AIIB設立当初、資金はどこへ投じられるのか?
人民網日本語版 2015年12月08日08:25
アジアインフラ投資銀行(AIIB)準備チームの陳歓副代表はこのほど、「AIIBは今月末までに規定で定められた開業に必要な手続きを終えるとみられ、開業式典は来年1月中旬に行われる予定だ」と述べた。AIIBは理事会と董事会を設置する計画で、第1回董事会会議も予定されている。市場関係者は、「AIIBの開業が間近になったことは、インフラ改善を急ぐ国にとっては間違いなく朗報だ。将来的には、AIIBと既存のその他の開発性金融機関の良い相互作用が、国際的経済協力の見どころとなるだろう」との見方を示す。人民日報海外版が伝えた。
▽初期は5つの分野に重点
中国の習近平国家主席が2013年10月にAIIBの設立を提唱してから現在までに、世界5大陸の57カ国が創設メンバーとなった。AIIB設立協定では、署名国のうち少なくとも10カ国で承認され、署名国の初期出資額が資本金総額の50%を上回れば、業務開始を確保できると規定している。
AIIBは開業初期、伝統的なインフラ分野に軸足を置き、参加国の相互連結を促進し、経済成長と雇用の増加実現に向け努力する。具体的には、初期のプロジェクトは▽エネルギー▽交通▽都市発展▽農村発展▽物流――の5つの分野に重点を置く。将来的にはその他の分野にまでプロジェクトを広げていく計画だ。
教育・衛生など、社会発展にかかわるインフラ建設について、陳歓副代表は、「これらの分野の経済的効果と社会的効果は大きい。AIIBも将来的にはこれらの分野にかかわっていくことになるだろう」としている。
北京科技大学管理学院経済貿易学部の何維達教授は取材に対し、「AIIBが開業初期に重点を置く5つの分野は、AIIB設立の目的を十分に体現していると同時に、アジア市場の大きなインフラニーズにも合致している。これは関連諸国のインフラ改善に役立ち、『1ベルト、1ロード(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)』建設の推進にも役立つだろう」と述べた。
▽初期はローリスク・ローリターン
AIIBはどうやって運営の持続性を保障するのだろうか?責任者によると、AIIBは設立当初、主に債券の発行を通じて資金を調達し、設立初年度の発行額は1億~5億ドルの見込み。格付け機関による信用格付けが出るまでの間、私募または公募によって、無格付け債を優先的に発行する可能性がある。
何維達教授は資金回収について「AIIBの目的は収益を上げることではなく、関連地域の長期的な経済発展を促進すること。初期のころは、プロジェクトの投資回収率が低くなるかもしれない。ただ、AIIBは返済期間が長いだけで、純粋な援助機関ではない。例えば高速道路なら、通行料を徴収することで資金回収ができる。AIIBの参加国には発展途上国のほかに、フランス、英国、イタリアなどの先進国も含まれる。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などの国際機関の進んだ管理制度を参照することで、AIIBを適切に運営し、元本を保障し、赤字を防ぐことができるだろう」と述べた。
アナリストは、「資金と運営の安全を保障するため、AIIBは初年度、プロジェクトの審査と融資を慎重に行うと見られる。運営メカニズムの成熟化に伴い、融資額は年々増加するだろう。プロジェクトが成熟化すれば、AIIBは社会資本との協力を試み、最終的には商業銀行やビジネス界とも手を組み、市場の力を使ってアジアの広大な市場に投資し、開発していくことになる」と予想する。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年12月8日