まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

岡山のひと時

2012年02月29日 | 旅行記F・中国

混戦BB会で行く日生・岡山の旅。日生から赤穂線の普通列車に乗車するが、昼下がりの時間ということで「ここはゆっくりと行きましょう」と過ごす。山がちな山陽本線に比べ、ローカル線扱いながら開けた感じのする路線である。国道2号線もむしろ赤穂線に沿って走っている。

岡山に到着。夕方のお目当ての店に入るには少し早い時間ということで、少し岡山の街中に出ることにする。意外にも大和人さんは岡山の市街地の経験というのがほとんどないとか。交通の要衝でもあるから駅は何度となく通っていることだが。

岡山に来たのだからと、シンボルでもある岡山城に行こうということになる。駅前から路面電車が出ているのでしばしそれに揺られることに。

Dscn2751駅と電停のあいだにはバスターミナルがあり、岡山駅と各地を結ぶ路線バスが行ったり来たりしている。その中でこちらが終点で回送となるバスがあるのだが、何ともこれが謙虚な表示。「すみません回送中です」・・・・これが1社だけでなく何社もこういう表示をしているのが笑わせる。バスが来ても客を乗せられないことがすみませんなのか、それとも客も乗せないのに公道を走っていることがすみませんなのか。いずれにしても「こういうのは岡山らしいというのかな」と議論を呼ぶところである。ただその中で、通常の「回送」の2文字だけで入ってくるバスを見ると、全国的にはそれが普通の表示であるにも関わらず、「あのバス、エラそうにしとるな」という理不尽な感想を持ってしまう。

Dscn2772そんなバスを見ながら地下道をくぐって電停へ。こちらの路面電車、あの和歌山・南海貴志川線を「たま駅長」などの手法で見事に再生させたところである。サービス精神にはあふれている路線。現金を払ったので後でわかったことだが、ICOCAとPiTaPaの両方が使えるという利点もある。MOMOと呼ばれる低床のLRT車両も導入しており、小ぢんまりとした路線であるが魅力ある経営を行っている。

Dscn2758市内中心部は100円ということで、城下まで乗車。ここから旭川に沿って目指すのは岡山城である。電車の走る通りから一つ中に入ると、クルマの音も電車の音もほとんど気にならない。「県庁所在地にあってとても静かですよね」「地方都市らしく、静かで住みやすそうな感じ」と、同行のお二人も岡山の風情にご満悦のようである。確かに政令指定都市としては市街地の中心は小ぢんまりとしており、将来本当に広島を追い越す中四国経済の中心都市になれるのかという不安はあるのだが、こういう文教の風情が残る街というのは悪くない。そういう日が来ることがあるのかどうかはわからないが、もし「8年住んだ広島にもう一度住むか、それとも初めての岡山に住むか」と尋ねられれば、今度は岡山に住んでみたいなというくらいの憧れはある。

Dscn2754しばらく歩くと黒塗りの天守閣が見えてきた。烏城とも呼ばれる岡山城。旭川を堀として優雅にそびえる。ちょうど夕日がやさしく差し込み、黒色をぐっと引き立たせている。天守閣の中は戦後再建された天守閣、中は宇喜多氏、池田氏に関する史料が展示されているのだが、さすがにゆっくり見て回るには時間が少し足りないか。お二人も「中は別にいいですかね」と言っている。一方で「実は後楽園に行ったことがないんですよ」と大和人さんがいう。それならば、日本三名園の一つである後楽園に行くことにしよう。

Dscn2769冬の後楽園。この時期は何か花が咲いているわけでもなく、芝も青々としているわけでもないが、青空の下、庭園としての開放感をおぼえる。そこをぶらぶらと歩くのもよいものである。

Dscn2762後楽園に立つと、岡山城の天守閣も立派な借景となる。やわらかな日差しに包まれた庭園のひと時である。これが花の季節になるとさまざまな彩りを楽しむことができるということで、またの訪問を期待することに。

電停までしばらく歩くことに。市街図を見て位置関係を確認する。「城下の電停がここだから、こう歩けばいいんですね」と。このあたりも古い建物が残っていたり歴史を感じさせる。「阿房列車」の内田百閒の生地もこのあたり。それをきっかけに「岡山の文化人とか有名人といえば・・・」という話になる。これまで知らなかったのが、最近「質素な生活」で注目されている土光敏夫・元経団連会長も岡山出身だとか。

市街図を見て「これ何や」と目についたのがその名も「禁酒会館」。これから飲むぞ、という私たちにとってはタラリ・・・と冷や汗をかきそうな名前であるが、これが「会館」というのはどういうことだろう。ちょっと謎やなと言いながら歩いていく。

Dscn2774そしてやってきた「禁酒会館」。建物には十字架も描かれている。キリスト教と禁酒、イメージとしては結びつくな。アル中になった人が自らを悔い改めるためにキリストに祈るとか。それよりも、大正時代の建物というのが街中に現役で残っているのがよろしい。岡山も空襲を受けて市街地に大きな被害が出て、当時の岡山城の天守閣も焼失したのだが、その中でも残った建物ということで現在は登録文化財として保全されているという。

Dscn2777中は喫茶店になっており(もちろん、ビールなどはメニューにないのだろう)散歩後のひと時を過ごすのはいいだろうが、禁酒どころかこれから飲もうかという私たち、ちょっと後ろめたさを感じつつ再び電車に乗り込むのであった・・・・。

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日生でカキ満喫

2012年02月28日 | 旅行記F・中国

さて、先の記事では日生にカキを食べに行ったことを書くつもりが、手前の播州赤穂で止まってしまった。ここから先に進めることに。

・・・ということでホームに出たのだが、列車がやって来ない。折り返しの列車が山陽本線内でのトラブルの影響で到着が遅れており、そのために発車も遅れるという。まあ先を急がない旅、これも混戦BB会らしい。

Dscn2716やってきた黄色一色の115系に揺られる。車窓は田園から山間部にさしかかる。兵庫から岡山県に入り、進行左手に海が見えたところで日生に到着。京阪神方面からの新快速に接続する列車ということで結構多くの人が下車した。改札口では精算を行う人の列ができている。同じように、「関西1デイパス」の乗り越しで来た人が多いようである。

観光案内所でカキオコの店マップをもらう。夏に来たときは「夏はエビオコ」と書かれていたのだが、やはり本格シーズン。日生カキの情報満載である。いくつもの店がある中で行くことにしたのが、店の雰囲気もよかった「あらた」。

Dscn2722時刻は11時を回ったところであるが、国道に面した小さな店の前には行列。中から店のおばちゃんが出てきて、「こっち側に並んでください」という。家の玄関の前にベンチが設けられ、そこに並ぶ。そうするうちに後から行列も伸び、15人くらいは並んでいたか。それ以上に国道も渋滞しており、他県ナンバーのクルマも結構見る。それだけ日生のカキ、カキオコの人気が出てきたということか。B-1グランプリの威力はすごいものがある。今や町おこし、地域活性化には必須アイテムのようになっており、「うちにもB級グルメがある」とあちこちでメニューを掘り起こすのだろうが、中には「本当にそれ、地元の人たちは昔から食べているの?」というものもあるかもしれない。この「ブーム」も時間が経って落ち着いてからが勝負だろう。美味いものはいつ食べても美味いし、一時のブーム商品のようなものはいつしか廃れるものである。

Dscn2723待つ間に軽トラが横付けされ、「置いとくよ」と、カキがてんこ盛りのコンテナを2つ置いて立ち去る。先ほど上がってきたものらしいが、それにしても大胆な仕入れ方法である。後からこれをむく作業が大変かとは思うが・・・・。

1時間近く待つことになったが、ようやく店内に入る。「お待たせしてすみませんでしたねえ」としきりに恐縮される。小ぢんまりとした店内であるが、おばさん3人がかりで切り盛りしても鉄板をさばくのは1人なので、なかなか回転が進まない。まあ、もともと1人で回していたところに大勢の観光客が訪れるようになったのだから行列になる。そして行列が新たな観光客を呼んでまた行列になって・・・・。私たちもその一部なのでエラソーなことは言えないが。

Dscn2730メニューはシンプルにカキオコ、モダン入り、そして「おっぱい焼き」。カキが「海のミルク」と呼ばれることから鉄板焼きをそう呼んでメニューにしている。3人は最初テーブルで待っていたのだが、前の客と入れ替わるように鉄板横に招かれる。焼きながらのおばちゃんの絶妙のトークで時間を感じさせないし、こういう応対をされるのであれば待った甲斐があるというもの。このキャラも店の人気の要因であろう。

おっぱい焼きを3人で分け合い、そしてカキがふんだんに盛られたカキオコをいただく。焼き方も関西風と広島風のそれぞれの特徴をうまく使っていると思う。玉子も一緒に焼く中で、「ちゃんと温度管理してますからね」と、お好み焼の中に温度計を突っ込んで「100度超えました。ちゃんと加熱大丈夫」とやっていく。

Dscn2731ヘラでいただくカキオコ。ソースと磯の香がよく絡み合っている。これは「お好み焼のカキ入り」ではなく、「カキオコ」という一つの料理なのだな、と感じさせる。後は黙々と食べるだけである。

Dscn2728途中、鈍な支障さんが、先ほど店頭に置かれたカキについて尋ねる。ただおばちゃんによれば、別にあれの殻をむいて客に出すというものではないそうだ。収獲の中で傷がついたりして水が出たものとかで、商品にはならないそうだ。要は客に出せないものを自家で消費するためにサービスで持ってきてもらっているものとか。それにしても、カキの賄いというか、お裾分け、私なら毎日でももらいたいほどだ。もっといろいろな種類の調理法があればいいのだが・・・。

客に出すものは加工場できちんとむいたものを出すということで、その作業には中国からの留学生が研修の目的で当たっているとか。ただそれ、ビザなしの労働に当たるとか、そっちの心配はしなくてもいいのかな・・・・?

まあそれは余計な詮索として、カキの味を満喫したところで店を出る。列車の時間まであるので、海産物を扱う「五味の市」まで歩くことに。国道の渋滞は、国道から脇道に入った五味の市まで数百メートルにも渡っており、人気のほどを思わせる。こういうのを見ると、鉄道の利便性というのを実感する。

Dscn2738その五味の市でもカキオコの屋台が出ていたが、こちらではカキオコよりもむしろ、カキそのものの購入がメインの客が多い。市場の中でもカキを扱う業者の売り声が響く。一盛で1000円からいくらでもあり、サンプルを見ても身の大きさは評判どおり。ただ私にとって「何かが足りない」と思ったのが、そう、これらがすべて「加熱調理用」というもの。だから買ったその場でツルっと生ガキを味わうことができない。ご時世柄生食を扱わないのかなというよりは、そもそも日生の場合は「加熱調理」が原則なのだろう。生ガキ好きにとってはこの点だけが残念なところ。さすがにその場で食べられないとなると、購入するのは断念する(自宅に送っても調理できないので)。

Dscn2739代わりに試してみたのが「カキフライのソフトクリーム」。ソフトクリームにカキフライをトッピングし、ソースをかけたもの。最初は「これって合うのかな」と思ったが、ここはソフトクリームではなくカキフライを主役と考えれば、カキフライをソフトクリームで食べるという感覚。これが意外と合う。カキフライの場合、タルタルソースにつけて食べることがあるから、それに近いものがある。まあデザートということでいただくことができた。

五味の市の外ではテントで食事をする人が大勢いた。なるほど、ここで購入したカキを鉄板に乗せて、その場で焼いて食べるということか。次にこの時期に来る時はこういう楽しみもありかなと思う。その残骸とか、カキの養殖に使うホタテの貝殻などがずらりと並ぶ光景。「これだけの量のカキを消費するのだな」と、名物の舞台裏も垣間見ることに。

Dscn2743海に沿って歩くことに。海とはいえ、日生諸島、その奥には小豆島も控えて実に穏やかな日生の海。「こういうところでのんびりするのもいいですね」「さすがに大阪に通勤は難しいでしょうが、姫路あたりなら通勤範囲でしょう」。なかなか好印象のところである。

Dscn2749駅前で「牡蠣でシュー」というシュークリームを購入し(特にカキの何かが使われているということではなく、要は名物にあやかった食べ物だったが)、駅に戻る。ここから関西方面に戻る客の姿が多い中、私たちはさらに西に進む。やってきたのは115系の湘南カラー。昔ながらのボックス席が並ぶ、それこそ昔ながらの鈍行列車。こちらで食後の昼寝タイムとしながら、目指したのは岡山・・・・。

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日生カキ目指して赤穂線へ

2012年02月27日 | 旅行記F・中国

ブログ再開後初めての記事はこちら。先月に訪れた地のことで・・・・。

カキの産地と聞いて、どこをイメージするだろうか。

有名なところでは広島、そして松島を含む三陸、さらには北海道の厚岸とかいうところになるだろうし、岩ガキなら日本海側のイメージがある。

ただ、ここに来て特に関西圏においては、兵庫の相生・赤穂、そして岡山の日生のカキが結構人気が出ているように思う。関西との近さというのもあるし、身が大きく丸々としているのも特徴である。最近はあまりスーパーに行く機会がないので断言できないのだが、広島産よりも売り場を占めているのではないだろうか。

Dscn2732そしてその日生のB級グルメとして最近知名度が上がっているのが「カキオコ」。お好み焼の具材がカキというものだが、カキをふんだんに使うこととその独特の焼き方が評判を呼び、なんと昨年にはB-1グランプリに初出場にして上位入賞(まあ、開催地が姫路ということもあったのだが)という快挙も。

「日生にカキオコを食べに行きましょう」。例によって混戦BB会の鈍な支障さん、大和人さんとの飲み会の席で話が出た。この組み合わせでの「グルメツアー」としては餘部鉄橋の見える民宿での「カニカニエクスプレス」での旅行がある。今度はカニと並んで冬の味覚の代表であるカキである。日生となれば大阪から新快速~鈍行でも2時間あまり。手軽に訪れることができる。そして赤穂線で日生まで行くのだからということで、カキオコの後はそのまま岡山に抜け、私のお気に入りの店での夕食・・・ということになった。

今回は「冬の関西1デイパス」を使用する。赤穂線は播州赤穂までしか乗れないのでは・・・?と思うが、これは大和人さんの発案によるもの。播州赤穂から日生、岡山、そして帰りの岡山~相生を別に払っても、大阪から岡山までの往復運賃より700円ほど安くなるのだ。それだけ、「関西1デイパス」の利用区間の広さとコストパフォーマンスはすぐれている。京阪神だけだと損する感じだが、滋賀・三重方面、姫路方面までの利用だと往復するだけでも元を取れるというお買い得商品である。各自でそれを購入して大阪駅に集合。

当初の予定より早い時間の新快速に乗車。車中でいろいろな話をするうちにあっという間に姫路に到着し、播州赤穂行きの鈍行に乗車。相生を過ぎて赤穂線に入る。「急にローカル線らしい、のんびりした感じになりましたな」と、お二人もローカル線旅行にご満悦の様子。

Dscn2710播州赤穂に到着。次の日生方面の列車まで時間があるし、どうせ切符を買い足さないといけないので外に出る。「忠臣蔵」と大書された額に出迎えられる。ここは忠臣蔵の町、観光案内所の係の人も四十七士のハッピ姿で接客をしている。

Dscn2713駅の階段では仮名手本忠臣蔵の錦絵で描かれた四十七士が出迎えてくれる。AKB48ならぬ「AKO47」であるが(萱野三平を入れたらちょうど48になるが・・・)、表門組、裏門組、脚色されたものが多いとはいえ、単に討ち入りに参加したというだけではなくそれぞれのエピソードが人々の心に響くというところだろう。

Dscn2714そんな歴史のある町ではあるが、義士祭りのポスターがある以外はごく普通の地方都市である。「義士の町とはいっても、実際はIHIとか重工業が盛んですからねえ」というのは大和人さんの分析。駅前に東横インがあるのがビジネス志向というもので、まあ観光客は赤穂御崎のホテルに泊まるということか。「それにしても、東横インほど個性のない、どこに行っても建物から何から同じホテルはないですよねえ」と、しばらく東横イン談義。でもまあ、どこに行っても安定、均一したサービスを好む人も多いことだろうし価格も比較的安い。コンビニとか外食チェーンが定着しているように、ホテルのサービスもそういうのが一定の評価を得ているという事実はあるのでは(私は同じチェーンでもルートインのほうが好みだが)。

Dscn2715そんな駅ロータリーの正面にこんな記念撮影用の看板。その名も「赤穂義士ライダー47」。うーん・・・・。先の「AKO47」は月亭八方の新作落語ネタであるのだが、こちらはライダーね。やられているのは吉良側で、仮面ライダーでいうところのショッカーみたいなものか。それにしても、目のところが浅野家と大石家の家紋をあしらうなど、芸が細かいといえば細かいのだが、いいのかな、こういう看板を駅前にさらして・・・。

「こんなところに立てるとは、赤穂市公認なんでしょうかね」「愛知の吉良の人が見たらどう思うやら」「というか、この作者のFさんという人はどういう意図をもってこういう絵にしたんですかね」と談義するも結局結論は出ないまま、次の列車の時間が近づいたのでホームに出る・・・・。

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ブログ書き込みを再開します。

2012年02月26日 | ブログ

拙ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

先月末からしばらくの間、ブログの更新を停止しておりましたが、このたび周囲の状況もある程度一段落ついたこともあり、書き込みを再開することにしました。

精神的に、また物理的に不安感や不自由感というのを感じたものですが、周りからいろいろと励ましの言葉をいただいたりしたこともあり、また元のように活動を再開する気持ちになれました。

今後もあれこれと日々のよしなしごと、旅や鉄道、野球のことなどを書き綴ることができればと思います。

これからもご覧いただきますよう、よろしくお願いします。

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