韓国中央日報を読んでいたらこのような記事を見ました。資料として紹介します。
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の葬儀が終わった。予期できなかった彼の死は、北朝鮮と軍事的に対立している韓国にとっても大きな衝撃だっ
た。しかし事件の重大さに比べて、韓国社会の反応は驚くほど落ち着いていた。特に、若者世代の反応は以前とは大きく違った。
1980年代、大学街では北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席を「将軍様」と呼んだ。もちろん、主体(チュチェ)思想を信奉するいわゆる主体思想派
運動圏で主に使用していた表現だったが、全般的にこれに対する心理的抵抗はそれほど大きくなかった。金日成主席の死去後には、韓国大学総学生会連合(韓
総連)を中心に大学生が弔問に行くと主張し、波紋が広がった。当時に比べると、金正日総書記の死去後、大学街は非常に静かだった。ほぼ唯一、メディアの
注目を浴びた‘事件’は、ソウル大学のある学生が校内に金正日委員長追慕焼香所を設置しようとしたことだ。しかしこの試みは多くの学生の強い批判と反対
にぶつかって‘ハプニング’に終わった。北朝鮮に対する若者世代の見解が変わったのだ。
先日、韓国青年政策研究院が20、30代の青年世代を対象に意識調査を実施した。興味深いのは、若者世代が育ちながら社会的に最も大きな影響を受けた
事件は、韓国哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没および延坪島(ヨンピョンド)砲撃ということだった。この事件の影響は特に20代で高く表れた。30代の
場合は通貨危機の比率がやや高かった。「天安」および延坪島事件が衝撃として受け止められたのは、若者世代が脱冷戦と南北和解協力の時代に成長してきた
ため、北朝鮮が韓国に敵対的であることを事実上、初めて体験したためだろう。また、場合によっては現役軍人や予備軍として戦場に出なければならない若者
は、北朝鮮の敵対的行為が自分に直接関係する問題だと感じたはずだ。
若者世代の北朝鮮への態度がこのように変わったとすれば、韓国社会の‘保守’はこれをプラスの変化と考えるかもしれない。しかし若者世代の北朝鮮に対
する認識はそれよりもはるかに複雑だ。いわゆる南南葛藤は北朝鮮を眺める韓国社会の理念的な違いを反映している。保守勢力が北朝鮮に圧力を加え、体制の
崩壊を通した統一を好む立場なら、進歩勢力は北朝鮮との交流協力と相互依存を増大させ、最終的に統一に進もうという立場であろう。すなわち保守と進歩の
差は、現在の北朝鮮政権をどう眺め、また統一をどんな方式で実現するべきかに置かれる。保守であれ、進歩であれ、北朝鮮問題の最終到着地は統一だ。
しかし若者世代の北朝鮮観は既成世代(中高年以上)が持つこうした伝統的な意味の保守・進歩の区分を超えている。ソウル大統一平和研究所が8月、全国
民を対象に実施した統一認識調査で、19-29歳の若者世代の3人に1人(32.5%)は「統一は必要ない」と答えた。「当然、統一は実現されるべき」
という韓国社会内に存在する規範的属性を考えれば、実際に「統一は必要ない」と考えている若者世代の回答比率はこれよりはるかに多いはずだ。
したがって北朝鮮問題に対する既成世代の認識が‘激烈’な理念葛藤にもかかわらず南北間の統一を前提としているのなら、若者世代が北朝鮮を眺める見解
は無関心または自分とは関係のない‘他人事’にすぎない。金正日総書記の死去が若者世代に特別な事件でなかったのはこのためであり、北朝鮮問題をめぐる
韓国社会の‘保守’と‘親北’の理念葛藤に若者が冷笑的なものもこのためだ。北朝鮮問題に対する政策的変化の必要性は、北朝鮮の権力交代だけでなく、こ
うした韓国社会内部の世代的変化とも深い関係があるのだ。
しかし、北朝鮮や統一に対する若者世代の見方の変化は韓国だけに限られたものだろうか。いくら閉鎖的な体制とはいえ、北朝鮮の若者世代も統一や韓国に
対する見方は、戦争や冷戦を経験した既成世代とは大きく違うはずだ。さらに北朝鮮の新しい指導者は29歳の若者だ。しばらく元老グループに諮問しなけれ
ばならないとしても、時間が経てば結局は徐々に彼の世代が指導部に浮上することになる。金正恩体制のスタートとともに、統一、南北問題において、韓半島
の両側の底流に流れている世代的変化に注目しなければならない時点だ。
康元沢(カン・ウォンテク)ソウル大教授/政治外交学部
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の葬儀が終わった。予期できなかった彼の死は、北朝鮮と軍事的に対立している韓国にとっても大きな衝撃だっ
た。しかし事件の重大さに比べて、韓国社会の反応は驚くほど落ち着いていた。特に、若者世代の反応は以前とは大きく違った。
1980年代、大学街では北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席を「将軍様」と呼んだ。もちろん、主体(チュチェ)思想を信奉するいわゆる主体思想派
運動圏で主に使用していた表現だったが、全般的にこれに対する心理的抵抗はそれほど大きくなかった。金日成主席の死去後には、韓国大学総学生会連合(韓
総連)を中心に大学生が弔問に行くと主張し、波紋が広がった。当時に比べると、金正日総書記の死去後、大学街は非常に静かだった。ほぼ唯一、メディアの
注目を浴びた‘事件’は、ソウル大学のある学生が校内に金正日委員長追慕焼香所を設置しようとしたことだ。しかしこの試みは多くの学生の強い批判と反対
にぶつかって‘ハプニング’に終わった。北朝鮮に対する若者世代の見解が変わったのだ。
先日、韓国青年政策研究院が20、30代の青年世代を対象に意識調査を実施した。興味深いのは、若者世代が育ちながら社会的に最も大きな影響を受けた
事件は、韓国哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没および延坪島(ヨンピョンド)砲撃ということだった。この事件の影響は特に20代で高く表れた。30代の
場合は通貨危機の比率がやや高かった。「天安」および延坪島事件が衝撃として受け止められたのは、若者世代が脱冷戦と南北和解協力の時代に成長してきた
ため、北朝鮮が韓国に敵対的であることを事実上、初めて体験したためだろう。また、場合によっては現役軍人や予備軍として戦場に出なければならない若者
は、北朝鮮の敵対的行為が自分に直接関係する問題だと感じたはずだ。
若者世代の北朝鮮への態度がこのように変わったとすれば、韓国社会の‘保守’はこれをプラスの変化と考えるかもしれない。しかし若者世代の北朝鮮に対
する認識はそれよりもはるかに複雑だ。いわゆる南南葛藤は北朝鮮を眺める韓国社会の理念的な違いを反映している。保守勢力が北朝鮮に圧力を加え、体制の
崩壊を通した統一を好む立場なら、進歩勢力は北朝鮮との交流協力と相互依存を増大させ、最終的に統一に進もうという立場であろう。すなわち保守と進歩の
差は、現在の北朝鮮政権をどう眺め、また統一をどんな方式で実現するべきかに置かれる。保守であれ、進歩であれ、北朝鮮問題の最終到着地は統一だ。
しかし若者世代の北朝鮮観は既成世代(中高年以上)が持つこうした伝統的な意味の保守・進歩の区分を超えている。ソウル大統一平和研究所が8月、全国
民を対象に実施した統一認識調査で、19-29歳の若者世代の3人に1人(32.5%)は「統一は必要ない」と答えた。「当然、統一は実現されるべき」
という韓国社会内に存在する規範的属性を考えれば、実際に「統一は必要ない」と考えている若者世代の回答比率はこれよりはるかに多いはずだ。
したがって北朝鮮問題に対する既成世代の認識が‘激烈’な理念葛藤にもかかわらず南北間の統一を前提としているのなら、若者世代が北朝鮮を眺める見解
は無関心または自分とは関係のない‘他人事’にすぎない。金正日総書記の死去が若者世代に特別な事件でなかったのはこのためであり、北朝鮮問題をめぐる
韓国社会の‘保守’と‘親北’の理念葛藤に若者が冷笑的なものもこのためだ。北朝鮮問題に対する政策的変化の必要性は、北朝鮮の権力交代だけでなく、こ
うした韓国社会内部の世代的変化とも深い関係があるのだ。
しかし、北朝鮮や統一に対する若者世代の見方の変化は韓国だけに限られたものだろうか。いくら閉鎖的な体制とはいえ、北朝鮮の若者世代も統一や韓国に
対する見方は、戦争や冷戦を経験した既成世代とは大きく違うはずだ。さらに北朝鮮の新しい指導者は29歳の若者だ。しばらく元老グループに諮問しなけれ
ばならないとしても、時間が経てば結局は徐々に彼の世代が指導部に浮上することになる。金正恩体制のスタートとともに、統一、南北問題において、韓半島
の両側の底流に流れている世代的変化に注目しなければならない時点だ。
康元沢(カン・ウォンテク)ソウル大教授/政治外交学部