まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第26回中国四十九薬師めぐり~第44番「宝泉寺」(寺ゆかりの吉岡温泉にてひとっ風呂)

2023年06月22日 | 中国四十九薬師

中国四十九薬師めぐりの最終シリーズは鳥取駅前にてレンタカーを借り、翌6月11日の夕方までの時間で6ヶ所を回る予定である。その中に岩美町の石井温泉にある第47番・東源寺や八頭町にある第48番・大樹寺など、結構広範囲にわたっている。時間的に、本日10日は東源寺まで、そして鳥取駅前にて宿泊し、翌11日に残り2ヶ所を回って満願ということになりそうだ。

11時前、鳥取駅から高架に沿って西に行ったタイムズレンタカーに向かう。マツダ系列ということで今回の乗車はコンパクトカーの「MAZDA2」だが、どうしても以前の国内向け名称の「デミオ」と呼んでしまう。

梅雨の中休みの快晴の下、まずは第44番・宝泉寺に向かう。カーナビで入力すると寺の名前というよりは吉岡温泉の温泉マークがヒットする。鳥取県内も多くの温泉があり、それなりに名の知られた吉岡温泉も鳥取駅から路線バスで30分ほどのところにあるが、後の行程を考えてのレンタカー利用である。

駅前から道なりに走って千代川を渡り、鳥取西インターから山陰道に入る。無料区間で、国道9号線~国道29号線のバイパス路線として交通量も多い。右手に湖山池を見て、吉岡温泉インターで下車する。

しばらく行くと吉岡温泉の集落に入る。温泉といっても派手な建物のホテル・旅館があるわけでもなく、宿泊施設も10軒ほどという小ぢんまりしたところだ。そのため、吉岡温泉は「鳥取の奥座敷」と呼ばれている。そんな中、公衆浴場の「一ノ湯」の建物に出る。と、ここでカーナビの音声案内が終了。

ふと前方を見ると石段があり、その上に寺らしき建物がある。ここが目指す宝泉寺である。駐車場は一ノ湯、宝泉寺共用のようで、まずはここに停めて石段を上がる。こういう立地ならば、せっかくなので参詣の後に一風呂あびることにしよう。

本堂の扉が閉まっているので外でのお勤めとする。宝泉寺という名前からして温泉に何らか関係がありそうだが、宝泉寺、そして吉岡温泉の縁起を見ると果たしてそうだった。

平安時代の中頃、この地に葦岡(よしおか)長者というのがいたが、長者の一人娘の顔に瘡が出て悲しんでいると、夢枕に薬師如来が出て、そのお告げに「柳の古木の下に霊泉が湧き出ており、それで顔を洗うと瘡が治る」とあった。長者がその通りにすると娘の瘡は全快し、そのお礼としてお堂を建てて薬師如来を祀り、人々に霊泉を施したのが宝泉寺、そして吉岡温泉の始まりとされている。また別の話では、宝泉寺は温泉開発のためにこの地を訪ねていた恵心僧都源信を開山として建立されたとされている。

いずれにしても、宝泉寺と吉岡温泉は一体であると見ていいだろう。そして薬師如来と温泉は結びつきやすいものだ。その宝泉寺は戦国時代に兵火に遭い、後に曹洞宗の寺院として再興されて現在に至る。

庫裏の玄関前に引き出しつきの箱があり、書置きの朱印をいただく。同じ箱には「因幡薬師霊場」の書置きの朱印も合わせて入っている。因幡薬師霊場は因幡エリアに広がる札所で30ヶ所で構成されているそうだが、1984年設立とあるから、中国四十九薬師霊場よりも早くに開かれた札所である。

お参りを終え、隣の一ノ湯に向かう。宝泉寺の縁起とも深くかかわっているとあらば、一風呂浴びて薬師如来のご利益をいただくことにしよう。一ノ湯は吉岡温泉会館という枕詞にもあるように同温泉を代表する浴場のようで、最近リニューアルしたようである。公衆浴場のほかにペット風呂、そして本場フィンランド式サウナ(要予約)も楽しめるとある。

受付の際、吉岡温泉に来たことがあるか尋ねられる。初めてだというと、ここの温泉は熱いので注意するように言われる。入り方として、一応ぬるい浴槽や露天風呂(それでも、一般的な浴槽並みの温度)があるので、そちらで体を湯に慣らしてから熱いほうに入ることを薦められる。そしてそのようにして入ると、何とか耐えられるほどの熱さである(湯上がりには多少肌が赤くなったが)。ちなみに浴槽に表示された温度は45℃ほどだが、これでも薄めているのか、吉岡温泉の源泉そのものは50℃以上あるという。

湯上がりは畳敷きの広間でしばし休憩。網戸を通して入る風が気持ちよい。

まずは因幡シリーズは快適なお参りとなり、次は第45番・座光寺である。吉岡温泉で折り返して再び鳥取市中心部方向へ・・・。

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