「核の傘」固執を批判
日本総合研 寺島会長
『文芸春秋』10月号
日本総合研究所会長の寺島実郎氏は『文芸春秋』10月号の論文で、「核の傘」について「まさにソ連とアメリカが睨(にら)み合っていた冷戦時代の産物」と断じ、「核の傘」に固執し、アメリカに追従してきたこれまでの日本政府の外交姿勢を批判しています。
寺島氏は、「核の傘論」を「核保有国に先制攻撃をさせないために、こちらも核を持っておけば相手は核兵器使用を踏みとどまるだろう、というロジッ クの核抑止論」と規定。オバマ米大統領の「核なき世界」論を引き、「アメリカ自身が『核の傘論』から一歩抜け出るような構想を掲げ、世界秩序の構造転換を 図ろうとし」「本家のアメリカが変わろうとしている中、日本がまだ『核の傘論』に拘泥していくことは、二十一世紀の世界秩序形成に全く噛(か)み合ってい ません」と述べています。
寺島氏は、これまでの日本の外交政策について「(世界の)現状を見据えるどころか、冷戦型の世界認識から脱却することができないまま、アメリカとの一体化だけを進めてきた」と指摘しています。
寺島氏は同論文で、鳩山由紀夫・民主党代表とは「個人的つきあいの縁も長い」とし、「こうした外交の一大転換を民主党外交は担えるかどうか」は、「民主党が内政も外政も一体となったあるべき日本の構想を描けるかどうかにかかっている」と述べています。
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