みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

ヒーロー

2021-08-23 14:40:37 | 社会
新型コロナに対して、ファイザー製やモデルナ製のRNAワクチンが高い免疫効果をもたらしている。もし、このワクチンが無かったら、世界はもっともっと悲惨な状況になっていただろう。

1ヶ月ほど前だったろうか、児玉龍彦先生が「RNAワクチンは、1人の女性が恵まれない環境にあっても信念をもって地道に研究を続けてくれた成果のおかげなのです。」と語られているのをインターネットで視聴したことが、脳裏に焼き付いていた。

     

8/22付け東京新聞の科学欄を見て、胸が高鳴りました。この人だったんだ、カタリン・カリコ博士だったんだ! 
以下、この記事を抜粋引用(一部編集)する。

未知の病原体だった新型コロナウィルスに対して、驚異的な速さで開発されたRNAワクチンが、高い効果を発揮しています。実現には「壊れやすい遺伝物質のRNAなんて医療には使えない」という常識に囚われなかった研究者の信念と、長年の努力がありました。

細胞の核にあるDNAには、体に必要なあらゆるタンパク質の設計図が暗号で書き込まれています。その暗号情報を身軽な伝達役のメッセンジャーRNAに転写します。そのRNAが細胞内のタンパク質工場に情報を運び、そこで暗号が「翻訳」されてタンパク質が作られます。タンパク質は体の組織を作るほか、酵素や『抗体』などとしても働きます。

タンパク質はとても複雑な立体構造をしていて、人工的に作るには高い技術が必要で費用も掛かります。一方、RNAはタンパク質より単純な構造で、人工的にも素早く大量に作れます。

難しいタンパク質作りは”本職”である体の細胞に任せて、『抗体』を作れないだろうか? しかしほとんどの研究者は、そんなことは不可能だと考えてきました。なぜなら、RNAは脆くて壊れやすいから、工場から運んで注射して細胞の中まで届けるのは不可能だし、もし細胞に入れることが出来たとしても、体外で作られた異物として免疫システムにより壊されると考えられてきました。

この問題に取り組んだのが、現在は米ペンシルバニア大学準教授のカタリン・カリコ博士(1955~)です。博士は一貫してRNAを研究してきましたが、アメリカへ移住した1985年以降も、研究者としての環境に恵まれてはいませんでした。

博士は、試行錯誤の研究の中で、2005年、RNAの「ウリジン」という部品を「シュードウリジン」に置き換えると、細胞の免疫がおとなしくなり、RNAを排除せず取り込むことを突き止めました。

この研究成果の価値は、なかなか評価されませんでしたが、今回のワクチンを開発したベンチャー二社、独ビオンテックと米モデルナは、カリコ博士の成果を基に、癌治療などのRNAワクチンや薬の開発に乗り出しました。

誰にも注目されない時代から、RNAワクチンの可能性を信じてきたカリコ博士と共同研究者ドリュー・ワイスマン教授との地道な研究があり、さらにベンチャー企業二社が癌治療などの臨床研究まで始めていたからこそ、新型コロナウィルスの遺伝子配列が分かった数日後にワクチンの試作品が完成出来たのです。


カリコ博士は、NHKのインタビューに応える中で、「私を『ヒーロー』と言う人もいるが、本当のヒーローは私ではなく、医療従事者や清掃事業に当たる人など、感染の恐れのある最前線で働く人たちだ。」とおっしゃったそうです。本当に素晴らしい人ですね!









     

 

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