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太龍寺から下るロープウェイが間もなく出発するというので急いできっぷを買う。片道だと1300円と結構な値段である。「明日の朝にまた上がられるんでしたら往復で買えますが」と言われたが、その予定はない。結構大型のゴンドラだが、それなりの数の乗客が発車を待っている。私が乗り込んだ後、ガイドさんが最後に乗って発車する。
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下りなのだが、まずは一旦さらに高度を上げる。そして左手に、先ほど仰ぎ見た舎心嶽の弘法大師像を見る。遠くて顔の様子までは見られなかったが、遥か彼方を見やる姿は「空海」の名前を引き立てているようだ。
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一旦太龍寺山の頂上近くまで上り、支柱を越えると一気に下る。傾斜は30度あるそうだ。雄大な山の景色を窓から見ることができる。この山全体が太龍寺の持ち物で、県に管理を委託しているそうだ。杉やヒノキに恵まれている。また、このロープウェイの床面の一部には金網だけ敷かれていて、直接外の空気が入ってくるところがある。ガラスもないのでビビってしまう。
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途中の山犬ヶ嶽には5頭の狼の像がある。かつてこの山にはニホンオオカミが多く住んでいたそうだ。弘法大師の修行に付き合っていたのかもしれない。
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もう一度支柱を越えると、那賀町の景色が眼下に広がるようになる。先ほど渡った那賀川の流れを中心にして広がる町で、面積の8割は山である。農業ではイチゴのハウス栽培が盛んで、ちょうど今はクリスマスに向けた出荷時季だという。この日の巡拝がみかんに始まりイチゴに終わるとは。
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10分ほどの空中散歩を終えて到着。乗り場は宿泊施設も備えた旅の駅である。観光バスも停まっているし、太龍寺へはクルマはここに停めてロープウェイで往復というのが一般的なようだ。往復2400円は高いと思うが仕方ないのかな。一方で、午前中から夕方にかけて鶴林寺の下からずっと歩いた後の山下りが1300円というのは、雄大な景色も見ることができたし、まあこの値段もありかと思う。
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さてこれから徳島、さらには大阪に向けて戻りである。ロープウェイに乗っていた人たちは観光バスかクルマで移動、あるいは道の駅の宿に泊まる感じで、最寄りの和食東(わじきひがし)のバス停を目指して歩くのは私一人。10分ほどで到着。16時すぎだかもう日は西に傾いている。
バス停の横にローソンがあり、ここで白衣を脱ぎ、中のシャツも取り替え、金剛杖をカバーにしまう。今日も一日、弘法大師と四国アイランドリーグのキャラクターたちに感謝だ。
さて、次のバスは16時40分発。ただしこれは徳島駅直通ではない別の系統で、阿南市の共生病院行きである。もっとも、スマホに落としている徳島バスの時刻表によれば(ちゃんと最新版であることを確認済み)、途中の橘西始発の便が13分後に続いていて、乗り継ぎで徳島駅には18時39分着とある。また、共生病院行きのバスを途中の桑野上で降りるとJR牟岐線の桑野駅が近い。17時18分の特急があり、これだと特急料金が発生するが、18時前に徳島駅に着く。ちなみに、大阪に早く帰るなら途中の橘営業所で大阪行きの高速バスに乗り継げるのだが、携帯サイトおよびローソンの端末で照会したところ満席だった。ただ、大阪から徳島駅を経由せずに直接阿南、日和佐、さらには室戸まで行く便があるというのは大きい。次回以降、効果的に使えないかなと思う。それはさておき徳島までどう戻るかだが、桑野乗り継ぎで早く徳島駅に着くプランで行くことにした。徳島から大阪へは20時発の高速バスなのでどちらでも十分間に合うのだが・・・。
・・・ということを和食東のバス停で決めた時、ロープウェイ乗り場方面から歩いて来る人がいた。午前中、鶴林寺の麓の生名バス停で私が身仕度をしている時に追い越して行き、その後で私が追い越した女性二人連れである。あの後もそれなりのペースで来たわけだし、ましてや朝は私より先に歩き始めていたわけだから(果たして立江から)、私よりも健脚である。今夜は徳島駅前に泊まるようだが、バスの時間を見て慌てている。やはり見知らぬ地でのローカルバスの時刻表は見ていても不安になるものである。そこで、上記のバスダイヤのルートを解説してあげた。二人で相談して、徳島駅までに一度降りなければならないため停留所に記載された運賃よりは高くなるが、確実ということでバス乗り継ぎを選んだ。
状況によってはもっと相手に話しかけるとか、何なら徳島駅まで同行しようかとか、せっかくの一期一会なので(これまでそういう場面もなく)対応のしようは如何ようにもあったのかもしれないが、結局はバスの時間を教えたところまで。
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やって来たバスは先客もなく、快調に走る。桑野には運動公園があり、野球場は「JAあぐりあなんスタジアム」として、徳島インディゴソックスも多くの試合を行っている。いずれこの球場にも来たいなというところで桑野上着。女性二人に会釈して下車する。駅はすぐ近くにあり、特急には十分間に合うタイミングである。
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周囲も暗くなり、月が見えるようになったところで2両の列車が到着。国鉄時代の185系である。1両半が自由席なのだが、それもガラガラ。途中の駅でポツポツと乗客がある。早い時点で、先ほどのバスは追い越したようである。
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17時54分、徳島に到着。乗ってきた車両は折り返しでホームライナーとして運転のようだ。これで帰りの高速バスまで2時間ができたことになる。
これまで徳島市街を軸として四国八十八所めぐりを行い、徳島県内は市内の3ヶ所(大日寺、常楽寺、国分寺)、新野の平等寺、そして日和佐の薬王寺の5ヶ所となった。これらについては、スケジュールの組み方にもよるが年末年始を利用して回ろうと思う。今のプランでは日和佐がベースキャンプになりそうで、徳島市街というのも一段落したのかなと思う。駅前で飲むのもこれで一段落かな・・・ということで、2時間をそれに充てることにする。まあ、ローカルバスを乗り継いで到着する40分の時間差を惜しんでJRの特急に乗ったようなものだが・・・。
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これまでに入った「安兵衛」と「味祭」がいずれも満席だったこともあり、少し離れた「阿波海鮮 魚家」に向かう。たまたまカウンターが空いていた。まずは生ビールで歩きの乾杯として、海鮮が売りの店なので魚メインで選択する。
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ここで目についたのが、「すだちぶり」。前回、焼山寺を歩いた後で神山温泉で初めていただいたのだが、今回は定食の一品ではなく単品でいただく。身を厚く切っており、歯ごたえもなかなかのもの。店の一押しというのもうなづける。
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今回はそれにプラスして、すだちぶりのカマ焼きもいただく。うーん、焼いた後だと別にすだちの風味がどうのというのは関係なくなるが、頭部の肉も骨からスルリとはがれる感じで、食べやすかった。これはすだち風味というのではなく、大将の腕前かな・・・?
この「魚家」、海鮮もの中心であり、一方では徳島の郷土料理もある。結構おすすめなのだが、この日は観光客、地元客ともに多く、また宴会の客も入ったようで、板場とホール係がてんてこ舞いだった。次々にあれやこれやと注文できる感じではなかったので、そこそこに引き上げる。
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バスまでの時間は駅前でぶらついて過ごし、20時発の大阪行きの高速バスがやってきた。今回は阪急バスの車両。全体の半分が埋まるくらいの乗車率で、各座席にコンセントがついている。スマホの充電はこれで事足りる。今回の四国めぐりの記事をスマホで書き起こしながら、道中を行く。途中の渋滞もなく、定刻より10分早く阪急梅田三番街に到着。ここで下車して、地下鉄経由で帰宅した。
さて、上にも書いたように四国八十八所のうち「発心の霊場」である阿波の国、徳島県がそろそろ目処が立ってきた。これが終わると土佐高知。大阪から遠いエリアだし、公共交通機関の便も徳島と比べてあまりよろしくない。それらをどう回るか。今のうちから、時刻表をあれこれ駆使してプランニングするところである・・・・。