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外務省直接メールより、     そのまま載せています。

2012-07-08 | 投稿
世界防災閣僚会議in東北
~世界の英知を被災地に,被災地の教訓を世界に~
東北 2012年7月3日~4日
議長総括


 世界防災閣僚会議in東北は,2012年7月3日及び4日,仙台市,一関市,石巻市,福島市で開催された。外務大臣その他関係閣僚を含む63カ国の代表,14の国際機関の代表をはじめ,地方公共団体,民間,市民社会の代表が会議に参加した。玄葉光一郎日本国外務大臣が会議の議長を務めた。野田佳彦日本国内閣総理大臣及びクラーク国連開発計画(UNDP)総裁が冒頭挨拶を行った。

 会議は,災害に強い強靭な社会の構築の必要性,その基本としての人間の安全保障の確保の重要性,防災への投資の長期的有効性,災害に対する備えと持続可能な復旧の重要性を包括的に議論するとともに,公的サービスのあらゆるレベルで防災を主流化し,そのために国際社会の取組を進めることを呼びかける重要な機会となった。会議は,第3回国連防災世界会議で採択される予定の兵庫行動枠組の後継枠組みに関する議論を加速する機会となった。
強靱な社会の構築に向けて

 参加者は,「強靱な社会」を構築することが喫緊の課題であることを強調した。強靱な社会とは,予防,減災,緊急対応,復旧,復興を含め,自然災害に対しあらゆる局面において備えができている社会である。強靱な社会は,十分な備えができていることから,災害を最小化することが可能である。自然災害が発生した場合に,強靱な社会は,緊急対応,復旧,復興に関し効果的な措置をとることができる。

 参加者は,防災の取組において,貧困層,高齢者,病人やけが人,こども,障害者,妊婦などの脆弱な個人に対する配慮が重要であることを強調した。参加者は,さらに,強靱な社会の構築には,防災における女性の役割を正当に認識し,防災教育等を通じ個人の能力強化を図ることが必要であることを強調した。参加者は,人間の安全保障が防災の取組の重要な基盤となることを確認した。

 参加者は,防災への投資は割に合う取組であるとの結論に至った。また,参加者は,大規模自然災害は,生産と流通への影響のみならず,様々な形で国際社会に影響を与えるため,途上国の防災能力の強化及び調達可能な資金の増加は,国際社会の利益であることを確認した。
防災の主流化に向けて

 参加者は,防災の優先順位を上げ,防災のための適切なガバナンス機構を確保し,十分な財政資源を割り当てることにより,あらゆるレベルの公共政策において防災を主流化する必要性を強調した。参加者は,政府の中心的な責務と各国の防災に関するオーナーシップを確保することの重要性を認識するとともに,特に自然災害の脅威にさらされやすい地域と途上国において,地域・国際機関が担う役割の重要性を確認した。

 参加者は,特に,アジア太平洋地域で取り組まれているように,早期警戒システムの構築や合同での災害ニーズ評価,復旧計画,訓練の実施など,防災に関する地域協力の強化が重要であるとの認識を共有した。

 参加者は,国際協力,さらに緊急対応,復旧及び復興に関し被災後の政府主導の取組を支援するための資源の強化の必要性を確認した。早期警戒,避難民支援,早期復旧開始のための能力,適切な評価に基づく円滑な移行など,途上国の対応能力を強化するために,途上国支援を強化するべきである。さらに,参加者は,防災を2015年以降の国際開発目標(ポストMDGs)の主要要素として位置づけるべきとの認識で一致した。
災害最小化のための行動(各国・地域における防災の主流化)
(1)災害に十分備えのできた強靭な社会の構築に向けて

 参加者は,自然災害がもたらし得る被害の規模と社会への影響を推計し,関係者の間で共有することが重要であることを確認した。参加者は,あらゆる規模の災害を想定した被害想定とリスク評価を行う必要性があり,また,国・地域のニーズに応じて適切にハード・ソフト双方の機能を組み合わせ,防災力を最大化することが必要であるとの結論に至った。

 参加者は,基礎的なインフラが整備されつつある国において,交通および通信ネットワークを含む基幹インフラの複線化(リダンダンシー)を次のステップとして推進することの意義を確認した。

 参加者は,自然災害発生時に具体的な行動をとることを可能とする,有意義かつ効果的な防災教育を普及する必要があることを強調した。参加者は,過去の災害の経験と教訓を「国際公共財」として,特に防災教育の歴史がまだ浅い途上国との間で共有をはかることを呼びかけた。また,大規模自然災害が発生した場合に,個人がとるべき行動を実際にとることができるよう,市民が災害対策の効果と限界を正しく理解することの重要性を確認した。
(2)災害時における強靭な社会の構築に向けて

 参加者は,防災教育などの手段を通じ「自助」の意識を高めることにより,自然災害が発生した際に自らの命と安全を守ることが可能となることを確認した。

 参加者は,多様な関係者が効果的な連係を通じ防災に取り組むための環境整備を図るうえで,社会的弱者の救済,被災者の心のケア,土地利用の計画・規制等への合意形成等において地域コミュニティが果たす中心的な役割を強調した。また,防災計画や復興計画に対しては,住民や地域コミュニティ,企業,NPO,ボランティア,女性,社会的弱者など,社会の多様な立場からの意見を取り入れていくことが重要であることを確認した。

 参加者は,防災と復旧は公共財であり,防災への参加と責任は,一般市民,地方自治体,地域コミュニティ,民間,市民社会,その他社会の構成員によって広く担われるべきであることを確認した。参加者は,大規模災害時に行政機能が著しく低下した自治体への自治体間の支援,地方自治体と中央政府の強固な連携,民間企業の公的業務への支援,NGO間の連携,NGОと政府の連携,災害時及び復興プロセスのフォローアップ時の情報発信・収集におけるメディアと行政との連携など,幅広い関係者の垣根を超えた実際的な連携が重要であるとの認識を共有した。また,海外支援の受け入れを円滑にするための制度構築が重要であるとの認識を共有した。

 参加者は,大規模災害直後の効果的な緊急対応と早期復旧を可能とする体制をあらかじめ構築しておくことの重要性を強調した。被災国が災害後のニーズを正確に把握し,緊急対応と復旧に取り組めるよう,国際社会が協力すべきことを確認した。参加者は,脆弱性の再現を防ぐため,復興プロセスにおいて災害の根本的な原因に対処する必要性を認識した。
(3)新たな災害リスク要因に対応した強靭な社会の構築に向けて

 参加者は,災害多発地域における産業高度化,都市化,気候変動といった災害のコストを大幅に引き上げるような近年の新たな災害リスク要因に適切に対応していく必要性を強調した。

 参加者は,気候変動の影響を最小限化する対策(適応策)を推進し,また,災害に強い都市の形成に向けて国際社会が協力していくべきことを確認した。例えば都市化への対応として,災害リスク評価に基づく都市計画,防災計画,防災インフラ整備,耐震基準等の整備,防災教育の普及等を総合的に進めていくことが重要であることを確認した。

 強靭な経済は強靭な社会の不可欠な要素である。参加者は,自然災害がグローバル化する経済活動に与える影響も念頭に,災害への備えの一環として,それぞれの会社や生産・流通ネットワークにおける実効的な事業継続計画(BCP)の策定を促進することが重要であることを確認した。

 参加者は,今日の非常に複雑な社会においては,自然災害は複数のリスクが同時に組み合わさった脅威をもたらしうることや,そのような脅威を想定し,限られた人的・財政的資源を有効に充当するための事前準備における優先順位付けを行うべきであるとの認識を共有した。
新たな防災に関する国際行動枠組に向けて(国際社会における防災の主流化)

 参加者は,兵庫行動枠組(2005~2015)が,防災分野における国際社会の重要な指針であることを強調した。さらに,開発における防災の主流化を促進するため,今回の会議の主要な成果を取り込み,かつ,新たな課題と増加する脆弱性にも対応可能な,実効的なポスト兵庫行動枠組を策定すべきであることを確認した。

 参加者は,災害リスク要因が増大する中,世界各国・地域において防災への具体的な取組を促進するために,新たな行動枠組では,「いつまでに」「どこまで」「どのように」取り組むべきかを明確にし,具体的な目標値設定,評価方法の確立,施策の体系化の検討を進める必要があることを確認した。

 参加者は,「早期警戒」を含む予防措置の重要性を確認しつつ,予防や減災に向けた努力を行ったとしても,自然災害を完全に防ぐことは困難であるとの認識に立ち,緊急対応・復旧・復興までを含めた包括的な災害後の取組が必要であるとの認識を共有した。

 参加者は,防災の主流化を定着させるためには,経験豊富な国際機関の協力が必要であり,予防・緊急対応・復旧・復興の各段階において,マンデートと資源を有する機関の一層積極的な関与が必要であるとの認識で一致した。

 参加者は,本会議で得られた成果を,2013年のグローバルプラットフォーム,さらには,2015年の第3回国連防災世界会議において活用し,その他の重要な議論の場での成果と共に,ポスト兵庫行動枠組を策定するための議論の重要な基礎とすべきであるとの認識で一致した。その関連で,参加者は,日本が第3回国連防災世界会議をホストする意向を表明したことを歓迎した。