6月15日、「バファローズ高校」対ジャイアンツの第3戦は、大阪桐蔭高校の吹奏楽部がスタンドで応援歌を演奏するイベント。試合前にはグラウンドで演奏を披露した後、大阪桐蔭野球部出身で、現在希少がんとの闘病中である福森大翔さんが同学年の森友哉を相手に始球式。
そしてこの試合のスポンサーである不動産ベンチャー企業「センス・トラスト」の社長・今中康仁さんが野球経験者らしい快速球の始球式・・と、大阪桐蔭づくしである。
さて試合開始。バファローズの先発は曽谷。まずはジャイアンツの先頭、今季レギュラーに定着の泉口がセンター前へのポテンヒット。続くオコエだが、いとも簡単に打ち上げて一死。「こういうところが、今一つ定着できんのでしょうなあ」というのは、この試合ご一緒の高松在住のマリーンズファン・Ⅰ氏(一時、仙台に勤務していたこともありイーグルス戦も結構観戦していた。要はパ・リーグファンである)。曽谷は続く吉川、丸を連続三振としてまずまずの立ち上がり。
ジャイアンツの先発は戸郷。本来ならエース格のはずだがここまで波に乗れていない。そしてこのジャイアンツ3連戦からバファローズの1番には、故障の廣岡に代わって宗が起用されている。一部報道で「ジャイアンツが次にトレードで獲るのではないか」とも伝えられたが、そこは3連覇当時のメンバーとして意地があるだろう。
ライトスタンド上段にて大阪桐蔭吹奏楽部もスタンバイ完了。1回表、ジャイアンツの攻撃時間もそれなりにあったので間に合ったというところか。またバファローズ選手のコールはいつものボイス・ナビゲーターの神戸さんではなく、甲子園の高校野球でおなじみの女性の声。「1番、サード、宗くん。横浜隼人高校」といった感じでこのまま続く。
こちら宗もセンター前ヒットで出塁。しかし続く太田が凡退し、ここで森に打席が回る。早速スタンドが沸くが、内野ゴロで凡退。杉本も三振で無得点。
3回表、先頭のキャベッジがレフトへのヒットで出塁。続く甲斐はバントするが、曽谷が二塁へ送球してアウト、この後の一塁送球はセーフとなったが、岸田監督が物言い。ここはあっさりと軍配通りセーフとなったが、曽谷は続く泉口を併殺に打ち取り粘る。
先制点はジャイアンツ。4回、先頭オコエの打球を紅林が捕るが送球できず内野安打。その後盗塁を決め、無死二塁とする。曽谷は続く吉川を三振に打ち取ったが、丸がレフト前に運んで1点先制。レフトスタンドのみならず、三塁側全体から「ビ~バ~、ジャイアンツ~」とオレンジのタオルが振られる。これには、熱狂的で知られるマリーンズファンの一人であるⅠ氏も「さすが巨人やね」と一言。そういえば試合前、「結局、日本で一番ファンが多い球団はどこか」ということで議論をしていたのだが、まあ、「全国」というくくりをすれば、何やかんやでジャイアンツファンが一番多いのでは。少なくともバファローズ、マリーンズは当てはまらないな・・という結論だったところ。
ただこの後、丸の盗塁失敗もありジャイアンツは1点止まり。曽谷も粘りを見せる。
その裏、先頭の森がもう一伸びでスタンドインというライトへの二塁打で出塁。しかし後が続かない・・。
5回裏。これまでバファローズ選手の応援歌を演奏していた大阪桐蔭吹奏楽部だが、この回から高校野球の応援でおなじみの選曲に変えてきた。その中、先頭の福永が三塁の横を破る二塁打で出塁。そして、同じ大阪・PL学園出身の中川がヒットで無死一・三塁とする。
ここで、先ほどまで2打席連続安打の宗がライト前へ運ぶ。福永が生還して1対1の同点。宗もガッツポーズ。
続く太田の内野ゴロの間に一死一・三塁となり、打席には森。Ⅰ氏も「これは最高のお膳立てですな」と期待する。ここで勝ち越しタイムリーでも出れば、正に大阪桐蔭づくし・・。
そして・・打球はさまざまな思いを乗せるように一塁手の横を抜け、ライト前ヒット。2対1と勝ち越しに成功する。単なる勝ち越しという以上に、福森さんとの友情という話を聞いた後だと・・。
続く杉本は凡退したが、頓宮がライト前に上手く放って3対1、西川は変幻打法で左中間へ運び、5対1とする。この回、応援歌を高校野球のそれに変えたことで潮目も動いたようだ。さすがのⅠ氏も「戸郷をどこまで投げさせるのかな」と心配の様子だったが、5回までは投げ切った(試合後、阿部監督からは厳しいコメントがあったようだが・・)。
京セラドーム大阪が満員御礼の一方、他球場の様子も気になる。Ⅰ氏は当然マリーンズの様子が気になるが、スワローズにリードを許している。また私もカープの様子も気がかりだが、ファイターズ相手に大きくリード。・・・ただ、それぞれの試合が終盤、あるいは延長戦で真逆の展開になるとはこの時はわからず・・。
6回表、曽谷は二死一・二塁としながら得点を許さない。その裏、ジャイアンツ2人目の山田から中川がレフトのレストラン席への本塁打で6対1とする。この試合、「大阪代表バファローズ高校」というイベントで大阪桐蔭高校吹奏楽部が参戦しているが、私くらいの世代だと、大阪の高校野球といえばPL学園である。ただ、PL学園は現在野球部も休部しているし、その前に学校じたいが存続できるのやらという状況にある(さらに、PL教団じたいも崩壊の危機のようで・・)。ただそれとは関係なく、「人文字」も含めてPL学園のあの応援を復刻してほしいという向きは結構あるのではないだろうか・・(一時、ダイエーホークスの応援で流用されてましたな)。
「闘魂こめて」が流れたジャイアンツのラッキー7。バファローズは曽谷が続投だが、増田、坂本のヒットで一死一・三塁。続くキャベッジにヒットが出て6対2。ビ~バ~ジャイアンツ~!
そして甲斐がタイムリーで続き、6対3とする。ただここで、一塁から二塁をオーバーランしたキャベッジが、二三塁間で挟まれ、タッチアウト。続く泉口も凡退して6対3のまま。もしキャベッジが二塁で止まれば一死一二塁で当たっている泉口となり、どうなるかわからなかった場面である。試合後、大正駅に向かうまでの間「あのキャベッジの走塁が!!」と残念がっているジャイアンツファンも。
7回裏、ラッキー7はペンライトの演出である。Ⅰ氏からは「ライブ会場みたい・・・の一方であんたはペンライト持ってへんのかい!」と。いやまあ、そこは好み嗜好ということで・・。
曽谷は7回までちょうど100球、10安打を浴び3失点ながらも、7奪三振、そして無四球という内容がよかった。その後を受けて8回表には先日移籍したばかりのベテラン・岩嵜が登板。Ⅰ氏も「あの岩嵜」と承知の様子。オコエからの上位打線だが三者凡退とする。
8回裏、バファローズ先頭の福永がレフトへのヒットで出塁。この日2安打である。若月、森がいる中で出場試合も少ないが、その福永の複数安打を目にするのも貴重である。続く中川の二塁打で無死二・三塁として、宗が一塁への強襲打で2点を追加。8対3と、さすがにセーフティリード、ジャイアンツ相手に3連勝が固くなった。
さて、この試合は大阪桐蔭高校吹奏楽部による応援歌のパフォーマンスだが、中盤以降はバファローズのチャンステーマや、吉田正尚、T-岡田といったOBのチャンステーマなど、打者ごとに次々に盛り上げる。おそらく、この日のさまざまな展開ごとに練習してきた持ちネタ・・もとい楽曲を全部披露しようということかな・・。まあ、いろいろ楽しむことができた。
8対3のまま9回表、マウンドには髙島。点差が開いたことによるお試し登板のようだ。ただ、昨年も先発で投げたこともあるし、故障や不調の多い投手陣にあって、もっとアピールできるのではないかと思う。
ここですんなり抑えればよいところで二死まで来たが、いわゆる「あと一人」のところで坂本がヒット、そしてキャベッジが四球。そして甲斐にもヒットが出て二死満塁。8対3なので本塁打が出てもまだリードだが、岸田監督が球審からボールを受け取り、投手交代を告げた後にマウンドへ。
・・で、マチャドが登板。まあ、8回表終了時点では6対3ということで、そのままなら9回表は登板だろうと準備していただろう。それが8回裏に2点が入り、セーブ場面でもなくなったことで9回表は若手に・・というところでまさかの二死満塁。
打席にはこの試合2安打の泉口だったが、マチャドが貫録で抑えた形で試合終了。曽谷は必ずしも本調子ではなかったのかもしれないが、これで今季チーム勝ち頭の5勝目を挙げた。もう、先発の柱として一本立ちしたといえるのではないかな。
これでバファローズはジャイアンツに3連勝。先週末、タイガース相手に3連敗した時の鬱憤は(別チームだが)晴らすことができた気分である。
ちなみにこの日の交流戦は大変なことになっており、Ⅰ氏が応援するマリーンズは、(Ⅰ氏も大砲として推している)山本大斗の2本塁打で追いつき、角中の犠牲フライでサヨナラ勝ち。一方でカープは、7対0から終盤に追いつかれ、最後は延長戦、栗林が田宮にサヨナラ本塁打を浴びるという・・何だか今季のターニングポイントになりそうな敗北。結局、6月15日は他球場と合わせてパ・リーグ全勝という結果になった。パ・リーグファン同士、これはこれで喜ぶこと・・なのかな?
そしてお立ち台。同点打を含む4安打3打点の宗、タイムリーがあった頓宮、そして2点目(昔の規定でいう勝利打点)を挙げた森が登場。今季不調で出場機会が少なかった場面で、それまでの鬱憤を晴らすかのような活躍の宗、キャプテンとしてここまで引っ張る頓宮のインタビューが続く。
あえてこの順番にしたのだろう。最後は森のインタビュー。タイムリーの場面の映像も流れる中、話はやはり福森さんに向かう。森は最初涙をこらえていたが、やはり止められなかった。「泣いてもええんやぞー!!」という声も飛ぶ(最後は「笑顔にしましょう!」と頓宮が「ほいさー!!」で締めた・・)。
インタビュー後には、福森さん一家と森、そしてもらい泣きの頓宮、宗との握手、抱擁の場面があった。普段のニヒルな言動で、こういうことには冷めているのかなという印象があるⅠ氏も「ここ10何年で一番素晴らしいイベントや!」と称賛。
大阪桐蔭高校吹奏楽部はこの後も二次会の演奏を続ける。もう、せっかく練習してきた楽曲を全部披露するのだろう・・。
なお、Ⅰ氏はこの日、合流前に立ち寄ったWINS難波にて宝塚記念の馬券を購入していたのだが、それも当たったという。高松から大阪までの往復バス代くらいにはなったようだ。この日に限ってはWIN―WIN、よい気分でそれぞれ広島、高松へと帰ったのだが、そのⅠ氏とは次回、広島在住バファローズ対高松在住マリーンズ戦、通算何度目だろうか、中四国の変人同士、今度はお互いガチンコで応援生観戦しますよ・・・(森、福森さんと比べればしょーもないおっさん同士の友情ですが)。