話の順序を先にして、2日に高知市野球場で行われたオリックス・バファローズ対千葉ロッテマリーンズの「プレシーズンマッチ」の観戦記を書く。
新聞等では「練習試合」という位置づけだし、当初はバファローズのHPでも試合の告知を行っていなかった。オープン戦であればNPBが主催し、収入はホームチームのものとなり、記録も「オープン戦ながら公式のもの」として残るのだが、今回の「練習試合」は高知県観光コンベンション協会の主催によるものという。
オリックス、阪神、西武、ロッテの4球団により、1日と2日に高知、安芸、春野の各球場で試合を行うのだが、高知県のスポーツ振興の一環であり、また試合観戦と観光とセットで多くの人に高知に来てもらおうという企画である(まさに、前日から本日にかけての私の動きなど高知県の思うつぼである)。それで、あくまでNPBのオープン戦とは異なる形での開催で、入場無料。入場料の収入は球団には入らないが、おそらく球場の使用料を高知県が負担するとか、各球団に不利益がないようにしているのかもしれない。
3日ほど前までの天気予報では降水確率80%だったのが、前々日は60%になり、前日は雨だったものの30%にまで落ちて迎えた当日。朝のうちは小雨があったものの徐々に青空が広がり、上着もいらないくらいの好天となった。I氏ともども気をもんでいたのだが、お互いに晴れ男なのか、天気がいい方に外れてよかった。まさに球春到来を感じる。
入場無料ということで、入口のところでは両チームのメンバー表と、何か紙を配布していた。紙のほうは受け取らなかったのだが、後で判明したのは、両チームのグッズや、再来週に高知で行われるゴルフの公式戦の入場券などが当たる抽選券だった。先着700名に配布し、当選番号は「下一桁」単位だったから、結構な確率で何かがもらえたようだ。ちょっと惜しかったかな。
先に私がネット横に席を取り、後からI氏と息子さんがやってきた。奥さんと娘さんはまた後から合流となる。今回は一応オリックス側の席を取り、周りには関西方面から
その前に選手のアップの様子を見る。オープン戦序盤ということで若手中心のメンバーであるが、こうして選手のナマの姿を見るといよいよ春が近づいてきたなと感じる。そういえば、オリックス戦のライブ観戦も昨年は6月までで、7月以降は足を運んでいなかったなということも思い出す。
新戦力組では鉄平、そしてヘルマン、ベタンコートといったところの姿を見る。この日は1番で鉄平、3番でヘルマン、5番でベタンコートが起用されたが、糸井や平野、坂口などとの組み合わせ次第で上位打線のバリエーションが広がる。
ただ、やはり「この人」に「本当の意味での覚醒」を期待するファンは多いことだろう。李大浩が抜けた後、ペーニャも加入したが、やはり彼が不動の4番を張る可能性にかけてみたいと思う。ただ、今年ダメだったらもう伸びる余地はないのかなとも言われる(I氏からは「ロッテには(同じような立ち位置で)大松という選手がいるけどね」と)。
この日は両チームのマスコットキャラクターも来ていたし、三塁側スタンドではいつもより少数ながら黒ユニ姿のロッテファンの応援光景が見られた。後から来たI氏の奥さんとお子さんたちは「応援してこよう」と早速その輪の中に入って行った。来ていないのはホーム側のオリックス応援団。このため、オリックスの攻撃中は出囃子、鳴り物なしのある種独特な空気が流れていた。まあ、プレシーズンだから仕方ないといえば仕方ないが・・・(途中、T-岡田の打席の時に、持参のスマホで出囃子のケツメイシ「カーニバル」を鳴らし、一人でタオルを回していたお兄さんがいた・・・)。
さて試合。オリックスは昨年の1位入団の松葉、ロッテは今年の1位入団の石川。1回表、松葉はいきなり先頭の荻野にヒットを許す。ところがセンターの坂口が打球の処理を誤り、二塁進塁となる。続く伊志嶺の時、二塁に牽制球を投げたがこれが荻野に当たり、外野へ転がる間に三塁進塁。伊志嶺に四球のあと、新加入のクルーズが左中間にきれいな当たりのタイムリー二塁打。これで先制。
この後、ストライクとボールがはっきりとして制球の定まらない松葉から、今江のゴロの間に1点、同じく新加入のハフマンのタイムリーでいきなり3点の先制。松葉は2回にも四球と内野安打でピンチを迎えたし、3回には細谷のタイムリー三塁打で2失点。結局3回で7安打、2四球、5失点という散々な内容。I氏からも「松葉、投げ込みが足らんのとちゃうの?」とツッコミを入れられる始末。私も、プレシーズンマッチだから何も言わないけど、公式戦でこんなことをされたら絶対黙っていないと思う。左の先発枠はまだ埋まっていない状況で十分にチャンスはあると思うのだが・・・。
一方のロッテ先発の石川。初回、1番に入った鉄平がセンター前にヒット。「鉄平は星野に嫌われて出されただけやから、絶対復活するで」というファンの声も聞こえる。この後、3番のヘルマンにもヒットが出るが、肝心の4番・T-岡田が注文通りの併殺打。
キューバから亡命したとか、マリナーズではイチローの同僚でメジャー通算80本塁打という、「バファローズの背番号1」を受け継いだベタンコートは2回の先頭打者で登場。風格は感じられるが初お披露目は二飛。結局次の打席ではDHにも関わらず代打を送られたから、この日は本当にお披露目だけだったんだなというところである。これが「結局出番がなく終わりました・・・」ということでなければいいのだが。
その後も毎回ランナーを出すのだが、石川のテンポのよい投球に後が続かない。4回も、T-岡田の四球、ベタンコートの代打で出た竹原のヒットでチャンスをつくるが、今度は坂口が併殺打。「ウチの問題はここなんやけど、今年も同じやわ」と、早くも悲観的な声が。いや、この日は石川がよかった。I氏も「ロッテも先発がもう1枚2枚足りないところで、この投手は間違いなく入るかな」と。
先発松葉は全然ダメで、4回から登板のマエストリも荻野、伊志嶺の連打で追加点を許す。その後も四死球で満塁のピンチを広げるが何とかしのぐ。続く5回は、2三振を含む三者凡退に抑える。いい時と悪い時の差が大きいのもこの投手の課題である。
6回には三番手でルーキーの大山が登板。身長168cmと小柄ながら思い切りのいい投球で、タイムリーを打った伊志嶺、クルーズ、そしてパワーヒッターとして注目のルーキー井上を三者凡退で退ける。こういう「左の仕事人」が一人いると心強い。同じ位置なら海田や中山というところがライバルとなるが、がんばってほしい。
打線のほうは、6回にロッテ2番手のルーキー吉原から、駿太が右中間へのタイムリー三塁打、川端のタイムリーで2点を返す。「さすがにルーキーでは力不足やね」と、仕方ないといった表情。ただ、2点返していいムードになったところで、続く代打・武田がこの試合チーム3つ目の併殺打。7回にも代打・山本が併殺打で、チームとしては4併殺。うーん、これも昨年のシーズン中で何度も見かけた結果である・・・。
圧巻は8回裏。ロッテは4人目の香月がマウンドにいる。「8回のセットアップで出てくるだけの力のある投手じゃないんだが」とI氏も首をひねる。まあそこはオープン戦、いやプレシーズンマッチだから、いろいろテストすればよいのでは。ランナー一人置いて迎えるのは竹原。
その竹原の一打はぐんぐんと伸びてセンターバックスクリーンに到達。のみならず、上段にあたる選手表示板、ちょうどロッテの3番に入っていた大嶺翔選手のボードを直撃した。その瞬間、「5 大嶺翔」と表示された部分の色が変に反転し、ガラス片のようなものがヒラヒラと舞う様子が見て取れる。
試合中は画面を見るのに支障はなかったのだが、試合終了後、スコアボードがオフになった後でその場所を見ると、大きな破損である。後の修理代はどうするのだろうと、気をもんでしまう。あの場所にぶち当てるとは、飛距離は140mを越えているのではないだろうか。これ、阪神の選手が同じ打球を放っていたら、間違いなく関西マスゴミの手によるカストリスポーツ紙の一面は全て「スコアボード破壊弾」となることだろう。
ロッテ打線の勢いは止まらず、9回もオリックス6番手・山田から大松、根元のタイムリーで2点を追加。最後は大谷が締めて8対4でロッテの勝ち。うーん、私とI氏による「オリックス対ロッテ戦」の対戦、3年越しでロッテの3連勝である。次はGW中に、「まつなるが黒い格好をしてレフトスタンドでロッテファンに交じって観戦」という、最近恒例の?公式戦観戦の約束をしたのだが、今年こそはどうなるだろうか。
プレシーズンマッチとはいえ、オリックス12安打、ロッテ13安打という乱打戦。ただそこに4点のスコア差が出たというのは、いかに得点に結びつけるかの差が出たと思う。脚の速い選手を積極的に起用してそれを活かすロッテと、いつも「あと一本」で悩んでいるオリックスの差なのかもしれない。シーズンにはまだまだ時間があるから、それぞれの調整と課題克服の帰還として、今後の試合をがんばってほしいものである。
さて、高知県観光コンベンション協会の思うつぼにはまった高知行きについて、また次回から改めて書くことに・・・。