“私の当選で新基地止める”
名護市長選 稲嶺候補 気迫の訴え
辺野古への新基地建設が大争点となる沖縄・名護市長選(19日投票)で再選を目指す稲嶺ススム候補は、連休の12日から13日にかけて、名護市内を駆けめぐりました。
春のような陽気の前日とうって変わり、冷たい風雨が吹き荒れた13日、稲嶺候補は、晴れていれば七色に輝く市西岸の羽地(はねじ)内海を一巡。沖縄本島と橋でつながれている屋我地(やがじ)島地域では、支所前の演説に約30人の聴衆が駆け付けて熱心に拍手を送りました。
「屋我地は、内海にマングローブ植物が多く、体験・滞在型の観光で(発展の)大きな可能性があります」と強調。市役所の屋我地支所の移転・建て替えにもふれ「子どもが遊び学べる児童館の機能や災害避難所として使えるものにする」と約束しました。
稲嶺候補は、石破茂自民党幹事長の「基地の場所は政府が決めるものだ」との発言を報じた「沖縄タイムス」記事(13日付)の切り抜きを掲げなが ら、「権力でねじ伏せるやり方は許さない」と厳しく批判。「私たちには幸せに生きる権利がある。私が当選することによって新基地建設を止めることはでき る」と訴えると、聴衆は目を見開いてうなずきながら、ひときわ大きな拍手を送りました。
演説後、稲嶺候補は聴衆一人ひとりとがっちり握手。うなずきながら最後まで訴えに聞き入っていた小売店の女性(74)は「石破幹事長の発言は許せない。稲嶺さんが当選するしかないと思う。地域の活性化も期待している」と話しました。
「対立軸鮮明」と地元紙
「5度目の市長選挙で、対立軸が鮮明になるのは今回が初めて」。地元紙「沖縄タイムス」(13日付)は今回の名護市長選を、こう特徴づけました。
「5度目」とは、1997年12月の名護市民投票で辺野古の新基地反対が多数だったにもかかわらず、当時の市長が容認を表明、辞任して以来、ということです。
安倍政権の全面支援を受けた自民党候補は、自身が新基地推進派であることを隠しません。基地と引き換えの「米軍再編交付金」を最大の売りにしており、13日の街頭演説でもこう訴えています。
「教育、医療、介護について、しっかりとした財源で取り組む。260億円の再編交付金などを活用する」
普天間基地(宜野湾市)の「県外移設」公約を裏切り、「沖縄振興予算」と引き換えに辺野古の新基地を容認した仲(なか)井(い)真(ま)弘(ひろ)多(かず)知事も連日、名護市内に姿を見せています。
歩行が不自由な状態であるにもかかわらず、鎮痛剤を打って旧市街地の市営市場を“ねり歩き”。候補者らとともに店舗ごとにあいさつして回りました。県議会では辞任要求決議が可決されており、名護で自民党候補が勝利することで活路を見いだそうと、強い執念を見せています。
さらに自民党候補は、企業回りや業界・団体、郷友会を通じての徹底した締め付けや買収・接待の動きもみられます。
これに対して、稲嶺候補は各地で「再編交付金」に頼らない下でも小学校の体育館建設やエアコン設置など市民目線に立った事業を進め、税収も増やしてきた実績を訴えています。
「再編交付金は、いつまでもは交付されません。基地が完成したら一円も出ない一時金です。それなのに、辺野古の新基地は200年も続くという。そんな未来を子どもたちに残せますか」