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外形、構造、遺物などを当時の情勢とともによく調べなければなりません。民族主義を越え古代人の観点まで考え、開かれたものの見方でアプローチしなければなりません」

2021-03-22 | 北東アジアの文化

朝鮮半島最大の古代の墓、開けた直後に閉じた理由は

登録:2021-03-21 23:40 修正:2021-03-22 06:40
 
[ノ・ヒョンソクの時事文化財] 
長鼓峰古墳をめぐり考古学界で騒ぎに 
日本の古墳に似た構造や祭祀の跡で議論 
「追加発掘後に一般公開」とし、再び埋める 
墓の被葬者は百済の統制を受けた倭人? 
日本の右翼が任那日本府説の根拠にすることを懸念
 
最近発掘調査された全羅南道海南郡北日面方山里の長鼓峰古墳内部の石室。遺体を置く部屋への入口の玄門が正面にみえ、平らな板石をいくつか置いた床と砕いた石を整然と積んだ石室の壁面が見える。1990年代までに2回盗掘され、内部の遺物は大部分が失われた//ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島で最大の古代の単一の墓が、新年の始めについに開かれた。考古学者らは5~6世紀の日本の古墳と判で押したように似た墓の構造に驚き、ただちに土で覆われ再び埋められたことに空しさを感じた。1月に国土最南端の海南(ヘナム)から聞こえた墓の発掘に続く覆土の知らせはメディアには公開されなかったが、韓国国内の考古学界を騒がせた。

 この遺跡は、全羅南道海南(ヘナム)、北日面(プギルミョン)方山里(パンサンニ)の長鼓峰(ジャンゴボン)古墳だ。6世紀前半のものと推定されるこの墓の外側の墳墓と石室内部が、去年10月から今年2月まで、馬韓文化研究院の発掘調査により約1500年ぶりに明らかにされた。驚くべきことに、石室は日本の九州の外海岸と有明海一帯で5~6世紀に造成された倭人貴族の石室墓と、構造はもちろん墓の内部への入口をふさぐ前に行われた祭祀の跡までほとんど同じだった。

長鼓峰古墳の石室の入口からみた内部空間。床に細長い板石を置き、砕いた石を整然と積み壁面を作り、上側天井に蓋石を置く典型的な古代日本の九州地域の石室墓の構造だ。天井と壁面にはやはり日本の古代古墳の典型的な特徴である赤い朱漆の跡が確認される//ハンギョレ新聞社

 調査団は、後面の封土を掘り、墓の内部に通じる細い通路(羨道)に入り、内側を観察した。調査の結果、床に細長い板石を置き、上側に砕いた石(割石)を整然と積み壁面を作る、古代九州の石室墓特有の構造が明確だった。天井と壁面にも、日本の弥生時代以来の古墳の典型的な特徴である赤い朱漆が塗られた跡が残っていた。

 出土品はほとんどが盗掘されていたが、墓の被葬者を明らかにする手がかりとなる遺物が相当数収集された。墓の内部への入口で発見されたふた付きの皿(蓋杯)10点が代表的だ。一部の蓋杯の中にはイシモチなどの魚の骨や肉類など祭礼での食事と推定される有機物の塊も検出された。「日本の古墳で確認された祭礼の遺物と類似の内容物と配置が注目される」と、チョ・グヌ研究院長は説明した。墓の内部を直接みた慶北大学考古人類学科のパク・チョンス教授は「九州の倭人の墓に入った時と印象がまったく同じだった」と述べた。

 
長鼓峰古墳の内部への入口の玄門と内部の様子。石室は、長さと幅がそれぞれ4メートルを越え、天井までの高さは2メートルに達する巨大な空間だ。床に細長い板石を置き、砕いた石を整然と積み壁面を築く古代の西日本九州地域の石室墓と構造が全く同じだ//ハンギョレ新聞社
 
墓の石室に入る羨道(細い通路)の入口部分の発掘現場。土の圧力による崩壊の危険に備え、上部をおおう石の下に金属の支柱を差し込んでいる//ハンギョレ新聞社

 長鼓峰古墳は墳墓の長さが82メートル(溝を含む)、高さは9メートルに達する。皇南大塚(ファンナムデチョン)などの新羅の慶州(ギョンジュ)の大型古墳より大きい韓国国内最大級の墓だ。外見は日本で古代国家が成立する当時の墓の様式である前方後円墳(長鼓形墳墓)の形だ。前方後円墳は、墳墓の前方は四角い形で後方は丸みのある円形の特徴をとり、日本の学者が名付けた名称だ。日本の墳墓の形式である前方後円墳が古代の海上路の要所である全羅南道の海岸一帯に10基存在するという事実は、1980~1990年代に相次いで確認された。日本の右派勢力は、4~6世紀に日本が朝鮮半島南部を支配したという「任那日本府説」を裏付ける物証だと主張した。韓国と日本の学界で、埋葬された人物の出身地が朝鮮半島か倭国かをめぐり大きな議論となった。

 
空中から見下ろした海南の長鼓峰古墳の全景。前方は四角い形で後方は丸みのある円形の前方後円墳の特徴がはっきりとみえる。後方の円形の墳墓の上に7の字を逆にした形の穴を掘り石室を開いている発掘の様子がみえる//ハンギョレ新聞社
 
海南北日面方山里にある長鼓峰古墳の外見。前方は四角形で後方は丸い墳墓の形である古代日本特有の墓の前方後円墳の典型的な形だ//ハンギョレ新聞社

 長鼓峰古墳も議論の中で困難を経験した。80年代初めの学界に初めて報告された当時は、自然の地形である丘とみなされた。80年代半ばごろに嶺南大学のカン・イング元教授が発掘許可を申請したが、文化財委員会の許可が下りず、外側の実測しかできなかった。1986年に全羅南道記念物に指定されたが、保存措置がまともにとられず、90年代に2回盗掘された。国立光州博物館が2000年に盗掘の穴を確認し、緊急試掘調査により内部を一部確認したが、公式の発掘は20年後の昨年秋に始まった。

 しかし、墓の石室は2月末に再び埋められた。研究院側は「新型コロナウイルスの防疫のための措置で、5~9月に墓の周溝の追加発掘の後に一般公開を推進する」と明らかにした。しかし、一部では発掘による波紋も考慮したものだという見方が出ている。調査内容は、朝鮮半島の前方後円墳の墓の被葬者の議論を再び引き起こす公算が高い。過去20年ほどの間、百済政府の統制を受けた倭人官僚や傭兵という説と、日本に移住し現地の墓の文化の影響を受け帰国した馬韓人または百済人という説など、多くの推測が出された。長鼓峰古墳から九州の古墳と瓜二つの構造と鉄鎧の破片や鉄の矢じりなどの武器類が埋められた事実が確認されたのは、韓国国内の学界に負担になり得る。日本の右派学者が再び任那日本府説の根拠にすることがあり得るという懸念まで出ている。

 
昨年10月から今年2月まで調査された長鼓峰古墳の主な出土品。本来の副葬品は大部分が盗掘されたが、今回は蓋つきの土器の皿(蓋杯)やかまどの枠の破片、鉄製の鎧や鉄の矢じりの破片などが相当数出土し、墓の被葬者を推定する手がかりになるとみられる//ハンギョレ新聞社

 ソウル大学国史学科のクォン・オヨン教授の助言を思い出さなければならない。「長鼓峰古墳は倭系統の墳墓の構造を有しているが、埋葬された人物を軽々しく断定してはいけません。外形、構造、遺物などを当時の情勢とともによく調べなければなりません。民族主義を越え古代人の観点まで考え、開かれたものの見方でアプローチしなければなりません」

ノ・ヒョンソク記者、写真、馬韓文化研究院提供 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

アシカは哺乳綱食肉目鰭脚亜目(鰭脚類)アシカ科の海洋哺乳類で、主に韓日両国の環東海圏域に生息している。独島(ドクト)に大規模に群集して生息していたため、独島アシカという名称として知られている

2021-03-15 | 北東アジアの文化

[寄稿]日本帝国主義の犠牲になった「独島アシカ」

登録:2021-03-11 08:53 修正:2021-03-11 10:07

 

[アニマルピープル] チャン・ノアの消えていく動物たち
 
日本アシカと横浜ランドマークタワー、76x57cm、紙に水彩、2019//ハンギョレ新聞社

ニホンアシカ:1970年代に絶滅 
横浜ランドマークタワー:295.8m、横浜、日本

独島は誰のものか。日本なのか、韓国なのか。その実態は私たちの日常的な判断とは異なる。そもそもこの島の主はそこに棲んでいたアシカという海洋哺乳動物だった ― チュ・ガンヒョン『独島アシカ絶滅史』より

 アシカは哺乳綱食肉目鰭脚亜目(鰭脚類)アシカ科の海洋哺乳類で、主に韓日両国の環東海圏域に生息している。独島(ドクト)に大規模に群集して生息していたため、独島アシカという名称として知られているが、世界の学界にはニホンアシカ (Zalophus japonicus)として登録されている。

 ニホンアシカを含め、カリフォルニアアシカ、ガラパゴスアシカの3亜種がある。二ホンアシカはその中でも体が一番大きい。黒褐色の雄の体長は2.3~2.5メートル、体重は450~560キログラムに達する。雌はそれより小さく、子ども同様に黄褐色だ。最大30年間生存した記録があり、天敵はシャチとサメだ。

 日本各地に生息していたアシカは、19世紀末から20世紀初頭にかけて徐々に姿を消した。狩猟を禁止した江戸時代と違い、明治時代の政治混乱期には保護策がまともに行われなかった。独島アシカに注目した漁業者の中井養三郎は1904年、独島領土編入や借用請願を日本政府に提出した。アシカの密猟と乱獲を防ぐためという名分だった。当時、日露戦争中だった日本はこの請願を契機として1905年2月22日、独島を秘密裏に島根県に編入し、アシカ漁猟独占権を承認した。ロシア艦隊を監視するための見張り小屋と通信施設も無断で設置した。

 
二ホンアシカ、紙に鉛筆、2019//ハンギョレ新聞社

 独島アシカの虐殺が本格的に始まった1904~1913年に約1万4000頭あまりが犠牲になった。皮で帽子のつばやカバン、リュックサック、タバコの葉箱、防寒用具などを作り、皮下脂肪から油を取り、肉は火を通して乾燥させ肥料に使った。動物園やサーカスに売るために生け捕りにしたこともあった。

 1900年代初めは年平均約1300~2000頭捕獲されていたアシカは、1916~1928年には100~300頭に急速に減少した。1933~1941年には年間16~49頭と絶滅寸前の希少種となった。アシカ漁は第二次世界大戦の勃発で中止され、日本の動物園で飼育されていたアシカは戦争中に餌不足で死んだ。1951年、生き残った独島のアシカは50~60頭に過ぎなかった。

 1974年と1975年に目撃された個体を最後に、アシカはこの世から姿を消した。1994年には国際自然保全連盟が二ホンアシカの絶滅を宣言した。現在、剥製の標本や映像など、珍しい資料の大半を日本が所蔵している。日本は絶滅直前の1886年にも島根県で捕獲したアシカを剥製にして保管した。オランダのライデン自然史博物館に剥製標本3点があり、英国の大英博物館に毛皮1点と頭蓋骨4点がある。韓国国内には一点もなく、資料もほとんど残っていない。

 1741年、北太平洋のコマンドルスキー諸島で初めて発見されたステラーカイギュウは、皮と油を目当てに押し寄せた猟師たちによって最後の1頭まで殺された。1768年に人間に発見されてからわずか27年後のことだった。体長8~9メートルに達する巨大な動物だが、この上なくおとなしいステラーカイギュウは抵抗もなく、銛で突かれ、静かに死んでいった。独島のアシカも皮と油のために数十年で希少種になり、最後の生息地、独島で最期を迎えた。

 1895年の記録によると、独島のアシカは船に乗って近付いても逃げることなく、素手で捕ることができたという。天敵のいない島で平和に暮らしていたトドやステラーカイギュウのように、警戒心がなかったようだ。ところが、乱獲で希少種となった日本による植民地時代末の証言は違う。見張り役の大きなアシカが船乗りを見て大きく鳴き声をあげると、まわりのアシカが逃げていったという。日本では「海驢(あしか)の番」という言葉があるが、寝ずの番を置くことを意味する。

 当時、日本のアシカ漁の記録を見ると、子どもを産んで乳を飲ませて育てていたこのおとなしい海洋動物を、ひたすら皮をむいて油を搾取する対象としかみなしていなかったことが分かる。保護の目的も永久なる利益保全のためだった。

 独島のアシカを絶滅させた日本の漁師たちの姿は、他の国を侵略し、人々を殺し、強奪した日本の帝国主義の姿と重なる。アシカは絶滅した後も、安らぎを得ることなく、独島の領有権紛争に召喚されている。日本は過去の独占的なアシカ漁を独島領有権の根拠として示し、絶滅の責任を韓国に転嫁すると共に、アシカ物語を絵本として制作し、子どもたちに偽りの歴史を教えている。

 わが民族は海と山で暮らしていた動物を、無慈悲に虐殺したり搾取したりはしなかった。アシカも、ヒョウも、トラも日帝強占期(日本の植民地時代)に希少種になり、消えていった。歴史にもしもはないというが、日本の侵略がなければ、アシカは今も独島の主として生きているだろう。

チャン・ノア|画家 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

光復当時、臨時政府の置かれた重慶に滞在していた金九先生は、この日中国政府が提供した航空機便で一行とともに上海に到着した。

2021-03-01 | 北東アジアの文化
「金九主席を迎えよう」
解放直後に上海の飛行場に並んだ光復軍隊員たち

登録:2021-03-01 05:29 修正:2021-03-01 07:30


上海に到着した金九先生の姿など 
中国雑誌「勝利」11号の写真、初公開

      

中国上海図書館所蔵雑誌「勝利」提供/聯合ニュース

 色あせた写真の中で制服を着た人々が並んでいる。列の端と中央に高く持ち上げた旗が、彼らが誰なのかを物語っている。

 1945年11月5日、中国上海の江湾飛行場で、太極旗を持った韓国光復軍の隊員たちが、大韓民国臨時政府主席の白凡金九(キム・グ)先生を待っている(上の写真)。光復当時、臨時政府の置かれた重慶に滞在していた金九先生は、この日中国政府が提供した航空機便で一行とともに上海に到着した。金九先生は『白凡日誌』で当時の状況を以下のように記録している。

 「飛行場には、内外の友人が歓迎し、男女を問わず人だかりができていたが、その飛行場はまさに虹口新公園だった。市内に入る際、上海に住む同胞6000人余りが朝6時から列を成して、私が来るのを待っていたというので、車で止めて外に出た」

      

中国上海図書館所蔵雑誌「勝利」提供/聯合ニュース

 日本の敗戦を記念して創刊された中国雑誌「勝利」11号は、「上海の様子」という写真特集で、同日開かれた歓迎式で中折れ帽子をかぶって首に花束をかけた金九先生の写真(下の写真)と共に、観閲のために並んだ光復軍の姿を写した写真を掲載した。金先生が臨時政府主席であり、軍統帥権者として光復軍を観閲する姿が公開されたのは初めて。

 金九先生と臨時政府の要人らは「公人ではなく個人」として帰国するという確認書を提出した後、同年11月23日、ようやく米国が提供した航空便で帰国の途についた。
北京/チョン・インファン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

北朝鮮が願ったのは「核兵器保有」自体ではなく「体制の安全の保証」であったことがわかる。体制の安全を保証される最も確かな道は、米国と平和協定を結び国交を樹立することだ。

2021-02-28 | 北東アジアの文化
[レビュー]
「朝鮮半島の平和のためには日本を引き入れなければならない」

登録:2021-02-27 08:00 修正:2021-02-27 08:21


在日コリアン政治学者の姜尚中氏が探る韓国と日本の共存の未来 
「韓国は日本を味方にして、日本は朝鮮半島の平和を助けねば」 
『朝鮮半島と日本の未来』姜尚中著、ノ・スギョン訳、「四季」刊、1万5000ウォン 
在日コリアン政治学者の姜尚中・元東京大学教授(71)=四季提供//ハンギョレ新聞社

                

『朝鮮半島と日本の未来』姜尚中著、ノ・スギョン訳、「四季」刊、1万5000ウォン//ハンギョレ新聞社

  『朝鮮半島と日本の未来』は、在日コリアン2世として生まれ、日本で活動している政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)氏(71)の著作だ。姜尚中氏は早稲田大学に通った1972年に韓国を訪問し、自身の存在を新たに認識した後、日本名を捨て、本名を使い始めた。ドイツで政治思想史を勉強して日本に戻り、在日コリアンとしては初めて東京大学教授になった。以後、日本政治に対する鋭い分析により時代を代表する批判的知識人として定着した。昨年出版した『朝鮮半島と日本の未来』は、朝鮮半島の和解と平和を熱望する日本のなかのコリアンとして、深刻な膠着状態に陥った韓国と日本の関係を復旧する方法を突き詰める本だ。著者は日本において日本語で活動する学者として、日本社会に向け、朝鮮半島と日本の関係改善がなぜ必要なのかを理解させると同時に、コリアンというアイデンティティを持つ知識人として、韓国政府に向け、朝鮮半島の平和の進展を望むのであれば、韓日関係の悪化を放置してはならないと助言する。

 著者はマクロな観点から、朝鮮戦争勃発から約70年間続いている「分断体制」が、その「終末の開始段階」に入ったという診断とともに本書を始める。2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を基点にして3回続けて行われた南北首脳会談と、史上初めて行われた朝米首脳会談が、その「終末の開始」を伝える事件だ。2019年2月のハノイでの朝米首脳会談の決裂以来、膠着局面が長引いているが、広い視野で見れば、分断体制の解体の過程は戻ることができない段階に入ったというのが、著者が信じていることだ。しかし、韓日関係にだけ狭めてみれば、両国は対立の連続の末に「戦後最悪」というほど深刻な不信と反目を体験している。著者は、分断体制の解体と韓日関係の悪化という二つの流れの間に、必然的な関連まではないとしても、無視できない構造的な関連があると診断する。この本は、二つの流れの間にそのような関連が生じることになった地政学的な背景を考察し、韓日両国がこの悪循環から脱し、互恵の関係を回復する道を探る。

 著者は議論を展開する前に、朝鮮半島をめぐる北東アジアの最近の歴史を丹念に見直す。著者が歴史的な検討の出発点にするのは「北朝鮮はなぜ核開発にしがみつくことになったか」という問いだ。ビル・クリントン政権の時からバラク・オバマ政権の時まで朝米交渉の歴史をよくみれば、北朝鮮が願ったのは「核兵器保有」自体ではなく「体制の安全の保証」であったことがわかる。体制の安全を保証される最も確かな道は、米国と平和協定を結び国交を樹立することだ。北朝鮮がドナルド・トランプ政権に期待をかけ首脳会談に出たのも、そのような理由だった。朝鮮半島の南に目を向けてみれば、文在寅(ムン・ジェイン)政府の前に朝米交渉を最も積極的に後押しして南北関係の改善に向け邁進したのは、金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった。しかし、その時期は米国で強硬保守派に政権が変わった時期でもあった。そのため、朝米関係は足踏み状態を脱することができなかった。さらに、盧武鉉政権を継いだ李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クネ)政権は、苦労して築いた南北関係の熱意がこもった塔を倒した。南北関係と朝米関係が再び前進のアクセルを踏みはじめたのは、文在寅政権になった後、特に2018年以後だ。

 あいにくこの時期に韓日関係は最悪に突き進んだ。もちろん、両国関係がこじれ始めたのは李明博政権の時であり、朴槿恵政権でも冷ややかな関係は続いたが、韓日関係が前例のない対決の泥沼に陥ったのは2018年以降であることは事実だ。この年、2015年の「日本軍慰安婦合意」により設置された「和解・癒やし財団」が解散し、韓国最高裁が「強制徴用被害者への賠償判決」を下した。韓日関係に決定的な打撃を与えたのは、2019年夏に日本政府が韓国を「ホワイト国」(輸出手続き優待国、現在はグループA)から排除することを決め、韓国政府もこれに対抗し報復措置を打ち出したことだった。著者は、両国関係がこのようになるまで文在寅政権が事態の悪化を防ごうと積極的な努力をしないのは、明らかに外交的な失敗だと指摘する。南北関係を進展させ朝米交渉を促進しようとするならば、朝鮮半島を取り囲む隣国を協力者として引き入れなければならないが、その点で未熟さを示したということだ。金大中政権が南北首脳会談の前に日本を訪問し、当時の小淵恵三首相と「韓日パートナーシップ共同宣言」を行い、日本を朝鮮半島問題の味方にしたことを忘れるべきではないという指摘だ。安倍首相は南北が近づき協力する雰囲気が強くなることに危機感を抱き、そのような流れを妨害するような態度を示した。そのような日本をいさめて朝鮮半島の平和が日本の得になるという点を説得しなければならなかったが、韓国政府はそのような努力を十分には行わなかった。著者は「文在寅大統領には『知日』が必要だ」ときっぱりと述べる。

 さらに著者は、日本政府にも時代の流れを賢く読むことを勧告する。「朝鮮半島の半永久的分断」を前提とする「現状維持政策」にしがみついていては、東北アジアの平和に貢献できず、周辺部に追い出されかねないということだ。ここで著者は、2019年夏の韓国・北朝鮮・米国の3カ国の首脳が板門店(パンムンジョム)で会った直後に日本が「ホワイト国排除」を決めた事実を想起させる。朝鮮半島の急速な平和の進展を、日本に対する脅威だとみなし、ホワイト国排除というとんでもない報復の刀を押しつけたのではないかという疑いだ。そのような早急な対応が自害的な結果をもたらしたことは、その後の時間が示してくれた。著者は、日本政府が韓国内部の「南南葛藤」(韓国内部の対立)を利用し、保守派を支援する態度を示すことも賢明な処置ではないと指摘する。保守派の朴槿恵・李明博両政権時代に韓日関係がひっくり返り、金大中・盧武鉉両政権時代に両国が「戦後最高の関係」に至ったことを記憶しなければならないということだ。日本政府は、南北の和解と統一により朝鮮半島が中国に近づき、休戦ラインが大韓海峡(対馬海峡)に下る結果になるはずだと懸念しているが、そのような心配こそ杞憂に過ぎない。米国とは安全保障で縛られ、中国とは経済で縛られているという点で、韓国と日本は地政学的な利害関係を共有している。著者は、今の日本政府に必要なのは、北朝鮮核問題を解決し北朝鮮と米国が関係正常化を果たすことが、東北アジアの平和の土台になり、日本の平和に繋がるという事実を深く認識することだと強調する。
コ・ミョンソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

大会アピールは多くの元島民が亡くなる中、「解決がこれ以上長引くことは断じて許すわけにいかない」と明記しました。

2021-02-08 | 北東アジアの文化
2021年2月8日(月)
首相、「領土」解決明言せず
日本共産党 ロシア覇権主義に抗議
「北方領土大会」


 政府や地方6団体などでつくる実行委員会主催の「北方領土返還要求全国大会」が7日、東京都内で開かれました。

 ビデオメッセージを寄せた菅義偉首相はあいさつで、平和条約締結後に歯舞・色丹を日本に引き渡す1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉するとした2018年の首脳会談を踏まえて「交渉を着実に進める」と説明。従来の政府の立場だった「4島返還」さえ投げ捨て、「2島返還決着」に後退させた安倍前政権の路線を継承する考えを示しました。

 前政権に続き「北方領土は固有の領土」と言及しませんでした。さらに首相は領土問題について「今後も着実に交渉を進めていく」と述べるにとどまり、「領土問題の解決」を明言しませんでした。

 大会アピールは多くの元島民が亡くなる中、「解決がこれ以上長引くことは断じて許すわけにいかない」と明記しました。

 オンラインで全国各地の元島民らが発言。日本共産党からは紙智子参院議員が出席しました。大会にあたっての政党決意で日本共産党は、昨年のロシアの憲法改定で領土割譲を禁止する条項を明記したのは「覇権主義むき出しの態度であり、国際的な効力をもたない」と抗議。正当で歴史的な領土である択捉・国後を含む全千島返還の実現に力を尽くすと表明。「領土不拡大」の原則に反したヤルタ協定やサンフランシスコ条約に基づいた戦後処理を正し、「国際的な道理に立った問題解決」を行うよう求めました。

『日本人が証言する韓日逆転』日の韓国語は일。この字を180度回転すると本の表紙の大きな黒文字になる。

2021-01-17 | 北東アジアの文化
韓日関係に地殻変動が起きている
登録:2021-01-16 02:03 修正:2021-01-16 09:24


誇大妄想の日本を暴き出し、韓国の被害妄想を克服する鋭い分析 
日本の知性の証言をまとめて韓日関係の未来と過去の克服の端緒を提示 
 
『日本人が証言する韓日逆転』 
イ・ミョンチャン著
日本の安倍晋三前首相がいわゆる「アベノマスク」をしている。コロナパンデミックへの対応の遅れの中で始まった「アベノマスク」政策は、国民の嘲笑と非難を受けた/UPI・聯合ニュース(写真省略)

 「近くて遠い国」。日本を指すこの常套的表現が、これほどまでにあてはまった時期があったろうか。ここ数年、両国の間で起こっていることを考えるとそう思わざるを得ない。朴槿恵(パク・クネ)政権で突如実現した韓日の日本軍「慰安婦」合意と軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結、大統領弾劾と文在寅(ムン・ジェイン)政権成立後の強制徴用をめぐる対立、日本による貿易報復、韓国のGSOMIA終了宣言と保留決定、コロナパンデミックの中での韓日両国政府の異なる対応…

          

イ・ミョンチャン著『日本人が証言する韓日逆転』//ハンギョレ新聞社

 日本が韓国を眺める視線はよく「嫌韓」が突出し、これに対抗する韓国の日本に対する感情は「反日」だ。歴史的被害者の加害者に対する「反日」は納得できる一面があるものの、加害者が被害者に対する「嫌韓」の視線を止めないことは不思議でならない。その妙に歪んだ感情の淵源は『日本人が証言する韓日逆転』で確認できるが、これは優越意識の別名としてよく指摘される劣等感の発露だ。本書によると、敗戦を終戦と認識する日本の主流の「精神的勝利」は今後さらに膨らんでいく公算が大きい。かといって、韓国人がまったく同じになる必要はない。そのためにも、本書を埋め尽くす客観的根拠はもとより、中心的な論拠を成す日本の知識人の自省的証言は大きな意味を持つだけでなく、韓国人にとって重要な指針とならなければならない。

 本書はタイトルが語るように、韓国と日本の力の逆転の過程に注目する。新型コロナウイルス感染症の防疫において、日本と比較せずとも韓国が成功していることは、特に語る必要もない。経済面での韓日関係の変化は、改めて新鮮に提示される。何よりも根源は政治だ。韓国と日本の民主主義の格差は、両国がなぜ力の逆転状況に至ったのかを如実に示している。敗戦を克服できず過去にとらわれて停滞している日本と、植民地と開発独裁を乗り越えて産業化と民主化に邁進し、成果を収めてきた韓国の違いが両国のはっきりと異なる今日を作った。

 日本の政治的後退は、コロナへの対応の失敗で退陣した安倍晋三前首相で頂点に達した。実に7年8カ月も続いた安倍政権は、日本の歴史上最大の汚点として残ったというのが本書の指摘だ。コロナ拡散の初期、日本ではPCR検査がまともに行われず、防疫行政が事実上崩壊した。安倍首相が首相として主催した「桜を見る会」の招待者名簿は廃棄され、私立学校法人特恵疑惑が相次ぎ、巨大広告企業「電通」と政権の癒着構造もあらわになった。日本国民は、法に基づく支配を破壊した政権であるにもかかわらず支持をやめなかった。このような政権と国民そのものが、日本が敗戦状況にとどまっていることを示している。このため著者は、日本の気鋭の若手学者である白井聡京都精華大学教授の『永続敗戦論』を紹介する。戦争で負けたのではなく、戦争が終わっただけなのだという日本軍国主義者のごまかしを日本人が受け入れてきたこと、こうした「涙ぐましい努力」が安倍政権を経てコロナ禍で如実に崩れ落ちたことを、この書は緻密にあらわにする。

 日本政府のコロナ対応は、日本の行政システムの非効率さを浮き彫りにした。前近代的な官僚システムが維持してきた縦割りの組織文化や上司に従順な気質などで、このシステムは説明される。PCR検査をあれほど安倍政権が拒んできたのは、何よりも政治的理由のためだったことはすでに知られている。中国の習近平国家主席の訪日と東京五輪開催という当面の目標のため、コロナを軽く考えた結果だったのだ。しかし、本書で確認される驚くべきことの一つは、このようなあきれた所業が可能だった背景だ。著者は、日本の軍国主義時代に人体実験に明け暮れた「731部隊」に根源を見出す。日本でコロナ禍の初期にコロナ対応のための専門家組織として設置されたいわゆる「専門家会議」が、まさに731部隊のDNAを受け継いでいることを指摘する。日本人ジャーナリストの小池新氏は昨年4月、『文春オンライン』に発表した文章で、戦後にも幅広く形成された「元731部隊員」のネットワークが専門家会議を構成する感染医学関連の主要研究所へとつながり、コロナ対応における「影の要素」として作用したという衝撃的な主張を行った。コロナ対応で日本政府が示した情報隠蔽と官僚主義は、帝国軍隊の特性そのものだったのだ。

 今日の日本経済は「失われた30年」を経験した結果だということが提起される。戦後、米国に依存して爆発的な経済成長を成し遂げた日本が、1989~2019年の「平成」期には落ち込み続けたことを、主要大企業の企業価値と国内総生産(GDP)、国家債務比率、為替レートなどを挙げて説明する。日本の国際的な地位の変化は、もはや日本が先進国ではないことを示しているという主張だ。こうした状況において、安倍政権が1965年体制を維持するために敢行した「対韓国輸出規制」は、事実上のオウンゴールとならざるを得なかった。韓国が日本から輸入してきた素材・部品・装備の国産化と輸入多角化のきっかけとなっただけでなく、反日感情を刺激して、かえって日本経済が打撃を受けることになったのだ。このような中でコロナにまで襲われ、世界産業のデジタル転換には拍車がかかったが、デジタル化においては韓国が断然リードしている。韓日の逆転状況は今後さらに加速することが示される。2017年には購買力平価(PPP)ベースの1人当たり国内総生産(GDP)で、韓国は日本を初めて上回っている。

 韓日逆転の時代を迎える韓国人の姿勢はどうあるべきか。東北アジア歴史財団で研究活動に邁進し、昨年退職した著者は、これを通じて韓日の歴史問題を究極的に解決しなければならないと強調する。そのためには「多くの韓国人と日本の『極右民族主義者と歴史修正主義者たち』が金科玉条のごとく考える『日本は常に正しく優越しているという思い込み』を壊すこと」が重要だ。
キム・ジンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

北朝鮮はソ連が作り出したものではなく、第2次世界大戦後に行われた東アジア革命の一部だった」。

2020-06-29 | 北東アジアの文化
[インタビュー]カミングス教授「持続的北朝鮮への関与が重要…
軍事的解決策はない」

登録:2020-06-26 10:05 修正:2020-06-28 07:23


「現在レベルでの核計画をの封印が最善 
圧力の帰結は戦争…軍事的解決策はない」

        

ブルース・カミングス米シカゴ大学教授=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

ブルース・カミングス教授は誰?

 米シカゴ大学のブルース・カミングス教授(77)は、『朝鮮戦争の起源1・2』(1981年、1990年)という記念碑的著書で、朝鮮戦争研究に新たな見解を提示し、学界に波紋を投げかけた。彼は、朝鮮戦争における旧ソ連の責任を中心としたこれまでの伝統主義アプローチを拒否し、1945年の解放以後続いた朝鮮半島の左右内戦が韓国戦争につながったという分析を示した。また、そうなった主な原因を親日派の起用など米国の責任に求めるのが、彼の見解だ。1990年代の旧ソ連の機密文書が公開されて、「金日成(キム・イルソン)主席がスターリンの承認を受けており、北朝鮮が韓国を侵略した」事実が明らかになり、カミングス教授の修正主義に対する批判も強まってきた。しかし、カミングス教授は「1950年6月25日に誰が先に引き金を引いたかよりも、いかなる脈絡で戦争が起きたのかを理解すべき」という所信を貫いている。

 カミングス教授は1967~68年、平和奉仕団として韓国善隣中で英語を教えた、同僚であり弟子の韓国系ウ・ジョンウン博士と結婚した。『現代朝鮮の歴史』や『朝鮮戦争論-忘れられたジェノサイド』などの著書がある。彼は今回のインタビューのため、連絡を取り合う際にも「学生90人が受講する今学期の二つの講座が終盤を迎えた」と言うなど、活発に活動している。

 米シカゴ大学のブルース・カミングス教授(77)が24日(現地時間)、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を越えて、北朝鮮に最も多く関与(engage)した」とし、「文大統領が北朝鮮に引き続き関与することが非常に重要だ」と述べた。

 カミングス教授は1981年に発表した著書『韓国戦争の起源』で有名な朝鮮半島専門家で、朝鮮戦争勃発70周年を迎え、ハンギョレと行った書面インタビューで、文在寅政府の対北朝鮮政策をこのように評価した。

 カミングス教授は、北朝鮮が最近、開城(ケソン)南北共同連絡事務所爆破など南北間の緊張を高めたことについて、「米国にシグナルを送り、ドナルド・トランプ政府の関心を引くため」とし、「北朝鮮は、文在寅大統領を非難しているが、依然として文大統領をともに問題を解決できる人だと見ている」と指摘した。また、北朝鮮に「最大限の圧力」を加えるべきだという一部の主張を強い口調で批判した。これについて、「最大限の圧力が北朝鮮の行動に肯定的な変化をもたらしたという証拠は見られない」とし、「最大減の圧力の論理的帰結は戦争だ。朝鮮戦争は国家的分断に軍事的解決策はないことを示した」と強調した。

 カミングス教授は北朝鮮の核問題について、「北朝鮮の核開発プログラムを現在のレベルで封印する(cap)のが最善の解決策だ」という見解も明らかにした。さらに、「北朝鮮が事実上、核保有国という点を考慮すると、北朝鮮の核開発プログラムを全部除去しようとして失敗するよりは、その制限に向けて努力するのが韓米にとって最善の解決策」だと説明した。さらに「最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)という米国の要求は、これまで進展をもたらしていない」とし、「したがって、新たな方向が必要だ」と付け加えた。

「最終的かつ完全に検証された非核化」では前進できない…北朝鮮核問題、現在レベルでの封印が最善

 
ハンギョレ
「25日は朝鮮戦争勃発70周年だ。朝鮮半島の分断はまだ解決していない。韓国と北朝鮮はまだ終戦ではなく休戦状態だ。この長い分断とは何を意味するのか。この長い分断の主な理由は何だと思うか」

 
カミングス
「朝鮮半島の人々にとって、この長い分断は、心無い決定がいかに長い歴史を有する国を二分し、終わり、見えないまま2世代以上続いてきたのかを示している。心無い決定とは、1945年8月10~11日の真夜中にジョン・マッコイ当時米戦争部次官がディーン・ラスク大佐とその同僚に、隣の部屋に行って朝鮮半島の人々はもちろん、どんな同盟とも相談せずに朝鮮半島を分割する場所を探すよう指示したことで起きた結果を指す。これは、朝鮮半島の人々が自国の運命を自ら決められなかったことに伴う取り返しのつかない結果であり、南北朝鮮は朝鮮半島にすむ人々のものであるという古い歴史的真実に対する裏切りでもあった。

 この決定は朝鮮半島に住む人たちの間で内戦の条件を作り上げたが、これは1945年以降ほぼ避けられないことだった。同族同士の殺し合いが、いきなり現実味を帯びてきて、その可能性が高くなったという意味だ。その後、米国が1950年代に挑戦戦争に介入した際、我々(米国人)は戦争に介入するのは容易でも、そこから抜け出すことのはどれほど大変かを痛感させられた。この点で、南北と米国は共に歴史の拘束服を着せられた。この長い分断に様々な理由があるが、米国人として私は、何も知らない国に攻め込んだ米国の指導者たちに責任があると思う。その点で朝鮮戦争はその後、ベトナムやアフガニスタン、イラクなどすべての『終わりなき戦争』(ベトナムでの敗北は除外)のパターンを作り出した。これらの戦争は、自分が保護しようとする人たちとその文化について知らなければ、勝てないことを如実に示している。これらの戦争は根本的に政治的なものだが、米国は、『戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならない』というクラウゼビッツの命題を無視してきた」

 
ハンギョレ
「朝鮮戦争に関するあなたの記念碑的著述である『朝鮮戦争の起源』が1981年に発表されてから39年が経った。 あなたはその本で朝鮮戦争の構造的背景を掘り下げ、「朝鮮戦争は国際勢力が介入した内戦であり、朝鮮戦争に至る過程で米国の責任は非常に大きい」と著した。その分析はは今でも有効か」

 
カミングス
「その本を書いた当時よりも、私の結論が妥当であると、さらに確信を持っている。その理由は大きく分けて二つだ。第一に、韓国と米国の学者が1945年に登場した人民委員会(解放直後、全国的に組織された民間自治機構)の歴史を具体化した。学者たちは研究を通じて、米国の後援と支持の下で浮上した親日賦役者政権がどれだけ根強く生き残ってきたのかを示してくれた。また、朝鮮戦争期間とその前に起こった数十万人の政治的虐殺とは信じがたいテロ、そして北朝鮮の人々に動機を与えた構造的独立性と民族主義の根強さも明らかにした。これに関しては、ファン・スギョンの優れた研究書「Korea's Grievous War(韓国の痛ましい戦争)とチャールズ・アームストロング(元コロンビア大学歴史学科教授)やクォン・ホンイク(英ケンブリッジ大学教授)などの素晴らしい本も言及したい。

 もう一つの理由は、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊したにもかかわらず、北朝鮮は長い間生き延びてきたという非常に奥深い事実だ。北朝鮮も崩壊したなら、私の本が間違っていたことになるだろう。しかし、北朝鮮は崩壊しなかった。これは、革命的民族主義と反帝国主義の力が北朝鮮を支える主軸になっていることを示している。これはもちろん、偶然にも現在残っている共産国家の中国やベトナム、キューバにも同じだ。北朝鮮はソ連が作り出したものではなく、第2次世界大戦後に行われた東アジア革命の一部だった」。

 
ハンギョレ
「もはや韓国民の大半は、朝鮮戦争以降に生まれた世代であり、戦争についてよく知らない。朝鮮戦争は朝鮮半島にどのような遺産を残したのか」」

 「戦争がまだ終わっていないため、その遺産が何かについて最終的な結論を下すことはできない。しかし、韓国は明らかに防衛条約と当時、世界で最も高いレベルの援助(人口一人当たり)など、米国の支援を得た。その後、米国は韓国商品に米国市場を開放し、韓国の安価な労働力の利点を取り、韓国の輸出主導型開発を後押しするためにあらゆる支援策をとった。韓国は米国に安全を保障してもらい、主な産業国家に生まれ変わったため、振り返ってみればこれは勝利戦略と判明した。

 北朝鮮にとって戦争は完全な災いだった。米国の爆撃は、北朝鮮の領土すべての都市を破壊し、北朝鮮ではまだ米国に対する国民的恨みが非常に強いだけでなく、自国民数百万が犠牲になったにもかかわらず、北朝鮮の観点からすると、戦争目的も達成できなかった。特定しがたい様々な理由で、北朝鮮指導部はその結果、精神的に大きな衝撃を受け、国境外の誰も信じられず、隠遁状態になった」。

        

1951年6月9日、米軍31連隊戦闘団に所属した米軍一等兵が無反動砲を発射している/AFP・連合ニュース

韓国は民主化を成し遂げた世界のモデル

 
ハンギョレ「
韓国戦争後の韓国と北朝鮮の核心的変化を挙げると?」

 
カミングス
「韓国は第一共和政当時、民主的な形にもかかわらず独裁し、それは1990年代まで続いた。韓国軍は戦争によって強化され、その後、1961年(朴正煕の)政権奪取でその力を誇示した。韓国人の偉大な業績の一つは、長い抵抗と流血事態を経験したが、結局軍隊を政治から追い出し、部隊に戻したことだ。

 北朝鮮政権は、戦前は根本的に左派連合だったが、戦後に金日成はライバルを戦争の結果の犠牲にして体系的に粛清した。10年も経たないうちに金日成とその側近たちが北朝鮮の政治を掌握し、今日までもそうだ。根本的に民族主義的で理想的な哲学の主体思想の出現は、韓国の性理学の遺産を反映し、北朝鮮の支配的理念になった。北朝鮮指導部は、依然としてその家族と抗日ゲリラの子孫以外は信頼していないようだ。北朝鮮の指導体制は外国との信頼関係がなく、指導体制と住民の間でもあまり信頼がない」

 
ハンギョレ
「韓国は第2次世界大戦後、産業化と民主化を成し遂げた数少ない国として知られる」

 
カミングス
「台湾など含め、韓国のような事例がある。私が言いたいのは、韓国の産業力量も誇りに思うべきだが、長い過程にわたる民主化を遥かに尊敬に値するという点だ。米国の評論家たちは、韓国が中間層を作ると主に民主化も成し遂げたことについて驚いている。実際、韓国人は軍事独裁の持続を防ぐ市民社会と政府形態を作るため、勇気と献身で40年間戦ってきた。21世紀に韓国のキャンドル行進は、(盧武鉉)大統領を誕生させ、別の大統領(朴槿恵)を弾劾した。私は2002年の大統領選挙と2016年の弾劾の際、いずれもろうそく行進に参加した。そして、民主主義に対する熱い意志の中で見せた非暴力に深い感銘を受けた。韓国は独裁から脱し、民主化を成し遂げた模範だと思う」

 
ハンギョレ
「韓国戦争の時と比べて、韓国の国としての力をどのように評価するか」

 
カミングス
「比較できないほどだ。朝鮮戦争当時は、人口の大半が貧困で文盲だった。米国が介入しなければ、韓国戦争は数週間以内に終わっていただろう。そうなれば、韓国は憤慨した大衆を力でねじ伏せる残忍な独裁政権のもとにいただろう。現在韓国は世界で教育率が最も高い国の一つで、コンピューターシステムが最もよく整っている国であり、新型コロナウイルス感染症への対応で世界の尊敬を受けた。そして韓国はアップルや他の世界有数の企業と直接競争する世界的水準の大手企業、サムスンを有している。これらはすべてが可能な一つの推進力を挙げることは非常に難しいが、韓国で数世紀続いた国民的教育熱を主な要因に挙げることができる」。

金大中元大統領の平和プロセス、ブッシュ元大統領が台無しにしたが、…文大統領、北朝鮮に最も多く関与

 
ハンギョレ
「あなたは朝鮮戦争勃発60周年の2010年にもハンギョレをインタビューしましたが、10年前に比べ、高専半島で韓半島で最も大きな変化は何だと思うか」

 
カミングス
「この質問はとても興味深い。なぜなら私の本『現代朝鮮の歴史』を1997年に出版した後、多くの変化が生じ、2006に改訂版を発表したからだ。ところが、最近、改訂版をまた出すべきか自問してみたが、答えは『いいえ』だった。金大中・盧武鉉元大統領から文在寅大統領まで多くの連続性がある。我々は金大中・盧武鉉元大統領が在任していた10年間同様、再び南北関係を進展させようとする文在寅大統領の時代を生きている。3人の大統領のうち、文大統領は北朝鮮への関与の面で、最も多くのことを行ってきた。ある時はトランプ大統領がこの関与を促しているようにも見えたが、今はそれをあきらめたようだ。また、北朝鮮にも金正日(キム・ジョンイル)総書記から金正恩(キム・ジョンウン)委員長まで多くの連続性がある。1年前なら私は朝米首脳会談が大きな肯定的な変化だと言ったかもしれないが、トランプ大統領は首脳会談では何も成し遂げられず、トランプ政権は自ら崩壊している」。

 
ハンギョレ
「1990年に発生した、いわゆる北朝鮮核危機がまだ続いている。その解決に向けて「平和プロセス」が正しいという主張と最大限の圧力が解決策であるとの主張がある。あなたの見解はどうか?」

 
カミングス
「直接交渉は、1994年に北朝鮮のプルトニウムを凍結し、2000年に北朝鮮のミサイルを中断させる合意を導きだした。私の考えでは、このような政策が失敗したのは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領が判断を誤ったためだ。『最大限の圧力』が北朝鮮を肯定的な変化に導いたと証拠はどこにも見当たらない。最大の圧力の論理的結論は戦争だ。しかし、朝鮮戦争の祝福の一つは、国家的分断に軍事的解決策はあり得ないという事実を示したという点だ。就任初年度に北朝鮮との戦争を真剣に考慮していたトランプ大統領ですら、そのような結論に至った。金大中元大統領が主導した平和プロセスは1990年代には非常に有望だったが、ジョージ・W.ブッシュ元大統領がその努力を台無しにしてしまった。文大統領は、前任者の金大中・盧武鉉元大統領よりさらに一歩進んだが、米国の支援なしには前進することができない。核問題は1990年代に解決できたと思う。実際、北朝鮮のプルトニウムは8年間凍結された。ところが、ブッシュ元大統領のイラク侵攻に驚き、北朝鮮が核兵器の開発に入った。もう後戻りはできないと思う。すなわち、北朝鮮は近いうちに核保有国として認められるだろう。韓国と米国にとって最善策は、限られた数の原子爆弾とミサイルに核プログラムを封印(Cap)することだ。北朝鮮は明らかに事実上の核保有国だ。米国と他の国々がそれに直ちに同意するとは思えない。しかし、この点を考慮すれば、今の状況で最善策は北朝鮮の核開発計画をすべてなくそうとして失敗するよりは、核計画を制限しようと努力することだ。『最終的かつ完全に検証された非核化』(FFVD)という米国の要求は、決して進展をもたらせない。だからこそ、新たな方向が必要だ」

 
ハンギョレ
「南北米関係は、文在寅-金正恩-トランプの三首脳体制のもと、非核化と朝鮮半島平和に肯定的な変化をもたらせるかのように見えた。しかし、今はこう着状態に陥っている。この3者体制に、まだ非核化と朝鮮半島平和のための希望の機会があると思うか」

 
カミングス
「トランプ大統領は自分が何をしているか、あまりわかっていなかったようだが、金正恩委員長に会ったのは幸いだったと思う。それは、北朝鮮を孤立させようとして、これまで失敗を重ねてきた試みを無視し、手を差し伸べる突破口だった。しかし、もうそれも終わったかもしれない。トランプ大統領はバイデン氏に負ける可能性が高く、バイデン氏はクリントン・オバマ大統領時代の制裁と北朝鮮孤立戦略に戻るだろう」

 
ハンギョレ
「北朝鮮は最近、南北通信線を遮断し、連絡事務所を爆破するとともに、軍事行動まで示唆したが、それを保留した。朝鮮半島を研究してきた研究者として北朝鮮の意図は何だと考えるか。また、韓国と米国はどのように対処すべきだと思うか」

 
カミングス
「長すぎる時間を見守ってきたからかもしれないが、このようなことは何十年も続いてきたため、あまり驚いてはいない。北朝鮮は最近の挑発行為を通じて、主に米国にシグナルを送っていると思う。北朝鮮はトランプ政府の関心を引こうとしている。北朝鮮は、トランプ大統領が再選できるかどうか、見守らなければならないため、不安かもしれない。北朝鮮は今、文大統領を非難しているが、依然として文大統領をともに問題を解決できる人だと見ている」

 
ハンギョレ
「北朝鮮に圧力をかけるために、B52戦略爆撃機などの戦略資産を朝鮮半島周辺で展開し、過去の規模で韓米合同軍事演習を再開しなければならないという声もあがっているが」

 
カミングス
「もちろん、合同軍事演習の再開は北朝鮮に圧力をかけるためのもう一つの手段だ。しかし、北朝鮮は過去にもその圧力に反応しなかったのに、今更反応するだろうか」

 
ハンギョレ
「文在寅政府の対北朝鮮政策をどう思うか? 韓国政府が南北関係を進展させようとしても、米国が「北朝鮮の非核化と南北関係の改善は共に進まなければならない」という態度を固守する限り、限界が明確な状況で、依然として韓国が南北関係の改善に取り組むべきだと思うか」

 
カミングス
「そうだ。文大統領が北朝鮮に関与し続けることは非常に重要だと思う。(米国の行動については)意味のある何かが起こる前に、ワシントンに新政権が誕生するのを待ってみなければならない」。

「外国の介入は少なければなくないほど良い」

 
ハンギョレ
「文在寅大統領と金正恩委員長に助言するなら、どんな言葉をかけたいか」

 
カミングス
「朝鮮半島は朝鮮半島に住む人々のもので、外国の介入が少なければ少ないほど良いということを忘れないでほしいと言いたい。米国は北朝鮮を孤立させ、罰を与えようとしており、韓国を米国の政策に従うようにして、75年間の分断支える力として作用してきた。米国は、韓国問題に持続的に介入する唯一の強大国だ。南北が自分の問題を独立的に扱うのが最善だ。もちろん、これが近い将来起きるとは思えない。しかし、これは追求すべき目標だ」。

 
ハンギョレ
「米国は朝鮮半島の統一を望んでいるだろうか」

 
カミングス
「政策問題で、米国の指導者らが韓国の統一に真剣な関心を示したのは、1950年秋に北朝鮮を侵攻する前夜が唯一だ。不幸にも、どの外国も韓国の統一に関心がない。『日本人は朝鮮のことが好きすぎて、朝鮮が二つあることを好む』という古いジョークは、おそらく朝鮮半島統一に対して、日本が何を恐れているのかを示している。ロシアと中国は、南北の統一のために重要な何も犠牲にしようとしない。そのため、特に米国を含む統一を妨害する外部の人々がいる『プロクルーステースのベッド』(自己の基準に人を無理やり合わせようとする横暴・独断。ギリシャ神話に由来)の状況を突破するのは朝鮮半島の人たちの役割だ」

 
ハンギョレ
「朝鮮半島の統一が必要で実現可能だと考えるか」

 
カミングス
「金大中元大統領が1998年2月の就任辞で明らかにした太陽政策が統一に向けた最善の戦略だと思う。しかし、それには米国の支持が必要だが、その支持は1998~2000年の間にあったものの、(ブッシュ大統領の就任とともに)蒸発してしまった」。

 
ハンギョレ
「11月の米大統領選挙の結果によって、米政府の朝鮮半島戦略はどうなるか」

 
カミングス
「前にも言ったよOに、ジョー・バイデン氏は(核の)不拡散に焦点を置いたクリントン・オバマ政府の政策に戻るだろう。これは北朝鮮だけでなく、イランや過去のイラク、リビアも含めた政策だ。それほど変わらないと思う。米国は北朝鮮と関係を正常化しなければならず、そうしてこそ米国も北朝鮮に影響力を持つことができるだろう。しかし、そのようなことが起きるとは思えない。トランプ大統領が再選すれば、何が起こるか分からない。なぜなら、彼は米国歴史上最も予測不可能な大統領であるからだ」。

 
ハンギョレ
「米国と中国の関係が悪化している。米中間の対立が朝鮮半島にはどのような影響を及ぼすと考えるか。米中間の葛藤の中で、韓国のどのような戦略を選ぶべきか」

 
カミングス
「これまで米中間の軋轢は貿易と南シナ海問題、そして舌戦に限られており、韓国とはあまり関係がない。米国と中国の経済が大きく絡んでいるため、対立も限られるものとみられる。韓国は1992年、中国との関係正常化以降、非常に賢く米国、中国いずれとも良い関係を維持してきた。それがすぐには変わるとは思わない」。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「金正恩健康悪化」の報道は“フェイクニュース”だという批判だ。

2020-04-29 | 北東アジアの文化
キム統一部長官「金正恩健康悪化説はインフォデミック」
登録:2020-04-29 06:16 修正:2020-04-29 07:22

28日、国会外交統一委員会に出席し 
金委員長をめぐる国内外の報道を“フェイクニュース”と規定 
「北朝鮮に特異動向なしと自信を持って言えるほどの情報力備えている」 
「韓米の情報評価もさほど変わらない」

        

キム・ヨンチョル統一部長官(最前列右)が今月28日、国会外交統一委員会全体会議に出席し、与野党議員の質疑に答えている//ハンギョレ新聞社

 キム・ヨンチョル統一部長官は28日、国内外のマスコミが金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の「健康・身辺異常説」を相次いで報じている状況を「インフォデミック現象」だとし、「非常に残念な現実」だと指摘した。「インフォデミック」(infodemic)とは、「情報」(information)と「流行病」(epidemic)をかけ合わせた言葉で、「偽りの情報流行病」を意味する。「金正恩健康悪化」の報道は“フェイクニュース”だという批判だ。

 キム・ヨンチョル長官は同日、国会外交統一委員会に出席し、「韓国政府は北朝鮮内部に特異な動向は見られないと重ねて強調してきた」と述べた。にもかかわらず、金委員長の身辺異常説を念頭に置いた与野党議員からの質問が相次いだことを受け、「政府は(北朝鮮内部に)特異な動向はないと自信を持って言えるほどの情報力を備えている」と強調した。また「韓米間での情報評価もさほど変わらない」と付け加えた。

 キム長官は、北朝鮮専門インターネットメディアの「デイリーNK」が「金正恩健康悪化説」のきっかけを作った問題の記事で、金委員長が心血管系の手術を受けたとした香山診療所の性格について、「香山診療所は保健所のようなもので、手術や施術ができる施設ではない」と反論した。

「金正恩身辺異常説」の有力な根拠とされる、2012年執権以来初めて太陽節(4月15日、金日成主席誕生記念日)の錦繍山太陽宮殿参拝を見送った事実と関連し、キム長官は「今年の太陽節と関連した慶祝宴会、中央報告大会などが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況のため、(例年と違って)取り消しになった」とし、「錦繍山太陽宮殿の参拝対象も縮小されたと聞いている」と述べた。金委員長が太陽節参拝に姿を現さなかったのはCOVID-19への対応と関連がある可能性を示唆したのだ。

 労働党政治局会議(11日)を主宰した後、金委員長の公開活動に関する報道が16日連続して出ていない事実についても、キム長官は「今年に入ってからも金委員長の公開活動報道が21日間と19日間なかった前例がある」とし、「現在の状況は特別な動向ではない」と述べた。金委員長については、1月25日の旧正月公演を観覧してから2月16日の光明星節(金正日総書記誕生記念日)の錦繍山太陽宮殿参拝までの21日間、3月21日の砲射撃対抗試合指導から4月10日の迫撃砲射撃訓練指導までの19日間、公開活動の報道がなかった。
イ・ジェフン、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

新型コロナウイルス感染症患者が急増している米国に、韓国産の診断キットが迅速に供給されると見られる。

2020-03-29 | 北東アジアの文化
「韓国診断キット、FDA事前承認獲得…米国に輸出可能に」
登録:2020-03-28 21:35 修正:2020-03-29 08:09


韓国メーカー3社の製品が27日に事前承認獲得 
トランプ大統領、文在寅大統領に支援を要請 
感染者が急増する米国に輸出される予定


         

清州にあるSDバイオセンサーで27日、職員が新型コロナ(COVID-19)診断キットの品質を検査している=清州/AFP・聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断キットを生産する韓国メーカー3社の製品が、27日に米国食品医薬品局(FDA)の緊急使用承認手続き上の事前承認を取得したと韓国外交部が28日明らかにした。新型コロナウイルス感染症患者が急増している米国に、韓国産の診断キットが迅速に供給されると見られる。

 外交部は、今回の韓国産の3種の診断キット製品に対するFDAの事前承認が異例に迅速になされたと明らかにした。「24日の韓米両国首脳通話で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がドナルド・トランプ大統領の要請により、韓国産診断キットの支援意志を表明し、FDAの承認手続きが必要である旨言及すると、トランプ大統領は直ちに承認されるようにすると応じたことに伴う後続措置の結果と評価される」と説明した。

 韓米首脳間通話の後続措置履行のために、外交部と食薬処などの関係部署は該当企業との協力を基に米国側と緊密に協議してきた。最近、外交部の高位当局者は診断キットの支援について「最も優先的な考慮対象は米国」とし「爆発的に感染者が増加していて、トランプ大統領も私たちに要請している。韓米同盟の次元で、米国も私たちに対して入国禁止をしておらず、通貨スワップもしているため相応する措置が必要と考える」と説明した。

 最近、全世界的に新型コロナウイルスが拡散し、117カ国が韓国に対し診断キットをはじめとする防疫物品の輸出と人道的支援を要請したという。中でも特に韓国産の診断キットに対する需要が強い。韓国産診断キットは、検体採取から6時間以内に結果が出て、正確度が高いうえに36万件の信頼できる検査結果データが累積しているため、国際的にも中国産診断キットなどに比べ優秀との評価を受けていて、需要が爆発的に増加していると伝えられた。

 外交部は「政府は、『新型コロナ対応防疫物品海外進出支援関係部署T/F』を中心に、韓国産診断キットの早急な対米輸出のため、今後米国側の購買機関と韓国企業間の協議が効果的に進行されるよう積極支援していく予定」と説明した。
パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

両国を代表する財界人が積極的な協力の必要性を強調したのは、韓日首脳会談(24日と予想)に良いメッセージになるという意見で一致した。

2019-12-09 | 北東アジアの文化

韓日経済協力が「両国生存ための運命的選択」(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.12.09 08:40

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崔泰源SK会長は「日本エネルギー企業と互いに株式を持ち合うことになり、人で言えば血を交える関係に発展した」とし、韓日企業はよりいっそう積極的に協力すべきだと述べた。左から小倉和男元駐韓日本大使、キム・ユン三養ホールディングス会長、許榕秀GSエナジー社長、崔泰源SK会長、中西宏明経団連会長、三村明夫日本商工会議所会長、佐藤康博みずほフィナンシャル会長。 キム・ドンホ論説委員
崔泰源SK会長は「日本エネルギー企業と互いに株式を持ち合うことになり、人で言えば血を交える関係に発展した」とし、韓日企業はよりいっそう積極的に協力すべきだと述べた。左から小倉和男元駐韓日本大使、キム・ユン三養ホールディングス会長、許榕秀GSエナジー社長、崔泰源SK会長、中西宏明経団連会長、三村明夫日本商工会議所会長、佐藤康博みずほフィナンシャル会長。 キム・ドンホ論説委員
中国の影響力拡大と米国の保護貿易主義が渦巻いていて、国際秩序が揺らいでいる。韓国はその間に挟まれて最も大きな影響を受けている。安全保障は韓日米の三角同盟を基盤とし、経済は中国に軸を置きながらだ。さらに徴用被害者問題など日本との過去をめぐる葛藤が経済に広がり、最悪の地政学的危機に陥っている。

この荒波に巻き込まれた韓日の財界人が「未来設計(Shaping the Future)」をテーマに6-8日に開催された「東京フォーラム2019」で会った。討論には韓国・日本・米国・中国の専門家150人が参加した。崔鍾賢(チェ・ジョンヒョン)学術財団理事長であり同フォーラムを組織した崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長と李洪九(イ・ホング)元首相をはじめ、孫正義ソフトバンク会長、馬雲アリババ創業者、中西宏明日本経済人連合会(経団連)会長など韓日両国の財界のリーダーが含まれた。

辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)ロッテグループ会長と李夏慶(イ・ハギョン)中央日報主筆は行事場所の東京大安田講堂で会い、両国を代表する財界人が積極的な協力の必要性を強調したのは、韓日首脳会談(24日と予想)に良いメッセージになるという意見で一致した。

まず「21世紀の北東アジア地政学の挑戦と機会」をテーマに開かれた国際関係セッションでは、米中討論者が国際秩序をめぐって観点の違いを表し、韓日討論者は過去から抜け出して未来志向的な協力関係を構築しようという方向で意見を述べた。北朝鮮の核問題に関しては韓半島(朝鮮半島)非核化を前提に解決すべきだという見解が多かった。「米朝対話が決裂して非核化が実現せず、ブラッディ・ノーズ(Bloody Nose、鼻血)に向かったり韓日の核武装につながったりするのだろうか」という司会者の質問(朴仁国崔鍾賢学術院院長)に対する回答だった。

フォーラムには約1000人の聴衆が集まった。討論者の意見を紹介する。

▼エドウィン・フュルナー・ヘリテージ財団理事長=韓日両国は米国を中心に近づくべきだ。トランプ米大統領が在韓米軍防衛費として50億ドルを要求したのは分担金交渉のためであり、在韓米軍撤収の意図ではない。

▼ジョン・ハムレ米戦略国際問題研究所(CSIS)所長=アジアは米国にとって最も重要な戦略的な舞台になった。中国の影響力拡大とロシアの存在感もその背景だ。過去40年間の前向きに中国と交流しようという「ニクソン・キッシンジャー・コンセンサス」はもう終わった。特に経済分野で中国の挑戦が強まり、米国を脅かすほど攻撃的であることを知っている。

▼チャンウィンリン中国社会科学院地域安保研究センター長=中国の急浮上が国際秩序を変えている。中米競争は平和的に対話して協力する戦略的な接近が要求される。過去とは違い核兵器が登場し、どちらも戦争で問題を解決できない時代になったからだ。北東アジア3カ国間の複雑な問題と北核イシューもこのような脈絡で解決しなければいけない。

▼尹永寬(ユン・ヨングァン)元外交部長官=現在の国際秩序は、国際社会を導いていくリーダーシップがない「キンドルバーガー・ジレンマ」が懸念される。1930年代の大恐慌と第2次世界大戦はグローバルリーダーシップの空白状態で起き、世界は今もそのような状況に直面している。米国は疲れて、中国はまだ責任感がない。この渦中に浮上した北朝鮮の核問題は段階的に事態を解決するスモールディールが最も効果的な解決法であり得る。粘り強く非核化努力をしていくしかない。


韓日経済協力が「両国生存ための運命的選択」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.12.09 08:40

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▼崔泰源(チェ・テウォン)SK会長=情報通信技術(ICT)は両国が世界最強だ。特に半導体は韓国が世界市場シェアの相当な部分を占める。テレビ・携帯電話も同じだ。日本は半導体ウェハー生産の55%、フォトレジストの70%、イメージセンサーの50%、半導体蒸着装備の40%を占める。今後もう少し協力の範囲を広げれば、ウィンウィン関係を高度化できる。2005年からSKエネルギーと当時のジャパンエナジー(現在JXTGホールディングス)が戦略的な同盟を結んでお互い株式を買った。株式を買ったということは人の関係で言えば血を交えたということだ。ためらわず東芝メモリに投資できたのもこのような感じがあったからだ。単に投資で終わるのでなく、次世代メモリー共同開発関係になった。5Gでも良い協力が可能だ。

▼三村明夫日本商工会議所会長=現在の日韓関係は最悪だ。ところが両国の間では440億ドルの直接投資がある。その土台は1965年の韓日基本条約と韓日請求権協定という前提だった。日本の財界は安心して韓国に投資することができた。請求権資金5億ドルが韓国に提供されて浦項(ポハン)製鉄の建設が可能になり、日本で浦項製鉄の職員1000人を教育した。今日のポスコは強いライバルに成長したが、(新日本製鉄会長を務めた)私はその結果をとてもうれしく思っている。その基本的な協力フレームが揺らいで大きな不安を感じる。もう韓日両国の財界人が政治的な困難を積極的に解決する方向に動かなければいけない。

▼許榕秀(ホ・ヨンス)GSエナジー社長=韓国と日本を合わせるとLNG需要が1位になる。協業すれば多くの事業ができるということだ。東南アジアの成長で戦略需要が増えている。ガス輸入と発電事業の共同事業が可能だ。両国の輸出入銀行の支援を受ければ大きなプロジェクトもできる。貯蔵・物流・金融を総合的に提供するLNG国際ハブを構築することができる。水素エネルギーも同じだ。両国が力を合わせれば規模を拡大して時間も操り上げることができる。

▼佐藤康博みずほフィナンシャル会長=日韓間の問題が浮上すると、日本都市銀行が韓国企業に対する融資を回収するのではという韓国メディアの報道があった。こうした不安感を解消するには通貨スワップ協定を回復させなければいけない。韓日関係は1対1の関係ではない。米中競争による地政学的なリスクを避けるのは容易でない。中国は「製造2025」を掲げてすべてのことをすると言っている。このような中国の国家戦略の中で日韓の協力はいつよりも重要になった。

▼藤崎一郎元駐米日本大使=中国が米国のライバルになり、緊張感が高まっている。北朝鮮の核は現状態の凍結ではなく「CVID」(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)にならなければいけない。

「韓日経済交流と未来の協力案」をテーマに開かれたビジネス特別セッションでは未来志向的な協力案が出てきた。半導体、第5世代移動通信(5G)、液化天然ガス(LNG)、3カ国共同進出など韓日企業が協力すれば、シナジーを出すことが多いことが確認された。崔泰源会長は「こうしたアイデアを実行する協力機構としてフューチャーファウンデーション(Future Foundation=未来財団)を作ろう」と提案した。共に解決策を見いだし、お互いを理解し、信頼を構築していこうという要旨だった。地政学的な危機を「状況学的協力」で解決しようという趣旨だ。両国生存のための運命的な選択だ。討論は「韓日関係を越えてグローバルな観点で議論することが重要だ」という司会者(小倉和男元駐韓日本大使)の提案で幅広く行われた。

▼キム・ユン韓日経済協会会長(三養ホールディングス会長)=財界人には一貫性・透明性・予測の可能性が非常に重要だ。こうした状況で葛藤が続き、韓日両国貿易も減少している。その結果、素材・部品・装備のグローバル供給網が脅かされている。両国企業は今までお互い協力し、善意の競争をして共存共栄する道を歩いてきた。もう理念や総論から抜け出し、一日も早く現実を基づいて協力する関係に戻らなければいけない。まず第3国共同進出を提案する。リスクを最小化し、強みを最大化することができる。三養社と三菱商事がパキスタンでしたポリエステル合作事業など成功事例も多い。

▼中西宏明経団連会長=韓国企業が成長し、グローバル供給網が韓国・日本にとどまらずグローバル経済につながった。両国の政治がどうなってもビジネスは常に協力関係を通じて発展できるという点を見せている。ところが、作れば売れる時代ではなく、お互いが共有・分業してこそ成長できる新しい時代がきた。特に少子高齢化の問題が深刻だ。消費者の観点で新しい価値観によって市場が大きく成長する世界へと変わっている。このような変化に対応しなければいけない。

「中国の習近平国家主席が4月に北朝鮮を訪問することが予定されているようで、5月には韓国を訪れる可能性が高いと思う」と述べた。

2019-01-13 | 北東アジアの文化
習主席が4月に訪朝予定 
5月には訪韓の可能性=韓国与党代表

2019.01.11 15:44

【ソウル聯合ニュース】韓国の与党「共に民主党」の李海チャン(イ・ヘチャン)代表は11日、国会で開かれた盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長との会談で、「中国の習近平国家主席が4月に北朝鮮を訪問することが予定されているようで、5月には韓国を訪れる可能性が高いと思う」と述べた。

記念撮影を行う李代表(中央)と魯室長(右)=11日、ソウル(聯合ニュース)

 また、「今年上半期は各国の首脳が随時会う雰囲気」だとした上で「(南北の)分断70年を終わらせ、平和と共存の機会をつくり、南北の経済交流や協力も行える道が見え、こうした機会を活用し経済を活性化させることが非常に大事だ」と強調した。

kimchiboxs@yna.co.kr

出演が取り消された事実と共に、日帝強占期(日本の植民地時代)の状況まで詳細に報道し、日本の戦犯行為を世界に知らせる起爆剤となっている。

2018-11-10 | 北東アジアの文化
日本放送局の突然のBTS出演取り消しが
全世界に日本の「戦犯行為」を知らせた

登録:2018-11-10 05:35 修正:2018-11-10 07:53


CNNやBBCなど「防弾少年団の出演取り消し」を相次いで報道 
日帝強占期に悪化した反日感情も集中的に報じる 
強制徴用問題も取り上げ「戦犯行為」を紹介

          
英国のBBCなど、主要海外メディアが防弾少年団(BTS)のの日本音楽番組への出演取り消しを報じた=BBCホームぺージよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 世界の主要メディアが人気アイドルグループ「防弾少年団」(BTS)の日本音楽番組への出演が取り消されたニュースを相次いで報じた。海外メディアらは、防炭素年団のメンバーが「光復節(日本植民地支配からの独立記念日)Tシャツ」を着ていたという理由で、出演が取り消された事実と共に、日帝強占期(日本の植民地時代)の状況まで詳細に報道し、日本の戦犯行為を世界に知らせる起爆剤となっている。

 米国のCNNや英国のBBC、中東の「アルジャジーラ」など、主要海外メディアは9日、日本の「ミュージックステーション」への出演取り消しを、相次いで報じた。

 (「ミュージック・ステーション」を放送する)テレビ朝日係は、日本のあるメディアがグループのメンバ、ジミンがかつて原子爆弾が爆発する写真と独立に関する内容が書き込まれたTシャツを着ていると報じたことを受け、反韓感情を意識して、防弾少年団の出演を急遽取り消した。

 CNNは同日、「原爆シャツに対する憤りによりBTSの日本公演がキャンセルされた」という見出しの報道で、「過去メンバーの一人が着ていたTシャツのデザインが議論になり、放送局が所属会社に着用した意図を尋ねるなど協議を行ったが、結局、出演が取り消された」と説明した。さらに「戦争をめぐる日本と韓国の歴史は、両国にとって非常に敏感な問題」とし、「数百万の韓国人が日本の占領により苦痛を経験しており、日本が第二次世界大戦の末期、広島と長崎への原爆攻撃を受け、撃退された後、解放された」と付け加えた。

 BBCは防弾少年団の出演取り消しのニュースと共に、日本の強制徴用労働者問題まで言及し、最近、韓国最高裁(大法院)の強制徴用賠償判決後に冷え込んだ韓日関係についても取り上げた。

 「アルジャジーラ」は「メンバーのジミンが昨年8月15日、韓国の光復節を記念するために着ていたシャツに、日本の一部のファンが反発し、議論になった」としたうえで、「日本と韓国の関係は1910~1945年の日本の残忍な朝鮮半島支配をめぐる紛争で、悪化し続けている」と説明した。

 韓国の芸能人が「反日をめぐる議論」で被害に遭ったのは、昨日今日のことではない。歌手イ・スンチョル氏は光復節を迎え、独島(日本名・竹島)で「統一ソング」を発表してから、突然日本への入国を拒否された。2011年、日本ドラマに出演した俳優のキム・テヒ氏は、過去に「独島を愛するキャンペーン」に参加したという理由で、保守派団体から「ドラマ放映を中止せよ」という抗議を受けた。これは当時、韓国と日本で話題になったが、すぐに収まった。

 しかし、防弾少年団は世界で多くのファンを持つ最も話題のスターだ。ユーチューブのアクセス数は32億ビューを超えており、米ニュース週刊誌のタイム誌に最近、防弾少年団を「次世代リーダー」として紹介されると共に、表紙も飾った。防弾少年団のファンは、彼らの歌詞やミュージックビデオのシーンまで分析し、オンラインに掲載して、共有するほど積極的だ。日本の放送への出演が急遽取り消された問題は、世界のファンが日帝強占期に日本が犯した蛮行を新たに知る契機となった。日本のテレビ局の勇み足が日本の戦犯行為を全世界に知らしめ、「自縄自縛」に陥る結果となったという指摘もある。
オク・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国の場合、朝米首脳会談の余波でトランプ大統領に対する信頼度が大幅に上がった。

2018-10-03 | 北東アジアの文化

トランプの信頼度、欧州で最低…韓国では急上昇
登録:2018-10-02 22:07 修正:2018-10-03 07:12


米国ピュー研究所調査 
信頼度1位はメルケル 
トランプ就任後、米国のイメージも同伴墜落 
「アメリカファースト主義が信頼度墜落の主因」 
朝米首脳会談の効果、韓国では17→44%に急騰


ドナルド・トランプ米大統領(左)とアンゲラ・メルケル・独首相が昨年7月、ドイツ・ハンブルグのあるホテルで主要20カ国・地域(G20)首脳会談二者会談を控えて握手している=ハンブルグ/AP聯合ニュース

 中国、ロシア、英国など主要国の指導者の中で、ドナルド・トランプ米大統領に対する信頼度が最も低いという世論調査結果が発表された。また、トランプ大統領の就任以後、同盟国の欧州国家の間で米国に対するイメージが急落したと調査された。だが韓国の場合、朝米首脳会談の余波でトランプ大統領に対する信頼度が大幅に上がった。

 米国の世論調査専門機関ピュー研究所(Pew Research Center)は1日、25カ国の2万6000人を相手に米国と主要国家の首脳に対する信頼度などを調査した結果を発表した。
米国の世論調査機関が1日、世界5カ国の首脳に対する信頼度を調査した結果を発表した=ピュー研究所のホームページより//ハンギョレ新聞社



 調査結果によれば、国際問題を扱うに際して信頼度が最も低く評価された首脳はトランプ米大統領で、最も高い信頼を得た首脳はアンゲラ・メルケル独首相だった。トランプ大統領を信頼するという回答は27%で、信頼できないという応答は70%に達した。トランプ大統領を信頼するという回答は、習近平・中国国家主席(34%)やウラジーミル・プーチン・ロシア大統領(30%)よりも少ない。

 これに反して、メルケル独首相は信頼52%、不信31%で、調査対象の5人のうちで信頼度が最も高かった。エマニュエル・マクロン仏大統領も信頼46%、不信34%で信頼度が高い指導者に選ばれた。

 特に、トランプ大統領の就任後、欧州国家の間で米国に対する信頼度が大きく下落した。ドイツの場合、バラク・オバマ大統領時期の米国に対する信頼度は90%台だったが、トランプ政権では10%に急落した。フランスの場合も、以前の政権では90%台の信頼度が最近は9%まで墜落した。
米国の政権別信頼度に対する調査結果=ピュー研究所のホームページより//ハンギョレ新聞社



 ピュー研究所は、トランプ大統領の国際的信頼度が最低を記録した理由について、米国中心の一方主義外交政策を繰り広げているためと分析した。実際、トランプ大統領は就任後、パリ気候変動協定から脱退し、イラン核協定を一方的に破棄するなど、突発行動で多くの欧州国家の批判を受けた。

 こうした雰囲気とは違い、韓国の場合、トランプ大統領に対する信頼度が昨年の17%から今年は44%に大きく上がった。米国に対する選好度も、昨年の75%から80%に上昇した。朝米首脳会談で朝鮮半島に平和ムードが醸成されたことが影響を及ぼしたと分析される。
オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

米国ピュー研究所調査 
信頼度1位はメルケル 
トランプ就任後、米国のイメージも同伴墜落 
「アメリカファースト主義が信頼度墜落の主因」 
朝米首脳会談の効果、韓国では17→44%に急騰
ドナルド・トランプ米大統領(左)とアンゲラ・メルケル・独首相が昨年7月、ドイツ・ハンブルグのあるホテルで主要20カ国・地域(G20)首脳会談二者会談を控えて握手している=ハンブルグ/AP聯合ニュース

 中国、ロシア、英国など主要国の指導者の中で、ドナルド・トランプ米大統領に対する信頼度が最も低いという世論調査結果が発表された。また、トランプ大統領の就任以後、同盟国の欧州国家の間で米国に対するイメージが急落したと調査された。だが韓国の場合、朝米首脳会談の余波でトランプ大統領に対する信頼度が大幅に上がった。

 米国の世論調査専門機関ピュー研究所(Pew Research Center)は1日、25カ国の2万6000人を相手に米国と主要国家の首脳に対する信頼度などを調査した結果を発表した。
米国の世論調査機関が1日、世界5カ国の首脳に対する信頼度を調査した結果を発表した=ピュー研究所のホームページより//ハンギョレ新聞社

 調査結果によれば、国際問題を扱うに際して信頼度が最も低く評価された首脳はトランプ米大統領で、最も高い信頼を得た首脳はアンゲラ・メルケル独首相だった。トランプ大統領を信頼するという回答は27%で、信頼できないという応答は70%に達した。トランプ大統領を信頼するという回答は、習近平・中国国家主席(34%)やウラジーミル・プーチン・ロシア大統領(30%)よりも少ない。

 これに反して、メルケル独首相は信頼52%、不信31%で、調査対象の5人のうちで信頼度が最も高かった。エマニュエル・マクロン仏大統領も信頼46%、不信34%で信頼度が高い指導者に選ばれた。

 特に、トランプ大統領の就任後、欧州国家の間で米国に対する信頼度が大きく下落した。ドイツの場合、バラク・オバマ大統領時期の米国に対する信頼度は90%台だったが、トランプ政権では10%に急落した。フランスの場合も、以前の政権では90%台の信頼度が最近は9%まで墜落した。
米国の政権別信頼度に対する調査結果=ピュー研究所のホームページより//ハンギョレ新聞社

 ピュー研究所は、トランプ大統領の国際的信頼度が最低を記録した理由について、米国中心の一方主義外交政策を繰り広げているためと分析した。実際、トランプ大統領は就任後、パリ気候変動協定から脱退し、イラン核協定を一方的に破棄するなど、突発行動で多くの欧州国家の批判を受けた。

 こうした雰囲気とは違い、韓国の場合、トランプ大統領に対する信頼度が昨年の17%から今年は44%に大きく上がった。米国に対する選好度も、昨年の75%から80%に上昇した。朝米首脳会談で朝鮮半島に平和ムードが醸成されたことが影響を及ぼしたと分析される。
オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

紀元前1世紀から562年まで600余年間繁栄:任那日本府」について研究叢書は、倭の王権が伽耶に派遣した外交使節と定義した。

2018-07-18 | 北東アジアの文化
「古代国家 伽耶、6カ国でなく12カ国以上で構成」
登録:2018-07-17 21:51 修正:2018-07-18 07:28


伽耶(カヤ)古墳群世界遺産登載推進団「研究叢書」発刊 
紀元前1世紀から562年まで600余年間繁栄 
利害関係からまり伽耶内部で戦争も 
任那日本府、倭が阿羅伽耶に派遣した使節

                    
古代国家 伽耶の歴史は、西暦400年高句麗広開土大王が朝鮮半島南部の伽耶と倭の兵を兵を攻略したことを基点に、洛東江(ナクトンガン)下流地域を中心に繁栄した前期伽耶(左図)と内陸地域を中心に繁栄した後期伽耶(右図)に区分される=慶尚南道提供//ハンギョレ新聞社

 「今日の慶尚南道地域を中心に繁栄した古代国家伽耶は、首露王など六兄弟が建国した六つの小さな国々で構成され、互いに連盟を結び仲が良かったが、新羅に征服された」

 これが伽耶に関する一般的常識だ。しかし、各種の研究成果を総合してみる時、これは歴史的事実とは全く距離が遠い。六つの国が兄弟のように仲良くしていたというのは『三国遺事』の記録のために作られた虚構に過ぎないというのが、伽耶関連研究成果の総合結論だ。

 「慶尚南道伽耶古墳群世界遺産登載推進団」は16日、『伽耶史総論』『伽耶古墳群1』『伽耶古墳群2』の三巻で構成された『伽耶古墳群研究叢書』を出した。研究叢書は「伽耶史の時期区分と空間的範囲」「伽耶古墳群の形成過程と景観の特徴」「文献で見た伽耶の対外交流」など計25章で構成され、大学・博物館・研究院など20の機関の専門家25人が一章ずつ分けて執筆した。

                    
慶尚南道伽耶古墳群世界遺産登載推進団が出した『伽耶古墳群研究叢書』//ハンギョレ新聞社

 研究叢書は『三国志』『三国史記』『日本書紀』などを総合的に分析する時、政治体制としての伽耶は2世紀から存在するが、文化成立時期を含めれば伽耶の歴史は紀元前1世紀から大伽耶が滅亡する562年までの600年余りに達する。また伽耶は、12個以上の小さい国々で構成され、高句麗・百済・新羅の三国とは区分される独自の歴史を持っている」と結論付けた。

 全盛期の伽耶の領域は、東は釜山と慶尚南道梁山(ヤンサン)・密陽(ミリャン)まで、西は全羅北道南原(ナムォン)・長水(チャンス)と全羅南道谷城(コクソン)・求礼(クレ)・光陽(クァンヤン)・順天(スンチョン)など湖南(ホナム)東部地域まで達した。したがって伽耶を除く高句麗・百済・新羅の三国だけが朝鮮半島に存在した期間は、伽耶の滅亡以後、660年に百済が滅亡するまでの100年にもならなかった。

 研究叢書は、西暦400年を基点に前期伽耶と後期伽耶に伽耶の歴史を区分した。高句麗広開土大王は、伽耶と日本(倭)の侵略を受けた新羅の救援要請を受け入れ、400年に5万人規模の歩兵と騎兵を派遣して、倭兵と伽耶を攻略した。この時、洛東江(ナクトンガン)下流地域が主戦場になり、洛東江の水路と海を利用して発展した南部伽耶が大きな打撃を受けた。このため南部海岸地域にあった伽耶の中心が高句麗の攻撃を受けて以後、慶尚北道高霊(コリョン)の加羅国と慶尚南道咸安(ハマン)の阿羅国など北部内陸地域に移動した。

 伽耶は利害関係にしたがって隣の伽耶を侵略したりもし、新羅を背に負って他の伽耶国と戦争もした。史勿国(サムルグク)など金海(キムヘ)西部地域の国々が起こした戦争である浦上八国戦争が代表的だ。したがって、伽耶連盟体論は虚像に過ぎないわけだ。

 韓国と日本の歴史学界の長年の論争の種である「任那日本府」について研究叢書は、倭の王権が伽耶に派遣した外交使節と定義した。任那日本府は、咸安の阿羅国に長期滞留し伽耶王らと歩調を合わせて百済と新羅に対する外交活動に参加した。阿羅国の王は彼らを通じて倭を背後勢力として確保し、百済と新羅に対抗した。
                    
慶尚南道咸安郡の伽耶邑(カヤウプ)で発見された阿羅伽耶王宮跡地と推定される遺跡。阿羅伽耶は後期伽耶の中心地であった=慶尚南道提供//ハンギョレ新聞社

 伽耶古墳発掘の結果、伽耶は死んだ権力者のために従属関係にあった人を強制的に殺して一緒に埋葬する殉葬を3世紀末から6世紀中葉までしていたことが確認された。古代朝鮮半島南部の殉葬は、3世紀末に造成された金官伽耶の古墳である慶尚南道金海市大成洞(テソンドン)古墳で初めて確認された。新羅で殉葬が施行されたより早い時点だ。6世紀に造成された大伽耶古墳の慶尚北道高霊郡芝山洞(チサンドン)44号墳では、40人余りの殉葬者が確認された。これは古代朝鮮半島で確認された最大規模の殉葬事例だ。

 慶尚南道伽耶古墳群世界遺産登載推進団は「今回出した研究叢書は、伽耶古墳群世界遺産登載のための基礎資料として活用するために、最近の研究成果を集約し専門性を備えつつ一般教養書水準で整理したものだ。伽耶に関連した多くの研究成果を、初めて一堂に集め整理したという点に研究叢書の価値があると見る」と明らかにした。だが、急いで出版したために、研究叢書は所々誤字が残り、筆者どうしが使う用語も一部統一できなかった。またそれぞれ異なる研究結果を提示するなどの問題点も抱いている。850ページを超える膨大な分量の学術書籍であるのに、索引が付いていないなど、物足りなさも残る。
チェ・サンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )