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北朝鮮が願ったのは「核兵器保有」自体ではなく「体制の安全の保証」であったことがわかる。体制の安全を保証される最も確かな道は、米国と平和協定を結び国交を樹立することだ。

2021-02-28 | 北東アジアの文化
[レビュー]
「朝鮮半島の平和のためには日本を引き入れなければならない」

登録:2021-02-27 08:00 修正:2021-02-27 08:21


在日コリアン政治学者の姜尚中氏が探る韓国と日本の共存の未来 
「韓国は日本を味方にして、日本は朝鮮半島の平和を助けねば」 
『朝鮮半島と日本の未来』姜尚中著、ノ・スギョン訳、「四季」刊、1万5000ウォン 
在日コリアン政治学者の姜尚中・元東京大学教授(71)=四季提供//ハンギョレ新聞社

                

『朝鮮半島と日本の未来』姜尚中著、ノ・スギョン訳、「四季」刊、1万5000ウォン//ハンギョレ新聞社

  『朝鮮半島と日本の未来』は、在日コリアン2世として生まれ、日本で活動している政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)氏(71)の著作だ。姜尚中氏は早稲田大学に通った1972年に韓国を訪問し、自身の存在を新たに認識した後、日本名を捨て、本名を使い始めた。ドイツで政治思想史を勉強して日本に戻り、在日コリアンとしては初めて東京大学教授になった。以後、日本政治に対する鋭い分析により時代を代表する批判的知識人として定着した。昨年出版した『朝鮮半島と日本の未来』は、朝鮮半島の和解と平和を熱望する日本のなかのコリアンとして、深刻な膠着状態に陥った韓国と日本の関係を復旧する方法を突き詰める本だ。著者は日本において日本語で活動する学者として、日本社会に向け、朝鮮半島と日本の関係改善がなぜ必要なのかを理解させると同時に、コリアンというアイデンティティを持つ知識人として、韓国政府に向け、朝鮮半島の平和の進展を望むのであれば、韓日関係の悪化を放置してはならないと助言する。

 著者はマクロな観点から、朝鮮戦争勃発から約70年間続いている「分断体制」が、その「終末の開始段階」に入ったという診断とともに本書を始める。2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を基点にして3回続けて行われた南北首脳会談と、史上初めて行われた朝米首脳会談が、その「終末の開始」を伝える事件だ。2019年2月のハノイでの朝米首脳会談の決裂以来、膠着局面が長引いているが、広い視野で見れば、分断体制の解体の過程は戻ることができない段階に入ったというのが、著者が信じていることだ。しかし、韓日関係にだけ狭めてみれば、両国は対立の連続の末に「戦後最悪」というほど深刻な不信と反目を体験している。著者は、分断体制の解体と韓日関係の悪化という二つの流れの間に、必然的な関連まではないとしても、無視できない構造的な関連があると診断する。この本は、二つの流れの間にそのような関連が生じることになった地政学的な背景を考察し、韓日両国がこの悪循環から脱し、互恵の関係を回復する道を探る。

 著者は議論を展開する前に、朝鮮半島をめぐる北東アジアの最近の歴史を丹念に見直す。著者が歴史的な検討の出発点にするのは「北朝鮮はなぜ核開発にしがみつくことになったか」という問いだ。ビル・クリントン政権の時からバラク・オバマ政権の時まで朝米交渉の歴史をよくみれば、北朝鮮が願ったのは「核兵器保有」自体ではなく「体制の安全の保証」であったことがわかる。体制の安全を保証される最も確かな道は、米国と平和協定を結び国交を樹立することだ。北朝鮮がドナルド・トランプ政権に期待をかけ首脳会談に出たのも、そのような理由だった。朝鮮半島の南に目を向けてみれば、文在寅(ムン・ジェイン)政府の前に朝米交渉を最も積極的に後押しして南北関係の改善に向け邁進したのは、金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった。しかし、その時期は米国で強硬保守派に政権が変わった時期でもあった。そのため、朝米関係は足踏み状態を脱することができなかった。さらに、盧武鉉政権を継いだ李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クネ)政権は、苦労して築いた南北関係の熱意がこもった塔を倒した。南北関係と朝米関係が再び前進のアクセルを踏みはじめたのは、文在寅政権になった後、特に2018年以後だ。

 あいにくこの時期に韓日関係は最悪に突き進んだ。もちろん、両国関係がこじれ始めたのは李明博政権の時であり、朴槿恵政権でも冷ややかな関係は続いたが、韓日関係が前例のない対決の泥沼に陥ったのは2018年以降であることは事実だ。この年、2015年の「日本軍慰安婦合意」により設置された「和解・癒やし財団」が解散し、韓国最高裁が「強制徴用被害者への賠償判決」を下した。韓日関係に決定的な打撃を与えたのは、2019年夏に日本政府が韓国を「ホワイト国」(輸出手続き優待国、現在はグループA)から排除することを決め、韓国政府もこれに対抗し報復措置を打ち出したことだった。著者は、両国関係がこのようになるまで文在寅政権が事態の悪化を防ごうと積極的な努力をしないのは、明らかに外交的な失敗だと指摘する。南北関係を進展させ朝米交渉を促進しようとするならば、朝鮮半島を取り囲む隣国を協力者として引き入れなければならないが、その点で未熟さを示したということだ。金大中政権が南北首脳会談の前に日本を訪問し、当時の小淵恵三首相と「韓日パートナーシップ共同宣言」を行い、日本を朝鮮半島問題の味方にしたことを忘れるべきではないという指摘だ。安倍首相は南北が近づき協力する雰囲気が強くなることに危機感を抱き、そのような流れを妨害するような態度を示した。そのような日本をいさめて朝鮮半島の平和が日本の得になるという点を説得しなければならなかったが、韓国政府はそのような努力を十分には行わなかった。著者は「文在寅大統領には『知日』が必要だ」ときっぱりと述べる。

 さらに著者は、日本政府にも時代の流れを賢く読むことを勧告する。「朝鮮半島の半永久的分断」を前提とする「現状維持政策」にしがみついていては、東北アジアの平和に貢献できず、周辺部に追い出されかねないということだ。ここで著者は、2019年夏の韓国・北朝鮮・米国の3カ国の首脳が板門店(パンムンジョム)で会った直後に日本が「ホワイト国排除」を決めた事実を想起させる。朝鮮半島の急速な平和の進展を、日本に対する脅威だとみなし、ホワイト国排除というとんでもない報復の刀を押しつけたのではないかという疑いだ。そのような早急な対応が自害的な結果をもたらしたことは、その後の時間が示してくれた。著者は、日本政府が韓国内部の「南南葛藤」(韓国内部の対立)を利用し、保守派を支援する態度を示すことも賢明な処置ではないと指摘する。保守派の朴槿恵・李明博両政権時代に韓日関係がひっくり返り、金大中・盧武鉉両政権時代に両国が「戦後最高の関係」に至ったことを記憶しなければならないということだ。日本政府は、南北の和解と統一により朝鮮半島が中国に近づき、休戦ラインが大韓海峡(対馬海峡)に下る結果になるはずだと懸念しているが、そのような心配こそ杞憂に過ぎない。米国とは安全保障で縛られ、中国とは経済で縛られているという点で、韓国と日本は地政学的な利害関係を共有している。著者は、今の日本政府に必要なのは、北朝鮮核問題を解決し北朝鮮と米国が関係正常化を果たすことが、東北アジアの平和の土台になり、日本の平和に繋がるという事実を深く認識することだと強調する。
コ・ミョンソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

反動派のぬか喜び!当時の日本軍の実態を調査すればわかるはず、ミスでは済まないぞ!

2021-02-27 | 韓国:ハンギョレ新聞
「『慰安婦論文』書いたハーバード大教授、
根拠の朝鮮人契約書を見ていないと認めた」

登録:2021-02-27 05:49 修正:2021-02-27 07:02


ハーバード・ロースクールのソク・ジヨン教授 
ラムザイヤー教授とのやり取りで明らかに 
「引用の誤った事例も認めた 
ミスを犯したと話した」

      

日本軍慰安婦被害者のことを「売春婦」だとする主張を展開して批判を浴びている米国ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授=ハーバード大学資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本軍慰安婦被害者を「売春婦」と主張する論文を書いた米国ハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授が、主張の根拠に当たる朝鮮人慰安婦の対象の売春契約書を実際見ていないと認めたことが分かった。

 ハーバード大学ロースクールのソク・ジヨン(米国名・Jeannie Suk Gersen)教授は26日、米雑誌「ニューヨーカー」オンライン版に公開された「慰安婦の本当のストーリーを探して」という寄稿で、ラムザイヤー氏がこのように答えたと伝えた。ラムザイヤー氏の「太平洋戦争における性サービス契約」は、慰安婦が自発的売春婦だったという趣旨の主張で、最近物議をかもした。ラムザイヤー氏は同論文に関するソク教授の質問に、「私は朝鮮人の契約書は持っていない」と答えたという。ラムザイヤー氏は「(朝鮮人慰安婦対象の)契約書が見つかればよかったが、見つからなかった。あなたも見つけられないだろう」と語ったという。

 これに先立つ17日、ハーバード大学東アジア言語文化学科のカーター・エッカート教授と歴史学科のアンドルー・ゴードン教授は、ラムザイヤー氏の論文の引用を追跡した結果、「彼が朝鮮人慰安婦や家族、または募集業者などによる実際の契約を一件も見つけていないと判断できる」と批判した。ラムザイヤー氏は、自分が書いた論文が第二次次世界大戦前の日本の性売買契約に関する1991の文に基づいていると話したと、ソク教授は書いた。

 ラムザイヤー氏は引用を誤った事例を認め、「私がミスを犯した」と言ったともいう。ラムザイヤー氏は論文で、10歳の日本人少女、おサキさんの例を引用し、「おサキが10歳になった時、業者が近づいてきて、もし海外へ行くことに同意すれば300円を稼げると提案した。業者は彼女を騙そうとせず、彼女は10歳だったが、そのことに含まれている意味が分かっていた」と書いた。おサキさんがボルネオに行って自発的に売春をしたと趣旨で書いたのだ。 しかし、彼が引用した本(山崎朋子『サンダカン八番娼館』)には、おサキさんを含む少女たちが業者に「こんな仕事だとは聞いていない」と抗議し、抵抗したという部分がある。ソク教授はラムザイヤー氏がこれについて、「私もなぜこうしたことが起きたのか分からない。しかし、実際私はこの部分でミスを犯した」という電子メールを送ってきたと伝えた。ラムザイヤー氏はソク教授に送った電子メールで、自分を支持する人たちが韓国や日本などにいるとし、韓国では2019年に出版された『反日種族主義』の著者を例に挙げたという。

 ラムザイヤー氏の論文に対し、日本の学界や市民社会も「歴史を歪曲している」と批判している。日本軍「慰安婦」に関する学術サイトを運営する市民団体「Fight for Justice」は26日、日本史研究会や歴史学研究会、歴史科学協議会など学術団体とともに、来月14日にラムザイヤー氏の論文を批判するオンラインセミナーを開催すると発表した。セミナーでは日本国内の「慰安婦」研究の先駆者とされる吉見義明・中央大学名誉教授が、ラムザイヤー氏の論文の問題点を指摘する予定だ。吉見教授は1992年、「慰安婦」制度を設ける際に軍と政府が深く関与したことを示す文書を見つけた人物だ。
チョ・ギウォン、キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

志位氏はこれらの歴史問題の解決のためには、日本による過去の植民地支配に対する真剣な反省を土台として、被害者の名誉と尊厳が回復されることが最も大事だと述べました。

2021-02-26 | 日韓市民協力
志位委員長 新韓国大使と懇談


      

(写真)グータッチする(左から)韓国の姜昌一・駐日大使と志位和夫委員長=25日、党本部

 日本共産党の志位和夫委員長は25日、党本部で姜昌一(カン・チャンイル)駐日韓国大使の着任あいさつの訪問を受け、懇談しました。

 姜氏は在任中に日韓関係を改善するために力を尽くしたいと述べ、そのための協力を要請しました。

 志位氏は姜大使の着任に祝意を述べ、歓迎しました。両氏は日韓・韓日議員連盟の活動を通じて交流してきた旧知の間柄です。

 この機会に両氏は、徴用工、日本軍「慰安婦」問題を含む日韓関係の現状について意見交換しました。

 大使はこれらの問題について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年記者会見で述べた内容について説明しました。

 志位氏はこれらの歴史問題の解決のためには、日本による過去の植民地支配に対する真剣な反省を土台として、被害者の名誉と尊厳が回復されることが最も大事だと述べました。特に「慰安婦」問題について、(1)被害者の心に届く謝罪(2)その証しとしての賠償(3)後世に真実を伝える歴史教育―の3点が不可欠だと述べました。

 両氏は日韓両国間で若者をはじめとした草の根の民間交流を進めていくことについても話し合いました。

 懇談には日本共産党から緒方靖夫副委員長・国際委員会責任者、笠井亮衆院議員・同副責任者ら、韓国大使館から張倞銀(チャン・ギョンウン)1等書記官らが同席しました。

警察は事件を不起訴の意見を付して検察に送致したが、検察が補完捜査を要請し、警察が再捜査に乗り出したという点で注目される。

2021-02-25 | 韓国の民主化は進んでいく。
韓国検察総長の義母の「利権介入疑惑」、
補完捜査をソウル中央地検が要請

登録:2021-02-24 10:06 修正:2021-02-24 12:17


「納骨堂の詐取介入」告発事件 
警察、昨年末に不起訴の意見を付したが 
検察の要請で1カ月後に再捜査 
 
ソウル警察庁、告発人を再び呼び出し 
義母の横領・詐欺容疑を再捜査 
義母の知人の法曹ブローカーも捜査へ

      

昨年11月、ユン・ソクヨル検察総長がソウル瑞草区の最高検察庁に出勤している/聯合ニュース

 警察が最近、ユン・ソクヨル検察総長の義母のC氏(75)が数千億ウォン台の納骨堂詐取に介入した疑いなどに対する再捜査に着手したことが、23日に確認された。C氏がいわゆる「法曹ブローカー」と共謀し、名義株を横領する方法で納骨堂事業の詐取に介入したという告発事件の捜査だ。これに先立ち、警察は事件を不起訴の意見を付して検察に送致したが、検察が補完捜査を要請し、警察が再捜査に乗り出したという点で注目される。

 ソウル地方警察庁の反腐敗公共犯罪捜査隊は、検察の補完捜査の要請を受け、同事件の告発人のN氏(69)を1月27日に再び呼び出して調査した。ユン総長の義母のC氏が現在裁判を受けている私文書偽造関連の疑いの他に、検察が補完捜査を要請した横領・詐欺の疑いに対する再捜査を始めたもの。警察はまた、C氏の知人で「法曹ブローカー」とされるK氏(82)の弁護士法違反の疑いについても再捜査に着手した。警察は納骨堂事業関係者に対する参考人調査も進めている。

 ユン総長の義母のC氏の納骨堂詐取介入疑惑は、昨年1月、N氏が警察庁に告発状を出して一度捜査が進められた。当時N氏は、自分がC氏の名義貸しを受けた株式の10%を、C氏が法曹ブローカーのK氏に違法譲渡するなどの手口で納骨堂事業をだまし取ったと主張していた。またN氏は、納骨堂の詐取疑惑のほか、2013年にC氏が同業者のA氏と京畿道城南市島村洞(ソンナムシ・トチョンドン)の土地を購入する際、350億ウォン台の通帳残高証明書を偽造したという疑惑と、C氏が約5億ウォンの債務がある法人の財政状況を偽って自分に譲渡した容疑(詐欺)なども告発した。

 当時捜査を担当したソウル地方警察庁知能犯罪捜査隊は、約1年の捜査の末、昨年12月18日に不起訴(却下)の意見で事件を検察に送致した。警察はC氏が2013年に不動産競売で通帳残高証明書を偽造した疑い(私文書偽造)ですでに裁判を受けている点を却下理由に挙げた。送致当時、残高証明書偽造の疑いで裁判中だという理由で告発状に書かれた他の事件まで不起訴送致したことをめぐり、見逃し捜査だという議論も起きた。これについて警察関係者は、「世論の関心が高かった残高証明書事件が強調されて生じた誤解にすぎない。当時、ほかの疑惑についても多方面から調査した」と説明した。

 しかし、検察が事件終結の代わりに補完捜査を要請し、事件は別の局面に入った。ソウル中央地検刑事3部(ホ・インソク部長)は先月8日、警察に残高証明書偽造事件のほかC氏と関連する残りの告発の件全てに対する補完捜査を要請した。捜査が再開されると、N氏は警察にK氏を私文書偽造、偽造調査文書行使などの疑いで追加で告訴した。N氏は2016年11月にもソウル松坡(ソンパ)警察署にK氏を私文書偽造などの容疑で告訴している。警察は翌年3月、ソウル東部地検に起訴意見で事件を送検したが、2018年2月、検察は証拠不十分のためK氏を不起訴処分にした。

 現在、残高証明書偽造の疑いで裁判を受けているC氏は、2013年から2015年にかけて京畿道坡州(パジュ)療養病院を同業者3人とともに経営し、数十億ウォンの療養給付を不正受給した疑いでも在宅起訴され、別の裁判を控えている。この事件をめぐる疑惑について、本紙はC氏に数回電話をかけメッセージを残して立場を尋ねたが、連絡が取れなかった。
イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

朴槿恵政権時代の身元情報資料も出てきている」とし、「国会議員、自治体首長、文化界、労働界など、全方位的に(査察が)行われていた」と述べた。

2021-02-24 | 韓国の民主化は進んでいく。
「李明博、朴槿恵政権の国家情報院、違法査察文書20万件」
登録:2021-02-24 01:56 修正:2021-02-24 07:45


キム・ギョンヒョプ国会情報委員長が記者会見 
「朴槿恵政権での査察は公訴時効前」

      

キム・ギョンヒョプ国会情報委員長が23日、国会情報委員長室で李明博政権時代の国家情報院による査察などの懸案について、記者懇談会を行っている/聯合ニュース

 李明博(イ・ミョンバク)政権時代の国家情報院による政治家査察問題について、共に民主党所属のキム・ギョンヒョプ国会情報委員長は「国情院による違法査察は朴槿恵(パク・クネ)政権時代まで続けられ、非正常に収集された文書の数は約20万件に及ぶと推定する」と述べた。ファン・ギョアン元自由韓国党代表も大統領権限代行時代に違法査察情報の報告を受けていたのではないかとの疑惑も提起された。

 キム委員長は23日午前、国会で記者懇談会を開き、「2009年に査察の指示が下されて以降、中止せよとの指示は確認されていない、というのが先週の国情院長の回答」とし、「文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足して国内の情報組職が改編されるまで続いたと推定する」と語った。キム委員長は「すでに情報公開請求した人々の要求にしたがって(文書)検索を行った結果、朴槿恵政権時代の身元情報資料も出てきている」とし、「国会議員、自治体首長、文化界、労働界など、全方位的に(査察が)行われていた」と述べた。

 国情院は、非正常に収集された文書の数を約20万件と推定している。キム委員長は「情報公開を請求した人たちに対し、1人当たりの身元情報文書が少なくとも3~4件、多い時は10件あまり提供されていることからして、査察対象者数は2万人を超えるのではないかと推定する」と述べた。

 キム委員長は、ファン・ギョアン元自由韓国党代表が朴槿恵政権で大統領権限代行を務めていた頃に違法査察情報についての報告を受けていたはずだという疑惑も提起した。キム委員長は「報告先と明示されているのは民情首席、政務首席、大統領秘書室長で、首相が報告先となっている資料もあった」とし「国情院は大統領直属機関なので首相に報告する義務はないが、これは(ファン・ギョアン当時首相が)大統領権限代行時代に報告されたものではないかと思う」と主張した。

 キム委員長は「報告先が首相室となっている資料もあるということであって、どの時期かは確認できなかった」としながらも「違法査察情報の報告を受けたにもかかわらず、措置を取らなかったというのは深刻な問題だ。李明博政権時代の査察は公訴時効が過ぎているという話も出ているが、朴槿恵政権時代のものは、公訴時効までにはまだ時間が残っている」と話した。

 野党「国民の力」が「金大中(キム・デジュン)政権時代の国情院による盗聴事件」を持ち出して反撃に打って出ていることについては「当時の国情院の職員たちが慣行どおり行っていたもの」と一線を引いた。キム委員長は「金大中政権が発足して違法な盗聴や傍受は行うなとの公開発言があり、違法な盗聴や傍受の件数は非常に少なかった」、「当時のイム・ドンウォン、シン・ゴン両元国情院長の判決文を見ると、(違法盗聴・傍受を)積極的に防がなかったとして有罪判決を受けている」と述べた。
イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

代案として出したのは「民主主義」という信念を共有する国々との連帯、すなわち、同盟を強化することでした。

2021-02-23 | バイデン大統領を追う
[ニュース分析]
バイデン政権は韓国に「クアッド参加」を要求するか

登録:2021-02-23 08:33 修正:2021-02-23 09:36



政治BAR_キル・ユンヒョンのそこが知りたい 
 
米国、今すぐには要求しないが 
韓米同盟の「もろ刃の剣」になるかも
      
米国のジョー・バイデン大統領が19日(現地時間)、ワシントンDCのホワイトハウスのイーストルームからミュンヘン安全保障会議(MSC)にテレビ会議で参加し発言している。バイデン大統領は、米国の大西洋同盟への復帰を宣言し、独裁政治に対抗した民主主義国家の協力を強調した=ワシントン/AP・聯合ニュース
キル・ユンヒョンのそこが知りたい//ハンギョレ新聞社

 「2年前、私がミュンヘンで演説した時、私は一般市民であり教授であり、選挙で選ばれた公職者ではありませんでした。しかし、私はその時、『我々は帰ってくるだろう』と言いました。そして、私は約束を守る人です。アメリカは帰ってきました」

 米国のジョー・バイデン大統領が就任してちょうど1カ月となる19日に行われた「ミュンヘン安全保障会議」のテレビ演説は、様々な面で世界の注目を集めるのに十分でした。バイデン大統領が「アメリカが帰ってきた」という宣言とともに、ドナルド・トランプ前大統領が掲げた「アメリカ・ファースト(米国優先主義)」を廃棄するという意向を明確にしたからです。これに対する代案として出したのは「民主主義」という信念を共有する国々との連帯、すなわち、同盟を強化することでした。バイデン大統領は、現在の全人類が独裁と民主主義という二つの選択肢のうち何を選ぶべきかに対する「根本的な論争の真っただ中にいる」とし、米国と同盟国が「中国と長期的かつ戦略的な競争に備えなければならない」と強調しました。すなわち、「米国、欧州、アジアが太平洋地域でいかにして共に自由を守り、共通する価値を防御し、繁栄を増進していくか」、別の言葉に変えれば、米国と同盟国がどのように中国との「戦略的競争」に打ち勝つ方法を探しだすかが「我々が(今後)遂行しなければならない最も決定的な努力だ」と明らかにしたのです。

 実際、米国はこの日バイデン大統領が演説で強調したとおり、トランプ前大統領時代に損なわれた米国の重要なパートナーである欧州とインド太平洋の同盟を再建しようとする動きを急いでいます。17~18日には、北大西洋条約機構(NATO)を再建するための米国・NATO国防相会議を開き、18日にはNATOの中心的な同盟国である英国・フランス・ドイツとともに、トランプ前大統領が2018年5月に一方的に脱退した「イラン核協定」に復帰するための交渉に乗りだすという意向を表明しました。インド太平洋方面に目を向ければ、19日に米国・日本・オーストラリア・インドなど4カ国が集まった「クアッド(Quad)」外相会議を開き、この集まりを定例化することを合意し、19日には韓国・米国・日本の3カ国の北朝鮮核問題の担当者が初の会議を開きました。

 それならば、「米中間の戦略的競争」が露骨になったインド太平洋で、バイデン政権は韓国に具体的に何を要求することになるのでしょうか。バイデン大統領などの米国の主要人物が過去1カ月間に発した様々な言葉や文章を基に、答えを探ってみましょう。そのために、過去1カ月の間に米国が韓国に「具体的に要求したこと」と「まだ明示的には要求していないこと」を区別してみます。

 まず、米国が具体的に要求したことです。文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領の4日の電話会談、チョン・ウィヨン外交部長官とブリンケン国務長官の12日の電話会談、ブリンケン国務長官の様々な発言、ネッド・プライス米国務省報道官の会見内容などを総合すると、米国は次の二つを要求しています。

 一つ目は、「対北朝鮮政策」の見直しについての協力です。ブリンケン国務長官は、1月19日に行われた上院外交委員会の承認聴聞会で、北朝鮮核問題の解決のために韓国や日本などと協議し「北朝鮮に対する全般的なアプローチ方法と政策を再検討するだろう」と明らかにしました。プライス報道官も、その後数回にわたる定例記者会見で、そのような方針を繰り返し確認しました。現在、これに関連し、韓米当局の間で活発な意思疎通が進められているものとみられます。
韓米日3国の北朝鮮核問題担当の外交当局者会議が19日、テレビ会議で行われた。写真は会議に参加中のソン・キム米国務省東アジア太平洋次官補代行=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 二つ目の要求事項は、現在最悪の状態で放置されている韓日関係の改善です。プライス報道官は9日の定例会見で「北朝鮮の(核)兵器実験よりさらに懸念されることは、韓国と日本で緊密な調整が行われていない状況」だと述べ、ブリンケン国務長官は12日、チョン・ウィヨン長官との電話会談で「持続的な米国・韓国・日本の協力の重要性を強調」しました。しかし、日本の冷淡な態度のため、チョン長官は就任後2週間が過ぎても、今なお日本の茂木敏充外相とあいさつを兼ねた最初の電話会談をできずにいます。米国が仲栽する形で19日に韓国・米国・日本の3カ国の北朝鮮核問題の担当者による協議が行われましたが、日本の外務省はこの日の会議が「実務協議」であることを熱心に強調するなど、相変わらず冷たい態度を隠しませんでした。

 今度は、米国がまだ明示的に要求していないことを見てみましょう。韓国の立場として最も気になる点は、米国が“中国包囲”について韓国にどの程度の積極的な協力を要求するのかに関する部分です。これは、「米国が、中国を牽制するためのインド太平洋地域の安全保障協議体である『クアッド』に参加することを韓国に要求するのか」という問いに代えてみることができます。

 現時点で“明確な答え”を出すのは不可能です。しかし、米国の考えを推定できる“ヒント”がないわけではありません。私が注目するのは、バイデン大統領がクアッドに属する3カ国の日本・オーストラリア・インドの首脳間で電話会談を行った後に公開した資料と、文在寅大統領と電話会談をした後に公開した資料から明らかになる“微細な違い”です。

 まず、日本の資料を見てみましょう。バイデン大統領は先月27日、菅義偉首相と初の首脳間の電話会談を終えた後、短めの報道資料を出し、米日同盟を「自由で開かれたインド太平洋の自由と繁栄のための礎(cornerstone)」という意味を付与しました。さらに、両首脳が「中国と北朝鮮を含む地域の安全保障問題について論議した」という事実を明らかにしました。中国包囲を含むインド太平洋という用語と、中国の国名を具体的に明示しました。オーストラリア首脳と電話会談した資料の基調も同様でした。ホワイトハウスは、米国・オーストラリア同盟を「インド太平洋と世界の安定のための錨(anchor)」という用語で説明した後、両首脳が「中国を含む全世界的で地域的な課題に、どのように共に対応できるのか論議した」と明らかにしました。やはり、インド太平洋という用語と中国という国名を用いたことがわかります。

 最後にインドに対しては、二人の指導者が「自由で開かれたインド太平洋を振興するために、密接な協力を継続することにした」とし、そのための具体的な協力課題として「航行の自由、領土の純粋性、クアッドを通じたより強い地域協力構造(architecture)」などに言及しました。インドは米国の同盟国ではないため、日本やオーストラリアの時に使われた「礎石」や「錨」のような表現はなく、複雑で微妙な中国とインドの関係に配慮したためなのか、中国という国名を直接は用いませんでした。しかし、「航行の自由」「領土の純粋性」などは、誰がみても中国を牽制しようとする意図を込めた表現です。すなわち、インド太平洋という用語を使い、中国に間接的に言及したのです。

 それならば、韓国にはどのような表現を用いたのでしょうか。ホワイトハウスは両国の首脳会談が終わった後、韓米同盟を「東北アジアの平和と繁栄のための核心軸(linchpin)」だと表現しました。インド太平洋という用語の代わりに東北アジアという表現を使ったことが確認されます。さらに、中国に直接言及したり暗示する表現は使いませんでした。カン・ミンソク大統領府報道官は、電話会談のニュースを伝えた4日の会見で、両国の首脳が「価値を共有する責任ある同盟国として、朝鮮半島とインド太平洋地域の協力を越え、民主主義、人権、多国間主義の増進に寄与する包括的な戦略同盟に、韓米同盟を引き続き発展させていくことにした」と明らかにしましたが、実際の米国の資料からは、そのような印象を受けることはできません。インド太平洋や中国はもちろん、両国が「共通の価値を共有する」という表現さえも入れなかったのです。米国が韓国の「戦略的重要性」をクアッド3カ国とは違ってみているのではないかと判断できます。もちろん、12日に行われた「チョン・ウィヨン長官とブリンケン長官」の電話会談の結果を伝える米国務省の資料によると、「韓米同盟は、自由で開かれたインド太平洋の平和と繁栄のための核心軸」だという表現が復活していることがわかります。しかし、インド太平洋という用語は、一時的に東北アジアの平和と繁栄に言及した後、付け加えるような形で使われています。

 このような事実を幅広く見てみると、米国が韓国に期待するのは、他のクアッド3国のような「中国牽制」などの国際的な役割というより、「北朝鮮核問題への対応」のような地域的な役割だと注意深く結論を下すことができます。生半可な予断は禁物ですが、米国が直近の“近い未来”に、クアッドに参加してほしいと韓国に要求はしないだろうと予測されます。バイデン大統領は19日の演説でも「同盟は絞り出すものではない(They are not extractive)」と述べました。同盟国にできないことを無理に要求しないという意味です。韓国の立場からみる場合、熾烈な米中対立のなかでしばらく息をつける“戦略的な隙間”ができたわけです。

 しかし、これは韓国には“もろ刃の剣”にもなり得ます。期待する役割が大きくないということは、戦略的な重要性が低くなるという意味であるからです。直ちに比較対象になるのは日本です。米日両国は2015年に米日防衛協力指針(ガイドライン)を改正した後、米日同盟を名実ともに「グローバル同盟」へと地位と役割を拡大しました。結局、米国が「対北朝鮮政策」などの東アジアの未来について重要な判断を下す時、韓国よりも戦略的に重要な日本の声をより聞き入れる可能性があります。

 このような厳しい現実のなかで、私たちはどのような選択をしなければならないのでしょうか。今のこのままがいいのでしょうか、それとも、保守勢力の主張どおりクアッドなど米国が主導する「中国牽制」の動きに積極的に参加しなければならないのでしょうか。はっきりとした解答を出すには大変な“難題”ですが、明らかな事実は一つです。世界は今、バイデン大統領も言及したように、国際秩序が揺れ動く変曲点(inflection ponit)の上にいます。今、私たちが下す選択の結果は、今後の私たちの共同体全体が何代にもわたり担うことになり得るほど、影響を及ぼすことがあり得るのです。
キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「条件さえ合えば、核を放棄できる」という最高指導者の発言を糸口にして、そのような方向に状況を導いていくことこそ、外交の本質ではないか。

2021-02-23 | バイデン大統領を追う
[寄稿]
バイデン政権の対北朝鮮政策に対する期待と懸念

登録:2021-02-22 08:10 修正:2021-02-22 10:53


北朝鮮核問題の30年の歴史における惜しまれる瞬間には、間違いなく情報の失敗と判断ミスがあった。もう少し圧力を加えれば北朝鮮の体制がすぐに崩壊するはずだという認識、北朝鮮の脅威は外部ではなく内部から来るという恣意的な評価が代表的だ。北朝鮮は体制維持のために絶対に核を放棄できないという見方も同じである。

      

米国のジョー・バイデン大統領が16日(現地時間)、ウィスコンシン州ミルウォキーでCNN放送が行ったタウンホールミーティングで発言している=ミルウォキー/AFP・聯合ニュース

ムン・ジョンイン|世宗研究所理事長

 まだ検討は終わっていないようだが、バイデン政権の対北朝鮮政策が徐々に輪郭を表しはじめたようだ。2月12日、米国のネッド・プライス国務省報道官は「北朝鮮核問題は喫緊の優先順位の事案であり、同盟国と緊密に協力している」と述べた。北朝鮮核問題がバイデン政権になって後回しにされかねないというこれまでの不安を下げる発言という点で肯定的だ。一方、アントニー・ブリンケン国務長官は、北朝鮮の核能力について懸念を示し、北朝鮮に対する制裁の追加の可能性と北朝鮮核問題の解決のための韓国・米国・日本の3国の協力を強調した。北朝鮮に対する抑制と制裁、「戦略的忍耐」という過去の政策の延長線かもしれないという点で、懸念が先立つ大きな課題だ。

 過去30年あまりの間、糸の絡み合いのようにもつれていた北朝鮮核問題を解決するためには、より独創的な発想が必要だ。まず、北朝鮮の意図に対する議論から始めてみよう。ワシントンのいわゆる朝鮮半島専門家は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長に非核化の意志がないという結論を出し、北朝鮮に対する圧力カードを切る。しかし、平壌(ピョンヤン)がどのような場合にも核を放棄するはずはないと断定すれば、外交の空間は消えてしまう。むしろ、北朝鮮側が何度も明らかにした「条件さえ合えば、核を放棄できる」という最高指導者の発言を糸口にして、そのような方向に状況を導いていくことこそ、外交の本質ではないか。平壌としては受け入れられない「先に核を解体した後で補償」という過度の前提条件は、その可能性を遮断する悪手でしかない。

 「同じ話を二度しない」という話もしばしば聞こえる。トランプ前大統領の朝米首脳外交をリアリティ番組のようにみなすバイデン政権としては、そのような認識が当然ともいえる。しかし、当時の首脳会談が声だけ騒々しいリアリティ番組だったとすれば、その理由は逆に言えば、具体的かつ実質的な合意がなかったからだった。「朝米関係を正常化し、恒久的な平和体制を構築すると同時に、完全な非核化のために努力する」というシンガポール宣言は履行されず、ハノイでの首脳会談でトランプ前大統領は、平壌が提示した寧辺(ヨンビョン)カードを拒否し、結局、取引は成功しなかった。バイデン政権がトランプ政権の外交を他山の石として、“真の合意”に乗りださなければならない理由だ。

 北朝鮮と“真の合意”をしようとするならば、交渉のパラダイムを変えなければならない。“罪と罰”という認識フレームでは、進展はみえにくい。元はと言えば、トランプ政権の対北朝鮮政策が失敗した理由も、そのような認識と無関係ではない。ようやく作られた事実上の双中断(北朝鮮の核・ミサイル開発と韓米の大規模軍事演習の同時中断)の状況を、次の段階につなげるには、交渉に乗りだした平壌の“良い行ない”が一定の成果を上げられることを示す必要があった。しかし、2018年と2019年に両国が接触と交渉を続けた間、米国は北朝鮮に対する200回あまりの追加制裁を加えた。北朝鮮の完全な非核化という目標のためには、機械的な官僚主義の代わりに柔軟かつ戦略的な手法で制裁カードを活用しなければならない理由だ。

 より根本的には、核と人権の優先順位の問題がある。前政権とは違い、バイデン政権は人権という普遍的な価値を重視する。問題は、非核化の要求と人権問題の圧迫が、同時に効果を上げることができるのかという点だ。米国の人権問題の提起は、平壌には敵視政策の一環として、核保有をより知らしめるようにする引き金と同じであり、結果的には人権状況についても何の改善も上げることができなくなる。むしろ、核問題で大きな進展がなされ、制裁が緩和された場合、北朝鮮の住民の生活の質を実質的に改善できる可能性が生じる。米国の人権提起も、非核化の進展の過程で双方が信頼を構築した時、より効果的に平壌を動かせるはずだ。さらに、北朝鮮の非核化と経済好転が一定水準以上の改革・開放に繋がり、長期的には北朝鮮においても制限された範囲だとしても市民社会が形成されれば、時間はかかっても人権状況が今と同じとはなり得ないだろう。

 振り返ってみれば、北朝鮮核問題の30年の歴史における惜しまれる瞬間には、間違いなく情報の失敗と判断ミスがあった。もう少し圧力を加えれば北朝鮮の体制がすぐに崩壊するはずだという認識、北朝鮮の脅威は外部ではなく内部から来るという恣意的な評価が代表的だ。北朝鮮は体制維持のために絶対に核を放棄できないという見方も同じだ。むしろ、政権を長期安定化させるには必須である経済成果のためにも、核交渉は平壌では捨てられないカードかもしれないからだ。ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授の表現を借りるならば、今は北朝鮮に対しても「文脈的情報(contextual intelligence)」が必要だ。そのためにバイデン政権に最も必要なパートナーが韓国政府だという事実は、説明する必要はないだろう。
//ハンギョレ新聞社

ムン・ジョンイン|世宗研究所理事長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/983809.html
韓国語原文入力:2021-02-22 02:39
訳M.S

東電が「時効を理由に一律に損害賠償を断ることは考えていない」としていることをあげ、個別の事情で時効を主張して賠償を拒む場合もあり得るのかと質問。東電は「時効を理由に請求を断ることは考えていない」

2021-02-22 | いかなる差別もあってはならない
原発の賠償に応じよ
山添議員 時効問題ただす


            

(写真)質問する山添議員=17日、参院資源エネルギー調査会

 日本共産党の山添拓議員は17日の参院資源エネルギー調査会で、東京電力福島原発事故の損害賠償請求権の時効問題について質問し、原発事故から10年を迎え、東電に対し、最後の一人まで賠償に応じるよう迫りました。

 原発事故の時効特例法は、民法で3年と定める賠償請求権の消滅時効を「損害及び加害者を知った時から10年」と定めています。

 山添氏は、東電が「時効を理由に一律に損害賠償を断ることは考えていない」としていることをあげ、個別の事情で時効を主張して賠償を拒む場合もあり得るのかと質問。東電は「時効を理由に請求を断ることは考えていない」と答弁しました。

 山添氏は、東電が13年12月に「最後の一人まで賠償貫徹」「迅速かつきめ細かな賠償の徹底」「和解仲介案の尊重」などの「三つの誓い」を約束したにもかかわらず、ADR(裁判外紛争解決手続)の集団申し立てで和解案を軒並み拒否した実態を示し、「時効にも懸念が広がっている」と批判。東電が策定中の第四次総合特別事業計画に、「時効を理由に拒むことはない」と明記するよう指導すべきだと主張しました。

 経済産業省の宗清皇一政務官は、「公正で迅速な賠償ができるよう東電を指導していく」と述べました。

11月25日、人民網の取材を受ける平井伸治鳥取県知事(撮影・呉穎)。

2021-02-21 | 中国を知ろう
友好の伝統を継承し、中日地方交流の新局面を切り開く
鳥取県——平井伸治鳥取県知事インタビュー

ポストコロナ時代の中日協力の新たなチャンス(二)
人民網日本語版 2020年12月29日09:35


【編集者付記】中日両国は一衣帯水の関係にあり、様々な分野やレベルで友好協力関係が全面的に深く発展している。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった際、中日両国は相互に援助の手を差し伸べ、共に感染症と闘い、多くの感動的なシーンが生まれた。ポストコロナ時代を展望し、いかにしてコロナが中日の各分野での交流にもたらした一時的な影響を克服するのか?いかにして中日の地方間交流推進を通じて、両国の協力のために新たなチャンスを生み出すのか?日本の各地では、それぞれどんな資源を通じて、中国各地と双方の強みによる相互補完を行うことができるのか?こうした視点に立ち、人民網日本株式会社では「ポストコロナ時代の中日協力の新たなチャンス——日本都道府県知事シリーズインタビュー」を企画。47都道府県の知事を訪ね、独占インタビューを展開していく。人民網が伝えた。(文/孫璐、葉習民、李沐航、呉穎)

      

11月25日、人民網の取材を受ける平井伸治鳥取県知事(撮影・呉穎)。

知事インタビューの第2弾では、鳥取県にフォーカスする。鳥取県は日本・本州西部の日本海沿岸に位置し、美しい鳥取砂丘、美味しいマグロや松葉ガニなどがあるだけでなく、有名な漫画「名探偵コナン」の作者や「ゲゲゲの鬼太郎」の作者も輩出している。また、鳥取県は中国とも深い縁がある。このほど、鳥取県の平井伸治知事が東京の都道府県会館で人民網の取材に応じた。

「中日友好の井戸を掘った人」の故郷

インタビューが始まるとすぐに、平井知事は人民網記者に対し、中日友好のために重要な貢献を果たした鳥取県の有名人2人の名前を挙げた。そのうちの1人は、周恩来総理から「中日友好の井戸を掘った人」の1人と称えられた日本の政治家、古井喜實氏だ。古井氏は1959年に初訪中した後、中日友好関係発展の促進をそのライフワークとし、その政治家人生を通して取り組んだという。古井氏は、松村謙三氏や岡崎嘉平太氏など中日友好に熱心な政界・経済界の人々と共に、中日両国の「中日長期総合貿易に関する覚書」及び「中日双方の新聞記者交換に関するメモ」など重要な文書を調印へと導き、田中角栄首相(当時)の訪中に向けて大量の事前準備作業を行い、中日国交正常化を実現させるために多大なる貢献を果たした。

平井知事は、「当時の特殊な歴史的時期において、日中両国間の雰囲気は非常に緊張しており、全ての人が古井氏に賛同したわけではなく、反対する声も多かったため、古井氏も国会議員選挙に落選してしまった。しかし日中友好の推進において、彼は非常に信念を持った人物で、日本と中国が国交正常化を実現することは、今後のアジアだけでなく世界の平和的発展にとっても非常に必要だと考えていた。そのため、彼は中国側と手を携えて努力し、最終的に1972年に日中国交正常化を実現させた。それからすでに半世紀が過ぎた現在、古井氏は友好の使者として、中国政府からも称賛されている」と紹介。さらに、「東京の日中友好会館前に建てられている古井氏の胸像を訪れるたびに、両国国民の古井氏に対する感謝の気持ちを深く感じることができる」と述べた。

もう1人の中日友好に重要な貢献を果たした人物は、かつて鳥取大学で教鞭をとっていた遠山正瑛教授だ。1935年、当時28歳だった遠山氏は中国に留学した。視察の途中、遠山氏はゴビ砂漠が農地を侵食し、何千万もの人々が飢餓に苦しんでいる様子を見て、大いに心を痛めた。遠山氏が鳥取大学を退職した翌年、中日国交正常化が実現。この時すでに66歳の高齢となっていた遠山氏だが、数十年前目にした光景を忘れることができなかった。遠山氏はすぐさまためらうことなく家財を処分して1人中国に渡り、昼間は40度以上になるゴビ砂漠の高温を克服し、数ヶ月を費やして水源を探した。その後、彼は鳥取砂丘の経験と日本で集めた資金を頼りに、数年の時間を費やして様々な困難と挫折を乗り越え、最終的に100万本のポプラを植えるという目標を立てた。1991年、遠山氏は「日本沙漠緑化実践協会」を立ち上げ、中国に植林ボランティアを派遣し始めた。2013年の時点で、同協会は計11700人のボランティアを派遣し、中国のゴビ砂漠に373万本の木を植え、2万ヘクタール以上の砂漠をオアシスや農地へと変えた。その功績を称えるため、中国政府は1996年に遠山氏の銅像を建立した。

平井知事は、「これは友好交流の具体的な現れだと思う。個人の努力を通じて、友情の架け橋を1つずつ架けていった」と称え、「現在は新型コロナウイルス感染症との闘いが依然として厳しい状況だが、日中両国のビジネス交流再開の歩みはしっかりとしている。これを基盤に、双方が相互に直接交流できる時代が再びやって来ることを願っている」と語った。

中日地方交流協力を着実に推進

中日友好に取り組む人々を数多く生んだ鳥取県は、今では中国との間でよりいっそう密接な友好交流協力関係を結んでいる。同県では、河北省、吉林省と友好関係を結び、様々な交流協力を着実に展開している。

鳥取県の電子部品産業は日本で大きな影響力を持っている。この産業優位性を発揮するため、平井知事は2018年に安倍晋三首相(当時)の訪中に同行し、「第1回中日第三国市場協力フォーラム」に出席した。訪中期間中、平井知事は当時吉林省委員会副書記・省長だった景俊海氏(現・吉林省委員会書記)と双方を代表して協力覚書に署名し、鳥取県の企業と中国の第一汽車集団などが、EV先進運転支援システム(ADAS・EV)案件などをめぐって協力を展開することを共同で推進したほか、関連人材育成について吉林大学と協力覚書を交わした。当時の状況を振り返り、平井知事はこんな興味深いエピソードを紹介してくれた。人民大会堂での挨拶が終わりに近づいた時、知事が中国語で「朋友」を歌い始めると、思いがけず歌に合わせて会場から手拍子が起きたのだという。「この時の情景が強く印象に残っている。日中双方の人々が緊密に協力し、一体になれるということを実感した」と知事は語った。


友好の伝統を継承し、中日地方交流の新局面を切り開く鳥取県——平井伸治鳥取県知事インタビュー (2)
ポストコロナ時代の中日協力の新たなチャンス(二)

人民網日本語版 2020年12月29日09:35


平井知事は、「鳥取県は、吉林省が自身を北東アジア経済貿易の中心にしていこうとする行動に非常に注目している」と語った。毎年多くの県内企業が吉林省が開催する「北東アジア投資貿易博覧会」に参加しており、知事本人も何度か出席したという。知事は、この博覧会は北東アジア地域全体に向けられた舞台であり、巨大なビジネスチャンスを提供しているとの見方を示した。さらに知事は、
11月25日、人民網の取材を受ける平井伸治鳥取県知事(撮影・呉穎)。

その一方で、鳥取県は河北省とも文化の面で積極的な交流を展開しており、双方の協力により、鳥取県に日本で最大の中国式庭園「燕趙園」が完成した。この鳥取県と河北省の友好交流の象徴は、有名な景勝地になっただけでなく、両国の文化相互交流を展開し、中国文化を伝える拠点にもなっている。平井知事は、「鳥取県は『まんが王国』と呼ばれ、漫画とも深い縁がある。そのため、県では燕趙園で中国の有名な漫画家の作品展を開催することを計画していた。非常に残念なことに、新型コロナウイルス感染症の影響のために、作品展は延期せざるを得なかったが、コロナが収束した後、作品展が無事開催され、中日友好の証となることを期待している」と述べた。

「コナン」で中国人観光客の来県を期待

鳥取県の観光資源について話が及ぶと、平井知事は強い自信を示した。知事は記者に対し、「鳥取県で一番有名なのは『鳥取砂丘』。他の地方にも砂丘はあるが、『鳥取砂丘』のように海岸にあり、冬には真っ白な雪に覆われるところは非常に珍しく、風光明媚だと言えるだろう」と語った。

また、漫画については、平井知事は大いに熱のこもった様子だった。鳥取県は、日本で誰もが知っている漫画の「ゲゲゲの鬼太郎」や、中国だけでなく世界にも多くのファンを持つ「名探偵コナン」の作者を輩出しているため、「まんが王国とっとり」と名乗っている。特筆すべきは、「まんが王国とっとり」という設定によりマッチさせ、これらのユニークな観光資源を広めるために、鳥取県の2つの空港である「米子空港」と「鳥取空港」をそれぞれ「米子鬼太郎空港」、「鳥取砂丘コナン空港」と愛称化したことだ。平井知事はさらにこんなエピソードも披露してくれた。「名探偵コナン」は中国で非常に人気があるため、微博(ウェイボー)で「鳥取砂丘コナン空港」と名付けられたことが話題になり、読者からも「空港に『コナン空港』と名前を付けると、毎週火曜日に事件が起こるのでは?」とコメントが残されたと聞いたという。このエピソードを受けて、知事は「コナンがいるので、毎週火曜日に解決してくれるから大丈夫」とユーモアたっぷりに語った。平井知事は、このユーモアあふれる中国のネットユーザーに強い印象を持っており、このエピソードのおかげで「名探偵コナン」が中国で高い知名度を持っていることを知ったのだという。

空港に関して、平井知事はさらに、「上海便を就航させることは鳥取県の長年の夢だった。この夢は2020年1月、ついに上海吉祥航空を通じて実現し、米子鬼太郎空港と上海浦東空港との間で直行便が就航した」と補足。しかし残念なことに、就航したばかりの路線は新型コロナウイルス感染症の流行で影響を受け、運航を一時停止せざるを得なかった。知事は期待を込めて、「コロナは必ず収束する。日中が手を携えて協力し、積極的にコロナと闘えば、鳥取と上海との直行便は運航を再開させられるはずだ」と語った。

「中国で新型コロナウイルス感染症が発生した後、すぐさま大規模な徹底調査を行い、感染リスクを最小限にまで抑制した。鳥取県は感染症予防・抑制面で中国の経験から学び、新型コロナウイルス肺炎問い合わせ窓口と関連医療体系を整備した。日本で予防・抑制措置が最もうまくいっている地方自治体として、鳥取県を日本で最も安全な場所にしていきたい」と平井知事は語った。中国人読者に向けて、平井知事はさらに、「鳥取県はコナンと鬼太郎だけでなく、美味しい『二十世紀梨』や水揚げ量日本一のカニなどのグルメや美しい景色もあります。鳥取県を代表して、中国人観光客の皆さんの訪問をお待ちしています」と語った。

「人民網日本語版」2020年12月29日

職場とは何だろうか。労働者が労働力を売り、労賃を受け取るところだ。平日8時間を勤めること以外は、労働時間の販売者である労働者には雇用主に対するいかなる義務も負わされない。

2021-02-20 | 資本主義という体制そのものが問われている
[朴露子の韓国・内と外]職場の会食文化、服従の儀礼
登録:2021-02-18 22:22 修正:2021-02-19 10:05

労働者をそれこそ機械のように「いつでも気安く」働かせられるようにするには、夜間や週末には「カカオトークでの業務指示」などにより彼らのプライベートタイムまで植民化して、労働時間と個人の時間の区分自体を不可能にさせる一方、上司が「温情的家父長」の役割を演出する会食という序列的服従儀礼を多くの職場で事実上必須化する。そうした会食の席が作り出す家父長的「疑似家庭」の雰囲気の下では、不法な超長時間労働の強要もはるかに易しい。

                     

イラストレーション キム・デジュン//ハンギョレ新聞社

 韓国の大学とノルウェーの大学には違いが多いが、その中でも最初に目につくのは大学付近の町の風景だ。韓国の大学のキャンパスはたいてい歓楽街に囲まれている。学生が行って食べる食堂や勉強ができるカフェも多いが、飲み屋・カラオケなども少なくない。北欧の大学では、構内に教職員・学生が割引で食事ができる空間は必ずあるが、外に出ればカフェの数カ所はあっても、韓国のような“歓楽街”はない。大学だけだろうか?ソウルの各種オフィスビルの“森”の下によく見られる歓楽街を、企業の本社や政府庁舎があるオスロ市内ではまったく見られない。遊興空間は当然あるが、事務職労働者の職場とはそれほど近くない。彼らは“労働”の延長線上で歓楽街に行くことが全くないからだ。

 ノルウェーでも酒を飲まないわけではない。もちろんノルウェー人の年平均酒量(7.7リットル)は、韓国人成人の酒量(12.3リットル)よりは少ないけれど、酒類の販売を国家が独占して酒代を高くしてきた過去一世紀の努力にもかかわらず、“酒文化”を根絶することはできていない。ところが、“職場”と“飲酒宴会”を結びつけられるという発想自体は、資本と労働の間でバランスが取れた社会では成立そのものが不可能だ。

 職場とは何だろうか。労働者が労働力を売り、労賃を受け取るところだ。平日8時間を勤めること以外は、労働時間の販売者である労働者には雇用主に対するいかなる義務も負わされない。スーパーで私たちに食糧を売る店長が顧客と一緒に酒を飲む義務がないように、労働時間の販売者が職場管理者の指示によって連れて行かれて酒を飲むのは、法的には話にもならないことだ。実際、正常な社会では勤務時間以外に管理者が労働者に業務上の連絡をすることも訴訟ものだ。韓国はどうだろうか。求人求職マッチングプラットホーム「サラムイン」が一昨年、会社員456人に質問した「モバイル・メッセンジャー業務処理現況」では、10人中7人(68.2%)が勤務時間外にメッセンジャーで業務の指示を受けたというが、それこそ韓国の労務管理の慣行が“正常”とはほど遠いという事実を如実に見せる。

 勤務時間外の業務指示と共に、事実上の会食参加の準強要は、まだ韓国の職場管理者の多くが“正常”と勘違いしている人権侵害の代表的事例だ。もちろん、人権に対する感受性が成長するにつれ、会食参加の強要強度は大きく緩和された。私が韓国の職場に通い韓国の“職場文化”を体験した1990年代末だったら、企業や大学街で会食参加の回避は欠勤以上の“罪”と認識された職場も珍しくなかった。会食への参加を遠慮なく拒否するということは、重武装した戦闘警察が鎮圧するデモに参加する以上の勇気を要したし、単純な回避もほとんどは“上司の権威に対する挑戦”と見なされることが多かった。今はどうだろうか。就職ポータル「ジョブコリア」が昨年、会社員659人を対象に会食の現況を調査した結果によると、45%が「自由に選択できる」と答えた反面、何と41%が「顔色を伺う」と答えた。複数応答が可能なこの調査では、13%が「会食出席は無条件」と答えた。すなわち、改善されつつはあるものの、「強要された集団遊興」は依然として多くの韓国の会社員が直面している“ヘル朝鮮”の一側面だ。

 コロナで非常事態となり、当局が人々の集まりを避けるよう懇々と呼びかける状況なのに、何と22%が「会食が相変らず進行中」と答えたことから見て、会食とは単に「一緒にご飯を食べて酒を飲み歌を歌う席」というよりは、むしろ“会社”という疑似“王国”の欠かせない重要な“儀礼”に近い。“儀礼”とは、社会的関係を再確認し強化する、象徴性の高い手続きだが、会食という儀礼は果たしてどんな関係を再確認するのだろうか。職場の管理者は、会食の含意について「一体感・団結力を培う」というだろうが、典型的な会食を人類学者の目で参加し観察してみるならば、何よりもまず“序列関係”が再確認される席であることを容易に知ることができる。会食に参加するということ自体が、上司の“見えざる”命令に服従する意味が濃厚であり、会食の席で部下が上司に酒を注ぐことは確かに減ったようだが、しばし観察しただけでも誰が上司で誰が部下かはすぐ分かる。会食という(非公式的)“行事”の進行を総括する上司は、部下の困りごとや要望を聞き、部下には(暗黙的に持続的服従をその見返りとして要求する)各種の約束をする(ただし、部下職員を相手にオンライン・リサーチ企業「エムブレーン」が4年前に調査した結果によれば、「上司の酒席での約束」の履行率は19%にとどまるという) 。職員が懸命にいやな表情を隠し、上司が熱心に“温情”を装わなければならないのは、おそらく最も典型的な“会食風景”であろう。

 “酔った勢いで”からかい、暴言、暴行のようなあらゆる不法行為がたびたび起き、部下にとっては地獄のように苦しくて、そのうえ上司にとってもいくらでも負担になるであろうこの会食という儀礼を、それでも継続している理由はいったい何だろうか。それは、韓国企業の利潤受取戦略と関連していると見られる。「先進国になった」というものの、韓国の労働生産性は今もなおノルウェーの45%程度にしかならない。それでも利潤を最大化するために、多くの企業は相対的に低い効率を“無制限長時間労働”の強要で相殺する。政府が52時間制を実施すると言っても、特に製造業や建設部門の現場ではこの52時間制が有名無実であり、実質的な週当り労働時間が相変らず60時間程度になるということは、多くの労組の組合員調査で簡単に知ることが出来る。労働者を、それこそ機械のように「いつでも気安く」働かせられるようにするには、夜間や週末には「カカオトークでの業務指示」などにより彼らのプライベートタイムまで植民化し、労働時間と個人の時間の区分自体を不可能にさせる一方、上司が「温情的家父長」の役割を演出する会食という序列的服従儀礼を、多くの職場で事実上必須化する。そうした会食の席が作り出す家父長的「疑似家庭」の雰囲気の下では、不法な超長時間労働の強要もはるかに易しい。

 労働者が8時間仕事をして、夜間、週末、休暇時には職場の存在自体をすっかり忘れられる国こそが労働者に良い国だ。大韓民国がそうなるためには、会食強要に対する処罰が強化される一方、「会食のない会社こそが優良会社」という意識をまず広げなければならない。
//ハンギョレ新聞社
朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov) |ノルウェー、オスロ国立大学教授・韓国学(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/983174.html
韓国語原文入力:2021-02-17 02:39
訳J.S

「慰安婦」被害者に対する歴史的事実はすでに国連をはじめとする国際社会の常識になっており、日本も一部認めたため、国際司法裁判所を通じて事実関係を認められなければならない段階ではない

2021-02-20 | 韓国の民主化は進んでいく。
「慰安婦」問題、
ICJ付託案が30年経てようやく出てきたわけは?(後)

登録:2021-02-19 06:17 修正:2021-02-19 09:00


          

平和の少女像=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

国際司法裁判所付託への期待

 日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんは16日の記者会見で、「私はこれまでできる限りのことをしてきた」とし、「もはや方法がない。韓国政府が国際法で日本の罪を明らかにしてほしい。日本が過ちに気づき反省するよう国際司法裁判所(ICJ)の判断を受けてほしい」と訴えた。「日本軍慰安婦問題国際司法裁判所付託推進委員会」(以下推進委)側は、「慰安婦」制度の主体が日本政府という点を認めた1月のソウル中央地裁の判決を、日本政府が韓国国内の裁判所の判決にすぎないとして正当性を認めていないことから、権威あるICJに持ち込むことを提案した。また、この判決が「金銭賠償を命ずるにとどまり、日本の真の法的責任の認定、歴史教育への反映など被害者の人権救済は期待しにくい」という理由も挙げた。

 推進委側の法律検討を担当したシン・ヒソク博士(国際法)は「予断することはできないが、(ICJが)実体的に『慰安婦』制度が当時の国際法を違反した戦争犯罪として法的責任」を認める一方、「手続き的には個人賠償請求権は1965年の韓日請求権協定で放棄され、韓国裁判所は日本の主権免除を尊重しなければならない」と判断する可能性があると見通した。韓国の立場では被害者たちの個人賠償請求権は喪失するが、日本の法的責任は認められ、日本の謝罪、真相究明など法的義務が残るという主張だ。敗訴したとしても、「『慰安婦』制度に関する資料、証言などを過去(第二次世界大戦後、戦犯裁判である)ニュールンベルク裁判、東京裁判の時のように膨大な歴史記録で永久的に残すことができる」というは利点があると指摘した。シン博士は「韓国はICJで訴訟を起こした経験はないが、勝算がある」とし、2014年にオーストラリアが日本の過度な捕鯨を問題視して起こした「国際捕鯨取締条約違反」訴訟で日本が敗訴した事例や2019年4月に世界貿易機関(WTO)紛争解決機構が日本福島水産物輸入禁止関連事件で韓国勝訴した事例などを挙げた。

      

世界日本軍「慰安婦」メモリアルデーに迎え、2018年8月15日にソウル鍾路区旧日本大使館前で開かれた第1348回定期水曜集会の姿=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

国際司法裁判所への付託をめぐる懸念

 国際法の専門家らは、このようなアプローチに懸念や疑問を呈した。被害者は請求権協定にも個人賠償請求権が残っていることを前提に、日本の法的責任と賠償を要求してきたが、推進委の予測通りの判決が下された場合、国際司法裁判所の判断より“失うもの”が大きいと見ているからだ。

 キム・チャンロク慶北大学教授(法学)は今月16日、国際司法裁判所を通じて「慰安婦」制度が当時の国際法を違反した犯罪だという事実を確認したもらう代わりに、被害者の個人賠償請求権は請求権協定で放棄されて日本の主権免除が尊重されなければならないという判断を受け入れるなら、「弊害は実に深刻であろう」と懸念した。複数の法律専門家もこのような判断が下された場合、2018年の韓国最高裁(大法院)判決と1月のソウル中央地裁判決の意味を歪曲する結果をもたらすと警告した。「両裁判が請求権協定および国家免除を認めなかったため、国際法を違反している」という日本政府の主張を後押しする格好になり、これまで国内外で行ってきた努力を台無しにする恐れがあるという判断だ。また、日本政府の能動的な責任認定と謝罪という被害者の本質的要求は、この問題を国際司法裁判所に移しても解決されないという指摘もある。

 「慰安婦」被害者に対する歴史的事実はすでに国連をはじめとする国際社会の常識になっており、日本も一部認めたため、国際司法裁判所を通じて事実関係を認められなければならない段階ではないという点も、国際司法裁判所にこだわる必要がない理由に挙げられる。これに先立ち、「慰安婦」被害者問題は1994年、国際法律化委員会による「慰安婦・終わらない試練」報告書 (Comfort Women an unfinished Ordeal:『国際法から見た「従軍慰安婦」問題』に収録、日本政府の道義的、法律的責務を認める)▽1996年、国連人権委員会の「戦時における軍事的性奴隷制問題に関する朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国および日本への訪問調査に基づく報告書」(クマラスワミ報告:日本軍慰安婦を『軍事的性奴隷』とし、日本の法的責任の認定)▽1998年、国連人権委員会差別防止と少数者保護小委員会の「現代的形態の奴隷制:武力戦争下の計画的レイプ、奴隷制、奴隷に近い状況」報告書(マクドゥーガル報告書:日本政府の個人賠償及び「レイプ所」の設置・監督責任者訴追を提起)だけではなく、国連女性差別撤廃委員会(1994年、2003年、2004年、2009年・日本政府の責任の認定と賠償などを要求)と 国連拷問防止委員会(2007年)、市民的及び政治的権利委員会(2008年)などからも確認されている。

 韓国の政府関係者および多くの国際法専門家たちが韓日間の紛争の国際司法裁判所への付託に懐疑的である他の理由は、独島(日本名・竹島)問題のためだ。日本は1950年代から独島問題の国際司法裁判所への付託を主張してきた。韓国政府が「慰安婦」など歴史問題を提起しようとすれば、日本は独島問題も一緒に付託すべきだと主張している可能性が高い。これまで独島をめぐる領土問題の存在を認めない韓国政府の立場からすると、大きな打撃になりかねない。16日、推進委の記者会見を見守った彼らの心の底には、被害者女性の利益に合致する結果の導出のための十分な検討と戦略的判断が先に成されなかったという残念な気持ちがある。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

敵基地攻撃能力保有を検討し、過去最大の軍事費を計上する菅政権を批判。「コロナ禍で軍事費を削って国民の命と暮らしを守る運動を今こそ草の根から広げよう」と呼びかけました。

2021-02-19 | 憲法に基づく政治を!
軍事費削り感染対策を
国民大運動実行委 総会開き方針採択


 「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会は18日、オンラインを交えて東京都内で総会を開きました。軍事費よりもコロナ対策などを求める運動方針を採択しました。



(写真)「軍事費よりコロナ対策を」と話しあう、国民大運動実行委員会の総会参加者たち=18日、東京都文京区

 主催者あいさつした太田義郎代表世話人(全国商工団体連合会会長)は、敵基地攻撃能力保有を検討し、過去最大の軍事費を計上する菅政権を批判。「コロナ禍で軍事費を削って国民の命と暮らしを守る運動を今こそ草の根から広げよう」と呼びかけました。

 渡辺正道事務局長が方針を提案。強権政治・改憲策動を許さず、コロナ対策など切実な要求実現を求めるとともに、市民と野党の共闘で野党連合政権の実現をめざそうと提起しました。

 各団体・地方の代表が討論。全日本教職員組合の代表は、小学校の35人学級導入にふれ「『ゆきとどいた教育を求める全国署名』など国民の力で実現したものだ。中学・高校への拡充や20人学級実現へ、引き続き頑張る」と発言。日本医労連の代表は、コロナ禍でもなお公立・公的病院の統廃合を進める菅政権を批判し「国民本位の医療のため奮闘する」と決意表明しました。

 埼玉の代表は、県政への要求・懇談に取り組み、保健所職員の増員へ踏み出す変化も生まれており、「県民要求実現へ取り組みを強めたい」と表明。山形の代表は、山形知事選で共同を広げて勝利したことを報告し、「市民と野党の共闘を広げて全選挙区で勝利めざす」と話しました。

 日本共産党の大門実紀史参院議員が国会報告し、菅政権を国会内外で追い詰めて要求実現、政治転換を実現しようと述べました。

韓国が和解のために「それなりの誠意」を見せているにもかかわらず、日本の要求水準があまりにも高く、新年に入っても関係改善は容易ではない見込みだ。

2021-02-18 | 双方の主張を聞き真実を探そう。
冷淡すぎる日本…困難極める韓日関係改善
登録:2021-02-18 08:40 修正:2021-02-18 09:06


チョン外交部長官、まだ日本とは電話会談できず 
日本の過度な要求、韓国の対応の行動の幅狭める

        

文在寅大統領が昨年11月15日、大統領府本館でオンライン会議で開かれた域内包括的経済パートナー協定(RCEP)首脳会議と協定署名式に出席し、日本の署名式を見た後拍手を送っている。文大統領の後ろの画面に日本の菅義偉首相が見える=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 昨年9月の菅義偉首相就任後に続いてきた韓国政府の関係改善の努力にもかかわらず、韓国に対する日本の冷ややかな態度は変わっていない。韓国が和解のために「それなりの誠意」を見せているにもかかわらず、日本の要求水準があまりにも高く、新年に入っても関係改善は容易ではない見込みだ。

 8日に就任したチョン・ウィヨン外交部長官は、就任4日目から周辺国との活発なコミュニケーションを取り始めた。旧正月当日の12日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官やロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と電話会談を行っており、16日には中国の王毅国務委員兼外交部長と電話で協議した。しかし、朝鮮半島周辺の主要国のうち、日本の茂木敏充外相とだけはまだ電話会談日程が決まっていない。日本の冷ややかな態度のためだ。

 日本は様々なところで韓国に対する不満を露わにしている。冨田浩司駐韓日本大使が先月27日、新しい赴任地の米国に向かったが、後任の相星孝一大使の赴任は20日以上実現していない。カン・チャンイル駐日韓国大使は先月22日、東京に到着したが、日本の冷淡な対応のため、菅義偉首相はおろか、茂木外相とも面会していない。2019年5月に赴任したナム・グァンピョ大使の時も韓日関係が最悪だったが、河野太郎外相とは赴任4日目、安倍晋三前首相とは赴任12日目に面会した。

 カン大使の信任状の写しを受け取るため、今月12日午後に面会に応じたのは、日本外務省の「ナンバーツー」の秋葉剛夫外務次官だった。しかし、秋葉次官はカン大使と面会をわずか10分で切り上げた。共同通信は15日、こうした日本政府の態度について、「韓国が歴史問題を蒸し返す姿勢を改めない限り、韓国を対話の相手と見なさない。伝わってくるのは、こうしたメッセージだ。政権内外で嫌韓ムードが広がる」と説明した。同通信はさらに、「関係改善の意欲は文在寅(ムン・ジェイン)政権から感じられない。急いで会う必要はあるのか」という首相官邸内の雰囲気と、チョン長官と茂木外相が会っても、「寒いですね」としか話すことがないという日本政府高官の冷笑的な反応も伝えた。

 しかし韓国政府は、昨年9月の菅首相就任後、韓日関係改善のために様々な努力をしてきた。 特に先月18日の年頭記者会見で、文在寅大統領は以前とは異なる破格の発言を行った。会見10日前の8日、ソウル地方裁判所が日本軍「慰安婦」被害者らに対する日本の損害賠償責任を認めた判決について「率直に少し当惑したのが事実」だとしたうえで、日本が懸念する日本企業資産の現金化問題についても「強制執行の形で現金化されたり、判決が実現されるのは韓日両国間にとって望ましくないと思う」と述べた。2019年の年頭記者会見で「司法判断に政府が介入することはできない」と述べた時とは違い、日本側に配慮した発言だった。

 にもかかわらず、日本政府は冷ややかな態度を変えなかった。茂木外相は翌日の19日、文大統領の発言に対する見解を問う質問に「ここ数年間、韓国によって国際的な約束が破られ、また、二国間合意が実施されていない状況というのがある。こうした現状では、問題を解決したいという韓国側の姿勢の表明だけで評価を行うことは難しいと思っている。韓国側からの具体的提案を見て、評価したいと考えている」と述べた。言葉ではなく「具体的な行動」を求めたわけだ。

 これまで菅首相など日本の主要当局者らの発言を見る限り、日本が望む「具体的行動」とは、2018年10月の強制徴用被害者に対する日本企業の賠償責任を認めた韓国最高裁(大法院)の判決の核心を、韓国政府自らが崩す内容と推定される。「外交的妥協」ではなく「一方的譲歩」を要求しているのだ。しかし、日本の期待に応えるためには、「最高裁判決の履行」や「原告らが同意できる外交的解決策」など、政府が維持してきた核心原則を崩さなければならない。日本が今のように冷淡な態度を維持する限り、韓国政府の行動の幅も小さくならざるを得ない。新年に入っても韓日関係改善が容易ではないのも、そのためだ。
キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

今回の改正施行令は、暴力に苦んでこの世を去ったトライアスロンのチェ・スクヒョン選手の事件をきっかけとしてまとめられた。

2021-02-18 | 韓国の民主化は進んでいく。
文大統領
「学校から韓国代表全般に至るまで暴力根絶すべき」

登録:2021-02-17 03:10 修正:2021-02-17 08:20


      

文在寅大統領が16日、大統領府で開かれた画像国務会議で発言している=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 スポーツ界で暴力を受けるなどの人権侵害を受けた被害者が、加害者から直ちに分離され、保護を受けるための方策がまとめられた。

 大統領府は、16日に開かれたオンラインの国務会議において、スポーツ界での人権保護強化策を盛り込んだ「国民体育振興法施行令一部改正令」が承認されたことを明らかにした。改正施行令には、被害者が加害者から分離保護を受けられるよう、従来の申告・相談施設のほかに、臨時保護施設を設置することをはじめ、監視カメラ(CCTV)の設置、過料を科すことなどが追加された。今回の改正施行令は、暴力に苦んでこの世を去ったトライアスロンのチェ・スクヒョン選手の事件をきっかけとしてまとめられた。

 イム・セウン副報道官は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、忘れかけた頃に繰り返されるスポーツ界の暴行、暴言、性的暴行、強制わいせつなどの事件に遺憾の意を示した」と述べた。また文大統領は「今回の国民体育振興法と施行令の改正を契機として、法と制度が現場でうまく作動し、学校から韓国代表課程全般に至るまで暴力が根絶されるよう、文化体育観光部をはじめとする関連省庁と機関は格別な努力をしてほしい」と要請したという。文大統領は前日にもファン・ヒ文化体育観光部長官に任命状を授与する際に、「暴力や体罰、強制わいせつ問題などのスポーツにおける人権問題が根絶されるよう、特段の努力を傾けてほしい」と述べている。
イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

国会の国家情報委員会の与野党幹事によると、国情院は北朝鮮当局が人民軍兵士の服務期間を男性は従来の8~9年から7年に、女性は6~7年から5年に減らしたことが分かったという。

2021-02-17 | 「北朝鮮問題」の解決のために
国家情報院「北朝鮮、
コロナワクチンと治療薬技術の奪取のためハッキング試みた」

登録:2021-02-17 08:17 修正:2021-02-17 09:51


北朝鮮、人民軍の服務期間を短縮…労働力として経済現場に投入

      

パク・ジウォン国家情報院長が今月16日、国会で開かれた情報委員会全体会議に出席している/聯合ニュース

 国家情報院(国情院)のパク・ジウォン院長は16日、国会情報委員会への報告で、朝鮮人民軍兵士の服務期間が最大2年減っており、「新しい国家経済発展5カ年計画」履行に若い労働力の投入を拡大しようという措置と見られると明らかにした。国会の国家情報委員会の与野党幹事によると、国情院は北朝鮮当局が人民軍兵士の服務期間を男性は従来の8~9年から7年に、女性は6~7年から5年に減らしたことが分かったという。

 北朝鮮の人民軍服務期間の短縮は、先月5~12日に開かれた労働党第8回大会で、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記が明らかにした「軍精鋭化」指針による後続措置で、国情院は「軍を除隊した人材を経済現場に(早期に)投入し、(党第8回大会で採択した)国家経済発展5カ年計画の(円満な)履行を保障するため」と分析したと、情報委与野党幹事のキム・ビョンギ議員と「国民の力」のハ・テギョン議員がメディアブリーフィングで説明した。

 北朝鮮が人民軍兵士の服務期間を最大2年短縮したのは、軍規模の縮小につながる事実上の兵力削減措置だ。「社会主義経済建設への総力集中」戦略路線と「経済を基本戦線とした自力更生式の正面突破戦」と関連した金正恩総書記の政策に対する意志の強さの現れと言える。党大会から1カ月で4日にわたる党中央委全員会議の開催も、「5カ年経済計画の実質的成果に向けた金正恩総書記の意志が反映されたもの」だと、国情院は分析した。

 国情院はまた、金総書記が最近「米国について恣意的な言及をしないよう」繰り返し指示したと報告した。今月8~11日、党中央委全員会議でリ・ソングォン外務相が党中央委政治局委員に任命されたのは、「対外業務に力を与えるための措置」であり、7カ月間にわたり公の場に姿を現していないチェ・ソンヒ外務省第1次官は「地位を維持しながら対米業務を続けている」と報告した。キム・ヨジョン党中央委副部長は党組織における地位の下落にもかかわらず、「実質的地位と役割に全く変化はない」と分析した。金総書記が中国通のキム・ソンナム氏を党国際部長に任命したのに続き、通商次官級人物を派遣してきた駐中国大使に通商専門家のイ・ヨンナム元副首相を内定するなど、「中国中心の行動を続けている」と国情院が報告したと、キム議員が伝えた。

 また国情院は、北朝鮮の昨年の穀物生産量は「440万トンで、今年の需要量550万トンよりも100万トン不足すると予想される。(中国との)国境地域には食糧不足が起きている」という事実も報告した。また、北朝鮮当局が「非社会主義風潮の清算」と関連して昨年「反動思想・文化排撃法」を制定し、「南(韓国)側の映像物流入・流布は死刑、視聴は懲役5年から15年に処罰を強化した」と報告した。北朝鮮はまた、新型コロナワクチンと治療薬の技術を奪取しようとするハッキングを試みた事実を国情院が把握したと、ハ議員は説明した。ハ議員はまた、北朝鮮のサイバー攻撃に関し、「1日平均攻撃が対前年比32%増加しており、地方自治体の行政ネットワークへの侵入を狙ったものや先端技術と金銭奪取目的のハッキングもあった」と伝えた。キム議員もサイバー攻撃の中には「(北朝鮮が)韓国の主要人物約100人にフィッシングメールを送った例もあった」と説明した。
イ・ジェフン、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)