3月24日、倉敷から総社を経て岡山に着く。雨が降り続いており、この分だと午後からの「国鉄水島計画」イベント、倉敷貨物ターミナルでのキハと機関車の撮影会も雨模様だろう。午前中、雨が降る前に少しでも撮影できたのがラッキーだった(イベント時間の後半は休憩用の気動車で過ごす形になったが・・)。
岡山で少し時間がある。令和の大改修を終えた岡山城、日本三名園の一つ・後楽園に行くのもいいかと思ったが、絶対に行かなければならないとまでは思わない。別に城が嫌いなわけではないが、世にいう城マニアもない。
ふと思いついたのが、どこか温泉、スーパー銭湯にでも行こうかというもの。スマホで検索すると、「後楽温泉 ほのかの湯」というのが見つかった。岡山駅からだと日赤病院方面行きのバスで20分ほどとある。途中、岡山電気軌道の線路と並走するが、そこですれ違ったのが「おかでんチャギントン電車」。この電車には乗ったことがないのだが、単に路面電車がチャギントンをあしらった車両で走っているわけではなく、これじたいがイベント列車である。鉄道ファンならこの列車に乗るという選択肢もあったのだが・・。
岡電の終点・清輝橋を過ぎ、岡南小学校前バス停で下車。道を一本入ったところにある「ほのかの湯」に到着。駐車場も結構埋まっており、地元の人たちには人気のスポットのようだ。
ここは人工温泉だが、ホームページによると道後、下呂、越後湯沢温泉と同質で、やわらかく刺激が少なくやさしいとある。内湯よりも露天風呂エリアのほうが広く、風穴風呂やごろ寝湯、壺湯などもある。ともかくさまざまな浴槽に浸かり、楽しめた。
ここで湯上がりのビールというのもよいが、そのままバスで岡山駅まで戻る。
そして向かったのが・・お待ちかね、岡山駅前の「ミシュラン居酒屋」、「鳥好」である。16時の開店に間に合うように戻ることができた。先ほどから倉敷、岡山の時間がどうのこうのと言っていたのは、16時に「鳥好」に入るのを基準として、それまでの時間をどう過ごすかというものである。
そして15時45分頃「鳥好」に着いたのだが、すでに並んでいる人がいる。そして私がその後ろにつくと、それに続く人もいる。どれほど人気なのか。
16時になり、表の提灯に灯りが入り、のれんが出る。さて店に入るが、予約の有無を訊かれる。前にいた人たちは予約のようで、おしぼりと皿が置かれたカウンター席に通された。その後の私はといえば、店の人がいったん確認した結果、相席の大テーブルに案内された。別にカウンターでも大テーブルの相席でもよいが、この日は座敷はもちろん、カウンター、大テーブルの多くに予約を示すおしぼりと皿が置かれていた。これ、タイミングが悪かったら「予約のお客様で満席で・・」と断られたかもしれない(事実、以前に1回入店を断られたことがある)。「鳥好」には常連とはいわないまでも過去何度も来ているが、年々、来店のハードルが上がっているように感じる。そこで今回、16時の開店と同時に入ったのだが、座れてよかった。
まずは岡山工場からのキリン一番搾り。そりゃあ、大ジョッキでしょう。
まず出てくるのは岡山の居酒屋メニューの定番といえるとり酢、しゃこ酢。
鶏のもつ煮に焼き鳥。大衆酒場らしく様々な料理があるのだが、ここに来るとだいたいこうしたところを定番で注文している。何でだろうな。
そうこうするうち、店内には次々と客が入って来る。予約の客も多いが、フリで入って来た1人、2人客は何とか大テーブルの相席で収まっている。夕方、さあこれから飲もうかと多くの人が思う時間帯、予約なしだと3人以上は厳しいかもしれない。その一方で、予約の印を置いていたカウンターの客が30分くらいでさっと席を立つところもある。先に並んでいた客も早々にいなくなっていた。予約用なのか、常連さん用の指定席なのか。
さて店内のテレビで大相撲中継をやっていればよかったのだが(テレビのチャンネルは店の人の気まぐれのようだ)、スマホで春場所の結果を見ると、新入幕の尊富士が前日の取組で右足を傷めたが千秋楽も出場、本割で豪ノ山を破って見事110年ぶりの新入幕優勝を果たしたと出た。例年、「荒れる春場所」と言われるが、今年はいつもにも増して荒れていた。優勝争いが新入幕の尊富士と、入幕間もない大の里に絞られ、どちらが優勝してもまだ大銀杏が結えない力士。そこに、14日目の尊富士の負傷、千秋楽は休場だろう、いや将来を考えれば球場すべきという声もある中での出場。もし尊富士が休場して、大の里が勝てば優勝決定戦になるが、不戦勝で大の里が勝って逆転優勝、石川県出身ということで被災地にも勇気を与える・・という、どちらに転んでもドラマチックな展開だった。
・・・こういうドラマを生で観ることができたのなら、千秋楽のチケットを手放すべきではなかったかな・・と、岡山の居酒屋で複雑な思いである。
締めは「のりくらっち」。注文する時は、9回のマウンドに絶対的な抑え投手を送り込むような気分である。もっとも、この一品を味わう時はさまざまな組み合わせでいろいろ楽しむので、すっきり三者三振とはいかないが・・。
店を出て、17時50分発「こだま859号」に間に合ったので予定を繰り上げて乗車する。
今回は水島臨海鉄道に焦点を当てて倉敷、岡山まで出向いたが、この近辺で大きな動きといえば、4月6日に新型「やくも」がデビューする。と同時に旧国鉄型の381系が順次置き換わる。次の目標としては、381系、特に旧国鉄特急型車両に乗ることかな。また岡山を楽しもう・・・。