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バイデン大統領は前日、北朝鮮が21日に西海上に2発の巡航ミサイルを発射したことがワシントン・ポストを通じて公開された直後、たいしたことではないという反応を示した。

2021-03-27 | 米朝首脳会談

弾道ミサイルで北朝鮮政策の完成前に試されるバイデン政権

登録:2021-03-26 06:14 修正:2021-03-26 06:38
 
巡航ミサイルに「いつもと変わらない」と反応したが 
翌日の弾道ミサイル発射で、北朝鮮に挑戦状突き付けられる 
26日未明(韓国時間)の記者会見での発言に注目 
韓米日の見解の相違あれば北朝鮮政策の内容・時期に影響及ぼす可能性も 
 
米国のジョー・バイデン大統領が今月24日(現地時間)、ホワイトハウスのアイゼンハワー行政棟で開かれた男女賃金格差解消のための「イコール・ペイ・デイ」行事で演説を行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 25日、北朝鮮が東海上に弾道ミサイルと推定される飛翔体を発射したことで、ジョー・バイデン米大統領が就任2カ月で北朝鮮の挑戦に直面した。舞台に呼び出されたバイデン大統領が北朝鮮にいかなる対応を示すかによって、政権発足初期の朝米関係の行方が大きく影響されるものと見られる。

 米政府は、現地時間で24日夜に伝えられた北朝鮮のミサイル発射に対し、具体的な反応は示さなかった。バイデン大統領やホワイトハウス、国務省からはいずれも公の言及がなかった。朝鮮半島を担当する米インド太平洋司令部が報道官論評で「北朝鮮が今日朝、東海上にミサイルを発射したと把握している」とし、「我々は状況を引き続き注視すると共に、同盟やパートナーと緊密に協議している」と明らかにしただけだ。同司令部は「今回の行為は北朝鮮の違法な武器プログラムが周辺諸国と国際社会に提起する脅威を浮き彫りにした」とし、「韓国と日本の防御に対する米国の約束は引き続き鉄のように硬い」と付け加えた。

 バイデン大統領は前日、北朝鮮が21日に西海上に2発の巡航ミサイルを発射したことがワシントン・ポストを通じて公開された直後、たいしたことではないという反応を示した。バイデン大統領は、北朝鮮ミサイル発射が実際の挑発だと思うかという記者団の質問に「国防総省によると、それはいつもと変わらないこと」だとし、「彼らの行為によって新たに発生した問題はない」と答えた。米政府当局者も、「北朝鮮の巡航ミサイル発射は通常の活動の一つだ」とし、「これは国連安全保障理事会の決議に違反するものではない」と述べた。そして、北朝鮮との対話の意志を再確認した。北朝鮮政策が完成するまでは、北朝鮮との緊張の高まりを最大限避けることが重要だと、米政府関係者らは強調してきた。

 しかし、その翌日、北朝鮮はこれ見よがしに弾道ミサイルと推定される飛翔体を東海上に発射した。米政府高官はNBC放送に、北朝鮮が発射したのは「短距離弾道ミサイル」である可能性が非常に高いと述べた。もし弾道ミサイルであれば、バイデン政権が黙って見過ごすのは難しいだろう。北朝鮮の弾道ミサイルの発射は国連安保理決議に反する。米国の政界と国際社会で国連安保理決議違反だとして、強力な対応を求める声が高まる可能性がある。ただし、北朝鮮の今回のミサイルが、日本の排他的経済水域の内側に落ちない短距離と判明すれば、米国も対応を調整する余地が生まれるものと見られる。

 今回の発射に対するバイデン大統領の反応は、26日午前(ワシントン時間25日午後)に予定された記者会見で示される可能性が高い。北朝鮮とは関係なく、先週予告された就任後初の公式記者会見だが、北朝鮮に関する質疑応答も行われるものと見られる。バイデン大統領は昨年の大統領選挙当時、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長を「悪党」とし、露骨に非難したものの、就任後は金委員長や北朝鮮に対して刺激的な発言を控えてきた。彼がこれまで示してきた慎重さを貫くのか、それとも態度を転換するのかに関心が集まっている。

 北朝鮮のミサイル発射が、バイデン政権がほぼ完成段階にあると明らかにした北朝鮮政策に及ぼす影響も注目される。ひとまず米国は、政権発足の初期に朝鮮が武力挑発する可能性を想定していた可能性が高いため、今回の発射だけでこれまで検討してきた北朝鮮政策の方向が大きく揺らぐことはないものと見られる。しかし、北朝鮮政策と関連し、来週ワシントンで開かれる韓米日安保室長協議で、3カ国の間に隔たりがある場合、政策が影響を受けたり、完成までさらなる時間を要する可能性もある。すでに日本の菅義偉首相は今回の発射について、「国連決議に反する」と強く反発した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

トランプ大統領の突然の首脳会談受諾により発生した「外交的試練」に対応するために、日本が血眼になっていたことが推測できる。

2020-09-10 | 米朝首脳会談
ボルトン-谷内の合意、
核交渉を破局に追い込む

登録:2020-09-09 02:28 修正:2020-09-09 09:36


キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦_05

          

対北朝鮮超強硬派の米ジョン・ボルトン前国家安保担当大統領補佐官(左)と安倍晋三首相の「外交の懐刀」と呼ばれた谷内正太郎前国家安全保障局長=ボルトン前補佐官のツイッターより//ハンギョレ新聞社

ボルトン氏はこの会談について「東京の予測は韓国の予測と180度違い、簡単に言えば私と非常に似ている」と評した。ボルトン氏はトランプ大統領の深い信頼を得ている「安倍の日本」という友軍に出会ったのだ。

 「トランプ-金正恩(キム・ジョンウン)首脳会談について知れば知るほど、私はこの会談についていっそう落胆し否定的になった」

 6月末に大きな波紋を呼んだ回顧録『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』で、ジョン・ボルトン前国家安保担当大統領補佐官は、この2年にわたる朝米核交渉を、上のように渇いた陰鬱な表現で回想している。ボルトン氏は北朝鮮核問題の解決のために歴代の米政府がこの20年余りにわたり傾けてきた多くの努力をまとめて非難した後、「金正恩に会う」というドナルド・トランプ大統領の情熱についても「頭が痛かった(sick at heart)」との表現で冷笑した。

 対北朝鮮超強硬論者である「ネオコン」のボルトン氏がチョン・ウィヨン大統領府安保室長と初めて顔を合わせたのは、任命22日目の2018年4月12日だった。この会談でボルトン氏はチョン室長に対し、同月27日に予定される「板門店会談」において韓国からは「非核化についての具体的論議を避けること」を要求した。「北朝鮮が韓国を引き入れ、韓国と米日の仲たがいをさせるのではないかと懸念される」との理由からだったが、米政府内で北朝鮮に要求する「非核化の方式」についての十分な意見調整が行われていなかったことも影響を及ぼしたものとみられる。この頃、米国はマイク・ポンペオ国務長官による4月1日の1回目の訪朝を通じて、北朝鮮の金正恩国務委員長の非核化に対する意志を「直接」確認したばかりだった。それまでのトランプ大統領の対北朝鮮政策は、すべてのオプションをテーブルの上にのせる「最大限の圧迫」を通じて非核化を誘導する、というのがすべてだった。対話が始まったのだから、それにともなう準備が必要だった。

 チョン室長がホワイトハウスを訪問した「まさにその日」に、ボルトン氏を訪れたもう一人の客がいた。安倍晋三首相の外交の「懐刀」であり、12・28韓日合意を通じて、日本軍「慰安婦」問題の「最終的かつ不可逆的解決」を試みた谷内正太郎・前国家安全保障局長だった。ボルトン氏の表現を借りれば、谷内氏は「できるだけ早く(北朝鮮の核問題についての)自分たちの見通しを話したい」と述べた。トランプ大統領の突然の首脳会談受諾により発生した「外交的試練」に対応するために、日本が血眼になっていたことが推測できる。

 堅苦しく事務的な雰囲気で終わったと思われるチョン・ウィヨン-ボルトン会談とは異なり、ボルトン-谷内会談では、その後の朝米核交渉の方向性を事実上決定する「驚くべき化学作用」が発生した。谷内氏はボルトン氏に「核を持つという北朝鮮の決心は確定したものなので、この問題を平和的に解決しうる最後の機会に近づいている」とし、日本はブッシュ政権が2000年代半ばの6カ国協議で試みた「行動対行動」の解決策を望んでいないと述べた。「行動対行動」原則は一見合理的に見えるが、北朝鮮が意味ある措置を取る前に経済的利益を得ることを認めているため、肝心の非核化を「永遠に遅らせる」との理由からだった。谷内氏はさらに「トランプ政権下で直ちに(北朝鮮の核の)解体を開始し、(非核化に)2年以上かからないことを望んでいる」と述べた。するとボルトン氏は、自らが主導した2004~5年のリビアの非核化に言及し「6~9カ月あれば十分」と答えた。ボルトン氏は谷内氏が「返事の代わりに妙な笑みを残した」と書いている。ボルトン氏はこの会談について「東京の予測は韓国の予測と180度違い、簡単に言えば私と非常に似ている」と評した。ボルトン氏はトランプ大統領の深い信頼を得ている「安倍の日本」という友軍に出会ったのだ。

 1週間後には安倍首相が直接乗り出してきた。安倍首相は4月17~18日、フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」で「北朝鮮と合意を結ぶには、本当に実効性のある合意を結ばなければならない」と要求した。さらに北朝鮮に核だけでなく、あらゆる生物・化学兵器も放棄させねばならず、米国を攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)はもちろん、日本を脅かす中・短距離弾道ミサイルも放棄させるべきだと強調した。北朝鮮が事実上受け入れがたい「最大値の要求」をしたのだ。

 それから10日後の27日、南北首脳が板門店(パンムンジョム)で会談した。4・27「板門店宣言」には米国の要求通り「南北は『完全な非核化』を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認」するという宣言的な文句だけが盛り込まれた。今度は米国の出番だった。

 ボルトン氏と谷内氏の間で、北朝鮮の非核化方式に関する「具体的合意」がなされたのは5月4日だった。同じ日に行われたチョン・ウィヨン-ボルトン会談を伝えるホワイトハウスの発表文には「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の5月22日の訪米準備を開始する」との実務的な内容が書かれているに過ぎない。しかし、同日行われたボルトン-谷内会談の結果を伝える発表文には、北朝鮮のすべての核、弾道ミサイル、生物・化学兵器、さらには関連するすべてのプログラムを、完全かつ永久に解体するという共有された目標を、両氏が再確認したという文が含まれている。過度に結果論的な解釈とも言えるだろうが、翌年2・28「ハノイの悲劇」の直接の原因になったとされる(トランプ大統領が金正恩委員長に渡した)「非核化定義文書」の内容が、この日米日間で合意されていたことが分かる。そういった意味では、2018年5月4日を、朝米核交渉の悲劇的運命が事実上決定した「運命の日」と呼ぶこともできるかもしれない。

 ボルトン氏と谷内氏の合意内容がメディアに公開されたのは、それから9日後の5月13日だった。ボルトン氏はABC放送のインタビューで「非核化というのは単に核兵器のみをいうのではない」とし「弾道ミサイルもテーブルの上に載せてあり、化学・生物兵器にも触れる」と述べた。続いて「永久かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」とは「すべての核兵器をなくし、それらを解体して(米国の核施設)テネシー州オークリッジに持ってくることを意味する」と述べた。米国が北朝鮮の核・弾道ミサイルと化学・生物兵器を対象として、迅速かつ攻撃的な「ビッグディール」式の非核化を進めるという公開宣言だった。ボルトン氏の「強硬論」はその後、北朝鮮と直接交渉する国務省の「現実論」と対立し、浮き沈みすることになるが、結局ハノイでの2回目の首脳会談まで生き残り、核交渉を破局へと追い込むことになる。

 事実上の「白旗投降」を求めるボルトン氏の要求に北朝鮮は動揺した。3日後の16日、北朝鮮のキム・ゲグァン外務省第1次官(当時)は「ボルトンをはじめとするホワイトハウスと米国務省の高位官僚たちは『まず核放棄、後に補償』など(中略)リビア核放棄方式などの主張を行っている」とし「米国の処置には激怒を禁じえず、米国が真に健全な対話と交渉を通じて朝米関係改善を望んでいるのか疑わしい」という反応を見せた。続いて北朝鮮内の強硬派であるチェ・ソンヒ外務次官は24日、マイク・ペンス副大統領の3日前の「FOXニュース」のインタビューの内容を問題視し、「我々は米国に対話を乞うことはせず、米国が我々と向き合わないと言うのなら、強いて引き止めることもないだろう」と述べた。この頃の北朝鮮の最大の悩みは「米国を信じても良いのか」という信頼の問題だった。金正恩委員長は文在寅大統領との4・27徒歩橋会談などで「我々は核を放棄する誠意を持っている。米国が我々の要求を受け入れれば、1年以内に非核化することも可能だ。米国が受け入れるかどうか心配だ」と述べたという。

 北朝鮮の激しい反応に当惑したトランプ大統領は、その直後の24日午前9時45分(米国時間)、ツイッターにアップした公開書簡で「最近の談話文に表れた激しい怒りとあからさまな敵愾心からして、会談を開くのは不適切だと感じる」とし、6月12日にシンガポールで予定されていた会談を突然取り消した。チョン・ウィヨン室長はその朝遅く(韓国時間では真夜中だったはず)、ボルトン氏に「強い抗議」の意を込めた電話をかけたが、谷内氏は「会談が取り消されて非常に安心した」という反応を示した。

 もちろん、これは最終的な結末ではなかった。キム・ゲグァン氏は会談取り消し直後の25日、公開談話で「トランプ大統領が過去のどの大統領も下せなかった勇断を下したことを高く評価」したとし「朝鮮半島と人類の平和・安定のために、開かれた心で米国側に時間と機会を与える用意がある」と述べた。金委員長も26日、文大統領と板門閣(パンムンガク)で突然首脳会談を開き、朝米会談に対する切実な意志を示した。金委員長は感謝の意を込めて文大統領を抱擁した。

 鍵を握るトランプ大統領も、心から会談を取り消すつもりはなかった。板門閣で南北首脳会談が行われたというニュースが伝えられた後の26日、「われわれは6月12日にシンガポールで会う。これは変わっていない」と述べた。北朝鮮も『労働新聞』の1面で「6月12日に予定される朝米首脳会談」と表現し、会談を既成事実化した。実際に解決した問題は何もなかったが、破局はひとまず回避されたように見えた。
//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン|統一外交チーム記者。大学で政治外交学を専攻。駆け出し記者時代から強制動員の被害問題と韓日関係に関心を持ち、多くの記事を書いてきた。2013年秋から2017年春までハンギョレ東京特派員を務め、安倍政権が推進してきた様々な政策を間近で探った。韓国語著書に『私は朝鮮人カミカゼだ』、『安倍とは何者か』、『26日間の光復』など、訳書に『真実: 私は「捏造記者」ではない」(植村隆著)、『安倍三代』(青木理著)がある。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

文在寅(ムン・ジェイン)大統領がビーガン副長官と直接面会し、政権後半期の韓国政府の対北朝鮮政策を説明するとともに、朝米対話の早急な再開を求める可能性も排除できない。

2020-07-06 | 米朝首脳会談
ビーガン副長官、
「向き合う必要ない」という北朝鮮に
前向きなメッセージ送るか

登録:2020-07-06 06:37 修正:2020-07-06 07:33


[スティーブン・ビーガン副長官、明日2泊3日の日程で訪韓] 
労働新聞「火星14型」特集記事掲載 
米国に対する非難・敵がい心示さず 
対話の拒否ではなく“行動”求めるものと見られる

          

2018年9月15日、韓国のイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長と会談するため外交部庁舎に入るスティーブン・ビーガン対北朝鮮政策特別代表(左)と、第1回朝米首脳会談を翌日に控えた同年6月11日、シンガポールのリッツカールトンホテルに向かうチェ・ソンヒ外務次官//ハンギョレ新聞社

 スティーブン・ビーガン米国務副長官兼北朝鮮政策特別代表が7日に訪韓し、韓国政府の外交安保分野の中心人物らと相次いで面会するものと見られる。ビーガン副長官が持ってくる「対北朝鮮メッセージ」に関心が集まる中、北朝鮮が4日の「チェ・ソンヒ談話」で「米国と向き合う必要はない」と述べたことが注目される。しかし同日、北朝鮮が3年前に米国を射程圏内にとらえた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したことを大々的に宣伝しながらも、米国に対する非難を意識的に控えたことから、談話の狙いは“対話の拒否”ではなく、”実質的な行動”を求めることにあるものと見られている。

 5日、複数の政府関係者の話によると、ビーガン副長官は7日から2泊3日で韓国に滞在し、カン・ギョンファ外交部長官をはじめ、チョ・セヨン外交部第1次官、イ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長ら外交部高官に会う予定だという。南北関係が硬直し、朝米対話でもこれといった進展が見られない中、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がビーガン副長官と直接面会し、政権後半期の韓国政府の対北朝鮮政策を説明するとともに、朝米対話の早急な再開を求める可能性も排除できない。

 ビーガン副長官の対北朝鮮メッセージは、訪韓期間に予定された略式記者会見で示される見通しだ。朝米対話の突破口を開くほどの前向きなメッセージを持ってくるかどうかによって、北朝鮮の反応も変わるものと見られる。これに先立ち、北朝鮮のチェ・ソンヒ外務次官は4日、「朝鮮中央通信」に発表された談話で、「米国と向き合う必要はない」という強硬な立場を示した。

 注目すべきなのは、北朝鮮側が、チェ・ソンヒ談話が発表された日の「労働新聞」1~3面に2017年の「火星14型の打ち上げ成功」を取り上げた12件の特集記事を掲載しながらも、米国に対する非難や敵がい心を煽る発言を控えたことだ。「火星14型」は北朝鮮の長距離ロケットの中で初めて米国本土を射程圏内とらえた大陸間弾道ミサイルだ。北朝鮮のこうした態度は、米国に示したい“思惑”が別にあるという意味だ。

 「チェ・ソンヒ談話」は、「忘れられつつあった“朝米首脳会談”という言葉が数日前から話題になり、国際社会の耳目を集めている」という文で始まる。そして「すでに実現した首脳会談の合意も眼中になく、朝鮮に対する敵視政策にしがみつく米国との対話や取引が果たして成立するだろうか。朝米対話を政治的危機を乗り越えるための道具としか考えていない米国とは向き合う必要がない」と述べた。

 「チェ・ソンヒ談話」における朝米対話の拒否は、無条件的かつ全面的なものではない。「敵視政策」を問題視し、ドナルド・トランプ米大統領の再選用の「道具」に悪用されるような会談はしないという意思表示に近い。先月30日、ある講演で「双方が進もうとしている方向で、実質的な進展を果たす時間がまだあると信じている」と述べたビーガン副長官に対し、「とりあえず会おう」というような“対話のための対話”には応じるつもりがないという考えを明らかにしたのだ。言葉ではなく“行動”を求めているということだ。

 「労働新聞」の特集は「今こそ自力富強、自力繁栄の大業を成し遂げていく責任ある時期」だとし、「開発創造型工業」「全社会的に(利潤など)数字を重視する気風」、「地域別、部門別、単位別社会主義競争」などを呼び掛けた。「労働新聞」は5日付で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応した「国家非常防疫」の強化と平壌総合病院の建設を促す社説を1面トップで掲載した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の関心事を示すとともに、「朝鮮半島平和プロセス」の再推進に向けた潜在的動力のある分野といえる。
イ・ジェフン、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

我が共和国の変わらぬ戦略的目標は、米国の長期的な軍事的脅威を管理するためのより確実な力を育てること

2020-06-14 | 米朝首脳会談
シンガポール朝米声明2周年…
北朝鮮、「米国の脅威に対する確実な力を育てる」

登録:2020-06-13 06:34 修正:2020-06-13 07:40


外務相、談話で米国を強く批判 
「関係改善の希望、絶望へと変わった 
二度と宣伝用の治績を渡すことはないだろう」 
 
共同声明の白紙化や廃棄には言及せず 
進展のない朝米関係に態度変化を要求 
米国務省「柔軟なアプローチの意向あり」

        

チョ・ミョンギュン前統一部長官とリ・ソングォン北朝鮮外務相が2018年12月、北朝鮮の開城の板門駅で開かれた南北道路鉄道連結着工式に出席し、拍手をしている//ハンギョレ新聞社

 リ・ソングォン北朝鮮外務相は12日、「二度と何の見返りもなく、米国の執権者に宣伝用の治績を渡すことはないだろう」と述べたと、「朝鮮中央通信」が報じた。

 リ外務相は6・12朝米シンガポール共同声明2周年に合わせて発表した「談話」で、「我が共和国の変わらぬ戦略的目標は、米国の長期的な軍事的脅威を管理するためのより確実な力を育てること」だとし、「これが6・12(共同声明)2周年を迎え、我々が米国に送る答えだ」と述べた。同談話は北朝鮮住民が読む「労働新聞」には掲載されず、外部向けの朝鮮中央通信でのみ公開された。

 リ外務相は「我が最高指導部と米大統領の親交関係が維持されたからといって、実際に朝米関係が改善されたことは一つもないのに、シンガポールで握手した手を握り続ける必要があるだろうか」と問い返した後、「米国が口先では我々との関係改善を掲げ、実際には情勢の激化に狂奔してきた。米国の根強い対朝鮮敵視政策が根源的に終息しない限り、米国は我々に対する長期的な脅威として残るだろう」と述べた。

 「米国の軍事脅威を管理する確実な力」と関連し、リ外務相は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が主宰した朝鮮労働党中央軍事委員会7期第4回拡大会議(「労働新聞」5月24日付1面)で「国家の核発展戦略について討議」し、「核戦争の抑止力を強化することを厳粛に宣言した」と想起させた。

 リ外務相の談話は随所に荒い表現が含まれていた。6.12共同声明以降、2年間にわたり米国が見せてきた態度が「制度転覆、核先制打撃、対(北)朝鮮孤立圧殺を意味する」とし、「朝米関係改善への希望は絶望へと変わった」と語った。にもかかわらず、6・12共同声明の「白紙化」や「廃棄」には触れなかった。「シンガポールで握手した手を握り続ける必要があるだろうか」という質問は、逆説的に米国の態度変化を求める間接話法と言える。直ちに「対米武力誇示」を予告しなかった点も、同じ脈絡だ。

 リ外務相の談話は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の今年の新年の辞に代わる労働党中央委7期第5回全員会議(2019年12月28~31日)の結論の延長線上にある。金委員長は当時、「朝米対決は自力更生と制裁の対決」とし、経済を「基本戦線」とし、農業を「主打撃前方」とした「自力更生式正面突破戦」を新たな方向として提示した。

 一方、米国務省は北朝鮮との対話再開の可能性に関する国内メディアの質疑に対し、「米国はシンガポール首脳会談のすべての約束に対するバランスの取れた合意に達するため、柔軟なアプローチを取る意向がある」と強調した。
イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「朝米対話の早急な再開を引き出すための南北協力事業の諸般の事項を議論することになるだろう」と述べた。

2020-02-10 | 米朝首脳会談
米国の北朝鮮政策特別副代表が訪韓…10日に韓米「作業部会」会議
登録:2020-02-10 01:58 修正:2020-02-10 07:11


個別観光など南北協力事業、北朝鮮制裁に問題ないよう事前調整 
駐韓米国大使館「ウォン副代表、作業部会米代表団率いる」

        

アレックス・ウォン米国務省北朝鮮政策特別副代表が9日、仁川空港を通じて入国している//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国政府が非核化、南北関係、対北朝鮮制裁に関する事案を調整する協議体である韓米作業部会(ワーキンググループ)会議が10日にソウルで開かれる。このため、アレックス・ウォン米国務省北朝鮮政策特別副代表が9日午後に訪韓した。

 9日、外交部当局者は「外交部のイ・ドンニョル平和外交企画団長とウォン副代表の間で、韓米局長級協議が明日ソウルの外交部庁舎で開かれる予定」とし、「朝米対話の早急な再開を引き出すための南北協力事業の諸般の事項を議論することになるだろう」と述べた。

 韓国政府は、韓米作業部会の議論に神経を使いすぎて南北協力事業を十分に進展させられなかったという批判などを意識し、最近は「作業部会」という用語をできるだけ使わないようにしている雰囲気だ。いっぽう米国は、今回の会議が作業部会会議であるということを明確にしている。駐韓米国大使館の報道官は「ウォン副代表は韓国大統領府、外交部、統一部の当局者と会うためにソウルを訪問した」とし「彼は韓米作業部会会議で米国代表団を率いる」と述べた。

 今回の会議で韓国側は、北朝鮮の個別観光をはじめとして南北協力事業を進展させる様々な構想を説明するとともに、今後南北協力事業を推進する時に北朝鮮制裁に抵触しないようにするための事前調整も行うと予想される。北朝鮮の個別観光そのものは北朝鮮制裁に抵触しないが、観光客による携帯電話やノートパソコンの北朝鮮への持ち込みは問題が生じる可能性があり、事前協議が必要だという指摘があるためだ。

 ウォン副代表はまた、外交部のイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長を表敬訪問するとともに、大統領府や統一部の当局者などと会談した後、12日に韓国を離れると伝えられている。米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表が同省の副長官に昇進したため、朝鮮半島以外の様々な地域を担当することになり、対北朝鮮特使を務めたマーク・ランバート氏が「多国間連帯」特使に異動となったことで、対北朝鮮政策でウォン副代表の果たす役割が大きくなっているという評価が出ている。
パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

朝米会談の準備が順調に進む場合、これまで通り金委員長が関連協議のために訪中する可能性が高いと、国情院は見ている。

2019-11-06 | 米朝首脳会談
国家情報院「金委員長、12月の朝米首脳会談目指す…
年内訪中の見込み」

登録:2019-11-05 06:04 修正:2019-11-05 08:36


国会情報委の非公開国政監査で明らかに 
「来月初めまでには実務協議」の見通し 
 
金剛山撤去指示にチェ副相が参加 
「対米脅迫にもなり得る」と分析 
 
北朝鮮のICBM移動式発射をめぐる論議に 
「発射台に問題発生し、移動の時だけ使い 
移動後は別途の台に載せて発射した」


          

ソ・フン国情院長が今月4日午前、国情院で開かれた国会情報委員会の国情院国政監査に出席している=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が12月までに第3回朝米首脳会談の開催を目指しているものと把握していると、国家情報院(国情院)が4日に明らかにした。

 国会情報委員長の正しい未来党のイ・ヘフン議員は同日、ソウル瑞草区内谷洞(ネゴクドン)の国情院で開かれた非公開国政監査で、「ソ・フン国情院長がこのように報告した」と、ブリーフィングで明らかにした。イ議員は「国情院は、北朝鮮が提示した『今年中の朝米首脳会談』の目標から、12月初めまでは実務交渉をするだろうと合理的に推測した」と述べた。

 また、国情院は朝中国交70周年を機に、北朝鮮と中国が金委員長の訪中問題を協議していることを把握したと報告した。特に、朝米会談の準備が順調に進む場合、これまで通り金委員長が関連協議のために訪中する可能性が高いと、国情院は見ている。

 先月、金正恩国務委員長の「金剛山(の韓国)施設の撤去」指示の過程にチェ・ソンヒ外務省副相が参加したことと関連し、国情院は「対南脅迫だけでなく対米脅迫にもなり得る」と分析したと、自由韓国党情報委幹事のイ・ウンジェ議員が伝えた。

 同日の国政監査では、北朝鮮が先月30日に発射した超大型放射砲と関連した情報委員らの質疑が相次いだ。国情院は同放射砲について「8月24日と9月10日に発射した飛翔体と同一のものと把握した」としたうえで、「8月には推進機関の性能を、9月には精密誘導機能を検証したことに続き、今度は連発射撃能力の検証に焦点を合わせたものとみられる」と説明したという。

 また、北朝鮮が先月2日に発射した新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3型」は新規製作された発射装備で、従来の「北極星」より弾頭が向上したもので、国情院は把握していたという。キム・ミンギ議員は「北朝鮮新浦(シンポ)の造船所で、ロミオ級潜水艦を改造し、潜水艦発射弾道ミサイルを装着できる新型潜水艦を建造している」と伝え、「全幅は7メートル、全長は約80メートルだ。進水すれば(その)潜水艦から発射実験を行う可能性があり、国情院が動向を注視している」と伝えた。

 今月1日、チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長が国会運営委員会の国政監査で「大陸間弾道ミサイル(ICBM)を移動式発射台(TEL)で発射することは不可能だ」と述べたことに対する質疑もあったという。これについてソ・フン院長は、「過去に移動式発射台から発射したことがあるが、最近は発射台の機能に問題が生じ、移動する時だけ使って移動した後は別途の台に載せて発射したことがあるというのが事実」だとし、「ただし、『北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを移動式発射台から発射する能力を備えているようだ』という国防情報本部の評価は(最近の事例とは)別の問題だ」と解釈したと、イ議員は伝えた。

 また国情院は、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の腹違いの弟であるキム・ピョンイル駐チェコ大使が近く帰国するものと展望した。キム大使は1988年ハンガリーを皮切りに、ブルガリアやポーランド、チェコなどに駐在し、約30年間活動してきた人物だ。キム・ピョンイルの実姉、キム・ギョンジンの夫であるキム・グァンソプ駐オーストリア大使も交代し、同伴帰国の可能性があると、国情院は情報委に報告した。
キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

金明吉外務省巡回大使は協議終了後に声明を発表「米国が旧態依然の立場と態度を捨てられずにいるためだ」と指摘した。

2019-10-06 | 米朝首脳会談

米朝実務協議が「決裂」 北朝鮮代表が声明発表
北朝鮮 2019.10.06 10:41


【ストックホルム聯合ニュース】北朝鮮の非核化を巡る米朝実務協議が5日、スウェーデンのストックホルムで行われ、北朝鮮首席代表の金明吉(キム・ミョンギル)外務省巡回大使は協議終了後に声明を発表し、協議が決裂したと表明した。

          
          本文とカットは直接関係ありません。

北朝鮮首席代表の金明吉外務省巡回大使は協議終了後に声明を発表し、協議が決裂したと表明した(共同取材団)=5日、ストックホルム(聯合ニュース)

 実務協議は2月にベトナムで開かれた米朝首脳会談が物別れに終わって以降、初めてで、約7カ月ぶりの再開となったが決裂し、昨年から続いた非核化交渉は最大の危機を迎えることになった。

 金氏は協議終了後、ストックホルム郊外の北朝鮮大使館前で声明を発表し、「交渉はわれわれの期待に応えておらず決裂した。非常に不快に思う」と述べた。結果を導き出せないまま協議が決裂したのは「米国が旧態依然の立場と態度を捨てられずにいるためだ」と指摘した。

 続けて「米国はこれまで柔軟なアプローチと新しい方法、創造的な解決策を示唆して期待を高めたが手ぶらで現れ、われわれを大きく失望させ、交渉の意欲を下げた」と非難した。

 その上で「われわれが既に米国側にどのような計算法が必要かを明白に説明し、時間も十分与えたにもかかわらず手ぶらで交渉に臨んだのは、結局問題を解決する考えがないことを示している」と主張。米国側が交渉の準備ができていないとの判断に基づき、交渉中断と年末までの熟考を勧告したと明らかにした。

 また「今回の協議が失敗した原因を大胆に認め是正することで対話再開の火種をよみがえらせるか、または対話の扉を永遠に閉ざすかは専ら米国の態度にかかっている」と述べた。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験や核実験の中止を年末まで維持するのかとの質問に対しては「われわれが交渉を進める過程で取り上げた内容を具体的に全てここで話すことはできない。一つ明白なことは、われわれが要求した計算法を米国が持って来なかったことだ」と強調。核実験、ICBM発射実験の中止が維持されるかどうかも米国の立場にかかっていると主張した。

 金氏は「われわれは今回の交渉で米国の間違ったアプローチによりもたらされた朝米(米朝)対話の膠着(こうちゃく)状態を脱し、問題解決の突破口を切り開くことができる現実的な方法を提示した。核実験とICBM発射実験の中止、北部の核実験場の廃棄、米軍の遺骨返還のようにわれわれが先に取った非核化措置と信頼構築のための措置に対し米国が誠意をもって応じれば、次の段階の非核化措置に向けた本格的な協議に入ることができるという立場を明白にした」と説明した。

 また、米国に対し、シンガポールでの初の米朝首脳会談後、15回にわたり対北朝鮮制裁措置を発動し、トランプ大統領が中止すると直接言及した韓米合同軍事演習も再開し、朝鮮半島周辺の先端の軍備を引き寄せ、北朝鮮の生存権と発展の権利を脅かしたと非難した。

 朝鮮半島の完全な非核化について「われわれの安全を脅かし、発展を阻害する障害物がきれいに、疑いの余地がないよう取り除かれたときに可能だ」との見解を示した。米国の威嚇を維持したまま、北朝鮮が先に核抑止力を放棄してこそ生存権と発展の権利が保障されるという主張は話にならないと主張した。

 金氏は「朝鮮半島問題を対話と交渉を通じて解決するというわれわれの立場は不変だ。米国が独善的かつ一方的で旧態依然とした立場に固執すれば、100回、1000回対座しても対話の意味がない」と述べた。また「交渉のための交渉をしながら時間を無駄遣いすることが米国に必要なのかどうか分からないが、われわれには必要がない」と主張した。

hjc@yna.co.kr


青瓦台NSC、米朝実務交渉の動向を議論…
「韓半島平和構築の契機に」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.10.05 10:20
11
青瓦台(チョンワデ、大統領府)が4日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の主宰で国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、スウェーデンのストックホルムで開かれる予定の米朝非核化実務交渉関連の動向について議論した。

NSC常任委員はこの日の会議で、今回の実務交渉が成功し、韓半島(朝鮮半島)の完全な非核化に向けて実質的に進展し、韓半島の恒久的平和構築のきっかけになることを期待した。また文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先月の国連総会での演説で提案した「非武装地帯国際平和地帯」構想の具体的実践案を早期に出して積極的に推進していくことにした。

一方、米朝実務交渉は5日にスウェーデン・ストックホルムで始まるとみられる。北朝鮮側首席代表の金明吉(キム・ミョンギル)巡回大使とクォン・ジョングン元北米局長がこの日、ストックホルム空港に到着したのに続き、ビーガン北朝鮮担当特別代表ら米国代表団も近くスウェーデン入りするとみられる。

キム大使は「私は米国側がこれから行われる朝米協議に、きちんとした計算法を持ってくると期待しており、その結果について楽観視する」と述べた。

2019-09-22 | 米朝首脳会談
北朝鮮の朝米実務協議首席代表、
「トランプ大統領の『新たな方法』の決断を歓迎」

登録:2019-09-21 07:24 修正:2019-09-21 09:14


「朝米実務協議首席代表」名乗り 
「非核化後の相応の措置」という米国の立場の変化に期待感示す 
「新たな計算法と結果を楽観」朝米実務協議が近日中に行われる見込み 

          

ドナルド・トランプ米大統領(左)が、昨年18日、ロバート・オブライエン新任ホワイトハウスNSC補佐官とともにロサンゼルス国際空港で並んで歩いている/聯合ニュース

 朝米非核化交渉の首席代表とされるキム・ミョンギル北朝鮮外務省巡回大使が20日、ドナルド・トランプ米大統領が非核化交渉で「リビアモデル」に変わる「新たな方法」にを言及したことを歓迎し、実務協議に対する期待感を示した。

 キム大使は同日、「朝鮮中央通信」が公開した談話で、「私は、トランプ米大統領が『リビア式の核放棄』方式の不当性を指摘し、朝米関係改善のための『新たな方法』を主張したという報道を興味深く読んだ」としたうえで、「時代錯誤の古い枠組みにこだわっていた厄介者が米政府から消えただけに、これからはより実用的な観点で朝米関係にアプローチすべきというトランプ大統領の賢明な政治的決断を歓迎する」と述べた。彼は同談話で、「朝米実務協議の北朝鮮側首席代表」と名乗り、朝米協議の首席代表を務めることを公式確認した。

 リビアモデルは、北朝鮮が先に非核化をしてから米国が制裁緩和・体制保証など相応の措置を取る方式で、最近更迭されたジョン・ボルトン前ホワイトハウス国家安保補佐官が主張してきた。北朝鮮が今月9日、チェ・ソンヒ外務省第1次官の談話を通じて「9月下旬合意される時間と場所で」朝米協議を再開しようと提案した直後、トランプ大統領は10日(現地時間)にボルトン補佐官を更迭した。翌日には「ボルトンがリビアモデルを掲げ、(北朝鮮との交渉に)深刻な支障をきたした。彼はミスをした」とボルトン前補佐官を批判した。18日には再びリビアモデルを批判し、「もしかしたら、新たな方法が非常に良いかもしれない」と述べた。

 キム大使は「トランプ大統領が言及した 『新たな方法』にどんな意味が込められているのか、私にはその内容が分からないが、朝米双方が互いに信頼を築き、実現可能なものから一つずつ段階的に解決していくのが最上の選択だという趣旨ではないかと思う」と述べた。キム大使は「私は米国側がこれから行われる朝米協議に、きちんとした計算法を持ってくると期待しており、その結果について楽観視する」と述べた。

 「近く数週間以内に、(実務交渉が)開かれるだろう」という16日の外務省米国担当局長の談話に続き、キム大使の期待混じりの談話が登場したことで、朝米実務交渉が近日中に行われるのではないかという見通しが示されている。ホン・ミン統一研究院北朝鮮研究室長は「北朝鮮がボルトンの退場とトランプ大統領の発言、そして朝米間の水面下接触などを通じて、米国のアプローチが柔軟に変わったと判断し、実務交渉に対する期待を高めたものとみられる」とし、23日の米日合同戦時増員演習の終了と24日の韓米首脳会談以降、交渉がまもなく始まるだろうと見込んだ。

 北朝鮮は、リビアモデルを主張していたボルトン前補佐官が退場したことで、非核化措置と米国の相応措置を同時に並行してやり取りする方式の交渉が実現すると期待している。北朝鮮はこれまで、一度にすべてに合意するいわゆる「ビッグ・ディール」よりも、核・ミサイル開発を凍結し、寧辺(ヨンビョン)の核施設を廃棄するなど可能な水準で合意した後、次の段階に進む段階的な解決策を要求してきた。しかし、韓国政府当局者は、「非核化ロードマップに包括的に合意した後、段階的に履行するという米国の立場には変わりがない」とし、「朝米が実務協議で隔たりを埋めなければならない状況だ」と述べた。
パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/910361.html
韓国語原文入力:2019-09-20 22:15
訳H.J
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年内に3回目の朝米首脳会談の開催と大妥協の現実化に向けた金委員長とトランプ大統領の神経戦が本格化する見通しだ。

2019-09-11 | 米朝首脳会談
[ニュース分析]朝米実務協議の今月開催が現実味帯びる…
年内の首脳会談につながるか

登録:2019-09-11 04:54 修正:2019-09-11 07:43

チェ・ソンヒ副相「今月下旬に会う用意ある」 
板門店会合から71日ぶりに電撃提案 
トランプ大統領、直ちに「会うのは良いこと」 
年内の大妥協に向けた神経戦が本格化

          

米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長、文在寅大統領が6月30日、板門店で対話を交わしている//ハンギョレ新聞社

 朝米交渉の環境づくりと吉日選びに苦心していた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がついに「9月下旬、合意される時間と場所」を提案した。金委員長とドナルド・トランプ米大統領が6月30日に板門店(パンムンジョム)での電撃会合で実務協議の再開に口頭で合意してから、71日ぶりのことだ。トランプ大統領は北朝鮮の提案直後、「会うのは良いこと」だと応えたことで、「9月中の朝米実務協議」が現実味を帯びてきた。年内に3回目の朝米首脳会談の開催と大妥協の現実化に向けた金委員長とトランプ大統領の神経戦が本格化する見通しだ。

 朝米実務協議が行われば、2月にハノイでの第2回朝米首脳会談で合意が見送られ、長期の膠着の泥沼に陥った南北関係にも、“機会の窓”が開かれる可能性があるという期待混じりの見通しも示されている。

 北朝鮮側の劇的な旋回は9日深夜に行われた。チェ・ソンヒ北朝鮮外務省第1副相は米国時間の月曜日の午前に合わせ、「我々は9月下旬頃に、合意した時間と場所で、米国側と向かい合い、これまで我々が論議してきた問題を包括的に討議する用意がある」という内容の新たな談話を発表した。チェ第1次副相は「対朝鮮(北朝鮮)交渉を主導する米国の高官らが最近、朝米実務協議の開催の準備ができていると重ねて公言したことに注目した」と述べた。彼女は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が4月12日に行った最高人民会議の施政方針演説で、米国に「新しい計算法」を注文した事実を喚起し、「私はその間、米国が我々と共有できる計算法を探すための十分な時間を持ったと見ている」と圧迫を兼ねた期待もほのめかした。

               

北朝鮮のチェ・ソンヒ外務次官=シンガポール/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 金委員長が協議の再開を決心した背景には、先送りを続ければ、6・30板門店会合直後に「これから2~3週間以内に実務交渉を再開することに金委員長と合意した」と明らかにしたトランプ大統領に公に恥をかかせようとしているという非難とともに、「金正恩-トランプの信頼関係」が大きく損なわれるという考えもあると見られる。ポンペオ長官は6日(現地時間)、ABC放送とのインタビューで、「金委員長が交渉テーブルに戻らなければ、トランプ大統領が非常に失望するだろう」と述べた。

 ただ、金委員長は実務協議の再開を決心してからも、米国の変化が自分が望んでいるほど十分ではないかも知れないという心配を払拭できなかったようだ。チェ第1副相が談話で「米国側が朝米実務交渉で、古い脚本を再びちらつかせれば、朝米間の取引はそれで幕を下ろすことになりかねない」と警告したのがそれを裏付けている。北朝鮮側が談話発表の数時間後の10日早朝、平安南道で東海上に向かって「未詳の飛翔体」2発を発射した事実は、談話の警告が空言ではないことを強調するための威力誇示の性格を持っているといえる。

 ハノイ会談後、10回にわたる新型短距離弾道ミサイル・放射砲の開発・発射実験は、北朝鮮の通常軍備の劣勢を保管するための日常的自衛措置という主張を既成事実化するための布石といえる。トランプ大統領は北朝鮮の短距離発射について、「他の国でも皆やっていることだ」として、問題視しないというシグナルを発信してきた。

 実務交渉で朝米が提起する主な議題はすでに輪郭が表れている。米国側は、核活動の凍結▽非核化の青写真(ロードマップ)作り▽最終目標(エンドステート)の設定を主な議題に掲げている。北朝鮮はハノイ会談で核心的な要求事項だった制裁の緩和・解除問題に加え、体制保証関連の議題を本格的に提起する見通しだ。

 米国側は最近、北朝鮮に対する相応の措置の構想を公開してきた。トランプ大統領は8月27日、「北朝鮮は大きな潜在力のある国」だとし、いきなり「線路などを通じて北朝鮮に行く方法」について語った。ハノイ会談直前の2月19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ大統領との電話会談で、「非核化を牽引する相応の措置として、韓国の役割を活用してほしい」としたうえで、「南北の鉄道・道路の連結から、南北経済協力事業まで引き受ける覚悟ができている」と提案した事実を念頭に置いた発言と見られる。体制保証の議題と関連しても、「我々は北朝鮮の政権交代を望まない」(4日、トランプ大統領)や「すべての国は自らを防御する主権を持つ」(6日にポンペオ国務長官)、完全な非核化を前提とした在韓米軍(の削減と役割調整などを含めた)の“戦略的見直し”の可能性に関する言及(6日、ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表)があった。外交安保分野の元老は10日、「実務交渉の成否は米国がどれほど変化した態度を示すかにかかっている」とし、「経済であれ、体制保証であれ、もっともらしい言葉ではなく、成果と実感できる物を作れるかどうかがカギ」だと述べた。元高官は、米国の“柔軟性”を見極める指標として、第一に制裁の緩和・解除に関して進展した態度、第二に非核化を先に求めるのではなく、朝米同時行動原則を適用できるかどうかを挙げた。

 朝米実務協議が年内の第3回朝米首脳会談と大妥協につながるためには、力量を持った信頼される仲裁・促進者の存在が切に求められる。70年間にわたり敵対関係を続けてきた朝米の信頼不足と大妥協の経験の欠如が相互の誤解を触発し交渉を座礁させる危険を、いかに減らせるかがカギとなる。元高官は「ハノイ会談後、役割が極度に萎縮した文大統領が、昨年発揮した素晴らしい仲裁・促進力量をどれだけ早く回復するかも、朝米協議の進路に重要な要因だ」とし、「文大統領が立ち止まっている南北関係を再び動かせる決断で、北朝鮮への影響力を回復しなければならない」と指摘した。

 政府関係者は「朝米実務協議が3回目の朝米首脳会談につながり、朝鮮半島の平和プロセスにも再び加速がつくように、韓国の役割を高める案を講じる」と述べた。別の関係者は「金委員長がトランプ大統領を相手に戦略的交渉をする時、文大統領の手助けは必須要素だ」とし、「朝米実務協議が進めば、南北関係にも“機会の窓”が開かれるだろう」と期待感をにじませた。
イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「9月下旬ごろ、合意される時間と場所で米国側と対座し、これまで論議してきた問題を包括的に討議する用意がある」と表明した。

2019-09-11 | 米朝首脳会談

韓米の北朝鮮担当高官が電話会談 
米朝協議の再開巡り論議か

政治 2019.09.10 12:30


【ソウル聯合ニュース】北朝鮮核問題を巡る交渉の首席代表を務める韓国外交部の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長と米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表が10日、電話協議を行った。

記者に囲まれる李氏(右)とビーガン氏(資料写真)=(聯合ニュース)

 韓国の外交部によると、両氏は最近の朝鮮半島情勢や、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着に向けた実質的な方法を論議し、近いうちに会談を行い協議を続けていくことで一致した。

 北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官は前日の9日に談話を出し、「9月下旬ごろ、合意される時間と場所で米国側と対座し、これまで論議してきた問題を包括的に討議する用意がある」と表明した。これを受け、李氏とビーガン氏は米朝実務協議の時期や場所、議題などについて話し合ったとみられる。

 ビーガン氏は先月21日にソウルで李氏と会談した後、「北朝鮮のカウンターパートから知らせがあり次第、実務交渉を再開する準備ができている」と記者団に述べていた。

tnak51@yna.co.kr

ビーガン代表はキム・ヨンチョル統一部長官と50分間にわたり面会し、朝米対話と関連して韓国政府に感謝の意を伝えた。彼は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の素晴らしいリーダーシップに感謝し・・・、

2019-08-23 | 米朝首脳会談
ビーガン代表、「北朝鮮の核問題に集中」…
北朝鮮はいつ実務交渉に乗り出すか

登録:2019-08-22 06:19 修正:2019-08-22 07:11


ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表が訪韓  
21日午前、イ・ドフン本部長と1時間以上協議 
「北朝鮮の回答次第で交渉する準備はできている」 
朝鮮最高人民会議後、交渉に出るかに注目集まる

          

スティーブン・ビーガン米国務省対北朝鮮政策特別代表とイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長が21日、ソウル鍾路区外交部で韓米北朝鮮の核問題首席代表協議を終えた後、記者団に説明している//ハンギョレ新聞社

 訪韓したスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表が21日、米国側交渉代表交代説を一蹴した後、「北朝鮮の核問題と関連して進展させることに引き続き集中する」としたうえで、「北朝鮮のカウンターパートから(連絡を)受け次第、(交渉に)関与する準備ができている」と述べた。北朝鮮に実務交渉の再開を促すメッセージを送ったわけだが、これに北朝鮮が反応するかどうかに関心が集まっている。

 ビーガン代表は同日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の外交部庁舎で、イ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長に会い、朝米実務交渉の速やかな再開など関連議題について1時間以上協議した後、記者団に「私はロシアで外交的役職を務めず、北朝鮮と関連して進展させることに注力する」として、このように明らかにした。さらに、ビーガン代表は、朝米実務交渉の再開が「金委員長と(トランプ大統領が)合意したことに伴うもの」だと強調し、「この任務に専念しており、任務を必ず成し遂げる」と述べた。最近、CNNなど一部のマスコミがビーガン代表の駐ロシア大使赴任の可能性を報道したが、これを真正面から否定し、北朝鮮の核問題解決に邁進することを確認したのだ。彼は「今年6月30日、ドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の歴史的な板門店(パンムンジョム)会合が行われた直後、トランプ大統領がシンガポールで両首脳が作り出した4つの約束を成功的に履行するために、私と私の交渉チームに実務レベルの朝米交渉の再開という課題を与えた」と付け加えた。

 実際、北朝鮮がビーガン代表の訪韓の機に実務接触に出るかどうかはまだ明らかでない。北朝鮮が最高人民会議で政策や人事などに対する整備を終えた後、交渉に出るというのが大方の予想だ。朝米対話の状況に詳しい政府関係者は「北朝鮮が29日、最高人民会議第14期2次会議以後、実務交渉に応じてくる可能性が高い」と見通した。また別の政府当局者は「今回の契機でなくても、近いうちに(北朝鮮から)シグナルがくるだろう」と述べた。7月22日(現地時間)にドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮との書信の往来があったと明らかにしたことからも分かるように、朝米はニューヨークチャンネルなどの外交チャンネルを通じて水面下で連絡を取り交わしているとされているが、まだ実務交渉の具体的な時期と場所を決められずにいるとみられる。

 イ・ドフン本部長が「(ビーガン代表と)今後どうすれば対話を迅速に再開し、実質的な進展を遂げることができるかについて話し合った」と明らかにしたように、この日開かれた韓米協議では、朝米実務交渉の速やかな再開案や交渉戦略、最近北朝鮮が発射した短距離飛翔体の状況、北朝鮮の動向など、現情勢に対する意見交換があったという。北朝鮮交渉チームがいつ頃接触に応じるか、実際に交渉が再開された場合どのように対処するかについて、韓米間で具体的な論議が行なわれたということだ。

          

キム・ヨンチョル統一部長官が今月21日、政府ソウル庁舎で訪韓したスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表と会って握手している//ハンギョレ新聞社

 同日午後、ビーガン代表はキム・ヨンチョル統一部長官と50分間にわたり面会し、朝米対話と関連して韓国政府に感謝の意を伝えた。彼は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の素晴らしいリーダーシップに感謝し、敬意を表する」とし、「文大統領がこのような良い機会を作ることを支援しており、外交的な努力を行う機会の場を開いてくれた」と述べた。ビーガン代表は22日午前、キム・ヒョンジョン大統領府国家安保室2次長と面談した後、訪韓日程を終える予定だ。
ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「今朝北朝鮮側から出た発言を見れば、おそらくとても良い可能性があると思われる」と展望した。

2019-06-25 | 米朝首脳会談
朝米が相互に“対話信号”…
ポンペオ「ハノイよりましな状況」

登録:2019-06-24 23:44 修正:2019-06-25 07:05

金正恩のトランプ親書が肯定的回答に 
「実務交渉まもなく再開を期待 
北の準備ができれば直ちに協議開始」 
 
ビーガン特別代表の訪韓、24→27日に延期 
北朝鮮と実務接触するかは未知数


          

マイク・ポンペオ米国務長官が23日(現地時間)、ワシントンDC近隣のアンドルーズ空軍基地で、サウジアラビア・ジッダに向かう専用機への搭乗に先立って記者会見をしている/聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領が、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の親書に肯定的な返信をしたのに続き、マイク・ポンペオ米国務長官が北朝鮮との実務交渉再開に対する強い期待を表わした。こうした中、当初は24日に早期訪韓し北朝鮮側と実務接触を試みると発表されたスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表は、入国を27日に先送りしたことが確認された。

 ポンペオ長官は23日(現地時間)、中東訪問に先立ち、記者たちに「(トランプ大統領が金委員長に送った親書が)朝鮮半島非核化のために北朝鮮と重要な議論の再開にむけた良い土台を提供するものと期待する」と話した。朝米実務交渉がまもなく再開されると予想するかとの取材陣の質問に対しても、彼は「そうなることを願う」として「私たちが(ハノイの時よりも)ましな状況にあると考える」と答えた。それと共に、彼は朝米実務交渉と関連して「今朝北朝鮮側から出た発言を見れば、おそらくとても良い可能性があると思われる」と展望した。ポンペオ長官は「北朝鮮が協議のための準備ができたことを示すならば、私たちは文字どおり直ちに(協議を)始める準備ができている」とも強調した。

 ポンペオ長官のこうした発言は、北朝鮮の主要メディアが23日に伝えたトランプ大統領の親書に対する金委員長の反応を“肯定的信号”と解説したことに伴うものと見られる。労働新聞などはこの日、金委員長が親書に関連して「トランプ大統領の政治的判断能力と格別な勇気に謝意」を表わし「(親書の)興味深い内容を深重に考えてみる」と述べたと伝えた。公開された金委員長の反応から、北朝鮮が「動く準備ができた」というメッセージを読みとり、米国側もいっそう積極的な対話の意思を発信したかたちだ。

 今後はビーガン特別代表の韓国訪問後の進め方と、29~30日の韓米首脳会談に注目が注がれる。複数の外交消息筋はハンギョレに「ビーガン特別代表は27日に訪韓するだろう」と話した。これに先立って、ビーガン特別代表はトランプ大統領より5日早い24日頃に訪韓する予定だったと知られていた。ビーガン特別代表がトランプ大統領の返信となる親書を持って訪韓し、北側に伝達する形式で北側との接触を試みる可能性が議論されもした。だが、すでにトランプ大統領の親書が金委員長に伝えられたうえに、北側の反応もある程度確認されただけに、ビーガン特別代表が早期訪韓する理由がなくなり、日程を先送りしたものと見られる。

 ビーガン特別代表が、訪韓の過程で北側と実務接触をするかはまだ予断しがたい。ただし、ビーガン特別代表とトランプ大統領が訪韓の過程で出す対北朝鮮メッセージが、下半期の朝鮮半島情勢を判断する試金石になると見られる。ビーガン特別代表は19日、「柔軟なアプローチの必要性」を論じて北朝鮮に融和的信号を送ったが、その内容を具体化することはなかった。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

米国と交渉を続けるかどうか、核実験とミサイル発射実験の中止(モラトリアム)を維持するかどうかを明らかにする考えだと・・・

2019-03-16 | 米朝首脳会談
北朝鮮のチェ外務次官「米国との交渉中断を考慮」
登録:2019-03-16 06:55 修正:2019-03-16 08:02


平壌で緊急会見「金委員長ちかく声明発表、 
核・ミサイル実験の猶予を継続するかどうかを明らかにする」 
ハノイ会談決裂後の米国の対北朝鮮圧迫に対抗し 
米国の譲歩か韓中の仲裁を求めるメッセージ 
ポンペオ長官「交渉の継続を期待」



北朝鮮のチェ・ソンヒ外務次官(中央)が今月15日、平壌で外交官らと取材陣を集めて緊急会見を行っている。右側は通訳官で、左に立っている男性は外務省北米局副局長だというが、名前は知られていない=平壌/AP 聯合ニュース

 北朝鮮のチェ・ソンヒ外務次官が15日、平壌(ピョンヤン)で緊急会見を開き、「米国との交渉を中断することを考慮している」と述べたと、AP通信とタス通信などが報じた。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が近く声明を発表し、米国と交渉を続けるかどうか、核実験とミサイル発射実験の中止(モラトリアム)を維持するかどうかを明らかにする考えだと、チェ次官は述べた。マイク・ポンペオ米国務長官はすぐに、モラトリアムの約束は「金委員長がドナルド・トランプ大統領にした約束」だとし、収拾に乗り出した。

 チェ・ソンヒ外務次官は同日、外交官と外信を対象に行った記者会見で、「米国が(核・ミサイル実験の猶予など)北朝鮮が取ってきた措置に相応する措置を実行するか、政治的な計算を変えないなら、我々はいかなる形であれ、米国の要求に譲歩したり、交渉を続ける意思がない」と述べたと、通信各社は報じた。

 チェ次官は、金正恩委員長が近く、米国との追加交渉を続けるかどうか、北朝鮮がどのような措置を取るかを明らかにする公式声明を発表する予定だと述べた。 また、「核実験とミサイル発射猶予を続けるかどうかは、全面的に金正恩委員長の決断にかかっている」と付け加えた。

 チェ次官の同日の発言の内容とレベルは、金委員長の承認が不可欠な“重大メッセージ”だ。米国が「ビッグ・ディールによる一括妥結」の要求を取り下げなければ、今後交渉に応じない意思を明確にすることで、米国の譲歩を引き出そうとしているものと見られる。 特に、ミサイル・核実験の再開の可能性まで言及し、「ミサイル・核実験は止まった」と余裕を見せるドナルド・トランプ大統領に直接圧力をかけた。チェ次官はまた、米国がハノイ首脳会談で「千載一遇の機会を逃した」とし、「(ハノイ会談を終えて)戻ってくる途中、金正恩委員長が『我々が何のためにこのような汽車旅行をまたしなければならないのか』と言った」と伝えた。

 “ボール”を渡された米国の対応によって、朝鮮半島の状況が大きく揺れるという見通しも示されている。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「金委員長が対話中断を決心したものとみられる」とし、「金委員長が発表する声明で、核・ミサイル実験モラトリアムまで中断するかについては、米国の反応を見て判断するだろう」と予想した。

 米国は2・28ハノイ首脳会談が決裂した後、対話継続の意思を表明しながらも、北朝鮮が拒否してきた「ビッグ・ディールによる一括妥結」を掲げ、圧力を強めてきた。最近は、国連の対北朝鮮制裁委員会専門家パネルが、金正恩委員長の車まで制裁違反として問題視した。 北朝鮮はこのような状況の変化を見て、米国の関係改善の意志に根本的な疑念を抱くようになったようだ。チェ次官は同日、第2回朝米首脳会談後、トランプ政府の高官らの発言が状況をさらに悪化させたと批判した。

 しかし、チェ次官の発言は、対話の枠組みを完全に壊すという宣言よりも、米国の変化を導き出すための“神経戦”の性格が強いようだ。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル元首席研究委員は「米国が北朝鮮に『ビッグ・ディールによる一括妥結』を受け入れるよう要求する状況で、北朝鮮は米国が他の提案を持ってくるか、韓国や中国が仲裁せよと要求している」とし、「北朝鮮が先に動くことはないという意味」だと分析した。

 これを裏付けるように、チェ次官は「トップダウン」方式の対話再開の意志は残した。チェ次官は同日、「両国の高指導者の個人的な関係は相変わらず良好で、相性(chemistry)は神秘的といえるほど素晴らしい」と強調した。そして、金委員長とトランプ大統領の間には問題がないが、マイク・ポンペオ国務長官やジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安保担当)が「敵対と不信のムードを作り、指導者の交渉努力を妨害した」と非難した。

 チェ次官の激しい発言が出た後、ポンペオ国務長官は国務省のブリーフィング室で記者団に「北朝鮮と交渉を持続できることを期待する」と述べた。さらに、北朝鮮がモラトリアムを撤回することもあり得るというチェ次官の発言を牽制するかのように、「金委員長がハノイでトランプ大統領に数回にわたって直接核・ミサイル試験を実施しないと約束した。我々は彼がこの約束を守ると期待している」と強調した。

 これに先立ち、米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表も、チェ次官の会見が開かれる前の14日(現地時間)、ニューヨーク国連本部で安全保障理事会理事国の代表らと会い、「現在の対話モメンタムを維持しながら、北朝鮮が挑発したり、他の道に進まないよう関与し、プロセスの再開に向けて協力してほしい」という趣旨の言及をしたという。
パク・ミンヒ記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ

両国は、朝鮮戦争を終息する象徴的な平和宣言に署名し▽北朝鮮は朝鮮戦争当時死亡した米軍の遺骨の追加送還に同意し・・・

2019-02-28 | 米朝首脳会談
米メディア
寧辺閉鎖の見返りに部分的制裁緩和など4項目の暫定合意

登録:2019-02-28 08:37 修正:2019-02-28 09:31


「ハノイ声明」に盛り込まれる内容とは 
 報道  
「平和宣言・米軍遺骨の追加送還 
両国に連絡事務所の設置などに同意」 
 
複数の韓国政府筋 
「大体正確に反映」と確認 
非核化-制裁緩和の相応の措置のレベルは 
「最終的には両首脳が決める」可能性高い 


          
ドナルド・トランプ米大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が今月27日夜、第2回朝米首脳会談会場であるベトナム・ハノイのメトロポールホテルで、笑顔で握手を交わしている=ハノイ/AFP聯合ニュース

 28日に行われる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員とドナルド・トランプ米大統領の“談判”に、世界の注目が集まっている。朝米の実務交渉では、非核化と関係正常化の大きな枠組みを提示した昨年のシンガポール共同声明の具体化に向け、一部意見の隔たりが埋められたという。ただし、最終的な決断は、昨年のシンガポール首脳会談同様、金委員長とトランプ大統領にかかっており、「ハノイ共同声明」の実際の内容はふたを開けてみなければわからないものと見られる。

 両首脳は26日、ベトナムのハノイに到着した後、これまでスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表とキム・ヒョクチョル北朝鮮国務委員会対米特別代表が率いてきた実務交渉内容の報告を受けたものと見られる。ビーガン特別代表とキム特別代表は21日からハノイで5日間、毎日首脳会談の議題をめぐる熾烈な“駆け引き”を繰り広げてきた。

 議題と関連した大まかな内容は明らかになった状態だ。米インターネットメディアの「VOX」は26日、朝米交渉に詳しい匿名の消息筋の話として、「米国は、核施設を閉鎖する(close down)という約束の見返りとして、対北朝鮮制裁を一部緩和し、両国関係を改善する方針」だと報道した。同メディアが、暫定的な朝米間合意事項として報じた内容によると、両国は、朝鮮戦争を終息する象徴的な平和宣言に署名し▽北朝鮮は朝鮮戦争当時死亡した米軍の遺骨の追加送還に同意し▽朝米が相手国に連絡事務所を設置し▽寧辺での核物質の生産中断に対する相応の措置として、南北が経済協力を推進できるよう、米国が国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の一部緩和を推進することを決めたという。シンガポール共同声明で合意された、新たな朝米関係の樹立▽朝鮮半島平和体制の構築▽完全な非核化などの条項が、ある程度具体化したという意味だ。

 実際、トランプ大統領は27日夕方、晩餐会に先立ち、終戦宣言の可能性を問う記者の質問に「待ってみよう」と答えた。トランプ大統領が「北朝鮮の非核化(目標)から後退したのか」という次の質問には「それはない」と断言したことから、「待ってみよう」という答えは終戦宣言の可能性を示唆したものと見られる。朝米交渉に詳しい複数の韓国政府筋も、この報道が26日までの朝米実務交渉の内容をほぼ正確に反映していると確認した。ただし、同メディアも強調したように、こうした内容は“暫定的な合意”に過ぎず、27日に両首脳が会えば変わる可能性は残っていると話した。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「今夜(の会談)ですべてが決まるだろう」とし、「今日、両首脳が胸襟を開いて話し合って合意した部分について、これまでの実務論議を基に、合意文が作成されることになるだろう」と見通した。昨年の第1回シンガポール首脳会談の時も、ソン・キム駐フィリピン米大使とチェ・ソンヒ外務副相の間の実務交渉で話し合われた非核化の具体的措置などの詳細事項は、共同声明に反映されなかったという。

 ある外交筋は、ひとまず朝米交渉を総括してきたマイク・ポンペオ米国務長官と北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長が会談前に最終調整を行うと見通した。にもかかわらず、寧辺(ヨンビョン)の核施設を含む非核化対象施設の範囲と、対北朝鮮制裁の緩和の範囲を含む相応の措置のレベルをめぐる決定は、結局、両首脳の役割という見通しが優勢だ。

 こうした中、在日本朝鮮人総聯合会機関紙「朝鮮新報」が同日、第2回朝米首脳会談を取り上げた記事で、対北朝鮮制裁の緩和を「米国の真摯さを判別する試金石」だと強調し、米国に「実質的な非核化措置」を要求して、注目を浴びている。「朝鮮新報」は「制裁緩和だけが会談の議題ではない」とし、「朝鮮は制裁が怖いから、苦しいからではなく、それが朝鮮半島非核化に向けた米国の真摯さを判別する試金石になるため問題視してきた」と明らかにした。北朝鮮が米国に要求する信頼構築の措置は「制裁緩和」であることを再度強調する一方、米国に韓米合同軍事演習の中止や戦略兵器展開の中止などを求めたものとみられる。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「北朝鮮が交渉のため、韓国に対する米国の核の傘の除去も要求したとみられる」と話した。
ハノイ/キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

2回目の会談では「正常国家の関係」への大きな一歩を踏み出すことを期待する。

2019-02-27 | 米朝首脳会談
「敵との対座」から260日…
“正常国家の関係”への大きな歩み

登録:2019-02-27 09:23 修正:2019-02-27 11:38

金正恩とトランプ、第2回首脳会談の意味


北朝鮮の金正恩国務委員長が26日午前8時20分(韓国時間午前10時20分)、ベトナムのランソン省ドンダン駅に到着し、歓迎するベトナム市民らに手を挙げて挨拶している。金委員長はまっすぐ待機中の車に乗り込んだ=ドンダン/EPA

 「米国大統領」ドナルド・トランプが「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)国務委員長」金正恩(キム・ジョンウン)と初めて会ったのは、2018年6月12日だ。分断国家である北朝鮮が出現して2万5469日目になる日だ。また260日が経った2019年2月27日、両首脳が2回目に会う。

 25469と260。2つの数字の差に、朝鮮半島の平和の命運を担った朝米首脳会談の歴史的位相と課題が含まれている。2回目の出会いは、初対面よりずっと容易だった。初めて会うのにかかった歳月の1%で十分だった。ただし260日は、「1128日戦争」を含めた2万5469日のあいだ積み重ねられた敵対と不信を鎮めるにははるかに足りない時間だ。戦争・敵対・葛藤の歳月が長いほど、和解・平和も遠のく。そのため「一か八か」という態度を避けなければならない。道のりは遠い。

 2回目の出会いは、ベトナム社会主義共和国の首都ハノイで行われる。ハノイは戦争から平和へ、敵対から和解・共存へと進む道が閉ざされていなかったことを実証する歴史の証人だ。首脳会談の会場に最終確定されたことで知られるメトロポールホテルはどうだろうか。ハノイの夜空に米軍の砲弾が雨のように降り注いだ1972年、クリスマス・イブにジョーン・バエズが隠れていた地下防空壕が今もある。当時「トン・ホテル」と呼ばれたこのホテルの防空壕で、バエズは米国のベトナム侵略に反対する人々の聖歌である「勝利を我らに(We shall overcome)」を歌い続けた。メトロポールホテルは、多くの命を飲み込んだ侵略と抵抗で染まった戦争、和解と省察の苦しい身悶えを目にした歴史の証人だ。1961~68年、米国防長官としてベトナム侵略を設計・執行したロバート・マクナマラが、グエン・コ・タク元ベトナム外相と「なぜ戦争に陥り、早く終わらせられなかったのか」を振り返り、「新たな過ち」を防ぐため「失われた機会」を探索した「敵との対話」が初めて行われた場所だ。

 マクナマラは1997年6月20日~23日までの最初の対話で、長い教訓を二つに圧縮した。「敵を理解しろ」と「相手が敵でも最高指導者同士で対話を続けなければならない」がそれだ。金委員長とトランプ大統領は「マクナマラの教訓」に習おうと彼らなりに努力している。最初の会談の成果を基に、2回目の会談では「正常国家の関係」への大きな一歩を踏み出すことを期待する。

 悲観と落款が交錯する。まず、70年の敵対国だった両最高指導者が会い、「包括的かつ深度ある率直な意見交換」の末に設けた「セントーサ合意」(6・12シンガポール共同声明)の履行の実績は貧弱だ。最初の会談以降、金委員長は朝鮮戦争時の米軍の遺体55柱を返還し、東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン試験場・発射台の永久廃棄のための基礎措置を取った。米国は、対北朝鮮制裁を理由に阻止してきた国際人道支援団体の対北朝鮮支援を、年末からほんの少し開放した。それだけだ。

 しかし、朝鮮半島における冷戦構造の解体のビジョンが盛り込まれたセントーサ合意は破棄されなかった。生きて息づいている。時期尚早な悲観は警戒しなければならない。朝鮮半島は「地球上で最後の冷戦体制」(文在寅大統領)に根を下ろした敵対と葛藤が渦巻く悲劇の地だ。朝鮮半島の冷戦構造は、竹林のように根が絡み合った四つの柱が支えている。「(1)対決と不信の南北関係(2)朝鮮半島問題に深く介入した米国と北朝鮮の敵対関係(3)北朝鮮の体制生存と抑制力確保のための核兵力追求(4)敵対関係の根幹である軍事停戦体制の持続と軍備競争」だ。初期の朝鮮半島平和プロセスの設計者であり実践者であるイム・ドンウォン朝鮮半島平和フォーラム名誉理事長(元統一部長官)は、「これらの要素は相互依存性を持ち、ある一要素だけ分離して問題を解決することはできない」とし、「包括的にアプローチしてこそ朝鮮半島問題の根本的な解決が可能だ」と助言する。

 セントーサ合意は四つのうち三つを同時に取り除くという朝米首脳の約束文書だ。「新たな朝米関係の樹立」(第1項)は(2)に、「恒久的かつ堅固な平和体制構築の共同努力」(第2項)は(4)に、「朝鮮半島の完全な非核化に向けた努力」(第3項)は(3)に対応する。(1)は4・27板門店宣言と「9月平壌共同宣言」、「9・19軍事分野合意書」の実践ですでに解消作業が始まった。南北は(2)(3)(4)の解消の努力にも歩調を合わせる。セントーサ合意と南北首脳宣言が完全に履行されれば、朝鮮半島の冷戦構造の四つの柱は、春の雨に溶け新しい生命を育てる氷のように平和の元肥となるだろう。南北米の首脳の「三人四脚競走」が切実だ。

 金委員長とトランプ大統領があらゆる圧迫と誘惑にもかかわらずセントーサ合意を守り抜いた事実が何よりも重要だ。悲観論者と楽観論者が、全く異なる世界観と利害関係でも共感することが一つある。金委員長とトランプ大統領の2回目の会談の目的は、セントーサ合意の4項目の具体的な履行案づくりにあるという共通認識だ。これ自体が最初の会談から260日の大きな成就だ。軌道から外れれば「平和列車」は目的地に到達することができない。

最初の会談後、相互信頼の糸口 
「合意履行」悲観・楽観は分かれるが 
朝米、非難を自制し対話を継続

 金委員長とトランプ大統領は最初の会談で「相互の信頼構築が朝鮮半島の非核化を増進させることができる」と確言した。しかし、不信は深く信頼は浅い。1回目の朝米首脳会談直後、マイク・ポンペオ米国務長官は「空のカバン」を持って平壌を訪れ、「すべて申告せよ」と圧力をかけた。北側は「強盗のような要求」と言い返した。不信の沼に沈んでいたセントーサ合意を「促進者」の文大統領が救い出した。「米国が相応の措置を取れば寧辺(ヨンビョン)核施設の永久廃棄のような追加措置を取り続ける」という金委員長の約束が明示された「9月平壌共同宣言」がそれだ。「信用できる第3者」は敵対の解消に欠かせない触媒だ。

 先民意識に浸った米国が天から地上へ降り、北朝鮮が「米帝の狼」の北侵の恐怖を振りかざさず地上に上ってくるには、さらに時間が必要だった。年を越して「機会の時空間」が開かれた。米国は北朝鮮を「合理的行為者」とみなし、北朝鮮は「米国式対話法」に応じようと努力した。

 スティーブン・ビーガン国務省対北朝鮮特別代表は「両国は個人の権利と人権について全く違う見解を持っており、地域とお互いに対し異なる世界観を持っている」としながらも、他の米国人と違って北朝鮮を「やくざ国家」と非難しなかった。そして「シンガポール共同声明で行ったすべての約束を同時並行的に推進する準備ができている」と明らかにした(1月31日スタンフォード大学講演)。「同時並行」は、米国の「先非核化」の圧迫に対抗して北朝鮮側が掲げた履行原則だ。金委員長は、新たな交渉窓口であるキム・ヒョクチョルの肩書きをビーガンの「対北朝鮮特別代表」に合わせた「対米特別代表」とし、米国に伝えた。

「セントーサ合意」は息づく 
冷戦解体に向けた第1回会談の合意4項目 
ハノイで具体的な履行案を用意

 「相互信頼」を積もうとする努力は、セントーサ合意の履行の力強い推進力となり得る。まだまだ微弱ではある。双方が不信の凍土に信頼の種を撒き、耕しているという事実が重要だ。

 敵が一瞬で友になるわけではない。長く苦しい過程を経なければならない。善意の一方的な措置→相互節制→交流協力の深化→新しいナラティブとアイデンティティの創出などが必要である(チャールズ・カプチャン、『敵はどのようにして友になるのか』)。友人になるためにはまず「他の人たちのようにする」ことを学ばなければならない。腹積もりが異なって争うとしても銃刀を使わず、早い利害打算にも礼儀を備える、世界の多くの「正常な国家関係」をだ。金委員長とトランプ大統領の2回目の会談が、長い敵対を越え「普通に付き合う」ための大きな一歩につながることを願う。
イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )