米安保補佐官「精密打撃では北朝鮮核問題は解けない」
マクマスター安保補佐官「先制軍事行動は難しい」認定
「北朝鮮核問題を解ける軍事封鎖も存在しない」
「戦争は避けたいが、可能性の完全排除はできない」
交渉条件として「核施設査察・核兵器放棄宣言」提示
ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官=資料写真//ハンギョレ新聞社
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米ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官が25日(現地時間)「北朝鮮核問題を解くことのできる精密打撃は存在しない」と認めた。ドナルド・トランプ行政府の外交・安保分野における最高位級官僚が、先制的な対北朝鮮軍事行動が難しいことを公開的に明らかにしたの事実上これが初めてだ。
マクマスター補佐官は、非政府機構である「米国戦争研究所」がワシントンで主管した行事での演説を通じてこのように明らかにし、「北朝鮮核問題を解くことのできる軍事封鎖も存在しない」と述べたとブルームバーグ通信が報道した。
これまでトランプ行政府の高位要人は「すべてのオプションはテーブル上にある」として、軍事行動の可能性も排除しないという曖昧な戦略的立場を取ってきた。スティーブ・バノン前ホワイトハウス首席戦略官がインタビューで「米国政府には軍事的解決法がないから忘れろ」という趣旨の発言をしたが「突出行動」程度に置き換えられた。
マクマスター補佐官は、地下深いところにある北朝鮮の核施設が米国の空襲にどの程度脆弱かについては言葉を慎んだが、すべての対北朝鮮軍事オプションが韓国を危険に直面させる北朝鮮の対応を招くことになる点を認めた。
彼は「(北朝鮮の対応にともなう危険は)最優先で念頭に置いている」としながら「すべての私たちの計画や“ウォーゲーム”で当然考慮している」と付け加えた。これはジェームズ・マティス国防長官が「ソウルを重大な危険に陥れない対北朝鮮軍事オプションはあるか」という質問に「そうだ」と答えたのとは温度差がある。
マクマスター補佐官は、トランプ行政府が「北朝鮮の核脅威を完全に解決できる4~5種のシナリオを探している」として「その一部は他の解決策よりさらに険悪だ」と明らかにした。彼は「私たちが望むのは戦争を避けること」としながら「しかし、その可能性を完全に排除することはできない」と明らかにし、緊張高揚による偶発的衝突の可能性は今なお残っていることを認めた。また「北朝鮮が核弾頭の装着された弾道ミサイル開発を完了することは容認できない」と明らかにし、これを事実上の“レッドライン”(禁止線)として設定していることを表した。
別の米行政府の高位要人もこの日、李容浩(リ・ヨンホ)北朝鮮外相の「北朝鮮領空外の米爆撃機も撃墜」発言に対して不快感を示しながらも、いっせいに「平和的解決法」を強調した。ホワイトハウスのサンダース報道官は定例ブリーフィングで、李外相がトランプ大統領の「長くは続かないだろう」という発言を宣戦布告と見なすと主張したことに対して「とんでもない」としつつも「平和な方式の非核化を今後も追求するだろう」と明らかにした。
米国防総省のロバート・マニング報道官もブリーフィングで「米国は平和的方式だけの朝鮮半島非核化を追求する」と強調した。マニング報道官は「私たちは北朝鮮の攻撃から我ら自身と同盟を防御する準備ができている。北朝鮮の威嚇があれば全面的に力量を使う準備ができている」と付け加えたが、これは抑止、および防御的レベルの脈絡から出たものだ。
一方、マクマスター補佐官は、北朝鮮が米国と交渉する前に核施設の査察を受け入れ、核兵器を放棄する用意があると宣言しなければならないと提示した。トランプ行政府が「核施設への査察受け入れ」を対北朝鮮交渉の前提条件として提示したのは今回が初めてだ。だが、北朝鮮が核施設への査察受け入れと核放棄宣言をする可能性が現時点では低いため、朝米間の公式交渉までには相当な難関が予想される。
これは、トランプ行政府が対北朝鮮軍事攻撃は選択肢から除外しても、北朝鮮を圧迫するために武力示威、経済制裁、外交的孤立の強度は一貫して高めていくだろうことを示唆する。米財務部は近い将来、北朝鮮の数十の個人・団体を追加制裁対象に指定すると発表した。
ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )