今年も始まった交流戦。この交流戦中でこのところ私として「年中行事」になっているのが「カープ対バファローズ」もしくは「バファローズ対カープ」の試合。20代のほとんどを広島で過ごしたこともあるし、子どもの頃から親の影響で「セならカープ」という気持ちの私、心はこの2チームによる日本シリーズを見てみたいという願いがある。交流戦では別に阪神戦とか巨人戦を高い料金を払ってまで見ようとは思わないが、こと広島戦に関しては大阪・神戸、あるいは広島のいずれかで1試合の観戦をしようという気持ちが強い。
2005年に始まった交流戦、私のこのカードの観戦成績は2005年は神戸で広島が乱打戦(16対14、両軍合わせて42安打)を制しての勝利、2006年は観戦なしで、2007年は広島でオリックスが接戦を制し、2008年は大阪で広島勝利、そして最後の広島市民球場でオリックス勝利。2009年はマツダスタジアムで広島が勝ち、2010年は同じくマツダでオリックス勝利。つまりここまで3勝3敗というもの。
そして今回は大阪での観戦ということになったが、ちょうど「阪急ブレーブス復刻試合」。このカードに復刻を持ってきたのは阪急が1975年に初めて日本シリーズを制した時の相手が広島だったということがあるだろう。旧近鉄のファンとしては複雑な気持ちがするが、ここはパ・リーグ名門球団の歴史に敬意を表する意味もあって観戦することに。今回はこれまでも野球観戦でも何度もご一緒させていただいたM氏と同行での観戦。
球場内のイベントコーナーでは、5月初めの神戸での試合前イベントに出演した山田久志、福本豊、加藤秀司の各氏が着用したユニフォームの展示やら、阪急の球団史をまとめた映像上映など、灰色の時代もありながら黄金時代も築き上げたこの球団の伝統を十分に満喫させる内容だった。
阪急ブレーブス復刻試合に合わせて、数々のブレーブスグッズが売られている。一番人気は胸にブレーブスのロゴ、そして背番号も入ったレプリカユニフォームやらTシャツであるが、「さすがにブレーブスに袖を通すのはなあ・・・」といういらん抵抗をしてしまい、結局うちわにタオル、そしてブレーブスの球団史をまとめたグラフ誌を購入することに。それにしても結構洗練されたデザインのロゴだなと思う。
復刻試合ということでビジョンに映し出される選手の画像もブレーブスユニフォーム仕様である。また試合前練習では70年代の洋楽邦楽のヒット曲を流したり、選手の登場時にもエレクトーン演奏で当時の雰囲気を出そうとしている。
ビジョンにはその年の日本シリーズのダイジェストが流れ、山口高志の剛球、広島市民球場の熱狂、そして最後は上田監督の胴上げが映し出される。
当時の福本の背番号7、山田久志の背番号17のレプリカユニフォームを着用するファンが多い中、コンコースでは広島の背番号8、そして背番号3のユニフォーム姿のファンともすれ違う。おお、日本シリーズでもあったよなこの名勝負。
ただ、アナウンスはいつもの男性DJだし、応援団はあの猛牛マークの旗を振っているし(こういう試合なんだから自粛しろと言いたいが、ライトスタンドに陣取った一部の近鉄原理主義の応援団員やファンからすれば、阪急の企画などクソ面白くないとしか思えず反発したいという気持ちがあるのだろう)、スコアボードは「オリックス・バファローズ」だし、選手の応援歌も阪急のもの、現在のものが入り混じっていたり・・・・。全体的に見てどこか中途半端な、ギクシャクしたものに思えた。やるならずっと阪急カラーで徹底すべきだったと思うのだがどうだろうか。
一方のレフトスタンドから三塁側はびっしりと赤いカープファンで埋め尽くされている。ファンの出足もこちらのほうがよかったし、応援のリズムもまとまっているし歓声も大きいし、時に「どっちのホームゲームなんやろうな」と感じることも。
さて試合。オリックス、いや阪急が西、広島が故障からの復帰登板となる大竹が先発。開幕当初はガッチリしていた先発投手も前田健太、篠田が不調の中、かつてのエースの復活ということになればカープとしても明るい材料だろう。その大竹、序盤からピンチを背負う投球ながらも何とかしのぐ。
試合が動いたのは3回、ランナー1塁で3番の田口がセンター前へ。これがバウンドが変わってセンター・丸の頭上を破り二塁打となる。オリックスが1点を先制。
ただ好調のカープ、続く4回に7番・岩本が右中間のもっとも深いところに飛び込む逆転2ランを放つ。これで一気に盛り上がるレフトスタンド。そして流れるのはもちろん・・・「宮島さん」。この交流戦の楽しみといえば怒られるが、この「宮島さん」をナマで聴くのもよろしいものだ。
結局大竹は5回を1失点でしのぎ、カープの先発陣にも明るい材料となったところで後続を中継ぎ陣に託す。まずはシュルツ。これに対してバファローズも黙ってはおらず、2死1・2塁として代打・北川。逆らわずにライト前に弾き返して2対2の同点とする。いよいよわからなくなってきた。
7回の攻防。カープの攻撃前は「カープ、カープ、カープ、広島、広島カープ・・・」が流れる。私も一塁側スタンドで口ずさむ。ジェット風船が一塁側からも飛ぶ。あらあら、ホームなのにアウェーな雰囲気ですがな。
一方のオリックスの攻撃前は「阪急、阪急、ブレーブス、おお、阪急ブレーブス・・・」と流れる。いずれの応援歌も、70年代テイストあふれるメロディーが力強く感じさせる。
試合は終盤、もう9回で3時間半を超えるのは確定しており、両チームとも継投策を見せる。カープが大竹、シュルツから岸本、永川とつなぐ。特に永川は「劇場」という呼称がつくほどの危なっかしい投球を見せることで知られるが、今年は先のソフトバンク戦で6連続三振という荒業を見せた投手。今日も力強い投球でT-岡田、野中から三振を奪う。
オリックスは西から香月にスイッチ。「阪急の背番号17」がマウンドに登場とあって結構喜ぶ。思わず「香月、下から放らんかい!」と言ってしまいそう。
その後吉野、平野とつなぎ、9回を抑えれば負けがなくなるという展開で岸田を投入。岸田投入の時はいつものユニフォーム姿のオリジナルの登場映像が流れるが、阪急復刻試合であればもうちょっとその辺工夫してもよかったのではと思ったのは私だけだろうか。
先頭は途中出場の石原。ファウルで何球も粘る。空振り三振かと思ったがキャッチャーがこぼしてファウルチップで逃れた場面も。そして捕えた打球は・・・。
満員のカープファンが待つレフトスタンドに飛び込む勝ち越しアーチ。ものすごい歓声が響く。これでオリックスも戦意喪失したかな・・・・。
9回はカープの新守護神、サファテ。噂には聞いていたが結構な剛腕である。ストレートは常に150キロ前後。一方のオリックスはこういう場面で頼りになる、あるいはハッタリを効かせてでも「何とかしてくれるやろう」と思わせる打者がいないのが現在の不調の原因。バルディリスは辛うじて外野に打ち上げたものの、鈴木、大引がなすすべなく2者連続で三振に打ち取られてゲームセット。最後に大きな「宮島さん」を聞くことになった・・・・。
今季3回目の観戦というM氏はこれで3戦全敗ということになったが、交流戦自体を観戦するのが初めてだったということで、接戦(拙攻戦)を楽しんだ様子。カープがAクラスになるであろうという大胆予想の一方で、オリックスの選手層の薄さがかなり心配とのことだった。果たして、その予想はこれからどう展開していくか。
さてこれで私の両チームの対決の観戦成績はカープが4勝3敗と一歩リードすることになった。あ、観戦成績をよく見れば広島とオリックスが交互で勝っているから、きょうは広島が勝つことになっていたのかな。今年は広島での試合に行くことが恐らく無理なので、次回はまた来年ということになりそうだ。来年はマツダスタジアムに行こうかな・・・・?