宇治にある平等院鳳凰堂で次の行き先となったのは南海高野線の白鷺。確か中百舌鳥の次、「普通車」に乗って行くところである。
宇治線の各駅停車で中書島に戻る。先頭部では電車大好きか、先頭の座席に座ったり立ったりと落ち着かない男の子がいる。運転台からの眺めも見たいし、すれ違う電車が何系なのかも気になるところ。「座るか立つか、どっちかにしなさい!」と母親が注意するもなかなか言うことを聞かない。
中書島からは淀屋橋行きの特急に乗り換える。行きのようなダブルデッカー車ではなく、全車ロングシートの、要は急行や準急で使う車両が特急になっただけのやつ。この「サイコロしりとり」では京阪特急に乗ることが多いが、なぜか日中はロングシート車に当たることが多い。まあそれはいいとして(どうせ座れないのだから)、こちらでもすれ違う車両に一々反応する子どもがいたり、バスの模型を片手にじっと座っている男性がいたりと、暖かくなるといろいろな「その筋」の人が出てくるものだなとほほ笑む。
次は南海にスムーズに乗り継ぐということで、北浜で下車して地下鉄堺筋線、そして天下茶屋から南海電車に乗り継ぐ。白鷺に行くには堺東で「普通車」に乗り換えである。地下鉄御堂筋線との接続駅である中百舌鳥の次が白鷺である。橋上駅舎から見る景色は典型的な郊外の駅という感じである。東側には高層マンションが立ち並び、西側にはロータリーを中心とした小さな商店街から伸びる住宅街。
「サイコロしりとり」で駅を訪れた場合、「何か一つは見物するか、食事するか」というのをやっており、駅の看板や携帯電話(スマホではなく)で情報を見てみるのだが、白鷺駅と聞いてふと思い出したのが、「あれは中百舌鳥ではなく、白鷺が最寄駅だったっけ」。
駅から見える建物を目印に歩くこと5分、閑静な住宅街に広がるマンションに出る。広場では子どもが遊ぶ光景が広がる。
このグランシスフォート中百舌鳥というマンション、実は「中百舌鳥総合運動場」の跡地である。プロ野球ファン(といってもある年齢層以上の人たちかな)にとっては懐かしい名前の「中百舌鳥球場」である。南海ホークスの練習場や2軍の球場として使われたところで、往年のスターたちもここで技を鍛えたことである。
ミナミの再開発計画により大阪球場の取り壊しが決まった後、南海ホークスの本拠地を堺に移転するという話があったそうだ。その時には中百舌鳥球場や、あるいは同じ堺の大浜公園にある野球場を改修して・・・という案もあったのだが、肝心のホークスがダイエーに買収されて福岡に行くことになったために立ち消えとなった。で、その後で中百舌鳥球場そのものも解体され、このようなマンションになった。そのことを表すのはこのプレートだけで、果たして現在の入居者の中でそのことを知っているのはどのくらいいるだろうか。
これを見て、そういえば我らが近鉄藤井寺球場も、四天王寺学園だけでなく、外野席の一部はマンションになってるよなと思い出す。今年もオリックス対ソフトバンクの5月の3連戦は大阪クラシックということで「近鉄対南海」として行われる。また、かつての歴史を振り返ってみたいものである。
次のサイコロはこのマンション前で・・・(一応携帯電話のサイコロアプリの操作で、傍から見れば携帯をいじっているように見えるので怪しい者には見えないはず)。白鷺の「ぎ」または「き」で始まる駅の中から次の6つ。
1.北田辺(近鉄南大阪線)・・・毎日通過している駅。
2.北野田(南海高野線)・・・白鷺からすぐ南の駅。
3.北浜(京阪本線)・・・週末の閑散とした中心部を歩くのも面白そう。
4.木津(神鉄粟生線)・・・木津といえば京都の木津か大阪の木津を思い浮かべるが。
5.木津川(南海汐見橋線)・・・そうそう、こっちが大阪の木津。
6.木津川台(近鉄京都線)・・・そんでもって、こっちが京都の木津。ただしJRとは全く別。
・・・「北」シリーズと「木津」シリーズが並ぶが、移動の少ないのを選ぶなら圧倒的に「北」シリーズである。個人的にはランチタイムを兼ねて北浜というのがいいのだが・・・出たのは「4」。木津である。
選択肢で出たものの、「一体どこやねん」と手帳の後にある関西の鉄道路線図を出す。粟生線と言ってまた三木とか粟生のほうまで行くと遠いのだが・・・鈴蘭台から4つ目の駅である。そういえば田んぼの真ん中にあった駅だったかな、と思い出す。
再び「普通車」と急行を乗り継ぎ、今度はなんばに到着。南海そばのスタンドで昼食として(北浜のランチタイムとはえらい違いだ)、大阪難波まで歩く。ここから阪神電車で神戸方面まで移動するのだが、この日は甲子園でのデーゲーム。大勢のファンに囲まれることになった。尼崎で乗り継いだ梅田からの特急も同じようなものだったが、甲子園でどっと下車し、車内は一気にガラガラになった。やれやれ。
新開地まで移動し、神戸電鉄の志染行きに乗車する。このシリーズ、神戸電鉄の駅も5つ目となる。路線規模からすれば結構な確率で当たっており、湊川から地下区間を出て山をグイグイと上るのも面白い。住宅街と森林区間が入り混じる車窓も悪くない。
鈴蘭台から進路を西に取り、途中単線区間も交じる中で木津に到着。確かに田んぼの真ん中にある駅だが、駅舎は橋上にあり思ったより新しい造り(ただし神鉄の多くの駅がそうであるように、駅員はいない)。こういう駅で降りることになるのも、「サイコロしりとり」ならではのことである・・・・。