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朝鮮人労働者たちが強制労働に動員されたことなどを含む「歴史全体」が理解できるようにする「解釈戦略」を勧告したにもかかわらず、日本がこれを未だに履行していないことに対して強い遺憾を表明したものだ。

2021-07-23 | 国連の動き

ユネスコ、日本の軍艦島歪曲に「強い遺憾」決議案を採択

登録:2021-07-23 06:13 修正:2021-07-23 07:47

 

「朝鮮人強制労働」を説明するという世界遺産登録当時の約束を守らず
 
 
                                   産業遺産情報センターのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 第44回ユネスコ世界遺産委員会は、日本が近代産業施設の世界遺産登録時に勧告された後続措置を履行していないことに対して強い遺憾を表明し、忠実な履行を求める決議案を採択した。韓国外交部が22日に明らかにした。

 この日の決議は12日に世界遺産センターのウェブサイトに公開された文案と同じ内容で、2015年に日本の近代産業施設23カ所が世界遺産に登録された際、朝鮮人労働者たちが強制労働に動員されたことなどを含む「歴史全体」が理解できるようにする「解釈戦略」を勧告したにもかかわらず、日本がこれを未だに履行していないことに対して強い遺憾(strongly regret)を表明したものだ。

 日本は6年前、長崎県端島(軍艦島)などを世界遺産に登録した際、朝鮮人が自らの意思に反して(against their will)動員され、「強制的に労役(forced to work)」させられたことを認めている。しかし、昨年6月に公開された東京のセンターには、朝鮮人の強制労働の事実を否定する内容の証言と資料ばかりが展示され、大きな批判を浴びた。

 その後、3人の世界遺産の専門家からなる共同調査団は、東京のセンターの現地訪問やオンライン視察を行って60ページ分量の報告書を出し、各施設の歴史全体に対する記述が不十分だという結論を下した。

 外交部はまた、今回の決議に「多数の朝鮮半島出身者などが本人の意思に反して過酷な条件の下で強制労働させられた事実」や「犠牲者を追悼するための適切な措置」などの表現が明示されたことに注目した。これは、2015年7月の登録当時は日本の代表(佐藤地ユネスコ大使)の発言に沿って脚注で処理されていたものだが、今回初めて決議の本文に記された。

 今回の世界遺産委員会は16日に開幕した。31日までオンラインで行われ、21カ国の世界遺産委員国の代表団など1300人あまりが参加している。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

朝鮮戦争(1950~53年)で、米国を中心とする国連軍の海上輸送に通信技師として従事した京都府福知山市の男性(92)が、京都新聞社の取材に応じた。

2020-07-01 | 国連の動き
朝鮮戦争で「戦車運んだ」、92歳の日本人男性が証言 
米兵から「口外するな、刑務所に行くぞ」

京都新聞 2020年6月27日 17:32


        

朝鮮戦争で国連軍の海上輸送に携わった体験を証言する男性(福知山市の自宅)

 朝鮮戦争(1950~53年)で、米国を中心とする国連軍の海上輸送に通信技師として従事した京都府福知山市の男性(92)が、京都新聞社の取材に応じた。米軍からの命令のまま、戦争に協力することや行き先を知らされず、朝鮮半島に戦車や真水、日本へは負傷米兵などを運んだという。日本は占領下で、海上輸送に従事した日本人には米軍から厳しい箝口令(かんこうれい)が敷かれていた。男性は家族にも沈黙を貫いたが、「もう秘密は何もない」と証言を決意した。朝鮮戦争は25日で開戦70年を迎えた。

 証言した男性は、海軍通信学校在校時に終戦を迎え、政府が国内の全船舶を一元管理するため設立していた特殊法人「船舶運営会」に就職。米国が日本に貸与した戦車揚陸艦(LST)に海上通信士として乗り込み、中国大陸から日本人を帰還させる任務に就いた。

 男性によると、LSTは同乗していた米兵の指揮下にあった。朝鮮戦争が始まった1950年、日本人船長も乗員も事前に何も告げられず「(LST基地があった長崎県の)佐世保港の出口を出た所で船長が米兵から厳封の封書を受け取り、行き先が朝鮮半島だと初めて分かった」という。

 政府が国民を強制的に働かせる徴用は終戦に伴い終わっていたにもかかわらず、「乗員全員が徴用されたと受け止めていた」。行き先は釜山が多かった。航行時は戦場のような緊迫した状況にあり、男性は後にまとめた備忘録で「硝煙漂う港湾を南下したり、北進したり、暗夜を照らす曳光弾(えいこうだん)で息の根が止まりそうになったり、処(ところ)かまわぬ盲砲弾の炸裂音(さくれつおん)で肝っ玉は縮みどおし」と記した。

 積み荷はカバーで覆われていたが、釜山や元山に着いた際に隙間から戦車や食料、真水が見えた。日本への復路では負傷米兵や片翼を失った米軍機を福岡市の博多港に運んだ。

 男性は47年に通信技術を学ぶため国費で米国に派遣された経験があったことから、「行き先は米兵がその都度指示し、英語に堪能な私が船長への通訳を担うこともあった」と証言する。朝鮮戦争関連の輸送に関わった期間は約1年間。任務終了後、米兵から「一切口外するな。沖縄の刑務所に行くぞ」と厳命され、沈黙を守り通してきた。

 朝鮮戦争の海上輸送で荷揚げなどに携わった乗員の手記は明らかになっているが、船長側近の乗員の証言は珍しい。朝鮮戦争に詳しい防衛省防衛研究所の石丸安蔵研究員は「米軍に残る資料と矛盾せず、通訳した内容や、戦車などの積み荷に関する証言として貴重だ」と話す。

北朝鮮は労働党統一戦線部の報道官名義で5日に談話を発表し、対北朝鮮ビラ散布に対する非難を続けた。

2020-06-07 | 国連の動き
国連人権報告者、
対北朝鮮ビラ問題に「南北の接触・対話で解決を」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.06.06 14:03

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        国連総会の写真・記事とは別のものです。ブログ管理者
北朝鮮が提起した対北朝鮮ビラ散布問題について、国連で北朝鮮の人権問題を担当するキンタナ特別報告者が「南北が合意して解決すべき」と勧告した。

キンタナ氏は5日(現地時間)、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長の談話に関する米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の論評要請に対し、「南北間の合意と関連して生じる問題は、当事者間の緊密な接触と対話を通じて解決されなければいけない」と明らかにした。

キンタナ氏は「北朝鮮に飛んだ対北朝鮮ビラ風船が引き起こした今回の件で、私は北朝鮮の古くからの問題に注目することになった」と述べた。キンタナ氏は表現の自由を明示した世界人権宣言第19条を根拠に挙げながら「すべての人は国境に関係なく、すべてのメディアを通じて情報と考えを習得する権利があるが、北朝鮮ではこの権利が事実上完全に制限された」と指摘した。

これに先立ち金与正第1副部長は4日、談話を発表し、脱北者の対北朝鮮ビラ散布に不快感を表し、南北軍事合意破棄の可能性にまで言及した。続いて北朝鮮は労働党統一戦線部の報道官名義で5日に談話を発表し、対北朝鮮ビラ散布に対する非難を続けた。

スイスのジュネーブで開かれた記者会見で、日本政府は朝鮮学校を「他の外国人学校と同等に扱うべきだ」と述べた。

2019-02-10 | 国連の動き
国連子どもの権利委員会
「日本政府は朝鮮学校を無償化対象に加えるべき」

登録:2019-02-09 06:37 修正:2019-02-09 09:01


「他の外国人学校と同等に扱うべき」 
生徒らの国籍を理由にした不当な差別と規定

 
東京北区の東京朝鮮中高級学校=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 国連子どもの権利委員会が、朝鮮学校を高校無償教育の対象から外したのは不当だとして、日本政府に是正を勧告した。

 国連こどもの権利委員会は7日、スイスのジュネーブで開かれた記者会見で、日本政府は朝鮮学校を「他の外国人学校と同等に扱うべきだ」と述べた。国連子どもの権利委員会の勧告は法的拘束力はないものの、日本政府は後続措置を同委員会に報告しなければならない。

 国連子どもの権利委員会は先月17日の審議で、朝鮮学校を無償教育から除外した措置を「不当な差別」と規定した。当時、日本政府関係者は「法令による審査基準に合わず除外したもので、生徒の国籍を理由にした差別ではない」と主張したが、受け入れられなかった。

 日本政府は2010年、生徒1人当たり年間12万~24万円の就学支援金を学校に支給する高校授業料無償化制度を導入した。正規高校だけでなく、法律上各種学校に分類される外国人学校にも適用された。しかし、在日朝鮮人総聯合会と密接な関係があり、就学支援金が授業料として使われない可能性があるという理由で、朝鮮学校は排除した。

 朝鮮学校の卒業生たちは差別的措置だとして、日本政府を相手に損害賠償訴訟を複数の裁判所に提起したが、1審または2審でいずれも敗訴した。
東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「誤解、誤認、あやまった計算によって、意図しないのに戦争になってしまうことは絶対に避けなければならない」と強調。

2017-12-15 | 国連の動き
「戦争は絶対に避けなければならない」
グテレス国連事務総長が会見



 来日中のグテレス国連事務総長は14日、安倍晋三首相と会談し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、国連安保理による制裁決議の完全な履行をめざす立場を強調しました。

 これに対し、安倍首相は、北朝鮮への圧力を最大限まで高めて路線転換を促す日本の立場を説明し、理解を求めました。

 グテレス氏は会談後、都内の日本記者クラブで会見し、北朝鮮問題について「誤解、誤認、あやまった計算によって、意図しないのに戦争になってしまうことは絶対に避けなければならない」と強調。朝鮮半島の非核化達成は「外交努力を通じて達成されなければならない」と表明しました。

 グテレス氏は、国連のフェルトマン事務次長が5日から平壌(ピョンヤン)を訪れ、北朝鮮高官と会談したことについて問われ、朝鮮半島の非核化を進める姿勢を伝えたとし、「今回の訪朝が解決に向けての前向きな貢献になることを期待したい」と述べました。

 また、ティラーソン米国務長官が12日に「北朝鮮と前提条件なしで対話する用意がある」と述べたことについて問われ、「非核化は平和裏に達成されなければならない」と述べました。

 グテレス氏は、今後の国連の取り組みについて、公平なグローバル化と気候変動問題の解決、共通の平和の利益のためにたたかっていくと強調しました。

声明は、米国の決定が過去の安保理決議と合致せず、和平見通しの点でも「無益」で、「賛成できない」と表明。

2017-12-12 | 国連の動き
エルサレム首都認定 米 孤立鮮明
欧州5カ国「和平に無益」 安保理緊急会合で共同声明


 【ワシントン=池田晋】米国がエルサレムをイスラエルの首都として認定したことを受けて8日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では、米国と「特別な関係」と呼ばれることが多い英国を含む欧州5カ国が「無益」と批判する共同声明を出すなど、米国の孤立が鮮明になりました。パレスチナは和平の仲介役として米国は「失格」だと強く反発、認定撤回を求めました。

 共同声明に加わったのは、安保理常任理事国の英仏、理事国のイタリア、スウェーデン、非理事国のドイツを加えた5カ国。最近の安保理はシリアや北朝鮮問題をめぐり米英仏と中ロの対応が分かれることが多く、異例の展開となりました。

 声明は、米国の決定が過去の安保理決議と合致せず、和平見通しの点でも「無益」で、「賛成できない」と表明。5カ国は「和平プロセス再開のため、信頼しうる全ての取り組みに寄与する用意がある」とし、米国に提案の具体化を促しました。

 会合の場でも、英国は「東エルサレムは占領されたパレスチナの領域だ」、フランスは「エルサレムの地位は和平合意の文脈で当事者間により決められるべき」、スウェーデンは「(エルサレムの)最終的地位の問題に関する交渉結果を先取りする危険があり、和平の見通しを脅かす」と述べました。

 パレスチナは、「違法で、無責任で、挑発的な決定だ」と非難。「法と被占領者の権利を犠牲に、占領者寄りに振る舞う一当事者(米国)が和平プロセスを独占し続けることはできない」と述べ、国際社会の関与の必要性を強調しました。

 米国は、「イスラエルに対する敵意の世界最大の中心地」が国連だとして、批判で応酬。「イスラエルが不当に国連で攻撃されれば、もはや傍観しない」と述べ、露骨にイスラエル寄りの姿勢を示しました。イスラエルは米国に感謝を述べ、エルサレムに大使館を移すよう他国にも求めました。

金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が政権を継承した後、国連高位級の初の訪朝だ。

2017-12-07 | 国連の動き
北朝鮮「核武力完成」
翌日に国連事務次長の招請を確定…北朝鮮核対話始動


登録 : 2017.12.05 23:06 修正 : 2017.12.06 08:19


4日間の日程で5日午後、北京通じて訪朝 
国連報道官「相互関心事・憂慮事項を議論」 
軋轢紛争の解決を担当する長官級高位要人

               
ジェフリー・フェルトマン国連政務担当事務次長(左)が5日、平壌の順安空港に到着し、出迎えた北朝鮮外務省関係者と握手している=平壌/AFP聯合ニュース
 国連の最高位級要人の1人であるジェフリー・フェルトマン政務担当事務次長が4日間の日程で5日に北朝鮮を訪問した。フェルトマン事務次長の訪朝は6年ぶりの国連最高位級訪問で、先月29日の北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型発射以後に再燃した朝鮮半島「強対強構造」の緩和に大きく寄与するものと予想される。

 国連は4日(現地時間)、報道資料を通じて「フェルトマン事務次長が5~8日に北朝鮮を訪問する」として「北朝鮮当局者などと相互の関心事および憂慮事項を議論する予定」と明らかにした。さらに「フェルトマン事務次長は、(北朝鮮の)国連プロジェクト現場を訪問し、北朝鮮にいる国連職員および外交団に会う予定」と明らかにした。フェルトマン事務次長は5日午後、北京の首都空港から一行4~5人と共に高麗航空便を利用して平壌に出発し、北朝鮮の朝鮮中央通信は短く「ジェフリー・フェルトマン国連副事務総長と一行が5日平壌に到着した」とのみ報道した。

 国連の高位級要人の訪朝は、2010年2月の当時リーン・パスコ政務担当事務次長と、2011年10月の人道主義業務調整局(OHCA)バレリー・ エイモス局長の訪朝以後、6年ぶりだ。それだけに異例であり、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が政権を継承した後、国連高位級の初の訪朝だ。長官級要人である政務担当事務次長は、紛争地域の軋轢解決という国連本来の任務を総括するという点で、多くの事務次長の中でも核心要人だ。

 特に彼の訪朝は、北朝鮮との「公式議論」の性格を帯びているという点で重量感がある。ステファン・ドゥジャリク国連報道官は定例ブリーフィングで「フェルトマン事務次長がリ・ヨンホ北朝鮮外相とパク・ミョングク外務省副相などに会う予定」と明らかにした。米国の民間専門家と北朝鮮当局者が非公式に会う「半民半官対話」(1.5トラック)より公式性や格式の面ではるかに水準が高いと言える。

 フェルトマン事務次長の訪朝は、北朝鮮の招請で始まったという点で、北朝鮮が探索的対話を模索し始めたのではないかという見方が出ている。ドゥジャリク報道官は、北朝鮮が9月の国連総会期間にフェルトマン事務次長を招請し、先月30日に訪朝が最終確定したと説明した。

 訪朝が最終確定した時点を見れば、北朝鮮が29日未明にICBMを発射し、正午に「政府声明」を通じて「国家核武力が完成された」と主張した時点に近接している。北朝鮮が金正恩労働党委員長のいわゆる「核・経済並進路線」が完成されたとし、交渉局面への転換を試みているという分析の根拠だ。韓国政府当局者もこの日、北朝鮮の意図と関連して「初歩的な水準ではあるが、対外的にドアを開け始めている」と説明した。


               
               ジェフリー・フェルトマン国連事務次長=国連提供//ハンギョレ新聞社

 フェルトマン事務次長の訪朝が、ドナルド・トランプ米行政府との同意、ないしは調整を経ている点も非常に興味深い。国連消息筋は「米国側とも調整を経たのか」という質問に「当然、関連国らとの協議を経た」として「北朝鮮との疎通チャンネルが必要だということは、関連国がそろって共有している」と明らかにした。ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使が先月29日、安全保障理事会の緊急会議で「戦争が起きるならば北朝鮮政権は完全に破壊されるだろう」と警告したが、米行政府も少なくとも北朝鮮との疎通チャンネルの必要性は認めているという意味だ。

 このようにICBM発射から6日後になされたフェルトマン事務次長の訪朝は、そのタイミングにおいて少なからぬ意味を持っている。北朝鮮のICBMが理論的には米国ワシントンまで射程距離内に置いているという評価が出て、米国の官民では先制攻撃論が再登場するほどに緊張が醸成されているためだ。

 こうした脈絡から、彼の訪朝が朝鮮半島の緊張指数を下げうるということには、大多数の専門家たちが同意している。国連消息筋は「事務次長が緊張緩和を目的に行くと見て差し支えない」と話した。北韓大学院大学のク・ガブ教授も「事務次長の訪朝を通じて北朝鮮もこれ以上の軍事的挑発を制御する名分が得られそうだ」と明らかにした。

 フェルトマン事務次長は、駐レバノン米国大使と近東担当次官補を歴任し、26年間米国務省で勤め、2012年に政務担当事務次長として国連に合流したベテラン外交官で、彼の個人力量にかける期待もある。彼は先月29日、安保理緊急会議で北朝鮮核問題解決の「政治的解決」を強調した。

 彼の訪朝で北朝鮮核対話局面への転換の突破口が用意されうるかについては、意見が交錯している。ク・ガブ教授は「米国や韓国のメッセージがあるだろう」としながら「対話局面に進む契機になることもありうる」と見通した。一方、国連高位級要人の一回の訪問で、関連国の利害関係が複雑に絡まりするどく対抗している北朝鮮核問題の解決の端緒を用意することは容易でないという指摘も侮れない。

 いずれにしても適切な仲裁者がいない膠着局面で、国連が積極的な役割を名乗り出たことは決して悪くない。フェルトマン事務次長の訪朝成果によっては、アントニオ・グテーレス国連事務総長の訪朝につながる可能性もある。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

人権理事会は来年3月の本会合で、日本政府の勧告受け入れ是非を反映したUPR作業部会報告書を採択する予定だ。

2017-11-26 | 国連の動き


【朝鮮学校無償化除外】
日本政府に適用求め勧告/国連人権理、UPR審査では初


国連人権理事会による日本政府に対する第3回普遍的定期審査(UPR)で、高校無償化制度を朝鮮学校にも適用するよう求める趣旨の勧告が出された。社会権規約委員会や人種差別撤廃委員会などの条約機関からはすでに無償化問題を含む朝鮮学校に対する差別是正を求める勧告が再三にわたって出されているが、UPRにおいて勧告が出されたのは初めて。
勧告に従い平等な権利を

14日、スイス・ジュネーブで国連人権理事会による日本政府に対するUPR審査が行われ、UPR作業部会は16日、日本政府に対する106の国と地域による218の項目からなる勧告を盛り込んだ報告書を採択した。

高校無償化制度や教育権に関する勧告を出したのは、ポルトガル、パレスチナ、オーストリア、朝鮮民主主義人民共和国(発言順)。

まず、ポルトガルは、「地方自治体の責任下にある学校も含め、国内のすべての学校に『高校教育授業料無償化及び就学支援金制度』が適用されることを確保せよ」と勧告。適用対象は具体的に明らかにしていないものの、現在、各種学校認可を受けた外国人学校の中で朝鮮学校だけが同制度から除外されていることを考えると、ポルトガルによる勧告は事実上、同制度を朝鮮学校にも適用することを求めたものといえる。

パレスチナは、「学校入学の完全なアクセスをすべての者に確保し、特に女性と子どもの平等な教育へのアクセスに関して、マイノリティ集団が直面しうるすべての障害を取り除くための努力を継続せよ」と勧告した。

オーストリアは、「社会権規約委員会及び人種差別撤廃委員会の勧告に従い、マイノリティの子どもたちが差別なく教育への権利を享受することを確保せよ」と勧告。社会権規約委員会は2013年に、人種差別撤廃委員会は14年にそれぞれ、高校無償化制度が朝鮮学校にも適用されることを確保するよう日本政府に勧告していることから、この勧告も同制度を朝鮮学校に適用することを求めたものと見られる。

最後に朝鮮は、「『高校教育授業料無償化及び就学支援金制度』が朝鮮学校に通う子どもたちにも適用されるよう措置を取れ。また、関連条約機関の勧告に従い、朝鮮学校への平等な取扱いを確保せよ」と明確に勧告した。

これらの勧告に対して日本政府は14日の審査の場で、「朝鮮学校に在日朝鮮人が在籍するために不指定としたわけではなく、法令の趣旨にのっとって不指定とした。そのため、民族差別や教育権の侵害にはあたらない」と答弁している。人権理事会は来年3月の本会合で、日本政府の勧告受け入れ是非を反映したUPR作業部会報告書を採択する予定だ。

今回の審査に関しては、3月、在日本朝鮮人人権協会が、日本政府や地方自治体による朝鮮学校生徒への差別問題について是正勧告を求めるNGOレポートを国連人権高等弁務官事務所に提出。10月には事務局の朴金優綺さんと朝鮮大学校外国語学部の姜承福助教がスイス・ジュネーブで開かれた事前会合に参加し、各国に日本政府の朝鮮学校に対する差別的取扱いや朝鮮学校が置かれた状況について説明を行った。

ロビイングを行った各国の代表部は、「朝鮮学校だけ明確に除外したことは本当なのか? 自国も完璧ではないけど、21世紀にそんなことが起きるなんて信じられない」「朝鮮高校の卒業生たちは日本の大学の入学試験を受けるのに個別審査が必要なのか」などと驚きを示したという。

姜承福助教は、「日本政府が行っている朝鮮学校に対する差別の状況について、日本だけでなく世界に向けてさらに発信し、認知してもらう努力を続けていかなければならないと強く感じた」と話す。

朴金優綺さんはUPR初の勧告は「これまで出された条約機関の勧告を補足し、価値を付加するもの」とし、「日本政府による朝鮮学校の高校無償化制度除外が、国際人権基準に照らして是正されるべき人権侵害行為であることがあらためて示された」と意義を語った。


多くの韓国人は、この決定は、日本政府がユネスコに対して圧力をかけた結果であると認識している。日本がユネスコに多額の分担金を支払っているのがその理由という。

2017-11-01 | 国連の動き
国連、「慰安婦の史実を認め、法的責任を負うべき」と日本に要求
人民網日本語版 2017年10月31日18:23


国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はこのほど、日本政府に対し、「慰安婦の史実を認め、法的責任を認め、人権を侵害する者を処罰すること」を求めた。30日付韓国「韓国時報」報道を引用して環球時報が伝えた。

OHCHRは来月、スイス・ジュネーブにおいて、対日人権審査会議を開催する。その後、日本政府にフィードバックを行い、日本国内における人権問題改善に向けた提案書を提出する。開催に先駆けて公表されたOHCHR報告によると、国連は、日本政府に対して、「慰安婦問題」が存在していることを認め、法律・行政面での措置を講じて被害者に補償するよう求めている。また、報告では、中学校教科書から慰安婦に関する記述を削除するなど、日本政府が国内で「慰安婦問題」をコントロールしていることを問題視し、このような行為は、「国民が真実を知る権利を侵害している」と指摘した。

国連内で「慰安婦問題」に関わっているもう一つの機関は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)だ。「韓国時報」の報道によると、中国・日本・韓国の民間団体はこれまでに、「慰安婦」関連資料をユネスコに提出し、世界記憶遺産リストに登録するよう働きかけてきたが、ユネスコは登録に関する決議を当面先送りにすると決定した。多くの韓国人は、この決定は、日本政府がユネスコに対して圧力をかけた結果であると認識している。日本がユネスコに多額の分担金を支払っているのがその理由という。(編集KM)

「人民網日本語版」2017年10月31日

武装グループや政府が、人道支援のアクセスを拒否し、子どもたちがさらに窮地に追いやられる傾向が広がっている。

2017-10-11 | 国連の動き
紛争地の子ども救え
死傷8000人超  人道法違反1万5000件
20カ国 国連調査
“国際社会は責任を”



 国連は、紛争地の子どもに関する年次報告書(2016年)を発表し、8000人以上の子どもが殺害または負傷させられ、兵士として徴用されるなど国際人道法に反する事例は20カ国で1万5000件にのぼることを明らかにしました。グテレス国連事務総長は紛争当事者に対し、国際人道法に基づき、子どもを直ちに擁護するよう訴えました。(鎌塚由美)

 5日、発表された報告では、アフガニスタン、イラク、シリアなど20カ国の状況をリポート。空爆や戦闘に巻き込まれるなどして死亡したり、重傷を負った子どもの数は、アフガンが3512人と最も多く2009年以来の最悪となり、次いでイエメンが1340人以上、シリアが1299人、アフリカのソマリアが1121人となっています。

 子どもの死傷を含め国際人道法に反する事例は約1万5000件ですが、うち政府軍による子どもの保護に反する事例は、少なくとも4000件にのぼるとしています。子ども兵として徴用されるケースはシリアでは、851件で前年より倍増しました。ソマリアでは1915件でした。

 報告を取りまとめたガンバ国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)は、「子どもが標的になる国際人道法違反は、全く許容できない」と述べ、報告されている事例は、子どもたちをめぐる深刻な状況の一部にすぎないと指摘しました。

 報告では、武装グループや政府が、人道支援のアクセスを拒否し、子どもたちがさらに窮地に追いやられる傾向が広がっていることを指摘。学校や病院などへの攻撃はほとんどの国で報告され、多くの子どもたちから教育を受ける権利が奪われていると警告しています。

 ガンバ氏は、「アフガン、中央アフリカ、ナイジェリア、ソマリア、シリアなどの国では、子どもたちは戦争や暴力の体験しかしていない。これらの子どもたちを見捨てないよう、国際社会が共同で責任を果たすべきだ」と強調しました。

国連本部で5・18国際セミナーを開催し、5・18精神を世界と共有できるきっかけを作った。

2017-05-28 | 国連の動き
国連本部で開かれた初の5・18国際学術大会

登録 : 2017.05.27 05:23 修正 : 2017.05.27 07:14



駐国連代表部『光州ダイアリー:民主主義と自由の集団記憶』について論議  
ドナルド・グレッグ元駐韓米大使とブルース・カミングス教授などが参加 
80年5月を取り上げた『死を越えて時代の闇を越えて』の 
英語版『GWANGJU DIARY』の改正新版も公開 

             
『GWANGJU DIARY』(2017)改訂新版//ハンギョレ新聞社
 民主・平和・人権という5・18民主化運動の価値を世界的に広く知らせる国際学術大会が米ニューヨーク国連本部で開かれた。5・18国際学術大会が外交部駐国連代表部主催で国連本部にて開かれたのは今回が初めてだ。

 外交部駐国連本部は26日午前10時(現地時間)、ニューヨーク国連本部で「光州(クァンジュ)ダイアリー:民主主義と自由の集団記憶」をテーマに国際学術大会を開いた。5・18記念財団が主催した同日の国際セミナーには1990年代に駐韓米大使を務めたドナルド・グレッグ元大使とブルース・カミングス米シカゴ大学教授が、1980年5・18民主化運動と韓国の民主主義などについて講演した。また、AP通信の特派員として1980年5月、光州を取材したテリー・アンダーソン記者が5・18抗争について発表した。

 今回の国際学術大会には5・18民主化運動10日間の抗争を書いた『死を越えて時代の闇を越えて』(日本語版『光州5月民衆抗争の記録―死を越えて、時代の暗闇を越えて』、1985)の英語版『GWANGJU DIARY』の翻訳者ソル・ガプス氏(49)とニック・ママタス氏も参加し、主題発表を行った。『GWANGHU DIARY』は5・18民主化運動の現場状況を世界に知らせた唯一の公式英語翻訳書で、ニューヨークの書評専門誌「レビュー・オブ・ブックス」でも好評を博した。『GWANGJU DIARY』にはブルース・カミングス教授の序文と、1980年当時の米政府の機密文書を分析した米国のジャーナリスト、ティム・シャーロック氏のエッセイも載っている。米国のUCLA大学出版部が1999年アジア太平洋記録物シリーズの一環として出版した『GWANGJU DIARY』は2005年、絶版となった。

昨年11月5・18記念財団で『死を越えて時代の闇を越えて』の実際の著者であるイ・ジェウィ氏と同書の英語版『GWANGJU DIARY』の翻訳者ソル・ガプス氏が会い、本を見せている=5・18記念財団提供//ハンギョレ新聞社

                 

                
『死を越えて時代の闇を越えて』と『GWANGJU DIARY』//ハンギョレ新聞社

 5・18記念財団は『GWANGJU DIARY』の改訂新版を公開した。5・18記念財団は昨年11月翻訳者から版権を確保し、5・18民主化運動と関連した新たな事実を加筆補完して、『GWANGJU DIARY』の改訂版を出版した。5・18記念財団は改正新版をインターネットや郵便を通じて無料配布する予定だ。

 今回の行事には、国連駐在の非政府組織団体の代表や東アジアの歴史関連研究者、5・18を直接取材したジャーナリスト、現地の報道機関関係者、在米韓国人団体関係者らも同席した。5・18記念財団のキム・ヤンレ常任理事は「民主主義と人権の進歩と関連し、世界の人々の信頼を受けている国連本部で5・18国際セミナーを開催し、5・18精神を世界と共有できるきっかけを作った」と明らかにした。

光州/チョン・デハ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

ロシアのサフロンコフ国連次席大使は「化学兵器の使用は容認できない」と・・・

2017-04-07 | 国連の動き
シリアでの化学兵器攻撃
軍縮代表「2013年以来最大規模」
国連安保理 米英仏案にロシア異議


 【ワシントン=池田晋】国連安全保障理事会は5日、シリア北西部イドリブ県で市民らに向けて化学兵器が使用された問題で緊急会合を開きました。

 国連のキム・ウォンス軍縮担当上級代表は、使用の詳細についてまだ十分に判明していないとする一方、「確認されれば、2013年8月の(ダマスカス近郊)ゴウタ以来、シリア領内で単一のものとしては最大規模の化学兵器攻撃になるだろう」と述べました。

 米英仏の3カ国は、化学兵器の使用を非難し、アサド政権に対して、攻撃が行われた日以降の飛行記録の提供などを求める安保理決議案を配布。アサド政権を支援するロシアはこれに異議を示し、この問題の対応をめぐって常任理事国の対立構図が改めて浮き彫りになっています。

 米国のヘイリー国連大使は「ロシアに守られたアサド政権が(化学兵器の使用を)やめる動機はないだろう」と今後も同様の事態が続くことになると警告。ロシアの拒否権発動によって安保理の機能不全が続けば、「私たちは自ら行動をとらざるを得ない」と国連の枠組み外での行動を示唆しました。

 ロシアのサフロンコフ国連次席大使は「化学兵器の使用は容認できない」とする一方、アサド政権が使用したとする情報はシリア人権監視団(英国)などによる「偽の報告だ」などと主張しました。

「通達」は、南スーダンで発生している事案について、政府軍と前副大統領派の「両勢力間の戦闘」と明記。

2017-03-16 | 国連の動き
南スーダンPKO日報の根拠
「通達」で「戦闘」明記 笠井議員追及
衆院外務委




(写真)質問する笠井亮議員=15日、衆院外務委

 日本共産党の笠井亮議員は15日の衆院外務委員会で、陸上自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊が日報を作成する根拠となった「通達」の存在を明らかにしました。

 笠井氏が入手した昨年4月27日付の「南スーダン派遣施設隊等(第10次要員)全般活動計画」と題した「通達」は、中央即応集団司令官が昨年6月から派遣された施設隊長にあてたもの。「報告区分」の一覧には、「日々日報」の項目があります。

 「通達」は、南スーダンで発生している事案について、政府軍と前副大統領派の「両勢力間の戦闘」と明記。笠井氏は「(上級部隊の)通達に『戦闘』とある以上、現地部隊が一連の日報に『戦闘』と記すのは当たり前だ」と述べ、「戦闘は発生していなかった」とする政府の説明に反して、自衛隊内では「戦闘」という認識で一致していた可能性を指摘しました。

 さらに、「治安情勢の急変」が予想されることから「部隊の緊急撤収を予期しつつ」「行動する」よう指示。「緊急撤収用」の軽油・灯油・ガソリンや糧食を装備するなど、いつでも撤収できる態勢を整えていたことも明らかになりました。

 若宮健嗣防衛副大臣は「通達」の存在を認めた上で、「さまざまな事態を想定する必要がある」などと弁明しました。

 笠井氏は、「通達」に従い作成・報告された日報が示すように、政府が部隊の撤収の検討を始めたとする昨年9月時点で、既に現地情勢は深刻な状況にあり、「その時点で撤収を決断すべきだったのではないか」と指摘。派遣期間を延長し、新任務「駆け付け警護」を付与したことは「『安保法制の最初の発動』という実績作りだけが目的だった」と批判し、南スーダンからの即時撤退を求めました。


(図)笠井氏が入手した「通達」。「不測事態」が発生した場合の「緊急撤収」に備えるよう指示しています

核兵器の禁止=核兵器の使用や保有への目は厳しくなります。被爆国日本が今回もまた「反対」した。

2016-12-25 | 国連の動き
核兵器禁止へ歴史的一歩
国連総会決議 違法化へ道開く

NGOなど市民も参加へ


 ニューヨークで開かれていた国連総会は23日夜、10月末に総会第1委員会で採択していた核兵器禁止条約について交渉する国連の会議を来年2会期にわたって開くことを内容とする決議案を採択しました。核兵器禁止に向けた新たな流れが作られることになり、歴史的一歩といえます。(西村央)

 来年3月と6月に開催される会議には、国連機関や非政府組織(NGO)などの市民社会も参加でき、草の根の市民の運動の成果を反映させることが可能となります。核兵器の禁止=違法化の議論が進むなら、核兵器の使用や保有への目は厳しくなります。

 禁止条約の意義については、第1委員会で採択された直後に、核兵器廃絶の交渉監視を続けているレイ・アチソン氏が「禁止条約ができれば核兵器の維持や近代化は違法だと問われる。交渉過程の段階でも国民の監視が今以上に強まる」と語っていました。

 これまで、生物毒素兵器禁止条約は1975年、化学兵器禁止条約は97年にそれぞれ発効し、生物兵器や化学兵器は法的に禁止されています。

 非人道性について告発されている核兵器の禁止条約が検討されるのは当然といえます。

 禁止条約を歓迎する声は国際的にも広がっており、第1委員会の決議に対し、欧州連合(EU)の共同立法機関である欧州議会は、「全地球的な安全保障と核兵器のない世界の条件を生み出す」と賛意を示す決議を採択しています。

 核保有国はいまだに1万5000発を超える核弾頭を持ち続けています。

 これまでの国連の討議のなかでも、核兵器の脅威は重大であり、禁止・廃絶は緊急課題であるとの発言が相次いでいます。

 今回の総会決議で、核兵器保有5カ国、米英仏中ロのうち、中国が棄権しましたが、他は反対しました。

 被爆国日本が第1委員会の決議に続いて今回もまた「反対」したことは、世界の反核の願いに反することです。

 核兵器固執勢力の抵抗は根強いものがありますが、長い目でみると核兵器廃絶を求める世論と運動が固執勢力を追い詰めています。

 核兵器禁止条約は、日本と世界の世論と運動、禁止条約の「早期締結」を求める諸政府が20年来、努力を重ねていたものです。2017年はこの流れを大きく前に進めていく―。それが日本と世界に対する世論の期待と言えます。

潘氏は、2月に現地視察した当時よりも事態が悪化し、「国の多くの地域で暴力が再燃している」と

2016-09-24 | 国連の動き
国連 南スーダンめぐり会合
“暴力再燃”“援助要員に犠牲”
事務総長「軍事的解決はない」



 【ニューヨーク=島田峰隆】国連では22日、南スーダンの人道状況に関する高官会合が開かれ、国連機関や加盟国、援助団体の代表などが同国の戦闘激化が住民にもたらしている深刻な影響について話し合いました。

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、同国の指導者が部族の違いなどを政治に持ち込んで、武器を向けあう状況の中で「子どもや女性、男性の命が犠牲になっている」と指摘。数万人が死亡し、260万人が国内外で避難民・難民となり、480万人が深刻な食料不足となっていると述べました。

 潘氏は、2月に現地視察した当時よりも事態が悪化し、「国の多くの地域で暴力が再燃している」として、レイプの大規模な横行や、人道援助関係者への襲撃などを挙げて、重大な懸念を示しました。

 日本の自衛隊がPKOで派遣されている南スーダンでは2013年12月以降、キール大統領派とマシャール副大統領派の武力衝突が激化。昨年8月に和平協定が結ばれましたが、今年7月に戦闘が再燃しました。

 潘氏は、7月に首都ジュバでホテルが襲撃され、援助団体要員が殺害された事件を含め、13年以降の援助要員の犠牲者は63人に上ったと指摘。「この紛争に軍事的解決はない」とし、紛争当事者に対し和平協定の尊重を求めました。

 会合では、「南スーダンは子どもにとって世界で最も危険な場所だ」(国連児童基金〈ユニセフ〉のレーク事務局長)、「われわれは受け身の傍観者ではいられない」(欧州連合のスティリアニデス欧州委員〈人道支援・危機管理〉)などの発言が相次ぎました。

 オブライエン国連事務次長(人道問題担当)は民間人保護の「強力な解決策の必要性」に言及しつつ、「戦闘の当事者が流血を止めて和平へ努力するよう、圧力をかけてほしい」と各国に呼び掛けました。