28日の「ときわ路パス」の旅の続き。水戸から勝田までJR常磐線で移動。反対側の上りホームを半分切り取ったところにある茨城交通湊線の乗り場に向かう。この茨城交通も廃止の話が取りざたされているとか。茨城交通としては元々バス事業をメインに展開しており、鉄道部門がそれだけ「お荷物」なのだろうか。茨城県には、少し前までは他にも小規模な私鉄も多く走っていたのだが、その多くが廃止。通勤通学客の流れを変えた「つくばエクスプレス」が開業する一方で、鹿島鉄道や茨城交通の廃止話が出てくる。今ちょうど、茨城県の鉄道というのが過渡期にあるのだろう。
さて私は初めての乗車となる茨城交通であるが、またレトロな雰囲気の車両に出会う。キハ222というやつだが、その面構えといい、旧国鉄型の塗装といい、「ディーゼルカー」というよりは「気動車」と呼びたくなるやつだ。何でも「羽幌炭砿鉄道」という路線で走っていたのを、同線の廃止に伴い譲り受けたとか。(茨城交通には新しい車両も走ってます)
地元の人らしき人がほどよく乗車して出発。住宅地や田園地帯を抜ける。車窓に特段のものがあるわけではないが、こうして昔ながらの車両に揺られているのがよい。あぜ道にクルマを停めて、こちらに向けてカメラを構える人間が多い。那珂湊の駅構内には、かつて使用されていた気動車が側線に安置されていた。沿線の中心といえるこの駅でほとんどの乗客が下車した。
私はそのまま終点の阿字ヶ浦まで乗車。終点であるが、何だかこの先もうしばらく線路が伸びていそうな雰囲気である。
側線にはこのキハ222の兄貴分ともいえるキハ221というのが安置されている。チョコレート色の車体に「羽幌炭砿鉄道」の文字が色あせている。その車両の前に女の子を立たせて、何やらいろんなアングルから写真を撮っている人がいる。よく廃墟をバックにした女の子の写真集などがあるが、この廃棄車両にもそのような雰囲気を感じたのだろうか。何だか時間が止まったかのような終着駅。
さて、このまま引き返してもよいのだが、駅前の看板に「海まで徒歩5分」とある。急ぐわけでもなし、行ってみよう。海までの道はわかりやすく、すぐに海岸に出る。
このあたりは海水浴場になっており、夏場ならちょっとした穴場的な楽しみが味わえるのだろうが、今は散歩する人がパラパラいる程度の静かな海。やはり水平線を見るというのは気持ちがいいもんだ。左手に目をこらすと遠くに要塞のような建物群が見える。東海村の発電所だろうか。
そして、この海岸を見下ろすように建っているのが、「阿字ヶ浦温泉 のぞみ」。入浴料は土日1150円と高めだが、ここがなかなか凝った温泉である。「風水温泉」というのがここの売りのようで、浴槽ごとの能書きにやたら「気」という言葉が出てくる。四方に「青龍」「朱雀」「白虎」「玄武」の文字が刻まれた岩風呂があったり、洞窟風呂や香り風呂、そして、太平洋を望む展望風呂・・・。「気」の効能のほどはさておき、入浴施設としてはなかなか充実している。結構長い風呂となった。風呂上りの地ビールも格別。
阿字ヶ浦駅に戻る。ちょうど勝田からの列車が来ており、またキハ222。数人のファンが車両や駅舎にカメラを向けている。どうだろう、やはり「ときわ路パス」の利用者が多いのかな。
再び旧型の気動車に揺られる。那珂湊で途中下車する選択肢もあったが、結局このまま勝田まで戻る。勝田からさらに北上して、磯原や大津港に行く時間もあるが、結局水戸に戻る。だいたい、水戸の市内も訪れたことがないので、せっかく来たのだから回ることにする・・・・。(続く)