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2010-12-30 | 気になるマスコミの記事

空自元幹部 犯罪の闇

風俗店と“戦争ビジネス”兼業

あまりに低い人権意識


今年、自衛隊内での性暴力被害で加害隊員と自衛隊の責任を求めた現職の女性自衛官(21)による国家賠償請求事件は、札幌地裁が原告の主張をほぼ 全面的に認める判決を下し、防衛省も控訴を断念するという結果が注目されました。一方で、相もかわらず自衛隊の不祥事が目立ちました。元航空自衛隊幹部の 犯罪から浮かび上がってくるのは―。(山本眞直)


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(写真)元空自幹部が経営していた風俗店が入居していた高層マンション(左)=東京、台東区上野

東京・JR上野駅。年末商戦で活気づくアメヤ横丁につながる御徒町口のにぎわいとは対照的に人通りの少ない浅草口。国道4号に沿った駅前マンションで、事件は11月中旬に発覚しました。

風俗店経営の元空自幹部が売春防止法違反容疑で逮捕されました。榊原吉典元空自2佐(45)で、公益社団法人「危機管理協会」の理事です。

10月2日、同マンションの一室で、中国籍の女性従業員(26)が茨城県内の男性(32)を相手に売春すると知りながら部屋を使用させた疑い。榊原容疑者は「集金したが、経営にはかかわっていない」と容疑を否認、月約300万円を売り上げたと供述しました。

派兵の任務も

榊原容疑者は、「航空自衛隊小松基地の整備群に勤務し、2004年7月から3カ月間、イラク復興支援派遣輸送航空隊の整備隊長としてクウェートで任務についたが、その後、自主退職した」(「産経」電子版11月18日)という人物。

空自幕僚監部は同容疑者の経歴確認の取材に「本人の了解が必要」としながらも否定しませんでした。

同容疑者は、風俗店経営のかたわら危機管理協会理事という別の顔を持っていました。

同協会は国民保護法に基づく「国民の避難誘導及びそれに関連する支援業務を関係官庁と密接に連携して実施する」としています。

同法は、米軍の海外での紛争への軍事介入に呼応した自衛隊や在日米軍の軍事作戦の障害になる住民や施設を「避難誘導」というかたちで排除する戦争法制の一つです。

特異ではない

同協会は避難誘導などの「危機管理主任」資格や国民保護資機材の認定を業務にする、いわば「戦争ビジネス」です。

同協会は、同容疑者の「理事」について「イラク復興支援派遣など自衛隊幹部としての実績から理事になってもらった。(風俗店経営は)知らされていなかった。本人から理事辞退の申し出があった」と弁明に躍起です。

女性自衛官裁判をたたかった佐藤博文弁護士は、08年に発覚した航空自衛隊第一術科学校(静岡県浜松市)の校長(空将補)によるセクハラ事件を例 にあげ、榊原容疑者の事件は特異なものではないと次のように指摘します。「校長の前職は、女性自衛官が被害にあった空自北部航空方面隊の司令部幕僚長で、 性暴力事件の全容を知る立場にあった。それが新任地で高級幹部の立場を利用して性犯罪に走った。自衛隊幹部の人権意識は極端に低い」

そのうえでこう告発します。「日本の侵略戦争を肯定する論文を発表して更迭された田母神俊雄元航空幕僚長が自著で女性自衛官裁判を『単なる男女の いさかい』とやゆした。人間の尊厳よりも軍紀を優先する軍隊の本質が見えてくる。榊原容疑者にすれば、軍の論理で進める国民保護と、風俗業も必要悪として 許される戦時中の慰安所的発想で矛盾しないのかもしれない」