「音楽なんて・・・」と自嘲的に考えることもある。
だって例えば音楽って
決定的な勝ち負けなどないし、
評価は聴く人によって全然違う。
いくらやってもどうにもならない時があったかと思えば、
何の気なしにやってみて
びっくりするほどうまくいったりする。
でもそれが
腹の足しになるわけでもないし、
特に何か具体的な力を生み出せるわけでもない。
それでも我々は音楽に夢中だ。
どうしたって結局は
山登りにも行かないし、
バッティングセンターに通ったりもしない。
(海に行ったりは、したな。)
そのかわりに我々は、
往々にして地下にあったりする音楽スタジオで
「実験」に近いようなことを飽きもせずに
繰り返すのだ。
そして時々は、音を出せるような酒場で、
ギターを鳴らしたり、歌ったり、ドラムを叩いたりする。
それはつまりそこで、我々のお気に入りのあのおなじみの
「幻想」ってやつを現出させることが目的だ。
音楽と言葉が合わさって生まれる「幻想」。
俺達が本当に好きなのは「それ」なのだし、
こんな殺伐とした人生の中にそういうものが
「ある」ってだけで
冗談抜きでよかったじゃないか
・・・みたいなことを時々は思うのだ。