【論争】韓日首脳会談は必要か 背を向け合えば葛藤が深まるだけ
2013年09月16日/中央日報日本語版
朴熙(パク・チョルヒ)ソウル大国際大学院教授・日本研究所長
韓日首脳会談を行うべきかどうかが外交イシューとなっている。最近、安倍晋三日本首相が「朴槿恵(パク・クネ)大統領と対話をしたい」という意向を明らかにした。これに対し「両国関係を改善するためには両国首脳が会う必要がある」という意見と、「日本の歴史認識問題などのためまだ雰囲気は醸成されていない」という反論がある。双方の声を聞いた。
背を向け合えば葛藤が深まるだけ
歴史認識問題で悪化した韓日関係は回復の兆しが見えない。韓日首脳が就任した後、一度も向き合ったことがないというのは正常でない。9月初めにロシアで開かれたG20首脳会談当時も、格式ある会談はなかった。日中首脳が5分ではあるものの会話をしたという点で、韓日首脳会談はさらに関心を集めている。両国の懸案となっている争点と認識を勘案すれば、日本が誠意を見せるまでは韓日首脳会談を開催しにくいという主張に同感する。
日本政治家の歴史認識が退行的という点は否めない。安倍首相がシンガポールとフィリピンで韓日、韓中首脳会談の必要性を提起したが、麻生太郎副首相の「ナチス」発言と下村博文文部科学相の「民度が低い」という発言が冷や水を浴びせた。安倍首相は靖国神社参拝は自制したが、終戦記念日の行事で過去20年間ほど持続的に表明してきた謝罪と反省の意向を明らかにしなかった。こうした日本の現在の姿に免罪符を与えたり、目を閉じて済ませるのは難しいのが現実だ。
しかし安倍首相は政治的な突発変数がない限り今後3年間は首相として残り、朴槿恵大統領の相手となる公算が大きい。安倍首相の歴史認識が総体的に改善することを願いながら戦略的忍耐を続ければ、日本とは相当期間、背を向け合うことになるかもしれない。お互いの誤解と不信の姿は深まり、こうした雰囲気に便乗して相手を非難する動きがさらに強まる可能性がある。両国間の市民交流と貿易は下降曲線をたどるだろう。
日本は私たちにとって気楽な友人ではないが、引っ越しをすることもできない隣国だ。不便な隣人だからといって背を向けて暮らすのは成熟した関係ではない。日本の政治家の歪んだ歴史認識は受け入れがたいが、日本の政界がすべて安倍内閣の認識を共有しているわけではない。先月開かれた韓日フォーラムに日本与野党の有力政治家が参加したが、彼らの歴史認識は決して歪んでいなかった。
日本の国民と政治家を区別しようという朴大統領の言葉に注目したい。日本政治家が気に入らないからといって、韓国が好きな日本国民まで軽視しているというメッセージを投じる必要はない。もし安倍内閣の歴史認識が私たちの考えと距離があるなら、実際に会って考えを伝えるのも方法だ。
日本と背を向け合って暮らすのではないのなら、関係を改善しなければならない。対話のない関係進展はありえない。
韓日両国の首脳は10月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)や東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3など多者舞台で会う。両国の懸案を解決できる本格的な首脳会談に準備と時間が必要だというのは同意する。しかし多者会議の舞台でのあいさつ形式の略式首脳会談まで延ばす必要はない。首脳が会って懸案を解決する知恵を見つけようと話さない限り、どこの誰も韓日関係を改善しようとするステップを踏まないだろう。首脳が会って出口を開けば、懸案を解決しようとする人たちが動くはずだ。会話を避ければ強硬論が台頭する。韓日関係を葛藤局面に向かわせるのは両国にとって負担だ。隣国の首脳とあいさつを交わし、本格的な首脳会談の準備に向けた作業を稼働させるのは外交の技術であり、恥ではない。
歴史認識に変化ない限り信頼回復は難しい (2) 金栄煥(キム・ヨンファン)国会議員・韓日議員連盟副会長
私たちの外交の中心軸である4強首脳外交で日本だけが除外されている。朴槿恵大統領が日本より先にベトナムと首脳会談を行ったのも非常に異例だ。新政権発足から6カ月が過ぎ、北朝鮮とも関係改善が始まったが、韓日首脳会談は開かれる兆しが見えない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は03年6月に、李明博(イ・ミョンバク)大統領は08年4月に日本を訪問し、首脳会談をした。ともに就任直後だった。
韓国と日本は近現代史で敵対と親善という愛憎の歴史を持つ。植民支配の暗い過去にもかかわらず、両国は国交正常化で善隣友好関係を結んだ。しかし今の韓日関係は政治・外交的に最悪の状態にあるといっても過言でない。韓日両国の共同調査で「両国関係は良い」という回答は、韓国国民の場合2007年の37%から2013年には17%に、日本国民の場合も72%から18%に低下した。
日本は韓国にとって貿易量3位、海外投資14位の国だ。昨年、人的交流は566万人で、海外出入国者の比率でお互い世界1位の国だ。日本は韓国から最も近い国であり、経済的・安保的にも緊密に協力しなければならない重要な友邦であることは間違いない。とはいえ、韓日首脳会談は時期尚早だ。いや、しようとしてもできない状況だ。なぜか。
1つ目、まだ首脳会談を開く雰囲気が醸成されていない。両国の歴史で象徴的な記念日である8月15日、日本の安倍首相は過去の歴史に対する反省やアジア諸国に対する謝罪を全くしなかった。さらに閣僚が靖国神社を参拝し、韓国国民の感情をさらに刺激した。日本が韓日首脳会談を希望すると述べながらも、安倍首相は「歴史認識を首脳会談の前提条件とするのは正しくない」とまで述べたという。こうした状況で首脳会談はしようとしてもできない。日本の歴史認識に変化がなければ、韓日間の真の信頼関係回復と首脳会談の成果は期待できないからだ。
2つ目、朴大統領の国政哲学である「非正常の正常化」は、日本との外交関係にも適用されなければならない。日本政府の指導層はその間、表では謝罪と反省をしながらも、裏では両国関係を害する妄言を繰り返してきた。過去の歴史、歴史教科書、独島(ドクト、日本名・竹島)問題、慰安婦問題など枚挙にいとまがない。いつまで日本のこうした態度に引きずられなければいけないのか。首脳会談がすべてではない。こうした異常な関係を正すための再発防止策について真剣に悩むのが先だ。
3つ目、経済と安保協力という国益のために首脳会談早期開催の必要性が強調されたりもする。しかし真の国益のためには、国民の自負心をともに、国格と国際的な地位を高めることがさらに重要だ。私たちは昨日の大韓民国ではない。経済と安保の面でも日本と対等な協力関係を維持するほど国力が伸張した。むしろ日本の右傾化と歴史を直視しない点が、域内国家間の歴史・領土葛藤を深めている状況だ。東アジアの平和と安定のためにも日本の変化を促し、堂々と臨まなければならない。日本が先に首脳会談を要請する今が適期だ。歴史認識に対する日本の誠意ある態度の変化と責任ある措置という最小限の前提条件が必要だ。原則を守って成果を出せる首脳会談になるために、私たちが急ぐ必要はない。
金栄煥(キム・ヨンファン)国会議員・韓日議員連盟副会長
朴熙(パク・チョルヒ)ソウル大国際大学院教授・日本研究所長