脱却。

2021-06-25 21:04:54 | Weblog

僕は

 

わりにドジの多い子供ではあった。それは認める。

でも自己弁護するワケではないのだが・・・子供って誰でも、そんなもんだ。

アインシュタインだって、リンカーンだって、ガンジーだってきっとそうだ。

何一つ失敗せずに大人になれるか????

なれるわけがない。

人生というのは、特に子供の頃は、失敗の連続なのだ。

 

例にもれず僕もドジな失敗を繰り返しながらも天真爛漫に生きていた。

幼少時代の話である。

 

でも東京から広島県に転校したのをきっかけに、いろいろと転落していく。

学校には馴染めない、方言についていけない、喧嘩しても負ける、疎外される、嘲笑される。

そうなるとベンキョーも全然わからなくなっていく。

必然的に風邪なども引きやすくなり、学校も休みがち。

 

そんな下り坂人生の中のある時、父親が自分用に、一眼レフのわりといいカメラを買って来たので

僕もそれに興味を持って、そのカメラで様々な写真を撮るようになった。

小学校、高学年くらいの頃だったと思う。父親は確か、カメラにすぐに飽きたのだ。

そしてその次の年の正月。

家族写真を一眼レフで、僕が撮った。大人はみんな和服を着て、つんと澄ました顔で並んだ。

その3日後、現像に出したフィルムが全部真っ黒で戻って来た。

フィルムの装填の仕方が不味くて、カメラの中で空回りしていたらしかった。

 

一緒に暮らしていた「大叔母」が、静かに、深く、怒った。

その頃の一家のボスは、その大叔母だった。(父は婿養子・・・つまりマスオさんだった。)

彼女はその時多分、五十代半ばで、その時の写真を自分が死んだときの葬式の

「遺影」にしよう、という心づもりだったらしいのだ。

 

そして僕に言い放った、

「この子は何をやらせても駄目ねえ」と。

 

様々なことが上手く行かなくて自信を失っていた僕にとってその言葉は

とてもキツい、一撃だった。致命的、と言いたいくらい。

後で思ったのだが、それは言葉による「呪い」だった。

僕は呪われたのだ。

 

その後何かあるたびにその言葉を思い出して暗い気持ちになってしまった。

「呪い」だ。

 

「コノコハナニヤラセテモダメネェ」。これが呪いの呪文。

 

その「呪い」から脱却するのに 僕はずいぶん、努力をせねばならなかった。

脱却は、いつしか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・出来た。

 

 

僕は駄目ではない、と今は思っている。当たり前だ。

 

 

 

でも、そう思えるまでにどれほどの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあいいや。

 

 

 

 

だから、

 

子供に、子供じゃなくても他人に、

そんな、トラウマになるようなヒドいことを言ってはいけない、と切に思う。

少なくとも、僕は言わない。

 

 

言葉の「呪い」は重く、そしてとても執念深いものなのだ。

 

 

 

僕は大叔母が死ぬまでそのことを許せずにいた。

 

 

もしかしたら・・・・彼女がとっくに死んでしまった今現在でも

許せていないのかもしれない。

 

 

でもとにかく、僕は脱却したのだ、「呪い」から。

 

 

 

 

 

 

 

あ、今でもドジで不器用だけどさ。

 

 

 

そんなの、どうってことないっての。

 

 

 

 

 

 

 

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4 コメント

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Unknown (クレイジー西妻)
2021-06-26 20:25:18
舌刀人を刺す
と申しますが、その傷はずっと残るものに思います。

言葉は反射的に出したら、取り返しがつかなくなる事が有ります。
なるべく考えてから言葉にする様に努めておりますが
僕は、やっちまった!
と思ったら、早めに謝る練習をしております。
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そうだね~ (片山道郎)
2021-06-27 14:45:39
言葉って、そう・・・反射的に口に出るからね。

気をつけなきゃ。

俺の場合さ、酒飲んで会話することが多いから、

余計気をつけなきゃさよね。謝るのだいじだよね。

ところで、今日までなんだったよな、天理にいるの。

お疲れ様。うちに帰れるの嬉しい?ちょっと寂しい?
返信する
Unknown (クレイジー西妻)
2021-06-28 07:09:57
晴美に会えるのは嬉しい😃
そして、自由に遊ばせて貰った恩はしっかり返すのが務めだと思っている。

でも
三か月限定はわかって居たけど、家族と別れる様で、、とっても寂しく感じたます。
でも
やり切ったぞ!
返信する
Unknown (片山道郎)
2021-06-28 21:12:27
おお、やり切った感があるのか。それはすごいよ、お疲れ様。

でも自由に遊ばせてもらった、っていう側面もあるんだな笑。

どっちなんだか。

でもきっと、寂しく思うところもあるだろうな、って思ったんだ。
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