トランプ大統領
「北朝鮮の小さな兵器の発射、気にならない」
登録:2019-05-27 06:17 修正:2019-05-27 08:41
ボルトン補佐官の強硬発言の翌日、ツイッターで異を唱える
訪日中にツイッターに「北朝鮮が小さな兵器を打ち上げたが
私の人たちの一部の気に障ったようだが、私はそうではない
金正恩委員長、約束守ると確信している」
「北朝鮮のミサイルは安保理決議違反」というボルトン補佐官の発言を否定
国務省も「同時的・並行的進展を議論する準備できている」
朝米首脳の交渉スタイルの比較//ハンギョレ新聞社
ドナルド・トランプ米大統領が26日、今月初めに発射された北朝鮮のミサイル発射を気にせず、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の非核化の約束履行を確信すると述べた。「スーパータカ派」の参謀のジョン・ボルトン国家安保補佐官が前日、「国連安全保障理事会決議案の違反」だとして、北朝鮮に圧力をかけたことに対し、公開的に異を唱えることで、北朝鮮に対する“宥和メッセージ”を再び発信したものだ。
3泊4日の日程で日本を国賓訪問中のトランプ大統領は、訪日二日目の26日午前、ツイッターに「北朝鮮が小さな兵器を発射した。これは私の人たちと一部と他の人の気に障ったようだが、私はそうではない」と書き込んだ。さらに「私は金委員長が約束を守るという確信を持っている」と述べた。北朝鮮が今月4日と9日に発射した短距離ミサイルなどを「小さな兵器」と呼び、北朝鮮に昨年6月のシンガポール朝米首脳会談で合意した核・ミサイル実験の停止と非核化に対する約束を守るよう再度促したのだ。
トランプ大統領はまた、「彼が(現在民主党の有力な大統領候補の)ジョー・バイデンを知能指数(IQ)の低い人と呼んだとき、私は笑った。それは多分私へのシグナルなのか」という文章で書き込みを締めくくった。これに先立ち、北朝鮮官営の「朝鮮中央通信」は、バイデン元副大統領が金委員長を「独裁者」と呼んだことに対し、21日づけで「米国内では彼(バイデン)の出馬に対し、知能指数が足りない愚か者という嘲笑も聞こえる」と非難した。
トランプ大統領が同日言及した「私の人たち」はボルトン補佐官を指すものと見られる。彼は25日、東京で北朝鮮のミサイル発射について「国連決議案は、北朝鮮に対し、すべての種類の弾道ミサイルの発射を禁止している」としたうえで、「安保理決議案違反という点に疑いの余地がない」と述べた。米政府高官が北朝鮮の飛翔体を公に「短距離弾道ミサイル」と規定し、「国連決議案違反」と断定したのは、今回が初めてだった。彼は、北朝鮮が米国に差し押さえられた自国の貨物船「ワイズ・オネスト」号の返還を要求したことについても、「(1968年北朝鮮が拿捕した米国の)プエブロ号の返還について議論する適切な時期だろう」と反論した。
トランプ大統領の同日のメッセージは、ボルトン補佐官の強硬発言を収拾するためのものと言える。ボルトン補佐官の発言を受け入れた場合、トランプ大統領が業績として掲げてきた「北朝鮮の核・ミサイル実験の中断」と衝突する恐れもある。トランプ大統領は10日にも北朝鮮が打ち上げた飛翔体について、「短距離ミサイルであり、一部はミサイルでもなかった。信頼違反とは思わない」と述べた。
ジョン・ボルトン補佐官の発言に対するトランプ大統領のツイッターへの書き込み//ハンギョレ新聞社
興味深いのは、トランプ大統領と対北朝鮮強硬政を主導してきたボルトン補佐官の“不協和音”が表面化したという点だ。米国メディアは最近、トランプ大統領が北朝鮮やイラン、ベネズエラ問題などに対するボルトン補佐官の超強硬対応に不満を持っていると報じた。ワシントンポスト紙は「トランプ大統領のツイートはボルトンに対する直接的な叱責」だとし、「ボルトン補佐官の荒っぽいメッセージを振り出しに戻す一方、彼の立場を弱めるためのもの」だと指摘した。このメッセージは、27日の安倍晋三首相との首脳会談を控え、対北朝鮮圧迫の強化を望む日本にガイドラインを提示する効果もあるものとみられる。
米国務省は、24日に北朝鮮外務省が「米国が新しい計算法を持ってこない限り、朝米対話は再開できない」と明らかにしたことに対する論評の要請に対し、「トランプ大統領は交渉の扉を開いていることを明確にしてきた」と述べた。国務省はさらに、朝米首脳がシンガポールで合意した朝米関係の転換▽恒久的な平和の構築▽完全な非核化に言及し、「米国はこの目標に向かって同時的かつ並行的に進展を成し遂げるため、北朝鮮と建設的な議論に関与する準備が依然としてできている」と明らかにした。「同時的かつ並行的」方針は、スティーブン・ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表が2月のハノイ首脳会談の前に、スタンフォード大学演説で言及した概念だ。米国はハノイ会談では一括妥結の方針に回帰し、交渉を成功させることができなかったが、韓国政府はその後も「韓米はこの方針を共有している」と明らかにしてきた。米国政府が3カ月ぶりにこの概念を再度言及し、対話への意志を表明したことで、その背景に関心が集まっている。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)