本日9日は仕事の関係でクルマで神戸に向かった後、そのまま阪神高速~名阪国道で三重県は亀山へ。明日の業務に備えての前泊で、亀山インター近くのホテルに投宿。部屋も快適だし、最上階からの展望風呂もよろしい。次に亀山に来ることがあったとしたらまたここに泊まろうかと思う。今回はそんなホテルの一室からの書き込み。
前回、赤穂線の旅で播州赤穂を訪問。そのまま岡山行に乗車する。かつて瀬戸大橋を快速「マリンライナー」として走っていた213系で、2両のローカルワンマン編成となっている。何だかもったいないような気がしないでもないが、居住性としては悪くない。
ただ今回は20分足らずの乗車で、日生に到着。ここで下車する。古代体験のできる鹿久居島を目の前にし、小豆島へのフェリーも出ている小さな港である。実はこの駅で下車するのは初めて。駅舎のすぐ前に漁船がもやっていたりする。
日生といえば最近ではカキの産地として、特に京阪神あたりでは広島をしのぐではないかというくらい有名になっている。広島のものと比べても身が大きいようで、シーズンになると旅の番組などで大ぶりのカキを次々に焼いて食べ放題に食べるシーンも見かける。こういうところを見ても「中国地方にあって、最近は広島と比べて岡山のほうが活気があるなあ」と思ってしまう次第。
そしてそのカキを使った地元B級グルメとして最近人気が出ているのが「カキオコ」。豚肉とかイカの代わりにカキを具材として使うのだが、その盛り付けが半端ではないとのこと。今回の旅の目的はこの「カキオコ」を食べることもあった。町内には20軒近くのお好み焼き屋があるという。
ただここでたいていの人は「カキって冬場のものでしょ?」と気づくことだろう。確かにそう。やはり冬の時期に来てこそ旬の味を楽しむことができる。ただお好み焼き屋の半数近くが「冷凍カキオコ」と、わざわざ「冷凍」と断ったうえで夏場にもメニューとして出している。冷凍ものと聞いてまた抵抗を示す人もいるだろうが、「冷凍したほうが栄養素がギュッと圧縮されてその分旨みを出す」という弁護の声もあるようで、まあそう堅いことを言わずに食べることにしよう。
駅横の観光案内所にカキオコのグルメマップが置いてある。その表紙に書かれていたのは「夏期オコ」という文字。その横には「夏はエビオコ!!」とうたっている。ちょうど夏はエビのシーズンということで、カキの代わりにエビでお好み焼きをつくるという。なるほど、これも理にかなった話だろう。
ということで、昼食としてヘビーになるが、せっかく来たのだから1軒でカキオコ、もう1軒でエビオコを食べることにしよう。マップを手にぶらぶらと歩く。特にどこのものが美味しいとかいう予備知識はないので目に付いた適当なところに行くことにする。道端に「B級グルメ カキオコ」の矢印つき看板があったのでそちらに向かい、住宅地の中にある「きたろう」という店へ。ご主人一人が切り回しているようだ。
ここでカキオコを注文。冷凍カキをレンジで解凍し、鉄板の上の小麦粉、キャベツの上に乗せる。そしてひっくり返し、カキに充分火が通った頃を見計らって玉子を割る。そしてその上にお好み焼きを乗せ、もう一度ひっくり返す。ちょうど関西風と広島風の両方の要素を備えた作り方。これにソースをたっぷりとかけて出てきた一皿。
カキも大ぶりな粒をそのまま残しており、キャベツや玉子との相性もよい。先に書いたように旨みもギュッと圧縮されているように感じられ、きちんとカキの味がする。カキ単独で食べてもいいし、ソースやらお好み焼きと絡めてもいける。これは悪いが広島の冬季限定「カキ入りそば玉」より上かな・・・。
まずは一軒「なるほど」という感じで楽しみ、もう一軒ということで、道路沿いの「安良田(あらた)」という店を見つける。入り口にはかかしのような招き人形もある。
ここではエビオコを注文。そして、壁に掲げられたメニューに「おっぱい焼き」なるものを見つける。おっぱいねえ・・・。思わず「これは何ですか?」と尋ねる。すると「カキとねぎを炒めたもの」という答え。おっぱい・・・カキが「海のミルク」と呼ばれるところから来るのか、あるいは食感舌触りから来るのかは別として、カキが別な形で食べられるならということで合わせて注文。こうなるとビールが欲しくなるが夕方のこともあるのでぐっとこらえる。
最初はテーブル席のほうに座っていたのだが、「どうぞ、鉄板のほうに座って召し上がってください」と招かれる。まずはおっぱい焼き。大粒のカキが適度に胡椒が効いた味付けでうまい。
そしてエビオコ。カキオコと比べてボリューム感はないものの、ぷりぷりしたエビの食感も捨てがたい。おやつ感覚で食べられるというのかな。「ソースはたくさんかけたほうがいいですよ」「マヨネーズも合うと思いますよ」と、店主のおばさんがいろいろ世話を焼いてくれる。
「18きっぷの方ですか?今はカキのシーズンじゃなくてすみませんねえ。10月くらいから美味しいのが出ますんでまた来てください」と親切な言葉に送り出される。後で調べたところではこの「安良田」は日生のお好み焼きでも老舗の部類とかで、シーズンともなれば行列ができる人気店だとか。うーん、冬場に行列覚悟で訪れるのもまたよいかな・・・。
この後、列車の時間まで港の界隈を歩く。海産物の販売などもある「五味の市」や、地元の水産業について紹介した民俗資料館もあるというが、残念ながら火曜日定休。まあ、これは仕方がない。それだけに余計に「冬場にまた日生に来るか」という楽しみができた。
その周りではカキの養殖に使うホタテの貝殻がワイヤーでくくられて保管されていたり、中身の出された後のカキ殻の残骸が山積みされていたり。遠くにはカキの養殖いかだが並ぶ。海も穏やかで、時間の経過がとてもゆっくりと感じられる。夏の一日の休息を楽しむにはもってこいである。
あと、市内のあちこちに貼られていたこの党のポスターを見ると「岡山に来たなあ・・・」と実感する。ちなみに平山赳夫氏の選挙区であるこの岡山3区というのは北は津山方面、南は日生のある備前市と、美作、備前と、岡山県の東半分を占める結構広いところ。片山虎之助氏も岡山出身で選出。
またまた赤穂線の車中の人となり、岡山に到着。ちょうど夕刻の岡山に来た・・・・ならば、久しぶりにあの店に行こうか。地下道をくぐり、高島屋のところから地上に出て歩くこと2分、やってきたのは「鳥好駅前本店」。もう6~7回は来ているか、いつも満席で座るのがやっとという店。箱根駅伝の駒沢大学の大八木監督に似ている(と、個人的に勝手に思っているのだが)大将が威勢のいい声で店員に指示を出しているのだが、さすがに早い時間ということで楽勝で入ることができたし、店の人もまだ余裕のある接客であった。
いや、ここで何が名物かと聞かれれば、うーんと腕組みしてしまう。ただ、およそ居酒屋のメニューとして考えられるものはまず揃っている。そして値段は安い。特段「美味」として特筆するものはないが、家庭的な味。店も気取った感じがない。だから居心地はいい。このあたりが人気の秘訣だろうか。女性とのデートにはちょっと不向きかなと思うが、一方で一昔前なら「オヤジギャル」と呼ばれていそうな若い女性が常連風にシュッと入ってきてキープのいいちこのボトルを出させる光景にもでくわす。
そんなところでキリンビールに香川の金陵、それに夏の味覚の岩ガキを楽しむ。先ほど日生のカキオコを前にビールを我慢したのは、鳥好で飲むためといっていい。
岡山の地元の人々の憩いの場の一時を楽しみ、店を後にする。まだ外は明るい。店の写真を撮ろうとカメラを向けると、これまで気づかなかった看板が見えた。
「ミシュランに載った店」。ミシュランといっても、西原理恵子の「恨ミシュラン」やとんねるずの「キタナシュラン」ではなく、ほんまもんのミシュラン。何でも、「ここの焼き鳥が絶品だ」とか「刺身料理が最高だ」という、レストランとしての三つ星評価というわけではなく、昔ながらの居酒屋というのが日本らしいということでの評価という。世の中、何がどう見られているかわからない。
以前に訪れた時に西洋人のグループ客がテーブル貸し切って賑やかにやっていたのもそういうことがあったのだろう。まあこの店を訪れる岡山のお父さんたちの中には「ミシュラン?今度阪神に来たガイジン選手か?」という反応を示す人がいるかもしれないが、そのほうがこの店らしくていいのかもしれない。
いや、また来ますよミシュラン掲載店。
さて帰りは山陽線で戻ることに。ちょうど帰宅通勤と青春18の旅行者が重なる時間帯で、4両の列車はすし詰め。少し前にホームに行ったつもりが席にはありつけず。しかも、立っている人は途中の駅で降りていくが、座っている人は県境を越えてもそのまま座っており、席の空く気配がない。結局途中の相生で下車し、10分後に播州赤穂からやってくる新快速に乗り換え。ここでようやく人心地つき、いっきに大阪まで戻った。
夏の海が見たいということで訪れた赤穂線。ただその分、次はカキのシーズンに行く楽しみができた。そしてミシュラン居酒屋(大きく出たな)の再訪も楽しみ。「混戦BB会」の次の旅企画の候補地にしようかな・・・・?