みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

耐えてきた白鵬

2016-01-25 09:26:36 | 社会
10年ぶりに日本人力士が優勝して世間は大騒ぎしているけれど、私は白鵬が気の毒でならない。

日本語を全く知らない痩せっぽちの15歳で来日、刻苦精励して歴代記録を塗り替える大横綱となり、日本人力士が低迷する中で日本の国技を究めてきた。東日本大震災のときは、いち早く炊き出しを提案、その後も被災者への支援を続けている、と聞く。

それなのに、それなのに、である。満員御礼の客席から、相手力士への応援コールが一斉に繰り返されたり、日本人力士に敗けると万歳三唱されたり。よくまあ、耐えてきたものだと思う。しかし白鵬にも耐える限度というものがあるだろう。土俵への意気込みが終盤で薄れてしまっている様子に、そんな影を感じざるを得ない。

もし白鵬がモンゴルではなくて欧米系の白人だったら、世間の反応はかなり違っているのはないか。日本人力士の優勝を願い、その実現を喜ぶのは同じかも知れないが、その一方で、白人力士の活躍のおかげで相撲が国際化した、などと言って持ち上げる声も大きくなったのではないか。

モンゴル力士への差別感情は、近隣のアジアに対する差別と嫌悪の感情の一環、と思わざるを得ない。近代の日本人に根強く、また体制側が煽ってきた嫌中・嫌韓に連なる感情が潜んでいる。こうした人心が透けて見えて、私は暗い気持になってしまうのだ。


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