偉首相が就任した後、東京五輪が「平和五輪」として開催されるよう韓国が支持するとして、積極的な対日関係改善に出た。文大統領は、韓日が「相手の立場で考える姿勢で膝を突き合わせよう」という3・1独立記念日の記念演説までの6カ月間、一貫して日本に和解の手を差し出した。だが、日本はその手を握ろうとせず「言葉でなく具体的譲歩案を出せ」という頑なな態度を変えなかった。しかし、韓国政府が「朝鮮半島平和プロセス」再開のための重要な契機にしてきた東京五輪に、北朝鮮が6日、参加しないという立場を公開し、関係改善の意味が大きく色あせた状況だ。さらに加えて日本軍「慰安婦」賠償関連第2次裁判の宣告日が21日に迫るなど、悪材料が幾重にも積まれている。裁判所が1月同様に国際慣習法上の「主権免除」原則を認めずに原告勝訴判決を下した場合、韓日関係は改めて荒波に巻きこまれることになる。だが、文大統領はこの日「昨年9月、菅首相の就任祝いの通話を通じて対話と協力の意志を確認できた」とし「協力の精神と意志があるならば、いかなる難しい問題もかき分けて進むことができると考える」と関係改善の意思を維持した。

 この中で興味を引くのは、強対強の対決局面に進入した米中の反応だ。ネッド・プライス米国務省報道官は13日の論評で、日本政府の決定に対し理解するとの反応を示したが、中国外交部は報道官の論評で「利害関係国、国際原子力機構(IAEA)と十分な合意に至るまで独断的に排出してはならない」との強硬な立場を公開した。汚染水懸案で米日と韓中が仲間として括られたわけだ。中国けん制のためクアッドなどの同盟国連帯に参加しろとの圧力を受けている韓国政府が、この問題と関連して中国とどの線まで協力できるかに関心が集中している。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

海外からも、憂慮・反対の声が多くあがっています。汚染水は、124万トンを超えており、魚介類の摂取を通じた人体への悪影響が懸念されます」とし「日本政府は福島原発の放射能汚染水を海に流すな」と訴えている。

2021-04-13 | 放射能被害からこどもを助けよう!

世界の市民、日本政府に「放射能汚染水の放出やめよ」訴え

登録:2021-04-13 03:56 修正:2021-04-13 07:07
 
311の環境団体「汚染水放出反対」書簡 
世界の市民6万5000人が署名 
グリーンピースも18万3000人あまりの請願を集める
 
日本の福島第一原発に設置されている汚染水タンク/聯合ニュース

 日本政府が福島第一原発の汚染水を海洋放出する方針を固めた中、これに反対する世界の市民の声も高まっている。

 環境運動連合、緑色連合、市民放射能監視センターなどの韓国国内の環境団体を含む世界24カ国の311の環境団体は「福島第一原発の汚染水を海洋に放出してはならない」とする書簡を日本の経済産業省に届けたことを12日に明らかにした。同書簡には、世界各国の市民およそ6万5000人が署名している。

 各国の環境団体からなる「福島原発事故10年国際署名実行委員会」が代表して届けた同書簡は、「福島県をはじめとし、(日本の)多くの人たちが(汚染水の海洋放出に)大きく反発しています。海外からも、憂慮・反対の声が多くあがっています。汚染水は、124万トンを超えており、魚介類の摂取を通じた人体への悪影響が懸念されます」とし「日本政府は福島原発の放射能汚染水を海に流すな」と訴えている。

 国際環境団体グリーンピースも同日、日本政府の汚染水放出計画の撤回を求める世界の市民の請願18万3754件を経済産業省に提出した。

 汚染水の放出に関する情報はきちんと公開されていない。エネルギー正義行動のイ・ヨンギョン事務局長は「海水は1カ所に集まっているわけではないので、全世界の海に放出すると考えてよい。汚染水がどれほど汚染されている状態なのか、浄化がどの程度なされているのかなどの情報が公開されていないため、不安がさらに高まっている側面がある」と話した。市民放射能監視センターのチェ・ギョンスクさんは「日本政府は、汚染水を水で希釈して放出するのだから安全だと主張しているが、つじつまの合わない話だ。水で薄めても、放射性物質の総量が変わらなければ、半減期が過ぎるまでは海を漂う」と述べた。

 汚染水を海洋に放出するのではなく、別の代案を探るべきだとの指摘もある。イ・ヨンギョン事務局長は「海洋放出よりは処理費用が高くなるが、汚染水をモルタルで固体化するという方法もある。ほかに方法がないわけではないのに、日本政府は経済的な問題で海洋放出を強行しようとしている」と述べた。チェ・ギョンスクさんは「日本政府はこれ以上汚染水を貯蔵する場所がないと言っているが、タンクを増設すれば済むこと。日本国内でも、今は放出せずに、せめて汚染物質の半減期を過ぎてから捨てろという要求が出ている」と述べた。

 NHKなどの日本のメディアは9日、日本政府が今月13日の関係閣僚会議で福島第一原発の汚染水を海に放出することを決定する方針を固めたと報じた。日本政府は、多核種除去設備(ALPS)と呼ばれる装置を用いて、ほとんどの放射性物質(62種)を基準値以下に浄化した後に放出する計画だと主張している。ただしトリチウム(三重水素)は、水と似た性質を持っているため浄化装置でもろ過が難しく、水で希釈して放出するという。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「漁業者の憂慮と、海を分かち合う他国の反応も気掛かりだ」とし「拙速は将来に深く禍根を残すことになる」と警告している。

2020-10-22 | 放射能被害からこどもを助けよう!
日本マスコミ 水俣病の例を挙げ
「福島原発汚染水放流は時期尚早」

登録:2020-10-21 20:53 修正:2020-10-22 06:38


東京新聞社説で「拙速は将来に深く禍根を残すことになる」 
事故原発によるトリチウムの大量放流、環境への影響は未知数 
「海水の希釈能力を過信したのが水俣病ではないか」批判

      
      資料写真=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 日本政府が福島第1原発敷地内のタンクに保管中である放射能汚染水の海洋放流を今月27日に決める可能性が高い中で、有力日刊紙の東京新聞が日本の代表的な環境惨事である“水俣病”を取り上げて時期尚早と主張した。

 東京新聞は21日「放射能汚染水、安全対策は万全なのか」という社説で、日本政府が2011年の東日本大震災当時に爆発事故を起こした福島第1原発の放射能汚染水の海洋放出を断行する方針だとして懸念される問題点を指摘した。

 社説は、汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化しても、放射性物質であるトリチウム(三重水素)は除去できず、他の物質も依然として残っていると伝えた。日本政府が1次浄化したものの、汚染水の70~80%からセシウムやストロンチウムなど人体に致命的な放射性物質が基準値以上含まれていることに言及したのだ。

 トリチウムを海水で薄め、濃度を法定基準以下にして放流する方案についても問題があると説明した。社説は、トリチウムについては他の一般の原発から出る排水にも含まれており、基準値以下の濃度にして海に放出することは国際的に認められているが、総量規制がないことが弱点だと強調した。新聞は「トリチウムの放射線は微弱だが、ゼロではない」とし、メルトダウン(炉心溶融)した原発からの処理水を長期にわたって海へ流し続けた場合の(環境)影響は未知数だ」と伝えた。炉心溶融とは、原子炉が入った圧力容器中の温度が急激に上昇し、中心部の核燃料棒が溶けて流れることを意味する。炉心溶融が起きれば放射性物質が大量に放出される。

            

日本の代表的な環境惨事である“水俣病”を取り上げて、福島汚染水の海洋放流は時期尚早と指摘する東京新聞10月21日付社説//ハンギョレ新聞社

 さらに、水俣病を取り上げて論じた。同紙は「海水の希釈能力を過信し、有機水銀を含む化学工場の排水を海に流し続けた結果が水俣病ではなかったか」と指摘した。水俣病は、熊本県水俣市のある化学工場が放流し続けた排水のために、1956年に最初の人の発病が確認された水銀中毒性神経疾患だ。水俣湾で獲った魚や貝を食べた地域の住民たちが、魚介類に蓄積された水銀を間接的に摂取し、神経マヒ、言語障害、難聴などの症状を起こし、死亡者も続出した。

 同紙は「漁業者の憂慮と、海を分かち合う他国の反応も気掛かりだ」とし「拙速は将来に深く禍根を残すことになる」と警告している。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「汚染水は日本の海にだけ流れ込むわけではない。私たち済州道を含め太平洋に接する国々がすべて当事国だ」

2020-10-22 | 放射能被害からこどもを助けよう!
ウォン・ヒリョン済州道知事
「福島原発の汚染水放出すれば日本政府相手に訴訟」

登録:2020-10-20 20:25 修正:2020-10-21 07:46


          

ウォン・ヒリョン済州道知事が15日午後、ソウル市麻浦区の麻浦現代ビルディングで開かれた「第8回より良い世の中に」(麻浦フォーラム)定例セミナーで講演している/聯合ニュース

 ウォン・ヒリョン済州道(チェジュド)知事が20日「日本政府が福島原子力発電所の放射性物質を含んだ汚染水放出を強行すれば、民事・刑事上の訴訟も辞さない」として、強硬対応することを明らかにした。

 ウォン知事はこの日、国会で記者会見を行い「日本政府が福島原発の汚染水の放流を強行する場合、済州道が先頭に立って韓日両国の法廷と国際裁判所に訴訟を起こす」とし、「済州と大韓民国は、一滴の汚染水も容認できない」と話した。

 彼はさらに「汚染水は日本の海にだけ流れ込むわけではない。私たち済州道を含め太平洋に接する国々がすべて当事国だ」とし「ドイツの海洋研究所によれば、福島原発の汚染水は200日後には済州に到達し、80日後には東海近海に到達する」と話した。

 ウォン知事は、汚染水の濃度を下げて放流すれば問題ないという日本政府側の主張に対しても、専門家により危険性が指摘されていると反論した。彼はさらに「私は済州道知事として、私たちの領海と国民の安全を守る義務がある」として「済州近海を守るのは、この海につながるすべての国の国民の生命と安全、生態系を守ること」と強調した。
ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

仁川国際空港の税関は昨年10月、日本の化粧品会社が輸出しようとしたマスカラ製品3.3トンから基準値を超える放射性物質トリウムを検出した。

2019-10-12 | 放射能被害からこどもを助けよう!

日本化粧品から基準値超える放射性物質も「返送しただけ」
 韓国議員が問題視

記事一覧 2019.10.11 13:47


【世宗聯合ニュース】韓国関税庁が11日までに国会企画財政委員会所属の沈基俊(シム・ギジュン)議員(与党・共に民主党)に提出した資料によると、仁川国際空港の税関は昨年10月、日本の化粧品会社が輸出しようとしたマスカラ製品3.3トンから基準値を超える放射性物質トリウムを検出した。線量率は毎時0.74マイクロシーベルトと、自然状態で検出される基本値の3倍以上だった。

沈基俊氏(資料写真)=(聯合ニュース)

 だが、関税庁は当該製品を送り返しただけで、製品の原料物質の含有分析を行わず、検査比率も増やさなかったと沈氏は指摘している。

 この化粧品会社が輸出した製品は、昨年10月に放射性物質が検出されて以降も韓国の税関を13回通過したが、検査が実施されたのは3回だけだった。放射性物質の検出以降、韓国に輸入された同社の化粧品は5.1トン、91万ドル(約9800万円)相当だった。

 沈氏は「韓国国内で流通する化粧品から放射性物質が検出されれば回収・廃棄に加えて製造停止など厳しい行政処分を下すが、輸入化粧品の場合は通関段階で検出されても返送処理するだけで成分検査や業者の管理が行われておらず、問題だ」と指摘している。

tnak51@yna.co.kr

今回の説明会には韓国と台湾を含め、世界22カ国と地域の外交官らが参加した。

2019-09-05 | 放射能被害からこどもを助けよう!
日本、福島原発の汚染水問題に関する
在日外交官向けの説明会を初公開

登録:2019-09-05 05:08 修正:2019-09-05 09:18


外務省主催で22カ国と地域が参加 
103回目の説明会だが、公開したのは初めて 
韓国政府の問題提起を意識したもよう

          

福島第1原発敷地内にある汚染水保管用の水タンク。トリチウムを除く他の放射性物質を除去した汚染水を保管するためのものだ。写真は2017年に撮影=福島原発共同取材団//ハンギョレ新聞社

 日本政府が東京駐在の外交官を外務省庁舎に招待し、福島第1原発の汚染水の現況に関する説明会を開いたと発表した。日本政府がこのような説明会を開いたのは103回目だが、その事実を公開したのは今回が初めてだ。

 外務省は4日「(説明会を)始める当初から、東日本大震災以降、福島第1原発の状況などについて在日外交官らに情報を提供しており、今回が103回目の説明会である点と、(日本が)国際原子力機関(IAEA)など国際会議の機会を通じて迅速かつ積極的に情報を発信を行ってきたことについて説明した」と発表した。今回の説明会には韓国と台湾を含め、世界22カ国と地域の外交官らが参加した。

 日本政府が異例にもこの説明会の開催を発表したのは、最近韓国政府が福島第1原発の汚染水問題を提起している点を意識した行動と見られる。

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震によって事故が起きた福島第1原発には、地下水が染み込み、現在も放射能汚染水が絶えず発生している。福島第1原発の運営会社である東京電力は、この汚染水を多核種除去設備 (ALPS)と呼ばれる放射性物質除去装置を通じて処理している。日本政府はこれまで、水素と同じ性質を持つ放射性物質のトリチウム(三重水素)を除いた他の62種の放射性物質を、ALPSを通じてきれいに除去できると述べてきた。ALPSで処理された汚染水は、福島第1原発敷地内のタンクに保管されている。

 問題は、保管中の汚染水が今年初め基準ですでに112万トンに達しており、敷地問題でタンクでの保管が数年以内に限界に達する可能性があるという点にある。このため、日本政府は海への放出を進めている。しかし、東京電力は昨年9月、福島第1原発の汚染水のうちALPSによる浄化作業が終わった89万トン(総95万トン)を調査した結果、80%を超える75万トンから依然として排出基準値を超える放射性物質が検出されたと明らかにした。このため、福島の漁民らは福島第1原発の汚染水の放出について依然として反対しており、日本政府も海への放出を強行できずにいる。
東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

国内の原発企業が建設から解体分野に事業領域を変えるよう、人材・金融などを総合的に支援する。

2019-04-19 | 放射能被害からこどもを助けよう!
韓国政府「原発解体産業を育成」
登録:2019-04-18 08:59 修正:2019-04-18 11:58


古里1号を解体する2022年より前に市場を創出 
古里1・2号機のタービン隔離工事など早期発注 
釜山・蔚山・慶州に原発解体研究所を設立

          

 韓国政府が原子力発電所の建設・運営だけでなく、解体・廃棄物の管理でもグローバル競争力を備えるため、国内で先に市場を創出し、解体専門企業を育成すると明らかにした。産業通商資源部は17日、政府ソウル庁舎で開かれた第13回経済活力対策会議で「原発解体産業の育成戦略(案)」を確定し発表した。政府は、2017年に永久停止された原発の古里(コリ)1号機を本格的に解体し始める2022年まで待たず、先に市場を創出すると明らかにした。古里1・2号機のタービン建屋隔離工事など、今すぐできることを細分化し、25の事業を早期発注する計画だ。

 原発の密集地域である釜山・蔚山(ウルサン)・慶州(キョンジュ)には、2021年下半期までに原発解体研究所を設立し、解体技術を育てていく予定だ。国内の原発企業が建設から解体分野に事業領域を変えるよう、人材・金融などを総合的に支援する。2022年までに解体現場で働く人材1300人を育成するという目標も出した。

 政府は世界の原発解体の市場規模を549兆ウォン(約54兆円)と推算している。まさにこれから開発される“ブルーオーシャン”(未開拓市場)だが、韓国はこれまで原発建設に重点を置いていたため、解体に関する技術や人材、インフラを育てるきっかけがなかったというのが政府の判断だ。政府は、古里1号機の解体を機に、世界の原発市場に韓国の技術と経験を示すことによって、549兆ウォン規模と推算される世界の解体市場に進出できると期待している。ホン・ナムギ経済副首相は「2035年までにグローバル原発解体市場でシェア10%を達成させる」と述べた。
チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

グリーンピース「福島原発汚染水」報告書  タンクに98万8千トン、建物内に2万7千トン  毎週2~4千トン増加…2021年にはタンク不足に 

2019-01-23 | 放射能被害からこどもを助けよう!
「日本、放射能汚染水111万トンの海洋放出を検討中」
登録:2019-01-22 22:20 修正:2019-01-23 09:01

グリーンピース「福島原発汚染水」報告書 
タンクに98万8千トン、建物内に2万7千トン 
毎週2~4千トン増加…2021年にはタンク不足に 
安く済ませるため低地帯に建設し被害拡大 
「唯一の解決法は、鋼鉄製タンクに保存することのみ」

           
グリーンピースのクリスティアン・オスルンド・キャンペイナーが昨年10月16日に空中から撮影した福島第1原発1~6号機の様子。放射能汚染水が入っている青色のタンクが発電所敷地内にぎっしり立っている=グリーンピース提供//ハンギョレ新聞社

 2011年3月、福島第1原発事故の後、原子力発電所1~4号機に保管された放射能汚染水が111万トンに達することが明らかになった。ソウルの汝矣島(ヨイド)にある「63ビルディング」を一杯に満たす量だ。日本政府と第1原発の事業者である東京電力は、汚染水の浄化が充分でないという指摘にもかかわらず、海に放出する方案を検討していて国際的論議が予想される。

 国際環境団体グリーンピースは「東京電力が自ら招来した福島原子力発電所汚染水」報告書(ショーン・バニー・グリーンピース ドイツ事務所首席原子力専門家作成)を22日、全世界に同時公開した。報告書によれば、昨年12月13日基準で東京電力の放射能浄化処理施設アルプス(ALPS・多核種除去設備)を経た後にタンクに保管中の放射能汚染水は98万8千トンを超える。原子炉とタービン建物に残っている水の量も2万8千トンに達する。汚染水は毎週2千~4千トンずつ増えている。

 放射能汚染水が増え続ける理由は、大きく分けて2つある。2011年の事故当時、溶け落ちた原子炉核燃料の温度が高まり2次化学反応を起こすことを防ぐために、毎日相当量の冷却水を1~3号機の原子炉に注水した。また事故が起きた原子力発電所は、海水面に近い低地帯に建設されたため、地下水や雨水が原子炉側に集まるようになっている。

 この水は溶融燃料などに接触しセシウム・コバルト・ストロンチウム・アンチモン・三重水素(トリチウム)などの放射能を帯びることになるが、この汚染水をどのように処理するかは2011年から論議の的だった。日本政府と東京電力は、まず2013年9月に本格稼動した多核種除去施設ALPSを通じて、三重水素を除く62種類の放射性核種を除去することにした。また、原発敷地全体に液体冷媒が流れるパイプ1671本を打ち込み、地中を凍らせる“凍土壁”(アイスウォール)を2014年6月から建設し、地下水の流入を減らすことにした。

 しかし、日本政府と東京電力は浄化と防水のすべてに失敗したことが分かった。東京電力は昨年9月、第1原発内のタンクに保管中の浄化済み汚染水94万トンのうち89万トンを分析した結果、84%に及ぶ75万トンから基準値を超える放射性物質が発見されたと明らかにした。また凍土壁を設置したものの、地下水を通じて汚染水は毎日130トンずつ増えているのが実情だ。

 汚染水の保存タンクは、2021年3月には満杯になると見られる。追加タンクの増設計画はまだない。日本原子力規制委員長は昨年10月、記者団に会い「汚染水を希釈(水を混ぜる)し、海洋に放出することを許容する」と明らかにしたこともあり、放出が差し迫ったのではないかという憂慮が提起されてきた。

 日本政府や東京電力が汚染水の放出を検討しているのは“費用”のためだ。2016年の日本の経済産業省の発表によれば、汚染水80万トンを放出するのに7~8年かかり、35~45億円が必要だ。地下埋設には最長76年かかり、その費用は天文学的水準だ。

 報告書は「当初汚染水が増加したのは、東京電力が建設および冷却水の使用費用を減らすために、原子力発電所を既存計画(海抜35メートル)を変更し海抜10メートルの低地帯に作ったため」とし「そのために第1原発は事故以前にも毎日地下水と戦わなければならなかった」と指摘した。さらに「東京電力と日本政府は、彼らの前任者が過去に犯した失敗から何の教訓も学ぶことができなかった。残された唯一の解決法は、鋼鉄で作られたタンクに汚染水を中長期的に保存し、その間に処理技術の発展を図ることだけ」と主張した。
チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

新たな「安全神話」を追認したものです。地震や津波の想定や安全対策、避難計画などへの不安は払しょくされていません。

2017-05-18 | 放射能被害からこどもを助けよう!
高浜原発再稼働
住民の不安は置き去りなのか



 関西電力が、高浜原発4号機(福井県高浜町)の再稼働を強行しました。高浜3、4号機は昨年3月に大津地裁の運転差し止めの仮処分決定によって停止していましたが、3月に大阪高裁が取り消しました。それに基づく再稼働です。関西電力は3号機も6月上旬に再稼働させる構えです。

 大阪高裁決定は、原子力規制委員会の新規制基準を正当化し、これに適合していれば安全という、新たな「安全神話」を追認したものです。地震や津波の想定や安全対策、避難計画などへの不安は払しょくされていません。住民置き去りの再稼働は中止すべきです。
避難の対象人口は18万人

 高浜原発は、原発が集中する福井県に立地しています。避難計画の策定が義務付けられている30キロ圏内には京都府や滋賀県も含まれ、避難の対象になる人口は約18万人にものぼります。関西の水がめの琵琶湖も近く、ひとたび事故が起きれば甚大な被害が出る恐れがあります。福井県と高浜町だけという「地元同意」で再稼働を可能にすることは、極めて問題です。

 3、4号機は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」発電で、制御が難しいといわれます。運転開始から30年を超え経年劣化も心配されています。

 東京電力福島第1原発事故の後に停止していた高浜3、4号機は2015年の福井地裁で再稼働を認めない仮処分が出ました。それが取り消され、いったん再稼働しましたが16年、大津地裁の判断で3号機は再び停止させられました(4号機は再稼働した際、3日後のトラブルで停止中)。両地裁は新規制基準について「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されない」(福井地裁)、「(新規制基準などが)直ちに公共の安寧となると考えることをためらわざるを得ない」(大津地裁)と根本的な疑問を突きつけました。両地裁の決定をなかったかのように再稼働を進める国と電力会社の姿勢は無責任です。

 昨年8月、高浜原発の事故を想定した広域避難訓練では、荒天のため船舶の運用を中止するなど住民がまともに避難できないことが浮き彫りになりました。

 1月には工事用の大型クレーンが倒れ、高浜2号機の燃料取り扱い建屋などを損傷する事故が起きたように関西電力の安全軽視の姿勢も重大です。

 安倍晋三政権の下で、九州電力の川内1、2号機、四国電力の伊方3号機が再稼働してきました。今回の高浜3、4号機に続き、夏以降、九電の玄海原発や関電の大飯原発の再稼働も狙われています。東京電力福島第1原発事故にまったく無反省な姿勢です。
この夏も電気は足りる

 安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けますが、原発を稼働させなくても電気は足りています。経済産業省は4月、この夏も昨年夏と同様、関西エリアも含め、全国で節電要請を見送ることを発表しました。再稼働を推進する政策に何の道理もありません。

 再稼働ノーの世論も多数のままです。3月の世論調査でも、再稼働反対が55%と賛成26%を大きく上回りました。安倍政権は国民を危険にさらす原発再稼働の推進をやめるべきです。

人が近づけない:推定で毎時650シーベルトという極めて高い線量は、今後の作業の困難さを予想させます。

2017-02-16 | 放射能被害からこどもを助けよう!
福島第1原発
廃炉作業阻む高線量
事故6年 本紙記者が現場ルポ

 東京電力福島第1原発事故から6年になるのを前に、本紙記者は14日、事故収束作業が続く同原発構内に入りました。東電が、合同取材団に公開しました。作業環境は改善されつつあるものの、廃炉作業を阻む高放射線量。その恐ろしさとともに、原発再稼働に固執する国・電力会社への憤りを覚えました。

 1、2号機まで約80メートルの高台。東電の線量計は毎時160マイクロシーベルトを超えています。

 目の前にそびえる高さ120メートルの1、2号機排気筒は、支柱に破断が見つかり上部解体が決まっています。肉眼でも赤さびが見えました。

 1号機は、建屋を覆っていたカバーが取り外され、水素爆発によってゆがんだ鉄骨がむき出しになっています。

 2号機は、水素爆発が起きず建屋は原形をとどめています。しかし、原子炉格納容器内の溶け落ちた核燃料(デブリ)の調査は、ロボットのカメラの不具合で作業が中断したばかり。推定で毎時650シーベルトという極めて高い線量は、今後の作業の困難さを予想させます。

 (唐沢俊治)