小倉~八代間のツアー列車・リバイバル急行「ひのくに」乗車から始まった今回の九州八十八ヶ所百八霊場めぐり。九州一周を前倒しする形で八代、人吉の札所を回り、2020年の豪雨災害からの復興、あるいは復旧道半ばの様子を見たところで、ようやく最終ルートである。
国道219号線の不通区間を迂回する形で、県道27号線(芦北球磨線)を走り、国道3号線に出る。ここを右折してそのまま走れば新八代のニッポンレンタカーに戻れるのだが、まだ少し時間があるので、海べりのルートを少し走ることにする。芦北海浜総合公園の看板も見える。
途中、佐敷港を通る。かつては天草との間にフェリーが出ていたという。天草は島とはいえ、三角ルートで九州本土と直接結ばれているし、天草、そして鹿児島県の長島と連なって内海である不知火海を形成する。
その一角のスポットである野坂の浦を通る。奈良時代の皇族・官吏の長田王(ながたのおおきみ)が、八代の球磨川河口にある水島に遣わされた際(かつての景行天皇に関係するスポット)、ここ芦北から出航するに当たり「芦北の野坂の浦ゆ船出して水島に行かむ波立つなゆめ」と航海の安全を願う歌を詠んだとされる。その野坂の浦とされるのがこの地だという。
遣唐使のように外海に出るわけではなく、天草を目の前にした景色は瀬戸内海とも似ているように思うが、航海の安全を願うのはどのような海でも同じだろう。
そのまま海岸沿いに走り、芦北海浜総合公園に着く。来た時は、その辺にクルマを少し停めて海べりの景色を眺めてそのまま移動する・・というところだが、さすがに有名スポットのようで、その辺にクルマを停めて・・という様子でもなく、また駐車場も軒並み有料である。同じ料金を払うのなら、公園直営の駐車場が安心である。
その海浜公園は家族やグループで1日楽しむところで、海の景色を見るためにちょっとだけ立ち寄る・・というところでもないようだ。その中で、さすがに9月中旬となれば海水浴を楽しむ人はごく少ないが(それでもこの気温だと、海水に浸かっていても不思議ではない)、鶴ヶ浜海水浴場から眺める島々の景色を楽しむ。一勝地、球泉洞からそのまま国道219号線で直接八代に行けなかった分、こうした海の景色を見ることができたのは思わぬ喜びである。
この後、国道3号線に合流する。途中、肥薩おれんじ鉄道の線路と並走する区間もある。残念ながら列車と遭遇することはなかったが、次はぜひ八代~川内までをのんびり列車に揺られてみたいものだ・・。
そのまま八代市街に入り、前日宿泊したホテル近くのところを抜け、新八代駅に到着。無事、レンタカーの返却時間にも乗車予定の新幹線にも間に合った。
少し早いが、新八代からは17時08分発の「つばめ328号」に乗車。宮崎からの「B&Sみやざき号」で乗り継いだ客もそれなりにあり、新八代発車時は指定席もまだ空席があったが、次の熊本でほぼ満席となった。
この後も各駅に停まる中、筑後船小屋発車直後のタマスタ筑後には照明塔に灯りがともっていた。ちょうどウエスタンリーグのホークス対タイガース戦の試合開始直前だった。2軍の試合でナイターというのもなかなかないと思うが、設備が充実していて、ある意味プロ野球球団のホームタウンの一つである球場ならではのことだろう。ここはぜひ、九州八十八ヶ所百八霊場めぐりと組み合わせたスポットとしなければ・・。
新鳥栖から博多にかけて、ちょうど日が暮れるところ。今は晴れているがこの日の九州北部はところにより豪雨となり、列車の遅れや運休もあったという。