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書簡は無人機攻撃について「秘密裏に行われる超法規的殺人」だと批判。標的誤認による殺害や民間人死傷の責任も取っていないと非難しました。

2021-07-05 | バイデン大統領を追う

無人機攻撃の停止を

米大統領に書簡 米内外113団体

「戦争中心のやり方捨てる好機」

 【ワシントン=島田峰隆】米国内外の人権団体や平和団体など113組織はこのほど、バイデン米大統領に連名書簡を送り、歴代政権がテロとのたたかいを口実に世界各地で続けてきた無人機攻撃をやめるよう求めました。米同時多発テロから20年の今年こそが「戦争中心のやり方を捨て去る好機だ」と強調しています。

 書簡は6月30日付。「全米市民自由連合」(ACLU)など米国の団体のほか、アフガニスタン、イエメン、ソマリアなど無人機攻撃の被害を受けている国々の団体も名を連ねました。

 書簡は無人機攻撃について「秘密裏に行われる超法規的殺人」だと批判。標的誤認による殺害や民間人死傷の責任も取っていないと非難しました。

 また無人機攻撃は戦争や紛争をさらに招くだけでなく、米国内でも関与した帰還兵の自殺などの悲劇をもたらしているとしました。

 特に無人機攻撃の被害がイスラム教徒や黒人に集中していることを指摘。バイデン氏は人種差別撤廃や人権中心の外交を掲げているとし、その観点からも無人機攻撃の停止は「避けられない課題」だとしました。

 バイデン氏が副大統領を務めたオバマ元政権は、対テロ戦争で無人機の活用を強化。民間人被害が後を絶たず国際的な批判が高まったことから、政権2期目には攻撃基準を若干厳しくしました。トランプ前政権は基準を緩和。バイデン政権は基準の見直しに触れていますが、攻撃そのものをやめる方針は示していません。


「ジョー・バイデン大統領の施政方針演説は世界だけでなく、韓国にとっても非常に肯定的で希望的だった」と言及し、最近まとめられたバイデン政権の北朝鮮政策の見直し結果について「歓迎」の意を示した。

2021-05-05 | バイデン大統領を追う
 

韓米外相

「朝鮮半島の完全な非核化と平和に向けて引き続き協力」

登録:2021-05-04 05:28 修正:2021-05-04 07:25
 
チョン・ウィヨン外交部長官が今月3日、ロンドンで米国のアントニー・ブリンケン米国務長官と会談した=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 チョン・ウィヨン外交部長官が米国のアントニー・ブリンケン国務長官と3日(現地時間)、ロンドンで会談し、米政府が最近まとめた「北朝鮮政策の見直し」の結果について説明を受けた。両長官は21日に予定されている韓米首脳会談が成功裏に開催されるよう協力していくことにした。

 チョン長官は同日午前、ロンドンのグロブナーハウスホテルでブリンケン長官との会談に先立ち、「ジョー・バイデン大統領の施政方針演説は世界だけでなく、韓国にとっても非常に肯定的で希望的だった」と言及し、最近まとめられたバイデン政権の北朝鮮政策の見直し結果について「歓迎」の意を示した。外交部は会談後、報道資料を発表し、「ブリンケンン長官が米国の北朝鮮政策の見直しの結果を共有」し、チョン長官は「バイデン政権の北朝鮮政策の見直しの結果が現実的かつ実質的な方向に決まったことを歓迎した」と明らかにした。両長官はまた、韓米両国が「朝鮮半島の完全な非核化および恒久的な平和定着のために引き続き緊密に協力し、21日に予定された首脳会談が成功裏に開催されるよう緊密に協力していく」と話をまとめた。

 両長官はまた、両国間の主要懸案である、韓国の新南方政策と米国のインド太平洋地域構想間の連携と協力▽新型コロナ関連ワクチン分野における協力▽気候変動や民主主義などグローバルな懸案の解決などに向けた協力も強化していくことにした。韓米外相会談は3月17日のソウルに続き、1カ月半ぶり2回目の開催となる。

 米国務省は会談後、ネッド・プライス報道官名義で資料を発表し、「韓米同盟がインド太平洋地域と世界の平和、安全保障、繁栄の要(linchpin)であることを再確認した」とし、両長官が「新型コロナや気候危機などグローバルな脅威に対処するため韓米協力の重要性を強調した」と伝えた。また両長官が「朝鮮半島の非核化に向けた韓米日3カ国協力を含め、共同の安全保障目標を維持し、発展させるために協力するという約束を強調した」と明らかにした。

 これに先立ち、ブリンケン長官は日本の茂木敏充外相とも会談し、「北朝鮮の核および弾道ミサイルプログラムに対する憂慮を表明」すると共に、「朝鮮半島の非核化に向けた韓米日3カ国協力を通じて、このような問題を解決するという意志を再確認した」と、米国務省が明らかにした。

 一方、同日午後には主要7カ国レベルでイラン及び北朝鮮問題を扱う主要7カ国(G7)の歓迎晩餐会も開かれ、注目される。招待国として訪問したチョン長官は出席対象ではないが、現地にいるため議論の内容を注視するものとみられる。

 チョン長官は5日に韓米日外相会談に出席した後、茂木外相と初の韓日外相会談に臨む。韓日関係の悪化でチョン長官は今年2月の就任後、茂木外相と電話会談も行っておらず、外相としては今回が初顔合わせとなる。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「トランプ政権が残したもの(シンガポール共同宣言)の上に『互いに信頼できるロードマップ(非核化のスケジュール)』を作らなければならないという具体的な方法論まで提示した。

2021-04-26 | バイデン大統領を追う

米「対北朝鮮政策の見直し結果」めぐり、

韓米日の水面下の綱引きが長引くか

登録:2021-04-26 07:17 修正:2021-04-26 08:56
 
仲栽する米国を挟み韓日が対抗する形 
韓国当局者、米国の対北朝鮮政策の公開について 
「下半期に持ち越されることはないだろう」
 
文在寅大統領が大統領府の常春斎でニューヨーク・タイムズのインタビューを受けている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 近く公開される米国政府の「対北朝鮮政策の見直し」の結果をめぐり、韓日米当局間の激しい水面下での争いが続くものとみられる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最近、メディアのインタビューを通じて韓国政府の立場を強い口調で明らかにし、最終結論を導くための最後の詰めが長引いている形だ。

 米国務省のジャリナ・ポーター副報道官は23日(現地時間)、定例会見で「対北朝鮮政策の見直しの結果が数週間内に出てくるとの話から1カ月が過ぎ、韓国大統領が5月末に訪米する時まで米国政府は待つだろうという予測も出ている。両者に関係はあるのか」という質問に対して「私たちには見直しに関する具体的なタイムテーブルはない。バイデン政権は対北朝鮮政策を徹底的に省庁間で検討し進めている」と述べた。文大統領の米国訪問後に見直しの結果が公開されるのかという質問には即答を避け、予想よりもう少し時間を要することがあり得るという趣旨で答えたのだ。

 米国務省の記者会見でこのような質問が出てきたのは、文大統領が21日付のニューヨーク・タイムズのインタビューで、ジョー・バイデン政権の対北朝鮮政策について自身の意見を強い口調で明らかにしたためとみられる。文大統領はインタビューで「米国と北朝鮮が1日も早く向き合うことが、問題を解決する最も重要な出発点」だとしながら、両国が非核化措置とそれに対する対価を「同時に」取り交わす「漸進的かつ段階的」な方法による非核化を推進するべきだと主張した。さらに「トランプ政権が残したもの(シンガポール共同宣言)の上に『互いに信頼できるロードマップ(非核化のスケジュール)』を作らなければならないという具体的な方法論まで提示した。

 文大統領がインタビューに臨んだのは、16日に開かれた米日首脳会談を通じて対北朝鮮政策に対するバイデン大統領の最終判断が日本側に傾くことになるのを懸念したためとみられる。実際、前日の15日の記者会見でホワイトハウスの高官は、両首脳が対北朝鮮政策の見直しの結果を「締めくくる機会を得るだろう」(have a chance to put the pinishing touch)とし、結果がまもなく出てくることを強く暗示した。日本の菅義偉首相の米国に対するアプローチを、米国で最も強い影響力を持つメディアのインタビューを通じてけん制したわけだ。

 米日首脳は16日の首脳会談を通じて「新たな時代における米日グローバル・パートナーシップ」というタイトルの共同声明を発表した。この声明によると、両国は今後の北朝鮮に対するアプローチについて、北朝鮮への国連安保理決議の順守の要求▽(朝鮮半島非核化ではなく)北朝鮮の非核化▽地域の平和と安全のための抑止力の強化(韓米、日米合同演習の強化)▽拡散防止など四つの原則に合意した。しかし、意見の違いも観察された。菅首相は会談後の記者会見で米日が「すべての種類の大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルに対する『完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄』(CVID)に合意した」と明らかにしたが、この内容は声明には含まれなかった。中間に立つ米国の腕をそれぞれ取り、韓国はシンガポール共同宣言を基盤とした漸進的かつ段階的な非核化、日本は北朝鮮が強く拒否するCVIDの方向に引きよせている形だ。

 文大統領のインタビューが公開された翌日の22日、ノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長は、米国務省のソン・キム東アジア太平洋次官補代行に対し電話協議に取り組んだ。この事実を伝える外交部の報道資料には「最終段階にある米国の対北朝鮮政策の検討について、韓米間の緊密な協力と共助が行われているという点を確認した」という表現が出てくる。大統領がインタビューで明らかにした韓国の立場を、実務者レベルで再び強調したものとみられる。

 しかし、米国が韓国の意向をどこまで受け入れるのか、期待どおり文大統領の訪米後まで検討結果の公開を持ち越すのか、いまだ不透明だ。外交部高官は「(見直しの結果は)数日内ではないが間もなく出てくるはずだ。韓米首脳会談後となると下半期まで持ち越されることになり、遅すぎる。その前には出てくるだろう」と予測した。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

バイデン大統領は、朝米対話で外交官に権限を委任し、まず実務協議から進めていくボトムアップ方式を取ることを明らかにしている。トランプ前大統領の首脳間のトップダウン方式とは異なるアプローチだ。

2021-03-31 | バイデン大統領を追う

米ホワイトハウス「バイデン大統領、金正恩委員長に会う意向はない」

登録:2021-03-30 09:11 修正:2021-03-30 13:03
 
サキ報道官「バイデン大統領のアプローチはかなり違う」 
トランプのトップダウンとは異なる「新しいアプローチ」を再確認 
今週後半、ワシントンで韓米日安保室長が協議
 
米ホワイトハウスのジェン・サキ報道官が29日(現地時間)、メディア向けブリーフィングを行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米ホワイトハウスは29日(現地時間)、ジョー・バイデン大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会う意向はないと明らかにした。

 ジェン・サキ大統領報道官はこの日のブリーフィングで「バイデン大統領は北朝鮮と一定の形の外交にも準備ができていると述べたが、ここには金正恩委員長と対座することが含まれるのか」という質問に「彼(バイデン大統領)のアプローチはかなり違うと思う。それは彼の意図ではない」と答えた。

 これは、首脳間の個人的な関係に大きく依存し金委員長と3回会ったドナルド・トランプ前大統領とは異なる「新しいアプローチ」を取るというバイデン政府の従来の立場を再確認したものとみられる。バイデン大統領と外交安保の主な関係者たちは、トランプ前大統領は金委員長と首脳会談を行って北朝鮮の核能力を減らすことはできないまま、北朝鮮に正当性だけを与えたと批判してきた。バイデン政権の高官たちは、北朝鮮が非核化に関する重大な譲歩をするまでは、バイデン大統領が金委員長に会う可能性は低いと述べてきた。バイデン大統領は昨年10月、大統領選候補討論で、金委員長と会うための条件はあるのかという質問に「彼が核能力を縮小することに同意するという条件のもとに」と答えた。

 また、バイデン大統領は、朝米対話で外交官に権限を委任し、まず実務協議から進めていくボトムアップ方式を取ることを明らかにしている。トランプ前大統領の首脳間のトップダウン方式とは異なるアプローチだ。

 バイデン大統領は25日の記者会見で、北朝鮮の前日の弾道ミサイル発射についての質問に「北朝鮮が緊張を高めることを選択するなら、それに相応して対応する」とし、「また、私は一部の形の外交にも準備ができている。しかしそれは非核化という最終結果の上での条件でなければならない」と明らかにした。

 バイデン政権は新たな対北朝鮮政策を検討しており、サキ報道官はこの検討が最終段階にあると26日に明らかにした。これと関連して、韓米日安保室長は今週後半、ワシントンで対面協議を行う予定だ。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓米は昨年3月、韓国分担金を2019年の1兆389億ウォンから13%引き上げる案に暫定合意したが、当時のトランプ大統領が大幅な引き上げを要求し、最終妥結に至らず、年をまたいだ。

2021-03-10 | バイデン大統領を追う

米国務省、韓米防衛費交渉妥結に

「バイデン政権の同盟活性化が反映された」

登録:2021-03-09 08:49 修正:2021-03-09 09:29
 
米国務省報道官「合意に至ったことを嬉しく思う」 
「韓国の寄与金に意味ある増加が含まれた」
 
チョン・ウンボ韓米防衛費分担交渉大使(右)と米国のドナ・ウェルトン国務省防衛費分担交渉代表が今月7日(現地時間)、ワシントンで会い、第11次韓米防衛費分担特別協定(SMA)締結のための協議を行った=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 米国務省は7日(現地時間)、韓米防衛費分担金交渉が妥結したことを歓迎し、「今回の合意は、バイデン政権の同盟活性化の意志を示すものだ」と述べた。合意文では、韓国政府が負担する分担金に「意味ある増加」が盛り込まれたとも言及された。

 米国務省報道官は同日、ハンギョレの論評要請に「我々は韓米交渉団が同盟と共同防衛を強化する防衛費分担特別協定(SMA)の文案に対する合意(consensus)に至ったことを嬉しく思う」と答えた。

 さらに「同盟は米国の力の莫大な源泉」だとしたうえで、「今回のことは我々の共同安保と繁栄を増進するために民主的同盟を活性化し、現代化するというバイデン-ハリス行政府の約束を反映する」と述べた。

 米国務省は「韓国の駐留国支援寄与金の意味ある増加を含む今回の合意は、韓米同盟が北東アジアと自由で開かれたインド太平洋地域の平和と安全保障、繁栄の核心軸(linchpin)であることを再確認する」と述べた。韓国が負担する防衛費分担金が一定部分増えることを明らかにしたのだ。韓米は昨年3月、韓国分担金を2019年の1兆389億ウォンから13%引き上げる案に暫定合意したが、当時のトランプ大統領が大幅な引き上げを要求し、最終妥結に至らず、年をまたいだ。

 米国務省はまた「韓米は現在、協定の署名と発効に必要な最終段階を進めている」と明らかにした。

 韓国外交部は同日、報道資料を発表し、チョン・ウンボ韓米防衛費分担交渉大使と米国務省のドナ・ウェルトン防衛費分担交渉代表が第11次韓米防衛費分担特別協定締結のため、5~7日の3日間、ワシントンで協議を行ったとしたうえで、「その結果、原則的合意に達した」と明らかにした。外交部は「双方は内部報告手続きを終えた後、対外発表および仮署名を推進する予定」だと付け加えた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

代案として出したのは「民主主義」という信念を共有する国々との連帯、すなわち、同盟を強化することでした。

2021-02-23 | バイデン大統領を追う
[ニュース分析]
バイデン政権は韓国に「クアッド参加」を要求するか

登録:2021-02-23 08:33 修正:2021-02-23 09:36



政治BAR_キル・ユンヒョンのそこが知りたい 
 
米国、今すぐには要求しないが 
韓米同盟の「もろ刃の剣」になるかも
      
米国のジョー・バイデン大統領が19日(現地時間)、ワシントンDCのホワイトハウスのイーストルームからミュンヘン安全保障会議(MSC)にテレビ会議で参加し発言している。バイデン大統領は、米国の大西洋同盟への復帰を宣言し、独裁政治に対抗した民主主義国家の協力を強調した=ワシントン/AP・聯合ニュース
キル・ユンヒョンのそこが知りたい//ハンギョレ新聞社

 「2年前、私がミュンヘンで演説した時、私は一般市民であり教授であり、選挙で選ばれた公職者ではありませんでした。しかし、私はその時、『我々は帰ってくるだろう』と言いました。そして、私は約束を守る人です。アメリカは帰ってきました」

 米国のジョー・バイデン大統領が就任してちょうど1カ月となる19日に行われた「ミュンヘン安全保障会議」のテレビ演説は、様々な面で世界の注目を集めるのに十分でした。バイデン大統領が「アメリカが帰ってきた」という宣言とともに、ドナルド・トランプ前大統領が掲げた「アメリカ・ファースト(米国優先主義)」を廃棄するという意向を明確にしたからです。これに対する代案として出したのは「民主主義」という信念を共有する国々との連帯、すなわち、同盟を強化することでした。バイデン大統領は、現在の全人類が独裁と民主主義という二つの選択肢のうち何を選ぶべきかに対する「根本的な論争の真っただ中にいる」とし、米国と同盟国が「中国と長期的かつ戦略的な競争に備えなければならない」と強調しました。すなわち、「米国、欧州、アジアが太平洋地域でいかにして共に自由を守り、共通する価値を防御し、繁栄を増進していくか」、別の言葉に変えれば、米国と同盟国がどのように中国との「戦略的競争」に打ち勝つ方法を探しだすかが「我々が(今後)遂行しなければならない最も決定的な努力だ」と明らかにしたのです。

 実際、米国はこの日バイデン大統領が演説で強調したとおり、トランプ前大統領時代に損なわれた米国の重要なパートナーである欧州とインド太平洋の同盟を再建しようとする動きを急いでいます。17~18日には、北大西洋条約機構(NATO)を再建するための米国・NATO国防相会議を開き、18日にはNATOの中心的な同盟国である英国・フランス・ドイツとともに、トランプ前大統領が2018年5月に一方的に脱退した「イラン核協定」に復帰するための交渉に乗りだすという意向を表明しました。インド太平洋方面に目を向ければ、19日に米国・日本・オーストラリア・インドなど4カ国が集まった「クアッド(Quad)」外相会議を開き、この集まりを定例化することを合意し、19日には韓国・米国・日本の3カ国の北朝鮮核問題の担当者が初の会議を開きました。

 それならば、「米中間の戦略的競争」が露骨になったインド太平洋で、バイデン政権は韓国に具体的に何を要求することになるのでしょうか。バイデン大統領などの米国の主要人物が過去1カ月間に発した様々な言葉や文章を基に、答えを探ってみましょう。そのために、過去1カ月の間に米国が韓国に「具体的に要求したこと」と「まだ明示的には要求していないこと」を区別してみます。

 まず、米国が具体的に要求したことです。文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領の4日の電話会談、チョン・ウィヨン外交部長官とブリンケン国務長官の12日の電話会談、ブリンケン国務長官の様々な発言、ネッド・プライス米国務省報道官の会見内容などを総合すると、米国は次の二つを要求しています。

 一つ目は、「対北朝鮮政策」の見直しについての協力です。ブリンケン国務長官は、1月19日に行われた上院外交委員会の承認聴聞会で、北朝鮮核問題の解決のために韓国や日本などと協議し「北朝鮮に対する全般的なアプローチ方法と政策を再検討するだろう」と明らかにしました。プライス報道官も、その後数回にわたる定例記者会見で、そのような方針を繰り返し確認しました。現在、これに関連し、韓米当局の間で活発な意思疎通が進められているものとみられます。
韓米日3国の北朝鮮核問題担当の外交当局者会議が19日、テレビ会議で行われた。写真は会議に参加中のソン・キム米国務省東アジア太平洋次官補代行=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 二つ目の要求事項は、現在最悪の状態で放置されている韓日関係の改善です。プライス報道官は9日の定例会見で「北朝鮮の(核)兵器実験よりさらに懸念されることは、韓国と日本で緊密な調整が行われていない状況」だと述べ、ブリンケン国務長官は12日、チョン・ウィヨン長官との電話会談で「持続的な米国・韓国・日本の協力の重要性を強調」しました。しかし、日本の冷淡な態度のため、チョン長官は就任後2週間が過ぎても、今なお日本の茂木敏充外相とあいさつを兼ねた最初の電話会談をできずにいます。米国が仲栽する形で19日に韓国・米国・日本の3カ国の北朝鮮核問題の担当者による協議が行われましたが、日本の外務省はこの日の会議が「実務協議」であることを熱心に強調するなど、相変わらず冷たい態度を隠しませんでした。

 今度は、米国がまだ明示的に要求していないことを見てみましょう。韓国の立場として最も気になる点は、米国が“中国包囲”について韓国にどの程度の積極的な協力を要求するのかに関する部分です。これは、「米国が、中国を牽制するためのインド太平洋地域の安全保障協議体である『クアッド』に参加することを韓国に要求するのか」という問いに代えてみることができます。

 現時点で“明確な答え”を出すのは不可能です。しかし、米国の考えを推定できる“ヒント”がないわけではありません。私が注目するのは、バイデン大統領がクアッドに属する3カ国の日本・オーストラリア・インドの首脳間で電話会談を行った後に公開した資料と、文在寅大統領と電話会談をした後に公開した資料から明らかになる“微細な違い”です。

 まず、日本の資料を見てみましょう。バイデン大統領は先月27日、菅義偉首相と初の首脳間の電話会談を終えた後、短めの報道資料を出し、米日同盟を「自由で開かれたインド太平洋の自由と繁栄のための礎(cornerstone)」という意味を付与しました。さらに、両首脳が「中国と北朝鮮を含む地域の安全保障問題について論議した」という事実を明らかにしました。中国包囲を含むインド太平洋という用語と、中国の国名を具体的に明示しました。オーストラリア首脳と電話会談した資料の基調も同様でした。ホワイトハウスは、米国・オーストラリア同盟を「インド太平洋と世界の安定のための錨(anchor)」という用語で説明した後、両首脳が「中国を含む全世界的で地域的な課題に、どのように共に対応できるのか論議した」と明らかにしました。やはり、インド太平洋という用語と中国という国名を用いたことがわかります。

 最後にインドに対しては、二人の指導者が「自由で開かれたインド太平洋を振興するために、密接な協力を継続することにした」とし、そのための具体的な協力課題として「航行の自由、領土の純粋性、クアッドを通じたより強い地域協力構造(architecture)」などに言及しました。インドは米国の同盟国ではないため、日本やオーストラリアの時に使われた「礎石」や「錨」のような表現はなく、複雑で微妙な中国とインドの関係に配慮したためなのか、中国という国名を直接は用いませんでした。しかし、「航行の自由」「領土の純粋性」などは、誰がみても中国を牽制しようとする意図を込めた表現です。すなわち、インド太平洋という用語を使い、中国に間接的に言及したのです。

 それならば、韓国にはどのような表現を用いたのでしょうか。ホワイトハウスは両国の首脳会談が終わった後、韓米同盟を「東北アジアの平和と繁栄のための核心軸(linchpin)」だと表現しました。インド太平洋という用語の代わりに東北アジアという表現を使ったことが確認されます。さらに、中国に直接言及したり暗示する表現は使いませんでした。カン・ミンソク大統領府報道官は、電話会談のニュースを伝えた4日の会見で、両国の首脳が「価値を共有する責任ある同盟国として、朝鮮半島とインド太平洋地域の協力を越え、民主主義、人権、多国間主義の増進に寄与する包括的な戦略同盟に、韓米同盟を引き続き発展させていくことにした」と明らかにしましたが、実際の米国の資料からは、そのような印象を受けることはできません。インド太平洋や中国はもちろん、両国が「共通の価値を共有する」という表現さえも入れなかったのです。米国が韓国の「戦略的重要性」をクアッド3カ国とは違ってみているのではないかと判断できます。もちろん、12日に行われた「チョン・ウィヨン長官とブリンケン長官」の電話会談の結果を伝える米国務省の資料によると、「韓米同盟は、自由で開かれたインド太平洋の平和と繁栄のための核心軸」だという表現が復活していることがわかります。しかし、インド太平洋という用語は、一時的に東北アジアの平和と繁栄に言及した後、付け加えるような形で使われています。

 このような事実を幅広く見てみると、米国が韓国に期待するのは、他のクアッド3国のような「中国牽制」などの国際的な役割というより、「北朝鮮核問題への対応」のような地域的な役割だと注意深く結論を下すことができます。生半可な予断は禁物ですが、米国が直近の“近い未来”に、クアッドに参加してほしいと韓国に要求はしないだろうと予測されます。バイデン大統領は19日の演説でも「同盟は絞り出すものではない(They are not extractive)」と述べました。同盟国にできないことを無理に要求しないという意味です。韓国の立場からみる場合、熾烈な米中対立のなかでしばらく息をつける“戦略的な隙間”ができたわけです。

 しかし、これは韓国には“もろ刃の剣”にもなり得ます。期待する役割が大きくないということは、戦略的な重要性が低くなるという意味であるからです。直ちに比較対象になるのは日本です。米日両国は2015年に米日防衛協力指針(ガイドライン)を改正した後、米日同盟を名実ともに「グローバル同盟」へと地位と役割を拡大しました。結局、米国が「対北朝鮮政策」などの東アジアの未来について重要な判断を下す時、韓国よりも戦略的に重要な日本の声をより聞き入れる可能性があります。

 このような厳しい現実のなかで、私たちはどのような選択をしなければならないのでしょうか。今のこのままがいいのでしょうか、それとも、保守勢力の主張どおりクアッドなど米国が主導する「中国牽制」の動きに積極的に参加しなければならないのでしょうか。はっきりとした解答を出すには大変な“難題”ですが、明らかな事実は一つです。世界は今、バイデン大統領も言及したように、国際秩序が揺れ動く変曲点(inflection ponit)の上にいます。今、私たちが下す選択の結果は、今後の私たちの共同体全体が何代にもわたり担うことになり得るほど、影響を及ぼすことがあり得るのです。
キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「条件さえ合えば、核を放棄できる」という最高指導者の発言を糸口にして、そのような方向に状況を導いていくことこそ、外交の本質ではないか。

2021-02-23 | バイデン大統領を追う
[寄稿]
バイデン政権の対北朝鮮政策に対する期待と懸念

登録:2021-02-22 08:10 修正:2021-02-22 10:53


北朝鮮核問題の30年の歴史における惜しまれる瞬間には、間違いなく情報の失敗と判断ミスがあった。もう少し圧力を加えれば北朝鮮の体制がすぐに崩壊するはずだという認識、北朝鮮の脅威は外部ではなく内部から来るという恣意的な評価が代表的だ。北朝鮮は体制維持のために絶対に核を放棄できないという見方も同じである。

      

米国のジョー・バイデン大統領が16日(現地時間)、ウィスコンシン州ミルウォキーでCNN放送が行ったタウンホールミーティングで発言している=ミルウォキー/AFP・聯合ニュース

ムン・ジョンイン|世宗研究所理事長

 まだ検討は終わっていないようだが、バイデン政権の対北朝鮮政策が徐々に輪郭を表しはじめたようだ。2月12日、米国のネッド・プライス国務省報道官は「北朝鮮核問題は喫緊の優先順位の事案であり、同盟国と緊密に協力している」と述べた。北朝鮮核問題がバイデン政権になって後回しにされかねないというこれまでの不安を下げる発言という点で肯定的だ。一方、アントニー・ブリンケン国務長官は、北朝鮮の核能力について懸念を示し、北朝鮮に対する制裁の追加の可能性と北朝鮮核問題の解決のための韓国・米国・日本の3国の協力を強調した。北朝鮮に対する抑制と制裁、「戦略的忍耐」という過去の政策の延長線かもしれないという点で、懸念が先立つ大きな課題だ。

 過去30年あまりの間、糸の絡み合いのようにもつれていた北朝鮮核問題を解決するためには、より独創的な発想が必要だ。まず、北朝鮮の意図に対する議論から始めてみよう。ワシントンのいわゆる朝鮮半島専門家は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長に非核化の意志がないという結論を出し、北朝鮮に対する圧力カードを切る。しかし、平壌(ピョンヤン)がどのような場合にも核を放棄するはずはないと断定すれば、外交の空間は消えてしまう。むしろ、北朝鮮側が何度も明らかにした「条件さえ合えば、核を放棄できる」という最高指導者の発言を糸口にして、そのような方向に状況を導いていくことこそ、外交の本質ではないか。平壌としては受け入れられない「先に核を解体した後で補償」という過度の前提条件は、その可能性を遮断する悪手でしかない。

 「同じ話を二度しない」という話もしばしば聞こえる。トランプ前大統領の朝米首脳外交をリアリティ番組のようにみなすバイデン政権としては、そのような認識が当然ともいえる。しかし、当時の首脳会談が声だけ騒々しいリアリティ番組だったとすれば、その理由は逆に言えば、具体的かつ実質的な合意がなかったからだった。「朝米関係を正常化し、恒久的な平和体制を構築すると同時に、完全な非核化のために努力する」というシンガポール宣言は履行されず、ハノイでの首脳会談でトランプ前大統領は、平壌が提示した寧辺(ヨンビョン)カードを拒否し、結局、取引は成功しなかった。バイデン政権がトランプ政権の外交を他山の石として、“真の合意”に乗りださなければならない理由だ。

 北朝鮮と“真の合意”をしようとするならば、交渉のパラダイムを変えなければならない。“罪と罰”という認識フレームでは、進展はみえにくい。元はと言えば、トランプ政権の対北朝鮮政策が失敗した理由も、そのような認識と無関係ではない。ようやく作られた事実上の双中断(北朝鮮の核・ミサイル開発と韓米の大規模軍事演習の同時中断)の状況を、次の段階につなげるには、交渉に乗りだした平壌の“良い行ない”が一定の成果を上げられることを示す必要があった。しかし、2018年と2019年に両国が接触と交渉を続けた間、米国は北朝鮮に対する200回あまりの追加制裁を加えた。北朝鮮の完全な非核化という目標のためには、機械的な官僚主義の代わりに柔軟かつ戦略的な手法で制裁カードを活用しなければならない理由だ。

 より根本的には、核と人権の優先順位の問題がある。前政権とは違い、バイデン政権は人権という普遍的な価値を重視する。問題は、非核化の要求と人権問題の圧迫が、同時に効果を上げることができるのかという点だ。米国の人権問題の提起は、平壌には敵視政策の一環として、核保有をより知らしめるようにする引き金と同じであり、結果的には人権状況についても何の改善も上げることができなくなる。むしろ、核問題で大きな進展がなされ、制裁が緩和された場合、北朝鮮の住民の生活の質を実質的に改善できる可能性が生じる。米国の人権提起も、非核化の進展の過程で双方が信頼を構築した時、より効果的に平壌を動かせるはずだ。さらに、北朝鮮の非核化と経済好転が一定水準以上の改革・開放に繋がり、長期的には北朝鮮においても制限された範囲だとしても市民社会が形成されれば、時間はかかっても人権状況が今と同じとはなり得ないだろう。

 振り返ってみれば、北朝鮮核問題の30年の歴史における惜しまれる瞬間には、間違いなく情報の失敗と判断ミスがあった。もう少し圧力を加えれば北朝鮮の体制がすぐに崩壊するはずだという認識、北朝鮮の脅威は外部ではなく内部から来るという恣意的な評価が代表的だ。北朝鮮は体制維持のために絶対に核を放棄できないという見方も同じだ。むしろ、政権を長期安定化させるには必須である経済成果のためにも、核交渉は平壌では捨てられないカードかもしれないからだ。ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授の表現を借りるならば、今は北朝鮮に対しても「文脈的情報(contextual intelligence)」が必要だ。そのためにバイデン政権に最も必要なパートナーが韓国政府だという事実は、説明する必要はないだろう。
//ハンギョレ新聞社

ムン・ジョンイン|世宗研究所理事長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/983809.html
韓国語原文入力:2021-02-22 02:39
訳M.S

「それは北朝鮮に対する政策の検討から始まる。また、我々はそれを韓国や日本、他の同盟国とパートナーたちと緊密な相談と調整をしながら進めていく」という説明を繰り返した。

2021-02-12 | バイデン大統領を追う
米国務省「北朝鮮政策、韓国など同盟国と同じ立場を明確にする」
登録:2021-02-11 05:59 修正:2021-02-11 07:23


プライス報道官「北朝鮮の関心を引くための行動より 
同盟と緊密に調整できない可能性をより懸念すべき」

      

米国務省のプライス報道官が今月9日(現地時間)、ワシントンの国務省庁舍で記者たちの質問に答えている=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン政権が北朝鮮政策の樹立において、韓国など同盟国と「同じ立場」にあることが重要だと繰り返し強調した。

 米国務省のプライス報道官は9日(現地時間)、ブリーフィングで「バイデン政権は北朝鮮との関与が遅れたら北朝鮮が米国の関心を引くために核兵器実験や運搬体系(ミサイル)発射などの行動を取ることもあり得ると懸念しているか」という質問に対し、「我々は(北朝鮮の行動より)韓国や日本という我々のパートナーたちと緊密に調整しない可能性をより懸念すべきだろう」と答えた。

 プライス報道官は「北朝鮮であれ、イランであれ、他のいかなる国際的挑戦であれ、我々が(同盟と)正確に同じ立場にあることを明確にしていきたい」とし、「これは我々の同盟とパートナーたちに、我々が彼らのためにあり、支持しており、この外交的努力を共にすることを示すためのものだ」と述べた。

 プライス報道官の発言は、米国が北朝鮮に向けた行動を急ぐよりも、韓国、日本と緊密に協議して一致した北朝鮮政策を講じることを優先すべきという立場を示したものと言える。バイデン大統領も今月3日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談で「朝鮮半島問題の解決の主な当事国である韓国側の努力を評価しており、韓国と同じ立場(を取ること)が重要であり、韓国と共通目標に向けて緊密に協力していきたい」と述べたと、大統領府が明らかにした。

 プライス報道官は、米政府が明らかにした「新たな対北朝鮮アプローチ」の樹立がどのくらい進んでいるのかを尋ねた質問に「我々は米国人と我々の同盟を安全に守る新しいアプローチを採択する」とし、「それは北朝鮮に対する政策の検討から始まる。また、我々はそれを韓国や日本、他の同盟国とパートナーたちと緊密な相談と調整をしながら進めていく」という説明を繰り返した。さらに「この新しいアプローチを樹立し協議していく過程で、我々の焦点は米国と同盟に対する脅威を減らし、北朝鮮と韓国国民の生活を改善することにある」と述べた。また「その中核として、我々は依然として北朝鮮の非核化に専念している」と強調した。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

20日に就任したジョー・バイデン大統領も、この公式を徹底して守っている。

2021-01-29 | バイデン大統領を追う
真夜中に駆けつけた菅首相、
米大統領との電話会談の”順序”が示す意味は?

登録:2021-01-29 02:01 修正:2021-01-29 07:15


菅首相も帰宅してから公邸に戻り、真夜中に電話会談 
その国の重要度を示すバロメーターというのが外交の現実

      

米日首脳が電話会談を行ったことを伝える日本の放送画面//ハンギョレ新聞社

 外交官たちが頻繁に口にする格言の中に「外交は儀典であり、儀典は順序だ」というものがある。各国の利害関係が鋭く絡み合っている外交の舞台では、一国が同じ主権国家である他国に向かって露骨に「本音」を示すことはできないため、儀典を通じて遠まわしに意思を表明するという意味だ。

 世界最強の国である米国も例外ではない。儀典の中で最も重要なのは首脳会談だ。外交は儀典であり、儀典は順序であるため、米大統領がまず誰に電話をかけるかは、米国外交の優先順位を示す正直なバロメーターとなる。そしてこの順序には、それなりの公式がある。第一に隣国、第二に欧州の主要同盟国とイスラエル、第三にアジアの主要同盟の順だ。

 20日に就任したジョー・バイデン大統領も、この公式を徹底して守っている。バイデン大統領は就任3日目の22日に隣国カナダと、23日には国境を接するもう一つの隣国メキシコと「特別な同盟」の英国、24日と25日には欧州の主要同盟国フランス、ドイツとそれぞれ電話で首脳会談を行った。続いて26日には「新戦略兵器削減条約(ニュースタート)」延長という重大懸案がかかっているロシア、27日にはインド太平洋地域の主要同盟国である日本の菅義偉首相と電話でやり取りをした。この順序は今後もなかなか変わらないだろう。

■ジョー・バイデン米大統領の各国首脳との電話会談の順序

- 22日 カナダ - 23日 メキシコ、英国 - 24日 フランス - 25日 ドイツ - 26日 ロシア - 27日 日本

 米中の戦略競争によって次第に重要度が高まるインド太平洋地域における日米同盟は、同地域の平和と安定を守る最も重要な第一同盟だ。そのため米国は、日米同盟の重要性を「礎石(cornerstone)」という言葉で表現する。過去4人の米大統領の前例を見ても、新大統領は韓国の大統領よりも日本の首相とまず電話会談を行っている。対面での首脳会談の順序も同じだった。日本の首相は新大統領就任直後の2~3月に米国を訪問して首脳会談を行うが、韓国はそれより遅れて5~6月に会談を行ってきた。唯一の例外は2001年の金大中(キム・デジュン)大統領だった。当時、金大中大統領は新たに就任したジョージ・ブッシュ大統領に太陽政策の長所を説明するため、3月初めに首脳会談の日程を組んだ。しかし、米国の対北朝鮮政策が十分に検討されていない状況で行われたこの訪問は、最悪の外交的失敗に終わってしまう。

■歴代米政権発足後の韓-米、米-日の首脳電話会談の順序

▽ブッシュ政権1期目 
2001年1月24日 ブッシュ-森 
2001年1月25日 ブッシュ-金大中

▽オバマ政権1期目 
2009年1月28日 オバマ-麻生 
2009年2月3日 オバマ-李明博(イ・ミョンバク)

▽トランプ政権 
2017年1月28日 トランプ-安倍 
2017年1月30日 トランプ-ファン・ギョアン(大統領代行)

▽バイデン政権 
2021年1月27日 バイデン-菅 
? バイデン-文大統領

 果たしてバイデン大統領はどうだろうか。新型コロナウイルスへの対応の成功などで最近、韓国の国際的地位が急激に上昇したことから、バイデン大統領が韓日首脳と少なくとも「同じ日」に電話会談を行うだろうとの予測が主流だった。米国にとって韓国は、自分たちが血を流して守り抜いた同盟国であり、民主主義と経済成長という二兎を得ることに成功した「模範生」だ。そのため、米国は韓米同盟に「要(linchpin)」という特別な用語を使う。韓国の国際的地位は最近さらに高まり、世界の主要民主主義国家の集まりである「D-10」に入る主要国家へと成長した。実際にバイデン大統領は、当選後の就任前には韓国、日本、オーストラリアなどインド太平洋地域の同盟国首脳と同日(2020年11月11日)に電話会談を行っている。日本とは電話会談を行ったのに、なぜバイデン大統領はまだ韓国とは行っていないのか、という不満が出る理由がここにある。

 しかし、いまだバイデン大統領から連絡がないのはなぜなのか、正確な理由は分からない。一部は、韓米首脳の電話会談が予想される中で、26日に韓中首脳の電話会談が先行したため、米国がこれに対する「不快感」を表していると解釈している。一理ある話だが、ジェイク・サリバン国家安保担当大統領補佐官が、自分の前々任者であるジョン・ボルトンのようにホワイトハウス内部の意思決定過程を残らず暴露する回顧録を書かない限り、正確な真相は公開されないだろう。

 面白いのは、米日首脳の初の電話会談を伝える日本メディアの反応だ。日本のメディアは28日、バイデン大統領がアジアで最も先に日本に電話をかけたという事実を伝え、安堵のため息をついた。産経新聞は、菅義偉首相が自身の住まいである「東京・赤坂の衆院議員宿舎に帰宅していたが、同日深夜になって首相公邸に向かった」と報じた。実際に27日の日本の首相動静を確認すると、菅首相はこの日夜11時47分に公邸に戻り、1時間後の28日0時47分に電話会談に臨んでいる。この通話が行われる直前ですら、日本政府の高官は電話会談について「いつやるか分からない」という反応を示していたという。米国が「それこそ」いきなり電話会談を提案してきたことを推し量ることができる部分だ。米国が真夜中に他国の首脳を呼び出すという一種の「外交的非礼」を犯した理由について、日本経済新聞は、78歳で高齢のバイデン大統領の年齢を挙げている。米日の時差を考慮すると、バイデン大統領が最も快適な状態で通話できる午前10~11時を選んだというのだ。

 米国は、韓国大統領府には何時ごろに電話をかけてくるだろうか。今夜にでもホワイトハウスから突然電話がかかってくれば、文大統領も帰宅していた菅首相のように電話機の前に呼び出されるかもしれない。米国の大統領が「電話しよう」と要請しているのに、「もう遅いから」と言って断れる国は世界のどこにもないというのが冷徹な現実なのだ。
キル・ユンヒョン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

 米国を訪問したカン・ギョンファ外交部長官は10日(現地時間)、米国のジョー・バイデン次期大統領側の関係者に会い、韓国政府の朝鮮半島平和プロセスを説明し、朝米対話の早急な再開の必要性を説明した。

2020-11-13 | バイデン大統領を追う
韓国外相、バイデン氏側と接触…
「朝米対話、首脳レベルで優先的関心を持たねば」

登録:2020-11-12 07:07 修正:2020-11-12 08:10


ワシントンでバイデン氏側近のクーンズ議員らと会談 
「韓国政府の朝鮮半島平和プロセスの意志を強調」

      

カン・ギョンファ外交部長官が10日(現地時間)、ワシントンの議事堂で米国のジョー・バイデン次期大統領の側近のクリス・クーンズ民主党上院議員と会談し、肘で挨拶をして記念撮影をしている=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 米国を訪問したカン・ギョンファ外交部長官は10日(現地時間)、米国のジョー・バイデン次期大統領側の関係者に会い、韓国政府の朝鮮半島平和プロセスを説明し、朝米対話の早急な再開の必要性を説明した。来年1月20日に発足するバイデン政権の初期から朝米対話と南北協力の勢いを活かせるようにしようとする努力の一つだ。

 カン長官はこの日、ワシントンで民主党のクリス・クーンズ上院議員とブルッキングス研究所のジョン・アレン所長に会い、前日には民主党のクリス・マーフィー上院議員とテレビ会談をした。クーンズ議員とマーフィー議員は共に米国メディアでバイデン政権の国務長官候補として言及されている。クーンズ議員はバイデン氏の上院議員地方区(デラウェア)を受け継いだ長年の友人であり、ブルッキングス研究所はバイデン氏側に外交政策を諮問している。

 カン長官は会談日程を終えた後、駐米大使館で記者懇談会を行い、「議会と学界の人々に朝鮮半島平和プロセスの推進に対する韓国政府の確固たる意志を表明し、北朝鮮核問題の緊急性を考慮し、朝鮮半島の完全な非核化の実現のための外交的努力を強化していく必要性を強調した」と述べた。カン長官は「クーンズ議員とマーフィー議員から、バイデン氏の外交問題に対する見解と新政権の外交政策の方向性などに対する意見を聞くことができた」とし、「アレン所長も、韓国政府の朝鮮半島平和プロセスと主な同盟への懸案に対する立場をバイデン氏側に伝達すると述べた」と伝えた。

 カン長官は特に、朝米対話に関連し、バイデン氏側の関係者に「首脳レベルで優先的関心を持たなければならない問題」だと述べた。バイデン政権初期には朝米対話は優先順位が低くなるという観測が出ているなか、この問題にバイデン氏が直接関心を持たなければならないと強調したのだ。

 カン長官は「過去の民主党政権は、韓国政府と朝鮮半島平和のために緊密に協調し協力してきた経験があるだけに、バイデン政権発足後、早い時期に韓米間の息を合わせることができることを期待する」と述べた。

 ドナルド・トランプ政権の人々とも残りの期間の協力を論議した。カン長官は前日、マイク・ポンペオ国務長官に続き、この日はロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安保担当)に会い、韓米関係の発展と朝鮮半島平和プロセスの進展のための努力を続けていくということで意見が一致したと伝えた。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

チャンス要因とリスク要因が共存する中、一部緩和されるものと予想されるバイデン氏の中国牽制と脱中国化に中国がどのように対応するのかも大きな関心事だ。

2020-11-10 | バイデン大統領を追う
バイデン時代の韓国経済…
「チャンスとリスクの同時到来の可能性も」

登録:2020-11-09 06:15 修正:2020-11-09 07:20


[ジョー・バイデン候補当選] 
「米国人による米国国内製造」掲げ 
韓国の半導体・バッテリー製造企業には新たな挑戦 
積極的な財政政策の展開で自国企業の投資・輸出には機会 
韓国の国内産業の空洞化現象起きる懸念も

      

ジョー・バイデン大統領当選者/聯合ニュース

 ジョー・バイデン氏の大統領当選は、韓国経済にとってチャンスであると同時に、リスクにもなる見通しだ。トランプ氏に次ぐ「バイ・アメリカン」政策で韓国内の産業基盤が萎縮する恐れがあるという見通しが示される一方、環境にやさしい再生エネルギー産業への投資と先端産業部門の脱中国および中国企業への制裁と牽制が加速化し、韓国企業には米国市場への進出と参加の機会が増えると予想する専門家もいる。チャンス要因とリスク要因が共存する中、一部緩和されるものと予想されるバイデン氏の中国牽制と脱中国化に中国がどのように対応するのかも大きな関心事だ。

■バッテリー・半導体分野には「もろ刃の剣」になる見込み

 まず、半導体やバッテリー、エネルギーなど先端製造産業と新技術分野では、韓国の関連産業に機会と挑戦が同時に訪れる可能性がある。バイデン氏は、クリーンエネルギー(自動運転車やバッテリー、再生エネルギーなど)の拡大やグリーンインフラに計2兆ドルの大規模な投資計画を発表した。特に、半導体を産業だけでなく国家安保に欠かせない要素として考慮し、米国国内で安定的なサプライチェーンの復元を進めている。サムスン電子やSKハイニックスが米国現地投資を増やす方向で戦略を立てるかどうかに注目が集まっている。しかし、バイデン氏は「米国人による米国国内製造」を掲げており、半導体とバッテリー分野の韓国企業にとっては厳しい挑戦になり得る。環境にやさしいエネルギーと密接なバッテリー分野も、自国内生産のためのインフラ支援を拡大する予定だ。特に、米労働者らが製造した次世代バッテリー技術を活用するという基調の下、バッテリーから電気自動車の生産に至るまで、「米国国内産業の復元」を叫んできた。バッテリー世界1位の韓国企業にとっても、米国企業の挑戦が激しくなる見通しだ。

■「バランスの取れた産業政策で対応すべき」

 バイデン氏の産業政策が積極的な財政支出を前提としているため、米国市場で韓国企業の投資・輸出が増えるという期待も高まっている。バイデン氏は、米国政府が4000億ドルの公共調達で鉄鋼やセメント、コンクリート、建築資材・装備の購入を拡大し、人工知能や量子・高性能コンピューティング、5G・6G、新素材、半導体・バイオ技術などに3000億ドルを投入することにした。しかし、これらの実行には大きな不確実性が伴う。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)へ対応と長期的景気低迷による財政悪化が続く中、大規模な財政支出の実行が難しくなる可能性もあり、優先順位の再調整もありうる。政府調達製品の場合は米国内の生産部品が50%以上含まれなければならないというバイ・アメリカン法や、一部軍事関連物品は100%が米国国内で生産されなければならないという国産法(「Berry Amendment」)などを考慮すれば、韓国企業のチャンスは制約を受ける可能性もある。産業研究院は「バイデン時代に韓国企業は個別企業だけでなく、企業-通商-技術部門を統合したバランスの取れた産業政策で対応する必要がある」と指摘した。韓国の企業・産業としてはトランプ時代に比べてさらに複雑で重層的な戦略を練らなければならない状況に陥る可能性があるという話だ。

■米国現地へのオフショアリング圧力が強まる可能性も

 トランプ時代に続き、米国内生産品に対する要求が依然として拡大すると予想されるため、韓国企業としてはオフショアリングを通じた米国現地進出を真剣に考慮しなければならない状況に直面する可能性がある。これによって、韓国の産業に一部空洞化現象が生じる恐れもある。バイデン氏もトランプ氏に続き、中国の先端産業と技術に対する牽制をはじめとする脱中国の加速化、米国産製品優先主義、米国を中心としたバリューチェーンの再編を掲げている。ただし、安全保障問題に関する先端産業および技術部門に限定され、一部緩和された形で米中経済・産業の対立が続くものと予想される。先端産業の場合、韓国は米国の同盟国としてバリューチェーンの構築に参加する機会が拡大する可能性がある。半導体など主要な新技術分野における技術・生産協力の拡大も期待される。しかし、中国との貿易依存度が高い韓国の現実から、バイデン時代にも米中対立による困難な状況に直面するものと見られる。産業研究院は「韓国企業はバイデン氏が近いうちに発表する初期の産業政策の優先順位を綿密に把握し、対応しなければならない」とし、「特にバイデン氏の産業政策に対抗する中国の対応措置、それに伴う不確実性の拡大が避けられない」と述べた。
チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)