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拉致問題と日本の植民地支配による過去の問題っていうのは、切っても切り離せない問題

2015-12-22 | 拉致問題:蓮池透さんが語る

拉致被害者家族の蓮池透さんが会見【全文1】

2015.12.21 15:20




 拉致被害者家族の蓮池透さんが21日午後零時半から東京の外国特派員協会で会見する。

 拉致問題をめぐっては、北朝鮮が再調査を約束してから1年半が経過するが、調査結果は公表されないままになっている。拉致問題の解決へ向けて、膠着状態の現状などについて見解を述べるものとみられる。
安倍首相には拉致問題の解決というのは何かを定義してほしい

拉致被害者家族の蓮池透さんが会見

蓮池:Good afternoon. My name is Toru Hasuike. Thank you very much for coming and giving me this kind of opportunity. I’m so glad to talk with you. My brother Kaoru was kidnapped in 1978. And he came back to Japan in 2002. Over 13 years have passed since he came back to Japan. The situation concerning North Korean abductee's problem, nothing change. I was very concerned, this condition.

So, that’s all I can say in English. From now on, using Japanese, please listen to the translation. Thank you.

蓮池:私が今、一番心配してるのは、冒頭言いましたけども、もう事件が起きてから40年近くたっている、何も、5人は帰ってきましたけども、状況がまったく変わってないということが第一にあります。それだけの長い時間がたってしまいますと、まず被害者の生命というものが非常に心配になります。それから、日本国内におきましても世代交代が進みますので、この問題が忘れられてしまう、風化してしまう、そういう危険性もあります。そういう観点からこの問題は一刻の猶予もない、そこで私は今回、本を書いたのは安倍さんの今のやり方ではうまくいかないということ、一言で言うとまずそうです、それが挙げられます。安倍さんは拉致問題で日本におきましては絶対的な信頼を得て、私に言わせれば政治利用をして総理大臣にまでなった、拉致問題を踏み台にして総理大臣になったということですけれども、であるならば、この問題についてしっかりと対応すべきではないのかっていうのが私の考えでありました。

 安倍さんは、言うことはあらゆる手段を尽くすとか、家族と抱き合う日まで。非常に情緒的であって、具体的な戦略というものはまったく見えてこないというふうに考えています。安倍さんが総理大臣になるに当たっていろんな美談があります。弟たちが2002年に帰ってきたときはなぜか一時帰国だったんですね。で、そのときに安倍さんが戻っちゃ駄目だよと、北朝鮮に戻ってはいけないよということを止めたと言われていますが、それは事実誤認です。はい。弟を止めたのは私です。

 そして、安倍さんは今まであらゆる手段を使うと言っておきながら、やったことは経済制裁、それから拉致問題対策本部、および担当大臣の設置、この2つだというふうに私は思っています。日朝間にかかわらず、外交問題というのは非常に便利なツールがあります。それは、今一生懸命やってるということはいつでも言えるんですが、じゃあどういうことをやってるのかと聞くと、それは外交機密ですということで済まされてきました。もうそれですでに13年以上がたっています。つまり、やってることは13年前と同じであって、なんの進歩もないということなんですね。

 で、私は1つ提案したいんですけども、拉致問題の解決というのは何かということをきちんと定義をしてもらいたい。そして、それは安倍さんしかいないと思うんですね。どういう状況になったら解決と言うのか。それを家族や国民に周知して、そしてかつ北朝鮮と合意を得なければゴールが一致しないという状況では、この問題は進展しないと考えています。現在はそれが非常に曖昧な状況にあります。全員が帰ってくれば解決なのか、あるいは安否確認がされれば解決なのか。そういう意味では昨年のストックホルム合意というのは非常いい加減な合意であったというふうに私は思います。

 突然、強硬路線を取っていた安倍総理が対話路線に転じて、そしてストックホルム合意というものが結ばれたわけですけど、これは集団的自衛権を標榜する安倍さんの政治信条とはちょっと相矛盾するんではないかというふうに思いますが。で、かつ安倍さんは北朝鮮が再度調査をしますというのは茶番だっていうことをおっしゃってましたので、それをなぜやるのかっていうのがまず1つの疑問でしたね。

 それからもう1つは、合意の中で対象にしている日本人が非常に広い範囲にわたっているということですね。拉致被害者、それから特定失踪者と言われる人、それから残留日本人、日本人妻、それから太平洋戦争の終戦前後に亡くなった日本人の遺骨の問題、そういうような非常に広範囲な、全ての人に受けがいいような問題が取り上げられています。ただ、安倍さんは拉致が最優先課題だって言ってますけれども、拉致を優先するばかりにほかの問題については取り合わないっていうのが現状じゃないかというふうに思っています。で、それはやはり、合意文章を見てみてもどこにも最優先とは書いてないんですね。で、北朝鮮側の文章、北朝鮮側のTo Doを見ますと、拉致問題ってのは非常にプライオリティが低いんです。ですから、このような合意っていうのは本当の合意じゃなくて、安倍さんがおっしゃるとおり茶番だったんではないかなというふうに思います。

 安倍さんは全員生存という回答を待っているんでしょうけれども、北朝鮮は依然としてはそれを覆すような回答は出してきておりません。このようなお互いのゴールは、つまり、解決とは何かというものが一致していないことが原因だというふうに思います。北朝鮮の日本人拉致というのは非常に大きな人権侵害だと思いますけれども、私は日本政府にもその拉致被害者に対する人権の軽視があったというふうに考えています。

 それは2002年の日朝平壌宣言のときの話ですけども、北朝鮮側の8人死亡ということをなんの裏も取らずに宣言にサインしてしまったということは、8人の人権をまったく無視しているといってもいいというふうに考えます。日本政府の言っている日朝平壌宣言にのっとって国交正常化を目指すと。かつ拉致被害者を全員を取り返すというのは論理矛盾です。なぜかと言えば平壌宣言にのっとれば、8人は死亡ということになってしまうわけですね。で、そこに日朝間の見解の相違があって、それが原因となってこのような膠着状態が続いているんだというふうに私は分析しています。

 今回、私は非常に挑戦的なタイトルで本を書きましたけれども、これは単に批判をした、批判をして憂さを晴らすとか鬱憤を晴らすとかという意味ではありません。北朝鮮側に大きな問題があることは明らかですけれども、日本側の対応で間違っているところはないのかというような観点からも考えて描いたものです。

 よく日本の政治では、批判をするなら対案を出せと言われますが、私は自分なりに考えた対案もこの本の中に含めました。それは簡単に言いますと、この拉致問題と日本の植民地支配による過去の問題っていうのは一見関係ないように思えますが、実は私は切っても切り離せない問題ではないかっていうふうに考えています。帰って来た拉致被害者も、拉致問題の背景にはこの日朝間の不幸な関係があるということを述べています。

 北朝鮮はやはり何も得られなければ、行動はしないと思います。過去を振り返ってみますと、5人の被害者と家族を帰したら日本から帰って来たのは経済制裁だ。これは非常に大きな、彼らにとってはトラウマになっていると思います。北朝鮮は唯一合法的に経済援助なり、お金なりを得られるのは日本からだけだというふうに思っています、必ず。それは日朝平壌宣言にも書かれていますので、事実だと思います。世界中で日本だけ。

 そういう意味では、やはり過去の清算というものをてこに拉致問題について、ギブ・アンド・テイクという形で、同時行動でこの問題を動かしていくしかないのではないかというのが私の、端的に言うとそういうような考え方です。

 ただ1つ問題があるのは、過去の清算といってもカテゴリーとしては北朝鮮の支援ということになりますので、そのときの諸外国、特にアメリカの干渉が入るということは非常に私は気にしています。日朝関係、拉致問題について良い方向に持っていくために、日米関係までを俎上に載せる覚悟はあるのかというふうに、安倍総理には伺ってみたい。そう思っております。

 以上、時間が来ましたので私のスピーチ、終わらせていただきます。Thank you very much.


 
安倍首相の拉致問題を政治利用について


 司会:先ほど最後に最後にちょっと触れた日米関係のことでございますが、もしかしたら過去を清算するっていうこと になりますと、北朝鮮に資金援助をするということも考えられますので、それに関しまして外国、特にアメリカが非常に懸念するかもしれないとおっしゃったん でございますが、米国はこの件についてどういうような立場にいると思いますでしょうか。そして、米国がこの問題の解決のために、何をすべきだと思いますで しょうか。
蓮池:私もアメリカに訪れて、当時のアーミテージさんにお会いしたりしたこともありましたけれども、結局アメリカを頼っても、アメリカはアメリカが 日本人を助けてくれるっていうことは私はまず考えられないというふうに思いますので。今のところ、日本と北朝鮮のパイプはありますから、確かに側面支援を していただければありがたいですけど、やはりメインは日本側がやることだと思います。
 で、さっき申し上げた経済支援とか、資金援助っていうことに関して、アメリカはそれをやったら北朝鮮はまた核開発、ミサイル開発に回してしまうん じゃないかっていうことを言ってくると思うんですね。それをもって私は干渉と先ほど言ったので、ぜひそこはアメリカにも理解していただきたいし、もしそれ が駄目であれば日本政府としては別の支援方法を考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

 司会:Next question?

フリー記者:フリーのタケウチと申します。ちょっと私、昨日この本、微細にわたって読ませていただきました。2点についてお伺いします。まず1点目 ですね。政治利用について。安倍さんとか、あと中山元参与、こういった右寄りの政治の方が拉致問題を政治利用してきたというふうにおっしゃいまして、結局 この拉致被害者を支援することで、右翼が存在理由を見つけてきたんじゃないかなというふうにみえているんですけども、その右翼であったりとか、ネット右翼の人たちが在日韓国・朝鮮人の方のヘイトまで、こういう問題を利用してするようになってきていると思われるんですが、その状況をどう思われますか。これが1 点目。
 もう1つが金銭問題についてのことです。国民からのカンパが1億円近く集まっているのではないかということが書いてあるんですけれども、これが被害者に直接渡っていないというお話は本当でしょうか。それから国の補償金が月額13万円で、収入があった場合はそれが減らされると。帰国した方々がそれで食べていけるのかという実態がまったく明らかになっていなかったと思うんですけれども、そこのところをはっきりとお知らせいただければと思います。

蓮池:ご質問ありがとうございます。第1点目についてですけれども、政治利用ということは、これはもう明らかでありまして、この問題を利用してそして反北感情をあおって、そして世の中を右傾化していくっていうのが1つの政治利用だと思うんですけれども、その中で在日韓国、あるいは在日朝鮮の方々に対 して高校無償化、朝鮮学校の、朝鮮高校の無償化除外っていうのがありました。あと朝鮮学校に出ている補助金を停止せよというような話はありました。実際行 われているところもあります。それは家族会や救う会も支持しておりますが、それは私は言語道断だというふうに考えております。単なる北憎しの八つ当たりに すぎないのではないかというふうに思っています。1点目はそういう。

 拉致問題と高校無償化とか、あるいは在日の方々の存在とか、まったく関係がないというふうに私は考えています。もう1つ、いわゆるヘイトスピーチの材料に使われているっていうのも非常に残念なところですね。

 それから2点目の金銭問題ですけれども、これは本質的には直接この問題とは関係ないのかもしれませんが、すでに日本のマスコミの方は全員承知、周 知の事実であるにも関わらず活字や映像にできなかったのを、私がそれを活字にしたまでのことです。おっしゃるようにカンパは1億円以上集まっているのは、 これは間違いないことです。で、その使い道ですけれども家族会の活動費ということに、誰が決めたのかそういうふうになってしまいまして、被害者には1円も 渡ってないとは言えませんが、具体的に言うと被害者の子供たちが帰国、来日したときに家族会からお祝い金という名目で数十万円はいただいたことはありま す。それ以外は一切もらっていません。

 それから支援金なんですけども月額13万円程度、これでは絶対暮らしていけないと思います。その金額っていうのは日本で行われている生活保護とい うような、似たようなことで。夫婦で26万円ですから家があり、そういうインフラがそろっていればなんとかやっていけるかもしれませんが、働き出すと、収 入が増えると金額が減っていくっていうのは弟も翻訳、韓国文学の翻訳をやりまして、印税収入があったら国から今月は支援金ありませんというようなことを通 告されたっていうことがありましたので。

 私はこの支援金というのは何かといいますと、お金を出すんで早く日本で自立してくださいっていうことなんですね。補助するから。それは私はおかし いと思う。24年間も放っておいたんだったら、これからまとめて日本政府は生活面倒見ますよっていうぐらいのことをやらないと帰ってこないと思いますよ。 それから月額13万円っていう金額はあまりにも知られていないんですよね。ですから多くの国民の皆さんは、もう手厚い待遇で被害者はのうのうと暮らしてい るんだろうなっていう感覚をお持ちだっていうふうに思うんですが、それは絶対あり得なくて。

 ですから、弟にしても外食に行けば、税金で食事ですか、いいですねと。旅行に行けば、税金で旅行ですか、いいですねと。もうそういう精神的な苦悩は、苦渋はもう絶えられないっていうことで、弟はもう一切の支援金は返上しています。驚くべきことに今もその方針、変わってないんですね。弟はかろうじて 40代で帰ってきましたので、自立してくれって言われてもしょうがない年代だったのかなと思います。でも、もう時間がたっています。それでもう60前後の 人が帰ってきて、また月額十何万を渡すので自立してくださいって言うんですかっていうことですよね。繰り返しますけども帰ってきたらその後の衣食住、生活は全て日本政府が面倒見ますということでなければ、なかなか帰ってくる環境にはできないんじゃないかというふうに考えております。
 それの、よく新聞報道で、予算措置として3億円を計上したというようなことが出ると3億円という数字だけが独り歩きして、被害者に3億円行くんだというような誤解が生まれてしまうようなところがあるんで。これはもう大きな間違いですね。

日朝間で動きがありそうなときによくある、拉致被害者目撃情報などについて

記者1:スペインの通信会社でございます。時々、韓国あるいは北朝鮮、あるいは日本のメディアの中で失踪者、あるいは拉致被害者を見たというような報道が出るわけでございます。例えば、田口八重子さんが平壌の街を歩いてたというような報告が載るわけですが、これを信じますでしょうか。それとも誰かが意図的にそのようなうその事実を、何かの理由で出していると思いますでしょうか。

蓮池:私はこれにも書きましたけれども、日朝間で何か動きがありそうになる、あるいはあったときに必ず韓国側からそういう目撃情報なり、死亡情報なり が出るんですね。ですからなぜそういうことを、韓国のマスコミはそういう報道をするか、よく分かりませんけれども私はそれを、私はあまりそれを信頼するに は値しない情報ではないのかなというふうに思います。ちょっとうがった見方をしますと韓国側が情報を出すことによって、日朝の接近をちょっと妨害しようと しているのかなというような、そういう印象を受けます。ですからにわかには信じがたいということです。

記者2:2つの質問があります。1つは拉致問題が起こったのは、だいたい1970年代だったと思うんでございます。2002年、劇的にその5人が突 然に戻ってきたというときまでは、日本の一般の国民、日本の社会っていうのはこの問題にまったく関心を持たなかったという感じがするわけでございます。突然にこういう事実があった、こういう人たちが帰ってきたということで、突然に北朝鮮に、もう許さないという気持ちが社会に醸成されたという感じがするんでございます。しかしながら、20年前は、まったくそのことはドント・ケアだったんですけれども、今は完全にそれに反対のムードになったわけでございます。 空気がこういうふうに変わったというのは、どうして起こったと思いますでしょうか。

 2つ目の質問でございますが、先ほどのお答えにもちょっと関連するんでございますが、韓国と日本との関係っていうことでございます。日本と北朝鮮 がより接近するようになりまして、関係が改善されるということになりますと、韓国との関係はどうなりますのでしょうか。つまり今、朴(パク)大統領も北朝 鮮との関係で苦戦しているのではないかと思いますが、安倍首相が北朝鮮にもっと近くになろうとするということになりますと、北朝鮮はどう対応するんでしょ うか。どうこの関係は、日韓関係はどうなっていくのだと思いますでしょうか。

蓮池:70年代後半に集中している拉致の事件ですけれども、そこからだいたい24年、四半世紀後にようやく小泉さんが訪朝してその存在が明らかになったわけですけども、私たちにとっては非常に長い時間でした。その間、何度か明らかになりそうな出来事もあったんですけれども、2つ紹介すると1つは大 韓航空機の爆破事件。犯人の金賢姫(キム・ヒョンヒ)元死刑囚が北朝鮮で日本人拉致被害者、李恩恵(リ・ウネ)という人に教育を受けたということが明らかになったときです。

 もう1つは同じ時期に日本の国会で、なんと当時の梶山静六国家公安委員長が当時、70年代後半に失踪していたカップル3組は北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であるという答弁をしているわけですね、国会で。それはわれわれ、マスコミがまったく報道しませんでしたので、われわれは知るよしもなかったで す。それを知ったのは2002年以降です。
 ですから、そういう、何度かチャンスはあったのもかかわらず延々24年間も引っ張ってきてしまったということで。ですからその2002年以前というのは まったく不思議な国、変な国、アンタッチャブルという国だったというふうに思います。ですから、その分北朝鮮という国に対してはほとんど無関心だったと思いますけれども、2002年以降はちょっと私は変な方向に日本の民意というか、そういうものが右傾化していったんではないかなというふうに思います。で も、それをあおった人は多く、私もその1人だったわけですけれども、それはなぜかと言えば被害者への同情とそれから北朝鮮への怒りという、それの相乗効果によるものだというふうに思っていまして、日本の世論がそういうふうに傾いていくということは、私は今になって考えるとあまりいい状態ではなかったのかなというふうに回想しています。

2つ目のご質問ですけれども、私は日韓関係や、あるいは日中関係を飛び越えて日朝をうまくするっていうのは難しいというふうに考えています。今のように安倍さんはこの前、日韓首脳会談ありましたけども、私の考えでは安倍さんは中国は嫌い、韓国は嫌い、好き嫌いで 外交やってるのかっていうふうに私は感じていました。ですから私は日韓関係の整備というか正常化というか、日韓もうまくやる、あるいは、そして日中関係も良好にしておくというそういう背景がなければ、日朝関係をうまくできるわけがないというふうに考えていますので、ぜひ日中関係、中国の脅威をあおるだけではなく日中関係も良好にしていただいて、それから日韓関係も良好にして、そういう状況を整えておかなければ日朝関係もうまくいくわけはないというふうに考えます。

日韓関係、日朝関係についての最新情報は?

記者3:日韓関係、そして日朝関係ということでございますが今、現状どうなのか。ご存じのことを教えていただけますでしょうか。最新情報っていうのをもしお持ちでございましたら、日本は何をしようとしてるのかということを伺いたいと思います。つまり安倍首相のやり方をちょっと批判されてるわけでございますが、しかしながらこういう外交というのはプロセスでもあるのではないかと思います。彼は何かをやろうとしてるという気もするんだと思うのですが、いかがでございますでしょうか。何を彼が成し遂げようとしていると思いますでしょうか。そしてまた北朝鮮側でございますが、金正恩(キム・ジョウン)自身も何か変化をもたらされようとしているのではないかというふうに感じております。例えば北朝鮮の国会に当たるものでございますでしょうか、議会の中でその政治家を育てようとしてるのではないかということをお感じになりますでしょうか、つまり非常に強い軍をバイパスできる、 飛び越えるようなそういうような体制をつくろうとしてる、そして直接いろんな外国との交渉ができるような、そういうような体制をつくろうとしてるというような感じはいたしますでしょうか。

蓮池:はい、私は少なくとも北朝鮮とは関係を持っておりませんので情報はよく分かりませんけども、これは冒頭でも申し上げましたけれども、今朝の朝日新聞の報道でもありましたが、11月から3回ほど日朝協議をやっているけれども、依然として平行線だというようなことです。冒頭で申し上げたようにそう いうやっているふりっていうか、できるんですね。ですから実際やっているのか、何かやってないのか分かりませんけれども、今これこれこういうことをやって ますから、もう少し、もうちょっと時間をというようなことは、政府や外務省から聞いたことは私は1回もありません。ですから彼らにとっては本当に便利な言葉だと思います。
 で、ちょっと時間が経過すると新聞でちょこっと報道されるっていうようなことがあって、今やってます、あるいはやっているそぶりを見せるというのは非常に彼らにとって便利な言葉でありツールなんじゃないかなということは、これは冒頭で申し上げたとおりですけれども、やはり安倍さんは任期中に解決するって言ってるんであれば、もう少し画期的な方法を採ってほしいんですね。先ほど私がお話しましたように、彼らにメリットになることを、すぐに与えてしまうのではなくて、ぶら下げるというか見せるというような手に打つという。ですからもう考えてみれば誘拐された人間を助けるっていう非常にシンプルなことなんですけれども、これだけ複雑な関係になってしまったっていうことをもう一度よく考え直して、私はもう動機は問わない、どんな方法でもいい、それは安倍さん言ってますけども、1人10億円出せっていう日本の政治家もいますので、そういう禁じ手っていうんですかね、そういう方法も考えてもいいではないかというふうに考えています。

 金正恩氏のことですけれども、私が聞いてる限り彼は非常に気が短い性格の人らしいですね。彼は国内的な経済的な施策もうまくいってないし、これと いった外交成果も上げてないと。国民の支持を取り付けるためには先軍政治といった、ミサイル発射であるとかそういうものを誇示して自分の存在を国民に知らしめるしかないっていう方法を採っています。
 で、短気なものですから、すぐに気に入らない人がいると粛正してしまうと。彼は小さいとき、正男(ジョンナム)氏と正恩氏と金正日(ジョンイル) 氏と家族で食事をしたらしいんですよね。で、金正日氏が私の後継は正男だなって言ったときに、正恩氏は食事していた箸をぶん投げて、席を立ってしまったというようなことを私、聞いたとことあります。そういう恐怖政治ですから、例えば日本とこういうふうにやって利益を得ましょうというような、ボトムアップをできるようなシステムにはないと私は思ってます。怖いから。下手なこといったら殺される。反面、トップダウンで何かできるかっていうと、私は正恩氏にはそんな能力はないっていうふうに思ってますので、こんな金正恩政権でこの拉致問題、どうしていくのかっていうのは非常に厳しい状態にあるというふうに私は思っています。

拉致問題も重要だが、国と国との関係改善を日本から提案するのはどうか?

記者4:今日のお話の告知、そして本のタイトルを最初に拝見しましたときには非常にアグレッシブだし、非常に狭い 考えを強調するような内容になるのかなとちょっと心配してたんでございますが、お話を聞いてて非常に感銘を受けております。非常に広範囲なものの見方をされてる方だと感じでおりますし、またいろんな具体的な提言、提案をしてくださっているわけでございます。非常に考えさせられているわけでございます。私が質問したいことなんでございますが、これはクリントン政権の終わりのところだったと思うんでございますが、当時の国防長官でありましたオルブライトさんが 平壌に行って、国交正常化の可能性を探ってたと思います。小泉首相も実は平壌に行ったときにも、そういうことも考えていたのではないかというふうに思った わけでございますが、先ほど日本と関係を改善することによってこういうようなものを、何かメリットがあるよって何かぶら下げればいいというようなお話をされたわけでございますが、そのぶら下げる内容の1つとしましては、もちろん拉致問題は重要なんでございますがもっと、なんと言うんですか、もっと本当の意味の政治家、外交側になりまして、国家正常化、あるいは国と国との関係を改善するという大目的、大きな目的を、その可能性をぶら下げるということをどうお考えますでしょうか。
 なぜそういうことを聞くかってことなんですが、この拉致問題ってもちろん大変重要な、大変悲劇的なものなのでございますが、この拉致問題があるために日本と北朝鮮の間の外交も拉致されてしまっているという懸念は多くの学者、私も含めてなんですけど感じてるわけでございます。ですので、パラダイム・ シフトっていうことでございまして、完全に思考を変えるっていうことで、もちろん拉致問題を含めた、しかしもっと大きな国と国の関係を改善する、そういう ようなアプローチをアメリカから、あるいは日本から提案する、そういうような可能性についてはどうお考えでしょうか。

蓮池:感銘いただいてありがとうございます。まず申し上げます。小泉さんも国交正常化を目指したんだというふうに思います。そのときに非常に邪魔だったのが拉致問題であって、それを認めたからっていうことでそこで終わりにしようとしたっていうのが私の考え方で。そこがボタンの掛け違いになって、今 のようなことになってしまったというふうに考えています。
 もちろん私も拉致問題は日朝固有の問題だと思いますが、その中に核・ミサイルの問題があります。望むべくは6者協議の再開だというふうに思ってまして、6カ国協議をやると必ず日本は拉致問題のことを言うと。諸外国のほかの方は日本はなんか拉致問題だけにこだわっていて、6カ国協議がうまくいかない ということになるというふうに思うんですけども、やっぱり本当に望むべくは6カ国協議の早期再開で、おっしゃるように大局的に北朝鮮の核放棄、それからミサイルの放棄ですね。そういうものを目指していくのが私はベストだというふうに思いますが、現状を見ますとこの6カ国協議が開かれるような感じはないわけでありまして、これも理想論で言えば日朝間の問題である拉致問題と同時に日朝間の話し合いで、核ミサイル放棄というものを促していければいいと思うんです が、それも難しいと。

 であるならまず拉致問題を解決して、核・ミサイルという問題はありますけれども、その問題をどうするかっていうのはちょっとこれから考えなきゃいけないとは思うんですけれども、もちろん最終的には国交正常化というものが必要だというふうに思います。戦後まったくこんな近いところにありながら、国交正常化はされていないというのが私は異常なことだと思いますので。
 そのためにまず正常化をしてしまえという入口論と、いろんな拉致問題を解決したゴールとして国交正常化があるという、いわゆる出口論というのがあるんですが、私はいろいろ交渉していって正常化へ向けていろんな材料を彼らに提示して彼らの行動を促して、そして最終的には国交正常化につなげていくって いういわゆる出口論のほうがいいんではないかと現在思っております。
 で、核・ミサイルについてはこれはグローバルの問題ですんで非常に難しいんですが、そういう中でも国交を持っている国々がたくさんあるわけですから、 核・ミサイルの問題がありながら国交があるという国があるということを踏まえれば、この日朝間については拉致問題が解決すれば、日朝の国交正常化っていう のもありではないのかなっていうふうには考えています。

記者5:最後の質問でございますが、実際に拉致被害者は何人存在すると思いますでしょうか。

蓮池:政府認定は17人です。その中で5人帰って来ましたので、政府認定者は今のところ12人ですね。

蓮池:Thank you very much today. Nice to have talking with you. I want to say, foreign broadcasting and newspaper company, I can’t say, please help me. Please write or broadcast what Prime Minister Abe does concerning the abductee issues. Please. Thank you very much today. Thank you.
(完)